古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:高市早苗

 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権になって、アメリカは世界の舞台でふらふらと一貫性のない行動を取っている。高関税をかけてみたかと思えば、税率を引き下げる、中国に対して攻撃的な姿勢を取って、中国がレアアースを材料にゆさぶりをかけると、すぐに腰砕けになった。米中首脳会談は共同記者会見や共同声明は出ていないが、最低限のラインは守られ、米中両国は戦争には至らないということで合意している。ドナルド・トランプ大統領の日規則発言やイレギュラーな行動はなかった。ウクライナ戦争はいまだに停戦の兆しを見せず、それに加えて、アメリカはヴェネズエラ攻撃やイラン戦争を実施し、ヴェネズエラ攻撃は成功したが、イラン戦争は失敗であった。アメリカは圧倒的な軍事力を持っており、世界のどんな国でもひとひねりでやっつけることができるというのは幻想(illusion)だ。アメリカは弱い低を慎重に選んで攻撃し、強そうに見せていたということが明らかになりつつある。

 こうした混乱はトランプが大統領だからだと考えるのは浅薄だ。トランプはお金がない中で、一生懸命にアメリカを運営し、どうせ駄目な泥船だということは分かっていながら、何とか運営しようとしている。しかし、根本的に駄目な状態であるので、どうしようもない。どうしても、フラフラ、右往左往することになる。トランプはアメリカ帝国の「墓掘り人」として選ばれた。アメリカ帝国の後始末をつけるという大事な仕事がある。

しかし、それにしても大失敗はイラン戦争である。これで全く望んでいなかった中東地域の泥沼にはまり込んでしまった。アメリカが存在自体を公式に認めてこなかったイランの政権と真剣に外交交渉をして、しかも譲歩をしなければならない。アメリカが打倒の対象としてきた、イランの政権の体制の保証までしなければならない。これは屈辱である。イスラエルにいいように使われてこのような事態を招いた。こうしてアメリカは世界覇権国、世界帝国の地位から滑り落ちていく。

 おとなしく、余計なことは何もしないで、経済に注力してきた中国の存在感が大きくなるのは当然のことだ。5月14日から15日にかけて米中首脳会談、20日には中露首脳会談が北京で開かれたことは象徴的だ。アメリカはイラン、ロシアはウクライナという問題を抱えており、中国は日本の新型軍国主義と高市早苗政権と台湾という潜在的な問題を抱えながら、米露という20世紀の超大国の上にいるというような形で、「ヤルタ2.0」体制を構築している。米露は辞を下げて中国にいろいろと「お願い」をしに行った。これは大きなことだ。中国は世界覇権国への途を進んでいくだろう。2042年のアヘン戦争後の天津条約200周年までにどれくらいこの状況が進むか注目される。

(貼り付けはじめ)

中国の覇権が実現するかもしれない(Chinese Hegemony Might Be Happening

-それが現実になる可能性を疑う理由はこれまでいくらでもあった、今までは。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年5月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/12/china-hegemony-asia-trump-summit/

中国はアジアにおける覇権国になり得るのか? 2023年、私は中国の地域覇権(regional hegemony)への懸念は誇張されているものの、全くの空想ではないと主張するコラムを発表した。その主張をより詳細にまとめたものが、2025年春号の『インターナショナル・セキュリティ』誌に掲載された。私は、近年の地域覇権への試みのほとんどが失敗に終わっている(アメリカは例外的に有利な状況下で成功した)だけでなく、アジアにおける強力な勢力均衡連合(a strong balancing coalition in Asia)の形成は実現可能性が高いと主張した。中国の近隣諸国のほとんどは、中国が地域を支配することを望んでいない。アメリカも同様だ。主要諸国が脅威を均衡させようとする傾向があることを踏まえ、私は中国による露骨な覇権への試みは失敗に終わる可能性が高く、北京がそのような試みを行うのは賢明ではないと結論付けた。

この議論の論理は今でも説得力があると思うが、ドナルド・トランプ米大統領が、実際に証明されているように、衝動的で、見当違いで、無能な外交政策の担い手となる可能性を十分に考慮していなかった。マルコ・ルビオ国務長官やエルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)といった強硬派の存在、そして連邦議会における超党派の合意によって、アメリカの国力はアジアの同盟諸国が中国を牽制するのを支援することに十分集中するだろうと想定していた。

ところが、2025年以降、トランプ大統領は、中国がアメリカに取って代わり、周辺地域で支配的な地位を確立することを意識的に望む者が行うであろうあらゆることを実行してきた。彼はアメリカの科学界の柱を攻撃し、国立科学財団(NSF)の予算を削減し、諮問委員会を粛清し、数十の政府機関で経験豊富な科学者を解雇し、アメリカの主要大学に対して破壊的な攻撃を仕掛けてきた。科学技術力が経済生産性と軍事力の鍵となる時代において、これは一方的な軍縮行為であり、中国がまさにその逆のことをしている時に行われる行為である。

関連して、トランプは太陽光発電や風力発電、先進バッテリー、電気自動車といった新興グリーンテクノロジーの分野で中国に主導権を譲り渡す一方で、化石燃料や内燃機関といった20世紀の技術に固執している。データセンターが急増し、人類の生存に必要な電力がますます増大する中で、この政権は風力発電所の建設を阻止するために税金を投入している。世界は化石燃料の使用を減らし、クリーンエネルギーへの依存度を高める必要があることを日々痛感しているにもかかわらず、トランプはその未来をアメリカではなく中国が握るようにあらゆる手段を講じている。

第三に、トランプ大統領は中国(およびその他の国々)に対して、設計が不十分で一見無作為に見える一連の関税を課したが、中国が多くの先端技術(私が今これを書いているノートパソコンも含む)の基盤となる精製レアアースの輸出を停止すると、トランプ政権は撤回した。結局、彼の関税措置は違法だったことが判明し、彼が主張していた目標(例えば、製造業の雇用をアメリカに取り戻すなど)を達成する可能性はさらに低くなった。

さらに悪いことに、彼は関税という強硬手段を用いて、アジアの最も重要なパートナー諸国を威圧し、彼らが望むか否かにかかわらず、アメリカ経済への投資を約束させた。同盟諸国の経済に打撃を与えることは、反感を招くだけでなく、アメリカが長年望んできた国防費の増額を困難にする。トランプと彼のティームは、アジア諸国との関係改善にもほとんど取り組んでいない。トランプは昨年、インドのナレンドラ・モディ首相と無意味な論争を繰り広げた。また、現在、オーストラリア、ミャンマー、カンボジア、フィジー、インドネシア、ラオス、マレーシア、マーシャル諸島、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、ヴェトナムには、米大使が誰も駐在していない。これらの国々の米大使のほとんどは、そもそも候補者すら指名されていない。

トランプとルビオは、アメリカを数十もの国際機関から脱退させた。これは、中国がますます活発かつ影響力を強めているもう一つの分野であり、国際関係の様々な側面を規定するルールや制度が策定される場にアメリカが参加できないことを意味する。もちろん、一部の国際機関はそれほど重要ではなく、強国は望む時にそれを無視できるという意見もあるだろう。しかし、こうしたフォーラムにおける外交的存在感の低下は、アメリカが他国との協力に関心がないというメッセージを世界に発信することになる。また、今後数年間、アメリカ企業は他国によって策定されたルールに基づくグローバルな規制環境に対応していかなければならないことを意味する。アメリカのような強国でさえ、これは不便で非効率的だと感じるかもしれない。

そして、イランとの戦争もある。

第一に、この紛争は大きな障害となっており、トランプの限られた集中力だけでなく、側近たちの時間とエネルギーも浪費している。ホルムズ海峡の開通方法を模索している最中に、どうやって効果的なアジア戦略を策定できるというのだろうか? トランプ大統領は、アジアにおける中国の台頭に注力すると公約して就任した4人目の米大統領だが、歴代大統領と同様、結局は中東地域で泥沼にはまり込むことになった。そして、2003年のジョージ・W・ブッシュ大統領と同様、彼には自らの責任以外に責めるべき相手はいない(そしておそらくイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は責めることができるだろうが)。

この戦争は、アジアにおけるアメリカ軍の態勢を弱体化させ、もしアジアで紛争が発生した場合、アメリカがどれほど効果的に対応できるのかという正当な疑問を起こさせる。現在、アメリカ海軍は中東地域に3つの空母打撃群を配備しているが、東アジアには1つしかない。ペルシア湾岸に展開している空母は数カ月間も配備されており、この事態が収束すれば港での休息が必要になるだろう。米国防総省はトマホークミサイルやパトリオットミサイルなどの先進兵器を急速に消費しており、アジアの同盟諸国は防衛力が低下しつつある。中国や北朝鮮がこの状況を悪用するとは考えにくいが、アジアの同盟諸国にとっては決して喜ばしいことではないだろう。

さらに言えば、この戦争の「計画(planned)」(そもそも計画という言葉が適切かどうかは別として)と実行のあらゆる過程は、長年の同盟諸国に相当な懸念を抱かせているに違いない。事前に相談を受けた国は皆無であり、政権内部の誰も、イランへの再攻撃(2025年6月に続いて)が世界中のパートナー諸国にどのような影響を与えるかについて全く考えていなかったようだ。その影響は深刻だ。フィリピン、日本、韓国などでガソリン価格が急騰し、経済成長予測も下方修正された。さらに、戦争による肥料不足や農作物の収穫量減少といった経済的・人的被害も加われば、ワシントンが軽率に戦争に踏み切ったことへの怒りは当然と言えるだろう。

以前にも述べたように、トランプ政権の混乱した戦争遂行は、アメリカの判断力と能力(judgement and competence)に対する深刻な疑念を抱かせるばかりだ。国際政治において、影響力と信頼性(influence and credibility)は、国力、共通の利益、そして決意の表明によって部分的に形成されるが、同時に、他国の指導者が自らの行動をある程度理解しているという信頼にも左右される。これまでの政権の実績を考えると、アジア(あるいは他の地域)のアメリカの同盟諸国は、彼らの助言を受け入れたり、彼らが交わす約束を信じたりするべきか? 一方、中国は自らを穏健な大国[a benign power](実際はそうではない)として、あるいは少なくとも外国を爆撃したり、指導者を暗殺したり、世界経済を混乱に陥れたりするような国ではないかのように見せかけることができる。ギャラップ社の最近の世論調査によると、中国は今や世界中でアメリカよりも人気が高いという。これは驚くべき展開であり、私たち全員が懸念すべき事態だ。

こうした状況を踏まえると、私はアメリカのアジアにおける同盟関係の安定性、そして中国の覇権を阻止できる見込みについて、楽観的すぎたのではないかと疑問に思わざるを得ない。中国に対抗するための連合は、構造的に見てかなり強固なものになるはずだが、主要な同盟国、特に同盟のリーダーと目される人物があまりにも無能であれば、崩壊する可能性は依然として存在する。ほとんどのアジア諸国はアメリカから距離を置き、中国に迎合することを望んでいないが、その可能性は私がかつて考えていたほど低いものではないかもしれない。その主な理由は、アメリカの最近の失策ということになる。

こうしたことを言うのは躊躇してしまう。なぜなら、敗北主義(defeatism)は自己成就(self-fulfilling)になりかねないからだ。また、もはや万策尽きた状態で中国の覇権が確実だと示唆したくもないからだ。今でも、私は中国が持っている手札よりもアメリカの手札の方がはるかに良いと考えている。なぜなら、ワシントンは北京よりも多くのハイカードを握っているからだ。しかし、私たちの手札を、ゲームのルールを理解し、それぞれのカードの価値を知っている人物が握ってほしいと切に願っている。

スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

thefunal202607cover001

ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 高市早苗首相(自民党総裁)の事務所(秘書)が自民党総裁選挙や前回の総選挙で、他候補を誹謗中傷する動画(中傷動画ではなく批評動画という表現もある)の作成と拡散に関与した疑惑について、答弁をごまかし、嘘をつき、しれっと訂正するという見苦しい姿を見せている。それに対して、批判の声も大きくなっているが、高市首相を擁護する声も大きい。高市政権の支持率が70%もあるというのも、高市首相擁護の国民が多いことを示している。一部の何の芸能スキルもない芸能人がテレビ番組に出演して、週刊誌が報道しているから嘘だ、正しい話ではないという論法で、火消しを行おうとしている。こうした一部芸能人の動きについて、「幇間(たいこもち)」という言葉で形容する人たちもいるが、これは「幇間」を馬鹿にするものである。「幇間」はそのような職業ではないし、一流の幇間ともなれば、相手に嫌な気持ちをさせないようにしながら良い方向に導く。芸能スキルのない芸能人の見苦しい高市首相擁護とは全く異なる。

 高市早苗首相の醜悪な姿は、現在の私たち日本人の姿そのものだ。高市首相の見苦しい行動は私たちが常日頃の行動と同じだ。見苦しい言い訳をして、自己正当化に終始し、謝罪をせず、相手が悪いという他責志向(思考)ではないという現代日本人がどれほどいるだろうか。日本でも特に人口が集中している東京、首都圏で暮らしていれば、自分も含めて、あのような醜悪な姿を晒しながら、道路を歩き、公共交通機関を使い、レストランや居酒屋でサーヴィスを受けている。高市首相の行動を見て、大きな批判をするのは、同族嫌悪、自分の姿を見せつけられてしまって、それを忌避するという感情が根底にあるのだろうと私は考える。自分の醜い姿を鏡で見せられているような感情になってそれを避けたいということで批判をしている。

 一方で、高市首相を声高に擁護する人たちは、「高市首相みたいな偉い人がやっているのだから、自己正当化や屁理屈、嘘を言うことは悪いことではない」「高市首相みたいな偉い人でも自分たちと同じだ」「はっきりと断言して力強い」という「親しみやすさ」「力強さ」を高市首相に感じているということになる。日本の一般国民の間で自己正当化や嘘を言うことのハードルが下がっているということになる。「一億総謝らない病(謝れない病)」にり患しているかのようだ。そして、考えが足りないままでぽろっと述べたことで大きな問題になっても、得意の自己正当化で逃げ切ろうとする姿は私たち日本国民の姿だ。

 「世界で最も礼儀正しく、親切で、思慮深い」という日本国民の自己認識と現実は大きく乖離していることを私たちは良く認識しなければならない。しかし、それは非常に難しい。それは、日本人が外側からの目を自分の中に備えていないからであり、その能力に欠けているがために、現状のようなことになっているということを分からないからだ。そして、このことはこれからも続くであろうと私は悲観的になっている。そうやって日本は衰退していくのだろう。

(貼り付けはじめ)

【速報】高市内閣の支持率70.0% 先月から4.2ポイント下落 JNN世論調査

TBS NEWS DIG TBSテレビ

202667() 23:29

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2715335?display=1

最新のJNNの世論調査で、高市内閣の支持率が先月の調査から4.2ポイント下落して、70.0%でした。一方、「支持しない」と答えた人は先月から3.1ポイント上昇して、27.4%でした。

各党の支持率は以下の通り。

自民  35.5%1.6↑

維新  2.0%2.0↓

国民  3.9%0.5↑

中道  1.9%1.1↓

立憲  3.4%2.2↑

参政  3.6%1.3↑

公明  2.3%0.0→

みらい 1.0%1.3↓

共産  2.4%0.1↑

れいわ 1.3%0.5↑

保守  1.1%0.5↑

社民  0.4%0.3↓

その他 1.0%0.7↑

支持なし37.9%0.2↑

【調査方法】

JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。66日(土)、7日(日)に全国18歳以上の男女2689人〔固定822人、携帯1867人〕に調査を行い、そのうち38.0%にあたる1021人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話463人、携帯558人でした。

インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにも、JNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。

=====

●「高市首相が答弁訂正、週刊誌報道の「43日付の回答」事務所からと認める 秘書「勘違いをした」」

6/10() 19:39配信 J-CASTニュース

 高市早苗首相が2026610日の衆院法務委員会で、5日の答弁から一転し、「週刊現代に引用されている43日付の回答については高市事務所から回答した内容であるということでしたので、その点は訂正します」と述べた。

■週刊現代掲載の「回答」に秘書「事実と違う」→首相再確認で訂正「事務所から回答」

 国会では連日、首相陣営が259月の自民党総裁選や262月の衆院選で他候補を中傷する動画に関わったと疑われている問題が取り沙汰されている。その一環で、動画作成者が発行側とされる暗号資産「サナエトークン」との関係も騒がれてきた。同トークンは実業家・溝口勇児氏が運営するYouTube番組「NoBorder」から派生し、高市早苗首相が関与を否定したことで波紋を広げた。

 65日の参院予算委では、週刊現代が4日に公開した「高市総理の『面識のない方』は大間違い!高市事務所所長が認めていた『サナエトークン』『誹謗中傷動画』首謀者との接点」という題の記事に話が及んだ。

 記事中では、秘書と動画作成者の参加を文春オンラインが報じた「Zoom会議」をめぐり、高市事務所の43日付の回答だとして「1217日のオンライン会議は、NoBorder側からの求めに応じて行ったもの」などと掲載された。しかし、高市氏は答弁で、秘書に確認した結果として「43日付の回答とされる内容は、事実と違うと申しておりました」と述べていた。

 一方、610日の衆院法務委で事実関係を問われ、高市氏は下記のように答えた。

「これは改めて秘書に確認しましたところ、週刊現代に引用されている43日付の回答については高市事務所から回答した内容であるということでしたので、その点は訂正します」

●「なぜそういうことが起きたのか」首相説明は

 なぜこのようなことが起きたのか。高市氏は「65日の予算委員会の答弁に先立ちまして、当日未明......深夜から朝にかけて、ずっと秘書に電話を続け、未明にようやく出ましたので確認しました」と振り返り、

「その際、秘書は自宅で就寝中でもあり、手元に回答文もなかったです。私が電話で、回答文の一部が引用された週刊誌の記事を読み上げて確認いたしました。そして2か月も前の回答文であり、もともと会議について詳細を覚えていないこともあって、ごく一部抜き出されたところを私が電話で読み上げたものですから、回答した内容と違うと勘違いをしたということで、説明がございました」

と述べた。その後も「高市事務所から出した回答文、それは誠実にお答えしたものである」とし、下記のように補足している。

「違うというところは、先ほど説明したとおり、私が未明に、電話で、しかも週刊誌に一部切り取られた部分だけを秘書に確認をしたら、大変長い回答文を出しておりましたので、全体の趣旨と違うと、彼はそう思ったということでございました」

 これまで高市氏は、秘書と動画作成者は面識がなかったと繰り返してきた。今回、前出のZoom会議とされる音声を秘書本人に確認させたとして、このようにも説明していた。

「(秘書本人は)自分の声に似ているように思うが、編集されて発言が細切れになっていることなどから、内容も含め確信はもてない、ということ。ただ昨年、信頼できる方から紹介を受けた企業とのグループオンライン会議に参加し、そこで国民の声を広く聞くために検討しているという企画の紹介を聞いたことはある、ということでした」

(貼り付け終わり)

(終わり)
thefunal202607cover001

ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

thefunal202607cover001
ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 日中関係は冷え込んでいるという表現が生温いほどに悪化している。2025年11月の高市早苗首相の不要な台湾に関する発言から、すでに半年ほどを経過し、改善の努力は続けられていると思うが、成果は見られない。これは、近衛文麿首相の「爾後国民政府を対手(あいて)とせず」並みの日中関係における重大なマイナス発言として、後世の歴史家たちから評価されるだろう。あの時に謝って撤回しておけばここまでのことにはならなかった。高市首相は国益を毀損した首相である。


 米中首脳会談(5月14~15日)、中露首脳会談(5月20日)が行われ、ここで、日本の「新型軍国主義(Neo-Militarism)」について、中国の習近平国家主席が警告を発したという報道がなされている。米中首脳会談では議題に出る予定ではなかったのに、習主席が激しい言葉遣いで日本の新型軍国主義を非難したことに、アメリカ側が驚いたということだ。トランプ大統領は北朝鮮の脅威があるので日本の防衛費は増加しているという趣旨の発言をしたということだが、そもそも、どうしてアメリカ大統領が日本の弁護をしなければならないのかと大いに不満を持ったと思う(実際にはアメリカが大幅増額を要求しているのであるが)。「アメリカが増額するように命令しているからですよ」とはいくらトランプ大統領でも言えなかったようだ。「日本はあなたのところの属国だ。しっかり管理をしてくれなければ困る」ということになったようだ。トランプ大統領は帰りの飛行機から高市首相に15分間電話をしたそうだが、その内容は伝わっていない。「まぁ何とかとりなしておいたから」と言ったと考えられるし、「少しはおとなしくしろ」と言った可能性もある。

 中露首脳会談後の共同声明では、日本の「新型軍国主義」への非難の言葉が記載されている。米中首脳会談での話はあくまでメディアによる取材で出てきた話であるが、中露首脳会談の共同声明はきちんとした証拠となる。中国とロシアが日本の「軍国主義」傾向に警戒感を持っているということを公に示した。国連常任理事国で、日本の隣国である中国とロシアがそのような態度となっている。この状況は非常にまずい。これで日本国内に核武装の機運が高まるということになれば、国連憲章第53条や第107条にある「敵国」認定される可能性もある。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を発動してくれて、日本が攻撃されることはないだろうが、今の日本は非常に危うく外側からは見えている。

 中国側が使う「新型軍国主義(xin xing jung guo zhu yi)」という言葉は、新型コロナウイルスの中国語訳である「新型冠状病毒(xin xing guan zhuang bing du)」を連想させる。ある意味では、ここに救いがある。「日本は新型軍国主義ウイルスに感染している状態で病気なのだからその治療をすれば元に戻る」と中国側は見てくれていると考えることもできる。

 日本は少子高齢化が世界で最も進み、経済力は衰え、国力研究会に今更研究をしてもらわなくても国力は大きく衰退している。日本は21世紀の「東亜病夫(sick man of East AsiaDōngyà bìngfū)」である。この言葉は19世紀末に衰退していた清朝に対して使われた言葉である。病気から目を逸らすために、病気の痛みや苦しさから目を逸らすために、「排外主義」や「過激なナショナリズム」に走り、果てには核武装を言い出す人たちが出てくる。それを外側から煽り立てる勢力がいる。現在のような状況が続けば、日中間の不測の事態、思いがけない武力衝突の可能性が高まるばかりだ。日本が東アジアと世界の不安定要因にならないためにも現在のような極右的志向を改めることが重要だ。
 しかし、日本人は全体として新型軍国主義というウイルスを避けるための「免疫システム(immune system)」である「知性」や「思考力」が極端に低下している。このウイルスとの戦いに勝てるかどうかは甚だ悲観的にならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で日本の「再軍備」を激しく非難した(Xi Jinping railed against Japan’s ‘remilitarisation’ at Donald Trump summit

-習主席は、アメリカの同盟国である日本の防衛費増額を批判する際に、激しい口調で発言した。

デメトリ・セヴァストプロ(ワシントンDC)、ジョー・リーヒー(北京)、レオ・ルイス(東京)筆

2026年5月25日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/70e922b3-c423-40f2-9c9d-1c64a38e026b?syn-25a6b1a6=1

北京で行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、習近平中国国家主席は高市早苗首相に対し、日本の「再軍備(remilitarisation)」を激しく非難した。会談に詳しい7人の関係者が明らかにした。

習主席は日本について語る際、声を荒げ、感情的(vocal and agitated)になった。首脳会談前には中国側との協議で日本問題が取り上げられていなかったため、アメリカ政府当局者たちは驚いた。複数の関係者によると、習主席の激しい非難は、2日間にわたる首脳会談の中で最も白熱した場面(the most heated part)だったという。

習主席が高市首相と日本の防衛費増額を厳しく批判した後、トランプ大統領は、北朝鮮の脅威の高まりを理由に、日本はより積極的な安全保障姿勢を取る必要があると応じた。トランプ大統領が、日本の最大の安全保障上の懸念事項である中国について、同じ文脈で言及したかどうかは不明である。

元ホワイトハウス対日担当高官のクリストファー・ジョンストンは、習主席の日本に対する「辛辣なアプローチ(caustic approach)」と、トランプ大統領の米中関係安定への願望を利用しようとする試みは、安全保障における自立を目指す日本の姿勢を改めて裏付けるものだと述べた。

「習近平の自己認識の欠如は驚くべきものだ。彼自身の行動が、より強力な日本の台頭を加速させている」とジョンストンは述べた。

「中国の反日的なレトリックは、自国国境の外では支持を得ていない。・・・東京は、オーストラリア、フィリピン、そして韓国を含む地域全体のパートナー諸国との安全保障関係を強化している。これらの国々は皆、『再軍備(remilitarizing)』を進める日本よりも、攻撃的な中国をはるかに懸念している。」

日本は毎年発表する防衛白書において、北朝鮮よりも中国の脅威を優先的に挙げてきた。2023年以降、中国の軍事活動と対外姿勢を「最大の戦略的課題(greatest strategic challenge)」と位置づけている。2026年版防衛白書の草案では、中国による近年の軍事的強硬姿勢の高まりに焦点を当て、北京とモスクワの軍事協力の深化に「深刻な懸念(serious concern)」を表明している。

北京と東京の関係は、昨年11月、高市首相が台湾への中国の攻撃は日本にとって「存立の危機(existential threat)」となり、自衛隊の派遣を正当化する可能性があると発言したことに対し、中国が激しく反発して以来、急激に悪化している。高市首相の発言は政策変更を意味するものではないものの、中国からの非難を招いた。

中国はその後も日本に対する攻撃を繰り返し、レアアースの軍民両用輸出制限といった具体的な措置と、言葉による攻撃を織り交ぜながら攻撃を続けている。中国外務省は金曜日、日本が2025年までに防衛費を9.7%増額したと発表した。

中国外務省は続けて、「日本の防衛予算は14年連続で増加しているにもかかわらず、日本の右派勢力は依然として防衛費増額を声高に要求している。これは、日本の『平和国家(country for peace)』という仮面が剥がれ落ち、新軍国主義(neo-militarism)へと傾きつつあることを改めて示している」と述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界第2位の軍事費支出国である中国は、昨年、防衛費を7.4%増の3360億ドルに引き上げた。これは31年連続の増額となる。一方、日本の防衛費は620億ドルだった。

高市首相は台湾に関する発言後、トランプ大統領やアメリカ政府高官からほとんど支持を得られなかった。この状況は、米中首脳サミットを前に、トランプ大統領が日本についてどのような発言をするのかという不安を東京にもたらした。

トランプ大統領はワシントンへの帰路、エアフォースワン機内から高市首相に電話をかけた。しかし、ホワイトハウスと日本政府は、大統領が高市首相に何を話したかについて詳細を明らかにしていない。

習近平国家主席との首脳会談について、あるアメリカ政府高官は、トランプ大統領が「日本国民への深い敬意と高市首相との親密な個人的関係を強調した(emphasised his deep respect for the Japanese people and his close personal relationship with Prime Minister Takaichi)」と述べた。

この高官はさらに、「アメリカ代表団は、在日アメリカ軍の大規模な駐留について中国側に改めて注意を促した(The US delegation reminded Chinese counterparts about the large US military presence in Japan)」と付け加えた。

日本政府は、トランプ大統領による同盟諸国への関税賦課から、イラン核戦争によって対中米軍事抑止力が弱体化しているとの懸念まで、日米同盟の現状について不安を抱いている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は土曜日、アメリカが今月、日本に対し、中国への「反撃(counterstrike)」力として日本が2024年に発注したトマホークミサイル400発の納入が大幅に遅れる可能性があると伝えたと報じた。

トランプ大統領が北京で、台湾への140億ドル規模の過去最高額の武器売却案は中国との交渉において有効な「交渉材料(negotiating chip)」になると述べたことを受け、同盟国やパートナー国はワシントンの台湾への関与について懸念を表明している。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は金曜日、中国が、アメリカが台湾への武器売却案を承認するかどうかを明確にするまで、国防総省の政策担当高官(国防次官)であるエルブリッジ・コルビーの北京訪問を保留していると報じた。

在米中国大使館は習近平国家主席の発言についてコメントしなかったものの、日本の「右派勢力(right-wing forces)」が「地域平和の基盤を・・・揺るがそうとしている()shake the...foundation of regional peace」と非難した。

駐米中国大使館はさらに、「日本はまず何よりも、台湾に関する誤った言動を改め、無謀な再軍備の動き(reckless remilitarisation drive)を止め、良き友好関係(good neighbourliness)と友情(friendship)平和的発展(peaceful development)という正しい軌道に戻り、具体的な行動によってアジア諸国や世界の信頼を得るべきだ」と付け加えた。

日本の首相官邸はコメントを拒絶した。

=====

習近平氏、高市首相に言及し激高…中国外務省は否定

5/25() 18:15配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b59e21248db3cac7208c4a5c9920c91eaec724f

 【ワシントン=栗山紘尚】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、北京で14~15日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、高市首相が「再軍備」を進めているとして声を荒らげて激高したと報じた。複数の関係者からの情報として伝えた。

 報道によると、習氏は会談で日本の防衛費増額の取り組みが話題になった際、口調を強めた。トランプ米大統領は日本の防衛強化策について、北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「日本は積極的に防衛力強化を進めざるを得ない」と擁護したという。2日間の会談で、「最も緊迫した場面」だったと伝えている。

 報道について、中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は25日の記者会見で「中米首脳会談については、既に発表している。報道は中国が把握している内容とは異なる」と否定した。

 トランプ氏は3月に高市首相と会談した際、「習氏との会談では、日本を称賛するつもりだ」と話していた。習氏は今月20日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者発表でも「軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」と日本を批判した。

=====

中露が共同声明で「再軍備加速」と日本を名指し批判 プーチン氏、2日間の訪中終え帰国

5/21() 11:34配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/69fe43d836f28814268b07ea0cbe4dcf09759a7b

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は20日夜、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が同日の会談後に署名した「全面的戦略協力のさらなる強化と善隣友好協力の深化」に関する共同声明の内容を伝えた。共同声明は「日本で加速する『再軍備』が、地域の平和と安定を深刻に脅かしている」と主張し、日本を名指しして批判した。

中国は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に対日姿勢を硬化させており、ロシアと対日圧力でも連携を強化する可能性がある。

共同声明は、中国が主張する「新型軍国主義」という言葉も使い、日本側に「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第二次大戦の全ての結果を認める」ことを求めた。日本で非核三原則の見直しを求める意見が出ていることに触れ、「日本の右翼勢力の容認できない野心と極端な挑発行為」への「警戒」を表明した。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃に関しては、「国際法などに違反し、中東情勢の安定を甚だしく損なう」との認識で一致した。名指しを避けつつも米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。

ロシアが侵略したウクライナに関する問題については、「対話と交渉を通じた解決策の追求を継続することを支持する」と表明した。

新華社は、「世界の多極化と新型国際関係」に関する共同声明の内容も伝えた。中露両国で「多極世界と、より公正な新型国際関係の形成に向けた共通ビジョンの構築を継続する」としている。

プーチン氏は20日夜、2日間の中国訪問日程を終えて帰国の途に就いた。同日夜には習氏とプーチン氏が北京の人民大会堂でお茶を飲みながら会談した。中国外務省によると、習氏は、中露関係について「高い質の発展を続け、さらなる高みへ至ると信じている」と強調した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
thefunal202607cover001

ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

thefunal202607cover001
ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 ドナルド・トランプ大統領は融通無碍だ。自分の過去の行動や決定、発言に縛られない。これはトランプの強みだ。謝ることはしないが、これは違うと思えばさっと行動を変える。これだと発言や決定に信頼性を欠くことになるが、この柔軟性は事態をそこまで悪化させない。この柔軟性はほかの政治家ではなかなか持てない。

 ドナルド・トランプ大統領は中国を批判し、実際には極端な高関税政策など、厳しい対応を行ってきた。米中貿易戦争という言葉は、第一次トランプ政権の頃から使われている。中国もアメリカに対して厳しい対応を取るということを行ってきた。同時に、製造業での優位を確保し、最先端分野、AI(人工知能)、量子コンピュータ、ドローン、電気自動車などの分野でアメリカと肩を並べ、追い抜くというところまできた。また、レアアース分野における優位性も確保していた。そして、第二次トランプ政権で、このレアアースの優位性を利用して、アメリカに対抗し、アメリカからの譲歩を引き出した。

 今回の米中首脳会談では、具体的な内容はあまり伝わっていないが、中国側が「建設的戦略的安定性(constructive strategic stability)」の堅持で合意した。米中はお互いに緊張関係を欲しないし、競争と協調をミックスした関係を望んでいる。台湾問題にしても、武力衝突までエスカレーションすることを両国が望まない。アメリカにも、台湾にも、日本にも、そして、中国にも、米中日台湾の間で武力衝突をしたい、させたいと狂信的に望む人間や勢力がいる。しかし、実際には、トランプもアメリカも中国戦争をしたいとは望まないし、できない。そんなことをすれば、アメリカの衰退が加速し、国家が立ち行かなくなるからだ、そして、世界の敵と認定されてしまうからだ。

 トランプは対中強硬姿勢から見事に、華麗に変身した。トランプ政権内には対中強硬派が多く入っているが、親分が以前は白と言っていたが、今は「これは黒だよな」と言ったら、「そうですね、真っ黒ですよ」と答えるのが子分だ。裏では「何を言ってやんでぇ」と思っていたとしても、だ。トランプ政権の間は中国に融和的な姿勢とならざるを得ない。それが嫌ならトランプ政権から離れねばならない。トランプは根っからのビジネスマンであり、「金にならない」「損になる」ということを嫌うという本能で生きている。その本能が正しく機能して、中国に対して融和的になっているというのは、それだけで大きな価値があるということになる。そして、対中強硬姿勢を馬鹿みたいに続けるほど馬鹿ではないということだ。それでは、日本の指導者、高市早苗首相はどうだろうか。その答えは明らかだ。

(貼り付けはじめ)

トランプの対中政策における実用主義は歓迎する(Trump’s China Pragmatism Is Welcome

-北京とのライヴァル関係は避けられない。経済の断絶(economic rupture)は壊滅的な事態を招くだろう。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/18/trump-xi-meeting-china-united-states-economics-trade-great-power-competition/

このコラムの読者の皆様さんは、私がドナルド・トランプ大統領の2期目の外交政策を支持してこなかったことを知っている。グリーンランドの併合やカナダの併合をちらつかせたり、一方的に関税を急激に引き上げたり、イラン戦争の失敗に終わったりと、トランプは無謀で(reckless)、混乱させ(chaotic)、深刻な不安定化(deeply destabilizing)をもたらしてきた。しかし、ある重要な分野、すなわち米中関係においては、彼は正しい直感(the right instincts)、そしておそらくは正しい政策さえも持ち合わせているのかもしれない。

トランプが最近、中国の習近平国家主席と会談した際、普段はなかなか見られない一面が見られた。彼は敬意を払い、ほとんど恭順を示し(almost deferential)、二人の個人的な親密さを強調しようと努めていた。一方、習主席は終始形式的で(formal)、規律正しく(disciplined)、決して温かみのある様子を見せなかった。この非対称性は、実態をよく示している。

トランプ氏は権力に執着している。イデオロギーや価値観よりも、彼は影響力と支配力という観点から物事を考えている。トランプはヨーロッパの同盟諸国を侮辱するが、それは彼らが依然としてアメリカの軍事的保護とアメリカ市場へのアクセスにどれほど依存しているかを理解しているからだ。トランプ氏は弱点を見抜き、それを巧みに利用する(Trump senses weakness and exploits it)。

しかし、中国に関しては、ワシントンの多くの人々が未だに感情的に受け入れられずにいる事実をトランプは理解するようになった。それは、北京が経済、技術、産業、軍事において独自の強大な力を持っており、それを効果的に行使できるということだ。従って、トランプは、好戦的な姿勢(belligerence)から、ライヴァル関係と協力関係(rivalry and cooperation)が複雑に絡み合った関係へと変化した。この関係こそ、まさに今求められているものなのかもしれない。

トランプ氏の今回の訪問を、2021年にアンカレッジで行われたバイデン政権関係者と中国側関係者の初会談と比較してみよう。アメリカ側はテレビ中継で、人権問題、サイバー攻撃、国際秩序を巡って中国を激しく非難した。中国側の外交官たちも同様に激しく反論した。それは真剣な外交的対話というより、ケーブルニューズでの罵り合い合戦(a cable news shouting match)に過ぎなかった。

多くの中道派民主党連邦議員たちは、「中国に弱腰だ(soft on China)」と見なされることを恐れている。そのため、彼らはしばしば過剰なレトリックを用い、極端な表現を使い、象徴的な対立をエスカレートさせる。ジョー・バイデン大統領は、トランプ政権の対中関税に懐疑的な姿勢を示し、撤廃を約束したにもかかわらず、ほぼ全ての関税を維持した。また、バイデンは大統領として中国を訪問したことはなく、習近平国家主席をワシントンに招待することもなかった。

バイデン陣営は、トランプ政権が最初に主張した、中国の新疆ウイグル自治区における行為は大量虐殺(ジェノサイド、genocide)に当たるという主張を支持した。ジェノサイドという言葉は、ホロコーストや1994年のルワンダ虐殺のような、組織的な大量虐殺(extermination campaigns)を想起させる。中国の新疆ウイグル自治区の刑務所や再教育キャンプは残虐で恐ろしいものであり、数十人の学者がウイグル族に対する中国の行為をジェノサイドと呼んでいる。しかし、『エコノミスト』誌が指摘したように、それは多くの人がこの言葉を思い浮かべたときに連想するものとは異なる。

トランプの最大の強みは、右派からの攻撃を受けないことだ。2016年の大統領選挙後、彼は北京を激しく非難し、製造業の雇用喪失、貿易不均衡、そしてアメリカの産業衰退の責任を中国に押し付けて政権を握った。ある意味、これは「ニクソン大統領が中国へ向かった」というよりは、リチャード・M・ニクソン大統領よりも右派に位置する超タカ派のロナルド・レーガン大統領がソ連へ向かったという構図に近い。トランプが同様の方向転換を成し遂げられる可能性があるのは、彼の支持層が彼の先導する方向に従うからに他ならない。トランプがイランへの軍事介入を支持する姿勢を示した途端、多くのMAGA支持者がいかに迅速に態度を翻したかを見れば明らかだ。

なぜ中国とのより協調的なアプローチが理にかなっているのだろうか? それは、中国はソ連ではないからだ。ある指標によれば、冷戦終結時のソ連経済規模はイタリアよりも小さかった。一方、中国は世界第2位の経済大国であり、120カ国以上にとって最大の貿易相手国であるだけでなく、電気自動車やバッテリーからドローン、先端製造業、人工知能に至るまで、幅広い分野で技術大国としての地位を確立している。製造業の生産高は、米国、日本、ドイツを合わせた額を上回る。

このような国に対して本格的な冷戦を仕掛けようとすれば、世界が既に分断されていたソ連との闘争とは全く異なるものになるだろう。冷戦を仕掛けることは世界経済そのものを崩壊させることを意味する(It would mean tearing apart the global economy itself)。アメリカの消費者は物価上昇と供給ショックに直面するだろう。アメリカ企業は世界最大級の市場へのアクセスを失うだろう。大学は多くの優秀な学生を失うだろう。危険は単なる経済的苦痛にとどまらない。それは、敵対する2つの技術・地政学的ブロックが生まれ、対立が激化するという事態を招くことになるだろう。

もちろん、アメリカと中国はライヴァル関係にある。二極化した世界(a bipolar world)において、それは避けられないことだ。米中両国は今後数十年にわたり、経済、軍事、戦略のあらゆる面で競争を繰り広げるだろう。しかし、ライヴァル関係は必ずしも完全な断絶(total rupture)を意味するものではない。ヘンリー・キッシンジャーは亡くなる数週間前、私に次のように語った。「米中両国の指導者は、1914年に国家主義的な競争が結果を顧みずに追求された結果、世界秩序を根底から覆す世界大戦が勃発したことを心に留めておくべきだ(leaders of both countries should keep in mind how in 1914, nationalist competition pursued with no concerns of its consequences led to a world war that upended the entire global order)」。

人工知能、サイバー戦争、核兵器の時代において、協力関係を維持することはこれまで以上に重要だ。米中両国は激しく競争しながらも、核兵器の安定(nuclear stability)、AIの安全性(AI safety)、パンデミック(pandemic)、金融危機(financial crises)といった分野で、可能な限り取引、対話、協力関係を維持すべきである。冷戦時代、ワシントンとモスクワは激しい敵対関係の最中でも軍備管理交渉を継続した。それは、米ソ両国が制御不能なライヴァル関係が破滅的な結果を招くことを理解していたからだ。

それは今日においても変わらない。そして、もしトランプが、哲学(philosophy)というよりはむしろ本能的(instinct)な理由から、この基本的な現実を認識するに至ったのだとすれば、少なくともこの問題に関しては、彼の実用主義(Pragmatism)は理にかなっていると言えるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)
thefunal202607cover001

ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 日中関係は高市早苗首相就任、高市首相の台湾有事に際しての自衛隊の出動発言以来、悪化し、改善の兆候を見せていない。中国側は日本側の軍国主義復活や憲法の条文変更に対して、神経を尖らせている。日本国内に住む日本人としてはピンと来ないところもあるだろうが、80数年経っても、日本軍による侵攻、占領、反人道的な行為のイメージは消えていない。「日本人は戦争を望んでいない」と私たちは思っているし、そのように発言するが、外形的にみて、憲法の条文変更や極右的な動きがあるとなれば、「そんな言葉は信用できない」と言われてしまうのは自然であると言わざるを得ない。
taiwanstraitmap001

 中国側は日本側が挑発的な行為を行っていることを問題視している。2026年4月17日に日本の自衛隊の艦船が台湾海峡を通過した。これに対して、中国政府や中国人民解放軍が厳しい反応を示している。この4月17日という日は、私たち日本人にとっては何の変哲もない日付であるが、中国にとっては、1895年4月17日に日本と当時の清国との間で下関条約(the Treaty of Shimonoseki)が締結された日である。1894年の日清戦争では、日本が朝鮮半島と黄海において勝利を収めた。翌年の1895年に日本側全権として伊藤博文首相、陸奥宗光外相、清国側全権として李 経方直隷総督兼北洋通商大臣、李経方清国駐日大使(李経方の甥)が交渉に当たった。

交渉の会場となった料亭の春帆楼からは海が一望できるのだが、日本側は軍艦を航行させて、清国側に圧力をかけるということも行った。下関条約の合意内容は「(1)朝鮮の独立:・朝貢関係を廃止、(2)遼東半島、台湾、澎湖諸島の永久割譲、(3)清国は日本に軍費賠償金として2億両(約3億1000万円)の支払い、(4)沙市・重慶・蘇州・杭州の4港を開港し、日本に最恵国待遇を認める」であった。清国からすれば屈辱的な内容であった。中国にとっては1840年のアヘン戦争から続く、西洋列強による侵略、植民地化の流れの一つの国辱的な事件として捉えられている。4月17日は中国にとって重要な日付である。
treatyofshimonoseki11

このような日に日本の領海ではなく、緊張状態の中にある台湾海峡を自衛隊の艦船が航行することは「挑発的な」行為であり、危険な行為である、中国側が落ち着いて対応して事なきを得たが、中国側に激昂する者がいて、自衛隊艦船に攻撃を加えたら、深刻な事態を引き起こす。イラン戦争の情勢も不透明な中で、日本と中国にとって何の利益にもならない、無意味な衝突が起きてしまう。

 日本の高市早苗政権は無能である。この無能さを全員で見えないようにして、カヴァーして、ほっかむりをして、「何も大変なことは起きていませんよ」と言い合って、現実から目を背けているのが今の日本だ。そして、日本はどんどんと衰退し、危険な動きだけはどんどんと活発化している。「日中間で武力衝突や戦争が起きるなんてとても考えられない」と私たちは考える。しかし、現実は非常に危険な綱渡りの中で進んでいることw理解すべきである。

(貼り付けはじめ)

日本と中国は危険なほど衝突寸前の状態に近づいている(Japan and China Are Edging Dangerously Close to Conflict

―東京が台湾を支持する中、北京はリスクを冒す覚悟を決めている。

デン・ユウェン筆

2026年4月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/28/japan-china-taiwan-okinawa-history/?tpcc=recirc_latest062921

4月17日、海上自衛隊の護衛艦「いかづち」が台湾海峡を通過した(transited)。これは10カ月間で2度目の日本の軍艦による台湾海峡通過だったが、北京の反応は今回、前回よりもはるかに厳しいものとなった。2025年11月、高市早苗首相が中国による攻撃があれば日本は台湾防衛に出動すると発言して以来、北京と東京の関係は急激に悪化している。

中国外務省、中国国防部、中国人民解放軍東部戦区は、4月の台湾海峡通過後、いずれも日本を非難する声明を発表し、「瀬戸際から引き返す(step back from the brink)」「誤った道から戻る(return from the wrong path)」よう警告した。また、人民解放軍と関係のあるソーシャルメディアアカウント「釣正平(Jun Zhengping)」は、日本が火遊びをしている(playing with fire)と警告した。同時に、東部戦区は東シナ海で戦闘準備哨戒を開始し、沖縄近海に軍艦を派遣した。

北京は日本を甘く見るつもりはない(Beijing does not intend to let Japan off lightly)。今回の事件を、危機をさらに一歩進めるための材料として利用しようとしている。この状況が続けば、今後1~2年以内に限定的な空軍または海軍の衝突、あるいは小規模な銃撃戦が発生する可能性も、単なる過剰な懸念として片付けることはできないだろう。

なぜ北京は雷事件にこれほど強く反応したのか? 一つの理由は、そのタイミングにある。4月17日は、日清戦争における日本の勝利後に締結された下関条約の記念日であり、中国はこの日を国家的屈辱の象徴(a symbol of national humiliation)とみなしている。東京は日付の持つ象徴的な意味を認識していなかったかもしれないが、北京はそれを信じないだろう。

しかし、それだけでは中国の反応を説明するには不十分だ。より直接的な背景には、3月に陸上自衛隊の下級尉官が東京の中国大使館に侵入し、一時はナイフを所持していたとされる事件に対する、いまだ解決されていない怒りがある。北京は、この事件に対する日本の対応に依然として深く不満を抱いており、日本は中国の怒りと懸念に十分に対応せず、謝罪もしていないと考えている。こうした感情がまだ生々しい中、日本は台湾海峡に軍艦を派遣した。北京の目には、これは単なる一過性の行為ではなく、中国の安全保障上の懸念と外交上の尊厳に対する直接的な挑発行為(a direct provocation)と映った。

しかし、より深いレヴェルで北京を真に警戒させているのは、台湾に対する日本の姿勢の変化である。尖閣諸島(中国名は釣魚島)の領有権問題から靖国神社と博物館(遊就館)をめぐる論争、そして日本と台湾の緊密な関係に至るまで、日中両国間には長年にわたる多くの紛争が存在する。高市首相は、台湾侵攻を日本にとって潜在的に重大な事態であり、憲法上、軍事行動を正当化する可能性があると述べることで、この問題を日中関係の最重要課題として浮上させた。

中国が高市首相を繰り返し批判しているのは、日本が対中政策の限界を押し広げようとしているからではない。高市首相の発言は孤立した出来事ではない。彼女が首相に就任して以来、日本の外交表現、政治的立場、そし​​て、軍事展開は全て同じ方向へと進んでいる。新たな外交青書は中国の地位を低下させ、日中関係の政治的な冷え込みを示唆している。日本は中国に到達可能な長距離攻撃能力(long-range strike capabilities on its own territory that could reach China)を自国領土内に配備する動きを加速させている。

日本はまた、フィリピンへの安全保障支援を強化し、アメリカ、フィリピンとの合同演習に参加するなど、中国を抑止すること(constraining China)を目的とした地域枠組みへの関与を深めている。これらの措置はいずれも防衛的なものと見なすことができる。しかし、これらを総合すると、明確な戦略的意図が浮かび上がってくる。すなわち、アメリカ主導のインド太平洋構想の枠組みの中で、日本は中国に対抗するより積極的な役割を果たす準備をしているということだ。

米中対立が北京にとって依然として最重要課題であることは疑いの余地がない。しかし、差し迫った安全保障という観点から見ると、日本の方がより大きなリスクとなり得る。米中対立の規模が非常に大きいからこそ、双方とも事態の収拾がつかなくなることの代償が甚大であることを認識しており、より慎重な姿勢をとっている。中国と日本は状況が異なる。地理的にずっと近く、歴史的記憶の重みもはるかに大きい。尖閣諸島、台湾海峡、沖縄、そして日本の南西諸島間の航路は、いずれも高リスク地域である。

中国と日本の間の敵意は、中国とアメリカの間の敵意よりも、歴史的背景やナショナリズム感情によって増幅されやすい。こうした状況下で緊張緩和(de-escalating)を図ることはますます困難になっている。摩擦を伴う協力関係という古いモデル(the old model of cooperation mixed with friction)に戻ることは難しいだろう。

中国がアメリカと日本に対して自制できる限界も同じではないだろう。アメリカとの関係において、中国はグローバル金融(global finance)、テクノロジー(technology)、サプライチェイン(supply chains)、核抑止力(nuclear deterrence)、そして同盟関係の力学(alliance dynamics)を慎重に考慮しなければならない。日本との関係においても、中国は直ちに戦争を起こすつもりはないが、紛争への敷居は低いかもしれない。中国は、経済的にも軍事的にも、特に東シナ海、近隣海域、そしてグレーゾーンにおける競争において、アメリカよりも日本に対して、より大きく、より身近で、より有効な優位性を持っていると考えている。そのため、中国は日本との関係において、ワシントンとの危機管理で通常求めるような広い余地を残すよりも、より強硬な手段で限界を試す傾向が強まる可能性がある。

そして、そこにこそ危険が潜んでいる。どちらの側も戦争を望んでいないが、日中両国とも紛争へと近づいている。日本は抑止力を強化していると考えているが、中国は日本が台湾への介入を準備していると見ている(Japan believes it is strengthening deterrence; China believes Japan is preparing to intervene in Taiwan)。中国は警告と対抗措置を行っていると考えているが、日本は軍事的圧力を感じ取っている(China believes it is warning and countering; Japan sees military pressure)。日中両国は自らの行動を防衛的だと主張しながら、相手の行動を攻撃的だと見なしている(Both call their own actions defensive yet view the other’s as offensive)。

不確実性の増大(a growing number of uncertainties)は、危機を制御不能に陥れる可能性がある。危険な接近遭遇(a dangerous close encounter)、誤算(a miscalculation)、射撃管制レーダーのロックオン(a fire-control radar lock)、あるいは下級指揮官の過剰反応(an overreaction by a lower-level commander)など、いずれも日中両国が避けたい紛争の瀬戸際(the threshold of a conflict)を越えさせる可能性がある。

短期的には、日中両国は依然として戦争を回避しようとするだろう。しかし、だからといって戦争のリスクが低下している訳ではない。むしろ、高市首相が今後も政権を維持し、国家主義的で中国に公然と敵対的な路線を続けるならば、日中間の戦略的対立は深まるばかりだ。この軌道が続けば、東シナ海、尖閣諸島、あるいは沖縄周辺など、いずれの地域においても深刻な衝突は、ますます排除することが困難なものとなるだろう。

※デン・ユウェン:中国人の作家・学者。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争や今回のイラン戦争が始まると、私たちはどうしても「第三次世界大戦が始まるのではないか」という不安を覚える。「世界大戦(World War)」と名付けられる大規模戦争はこれまで2回しかない。第一次世界大戦(1914~1918年)と第二次世界大戦(1939~1945年)である。第一次世界大戦では、イギリス、フランス、ロシアの三国協商(Triple- Entente)を中心とする連合国(the Allies)とドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国、イタリアの三国同盟(Triple Alliance)を中心とする中央同盟国(the Central Powers)のヨーロッパを主戦場とする大規模戦争であった(イタリアは連合国側で参戦)。第二次世界大戦では、現在の国連安全保障理事会常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランス、ソ連(ロシア)、中華民国(中華人民共和国)を中心とする連合国(Allied Powers)とドイツ、イタリア、日本の日独伊三国軍事同盟を中心とする枢軸国(the Axis)のヨーロッパ、北アフリカ、太平洋地域を戦場とする大規模戦争であった。

 以下の論稿で述べられているように、世界大戦となる条件としては、(1)世界の主要大国(昔の表現では列強)の全てもしくは多くが参戦していること、(2)世界規模での戦争が行われていること、(3)戦争が総力戦で行わること、(4)戦争の結果が世界の構造、主要大国間の勢力均衡に変化が出ることが挙げられる。現在のところ、ロシア・ウクライナ戦争もイラン戦争も世界大戦の条件を満たしていない。従って、世界大戦ではないということになる。そして、それは、世界の主要な大国が積極的に参戦して、事態を悪化させないようにしていることが理由である。

 現在の世界の状況で言えば、西側諸国(the West、ジ・ウエスト)と西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)の2つの大きな陣営に分かれている。この2つの勢力が敵対的な関係になっている訳ではないが、アメリカとイスラエルの野蛮な攻撃によって、西側諸国に対する西側以外の国々の反感は高まっている。しかし、積極的に戦争に参加するということはしていない。それは、安易に戦争を拡大すれば、事態はコントロール不能の状態に陥ってしまうからだ。アメリカ、イスラエル、日本(アメリカとイスラエルを無条件に全面支持)以外の国々はそのような賢慮を行っている。事態を悪化させないという多くの国々の時勢に甘えて、アメリカとイスラエルは野蛮な行動をエスカレートさせ、それを日本が支持している。

アメリカとイスラエルは自分たちがワルも担ってしまうという状況を予測していなかっただろう。幕引き、出口を探しているだろう。のんきな日本はとりあえず、アメリカとイスラエルを全面的に支持しますと言っていれば済むと考えている。おめでたい指導者を選んだおめでたい国という認識を世界中に広げることになる。しかし、実際のところは、もう日本には国際的な影響力を行使するほどの国力はなく、世界から無視されているような状況であるので、何をしても大ごとにはならないだろう。それは悲しいことではあるが、衰退国家である日本の現在の位置はそういうことであろう。

(貼り付けはじめ)

第三次世界大戦を想起させる抑えきれない衝動(The Irresistible Urge to Invoke World War III

-誇張された比較は忘れよう。中東戦争もロシアによるウクライナ侵攻も世界規模の大戦の兆候ではなかった。

ヨー・インゲ・ベッケヴォルド筆

2026年3月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/12/world-war-iii-3-middle-east-iran-nuclear-russia-ukraine-china-history-geopolitics/

「第三次世界大戦(World War III)」という言葉は軽々に話し合うべき言葉ではないが、その勃発を予言することは政治評論家たちの常套句(a staple)となっている。中東地域における現在の戦争も例外ではない。イギリス・メディアは、イラン爆撃に向かうアメリカ軍機にイギリス空軍基地の使用を許可すれば、イギリスが第三次世界大戦に巻き込まれる可能性があると議論してきた。2022年と2023年には、ジョン・ミアシャイマー、タッカー・カールソン、イーロン・マスクといった人物が、ウクライナのロシアとの戦闘を支援することは世界的な大戦を引き起こすと警告した。政治専門誌『ポリティコ』誌が最近実施した世論調査では、イギリス、カナダ、フランス、アメリカの回答者の過半数が、今後5年以内に第三次世界大戦が起こる可能性が高いと考えていることが明らかになった。

世界政治の混乱を理解するためには、様々な種類の戦争を区別することが重要である。これは単なる言葉の綾(semantics)や学術的な厳密さ(academic exactitude)の問題ではなく、冷静な政策決定を行うための前提条件(a prerequisite)であり、言うまでもなく、私たちの正気(sanity)を保つためにも不可欠である。

ロシアによるウクライナ侵攻と、アメリカとイスラエルによるイランへの戦争は、関係諸国に壊滅的な影響を与える深刻な紛争ではあるものの、いずれも地域戦争(regional wars)である。イランが近隣諸国を攻撃し、それらの国々が参戦するかどうかが不透明な状況下でも、この事実は変わらない。世界大戦(world war)は、地域戦争、限定戦争(limited wars)、あるいは様々な形態のハイブリッド戦争と非対称戦争(hybrid and asymmetric warfare.)と比べて、大国間政治(great power politics)、安定(stability)、経済成長(economic growth)、そして国際システム(the international system)に、はるかに深刻な影響を及ぼす。

確かに、中東地域における戦争の激化は、地域を超えて深刻な影響を及ぼす可能性がある。しかし、この紛争、あるいは他のいかなる紛争も、世界大戦と呼ばれるためには、以下の4つの基準を満たさなければならない。

第一に、世界大戦は国際システムにおける主要諸国全て、あるいは大多数を直接対峙させる。第二に、戦争に関連する軍事作戦は世界規模、少なくとも2つ以上の大陸で行われる。第三に、世界大戦は限定戦争ではなく総力戦(total wars)であり、主要諸国は相当量の軍事力やその他の重要な資源を動員して戦う。第四に、戦争の結果は体系的な影響、すなわち主要諸国間の勢力均衡(the balance of power between the great power)の明確な変化をもたらす。

第二次世界大戦は明らかにこれら4つの基準を満たしている。当時の全ての主要諸国が関与し、全ての有人大陸(all inhabited continents)を巻き込み、総力戦であり、そして重大な体系的影響をもたらした。この戦争はアメリカ合衆国とソヴィエト連邦を超大国の地位(superpower status)へと押し上げ、一方、かつてのヨーロッパの主要諸国は徐々にその地位と植民地を失っていった。また、この戦争は国際連合とブレトンウッズ体制の設立にもつながり、国際システムを組織する全く新しい方法が生まれた。

第一次世界大戦は本質的にはヨーロッパの戦争だったが、最終的にはオスマン帝国やアメリカ合衆国を含む当時の全ての列強(all the great powers at the time)が参戦した。この戦争は世界規模で展開され、アフリカやアジア太平洋地域にはヨーロッパの植民地を含む複数の戦線が存在した。200万人以上のアフリカ人と100万人以上のインドの植民地住民が戦闘に参加したり、何らかの形で戦争に関与したりした。連合国(the Allies)は、1914年にドイツ帝国に宣戦布告した日本も加わり、南西アフリカから中国、ニューギニア、マーシャル諸島に至るまで、ドイツの植民地を支配下に置いた。第一次世界大戦は間違いなく総力戦だった。この戦争は、ロシア帝国、ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国の崩壊をはじめとする、体系的な影響を生じさせた。

歴史上、世界大戦の資格を持つ戦争の数は非常に少ない。ウィンストン・チャーチルや他の人々は、七年戦争(1756年~1763年)こそが最初の真の世界大戦だったと主張している。イギリス、フランス、プロイセンをはじめとするヨーロッパの主要諸国は主に時刻がある大陸で戦ったが、北アメリカ(フレンチ・インディアン戦争と呼ばれる)、南アジアなどでも戦争は激化した。この戦争は、イギリスの世界的な地位をさらに高めた。

一方、他のヨーロッパの大規模紛争、例えば九年戦争(1688年~1697年)、スペイン継承戦争(1701年~1714年)、フランス革命戦争(1792年~1802年)、ナポレオン戦争(1803年~1815年)なども、主要諸国の植民地領土にまで戦火が及んだことから、世界大戦に分類される。もう1つの候補は、13世紀におけるモンゴルによるユーラシア大陸の大部分の征服だ。しかし、世界大戦のリストを拡張しても、その数は限られている。

冷戦(the Cold War)は、米ソ対立の結果として複数の地域戦争や代理戦争(proxy wars)が展開され、世界規模で行われたが、米ソ両超大国が直接軍事衝突することはなかったため、「冷戦」という名称が付けられた。ワシントンのいわゆる「テロとの戦い(war on terror)」も世界規模だったが、それは大国間の紛争ではなく、極めて非対称的な戦争(a highly asymmetric war)だった。

それでは、今日の政治議論における候補はどうだろうか? ウクライナは確かにロシアとの全面戦争に突入している。その利害は、国家としてのウクライナの存亡に他ならない。さらにこの戦争は、ヨーロッパの安全保障、アメリカの戦略、国際経済に極めて大きな影響を及ぼす。北朝鮮はロシアと共に戦う兵士を派遣しており、戦争の行方は中国の準属国(quasi-vassal)を通じたヨーロッパへの影響力拡大に影響する。しかし、それだけでは世界大戦とは言えない。軍事作戦はウクライナとロシア国内でのみ行われている。現在の国際システムにおける二大勢力であるアメリカと中国の間には直接的な軍事的対立が存在しない。したがって、ロシア・ウクライナ戦争の結果は、システム全体に影響を与えることはない。

ロシア・ウクライナ戦争は依然として地域紛争であり、この点において朝鮮戦争(1950~1953年)に類似している。しかし、朝鮮戦争では、当時二大超大国の1つであったアメリカが主要な役割を担っていた。アメリカ軍が中国人民解放軍と直接戦闘を行ったにもかかわらず、朝鮮戦争は体系的な影響を及ぼさなかった。

イランと中東地域における現在の紛争もまた、アメリカの関与、エネルギー価格への劇的な影響、国際航空便の混乱、そしてイランのミサイルやドローンによって影響を受ける多数の国々といった点にもかかわらず、地域紛争である。実際、イランが近隣諸国に対してドローン攻撃をエスカレートして使用していることは、現代の危機がいかに容易に紛争地帯周辺の国々を巻き込むかを示している。

それにもかかわらず、この紛争は依然として地域的な危機である。ロシアがイランにアメリカ軍の標的に関する情報を提供しているとの報道や、ロシアがイラン製のシャヘド無人機を使ってウクライナを攻撃しているという報道があるにもかかわらず、この紛争はロシアのウクライナ侵攻とは直接関係がない。中国も、イランとの緊密な関係、中東地域からの原油輸入、中東地域における積極的な外交活動にもかかわらず、この戦争において重要な役割を担っている訳ではない。中国にとって、この紛争に介入することは国益にそぐわない。たとえ介入を望んだとしても、中国は中東地域に軍事的拠点も、戦争に参戦できるほどの戦力投射能力(the power projection capacity)も持ち合わせていない。

今日の中国とアメリカ、そして冷戦時代の米ソ対立といった二極構造の国際権力構造(bipolar international power structures)は、3つ以上の大国による多極構造(multipolar systems of three or more great powers)よりも安定しており、紛争の発生リスクが低い傾向にある。さらに、核兵器の出現は、大規模な大国間戦争のリスクをさらに低下させている。

今日、米中両超大国が関与する戦争の最も可能性の高いシナリオは、中国による台湾併合の意図に関連した米国と中国の対立である。しかし、北京とワシントンがエスカレーションのリスクをどのように管理するかによって、米中両大国間の紛争が限定戦争にとどまる可能性もある。核兵器使用の閾値(threshold)を下回る範囲で(限定核戦争については議論が続いているが)、戦闘が西太平洋地域に限定されれば、限定戦争にとどまるかもしれない。

しかし、中国とアメリカが台湾をめぐる限定戦争の可能性を検討しているという事実そのものが、垂直的および水平的なエスカレーションの危険性を鑑みると、より大規模な紛争のリスクとなる。ヨーロッパ諸国が米中紛争に巻き込まれる可能性があり、ロシアはアジアでの戦争を、ヨーロッパにおけるヨーロッパとアメリカの決意を試す機会として利用するかもしれない。

現代社会における経済的・技術的な相互関係(the economic and technological interconnections)を考えると、西太平洋における限定的な戦争、あるいはヨーロッパや中東地域における地域戦争でさえ、紛争の中心地をはるかに超えた国々、経済、そして国民に計り知れない影響を与えるだろう。一方、新たな世界大戦が勃発した場合の影響は、ほとんど想像を超えるものだ。

いかなる種類の戦争も避けるべきであり、より広範な紛争へのエスカレーションはなおさら避けるべきだ。政策選択の分析を研ぎ澄まし、ますます混沌とする世界で正気を保つためには、言葉によるエスカレーションも避けるべきである。

※ヨー・インゲ・ベッケヴォルド:ノルウェー防衛学研究所中国担当研究員。元ノルウェー外交官。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 民主政治体制の根幹については様々な見解があるだろうが、やはり選挙がその根幹をなす。選挙制度についてはここで詳しく述べることはしないが、選挙の結果である人物や政党、組織に権力を託すことになる。日本の場合には国会が国権の最高機関であり、その国会が行政の長である内閣総理大臣を指名する。国会、衆議院の過半数の議席を握る政党、会派の長や代表、指名すると決められた人物が総理大臣(首相)に指名されるのが通例となっている。

 以下は民主政治体制に関して、短いが非常に興味深い記事である。イギリスのキア・スターマー首相の人気低迷と日本の高市早苗首相の人気上昇を比較している。しかし、高市首相や日本の有権者を称揚する内容ではない。「有能さ」や「冷静さを保ち少しずつ前進する」といった価値よりも、「かっこいい」「かわいい」といった感情的な価値に重きが置かれている。著者のザカリアは「復興(回復)」という言葉と「反乱」という言葉を対比させている。

 日本の高市首相人気は、芸能人や有名人、インフルエンサーを応援する「推し活」に擬せられることが多い。「推し活」とは、自分が好きな対象にできる範囲でお金を使うことで自分の生活を充実させるというものだそうだ。高市首相の勇ましい発言や前任の石破茂前首相とは異なる軽くて中身がない言葉遣いが受けている。難しい政策の話やなかなか政策が進まない現実を有権者は嫌い、高市首相の「目新しさ」や「威勢のよさ」に好感を持ち、アイドルのように応援する。そこには政治家としての技量や器量、経験などは全く加味されない。これが現在の先進西側民主政体国家の日本の現実である。

 有権者たちは不満のはけ口をそのような目立つ政治家たちに求める。このような政治家たちは実際には能力も技術もないので何もできないどころか失敗する。しかし、失敗しても良いのだ。それは、失敗して国家や社会を破壊することを有権者が求めているからだ。堅実に仕事をすることを求めていないのだ。

 これは現在の西側先進諸国に共通する病理であると私は考える。それは、世界構造の大きな転換を前にした人々の不安感を示したものであるとも考えている。こうして、時代は移り変わっていく。

(貼り付けはじめ)

高市の勝利とスターマーの失速が世界の民主政治体制について語る(What Takaichi’s Triumph and Starmer’s Slump Say About Global Democracy

-イギリスから日本まで「冷静さを保ち前進を続ける」というスローガンは忘れ去られつつある。

ファリード・ザカリア筆

2026年2月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/13/japan-britain-elections-keir-starmer-sanae-takaichi/

2つの衝撃的な政治的事実は今日の世界のムードについて何を物語っているのだろうか?

日本では、高市早苗首相が、長きにわたり政権を握ってきた自民党史上最大の衆議院での圧倒的過半数の議席を獲得したばかりだ。イギリスでは、1年半前に首相に就任したキア・スターマーの支持率は、イギリス首相として史上最低を記録している。

表面的に見れば、これらの出来事は無関係に見える。一方のリーダーは地滑り的勝利を収め(ride a landslide)、もう一方のリーダーは苦戦(stay afloat)を強いられている。しかし、これらを総合的に見ると、現在の政治情勢についてより深い何かが浮かび上がってくる。有権者たちは、復興(回復)よりも反乱を好んでいるのだ(Voters prefer rebellion to restoration.)。

まずイギリスについて考えてみよう。ボリス・ジョンソン、リズ・トラス、リシ・スナクの波乱に満ちた首相時代―ブレグジットの余波、倫理スキャンダル、財政危機、そして政権交代が目立った時代――の後、スターマーは異なるものを提示した。労働党党首である彼は、「冷静さを保ち、前進を続ける」候補者(the “keep calm and carry on” candidate)であり、真剣さ(seriousness)、安定性(stability)、そして有能さ(competence)を約束した。スターマーは制度を再構築し、有能な大臣を任命し、イギリスの対外的地位を回復させるだろう。アメリカの不安定な政治を、静かなる毅然とした態度で対処するだろう。ドラマチックな演出も、イデオロギー的な煽動もせず、ただ大人としての監督のみを行うだろう。

そして、従来の尺度から判断すると、彼は期待に応えた。市場は安定し、内閣(cabinet government)が復活した。政策は冷静かつ漸進的だった。しかし、イギリス国民の感情はそれに追いつかなかった。不満は消えなかった。数カ月のうちに、スターマーの純支持率は極めて低い水準にまで落ち込んだ。

熟練した有能さへの期待も、労働党の重要人物の一人、長年究極のインサイダーと目されていたピーター・マンデルソンが、ジェフリー・エプスタインとの過去の関係をめぐって新たな批判に直面したことで、打撃を受けた。多くの有権者にとって、この出来事は、政権復帰は既に拒絶していた、かつての繋がりを保っていたエリート層の復活を意味するのではないかという疑念を強めるものとなった。『ポリティコ』誌の世論調査によると、現在、有権者の大多数がスターマーは辞任すべきだと回答し、留任すべきだと回答したのはわずか34%だった。

イギリスにとってより大きな問題は構造的なものだ。移民問題は、西側諸国におけるポピュリズムの推進力となってきた。イギリスは2023年3月までの1年間で、約95万人の純移民を記録した。これは、国境の「管理権を取り戻す(take back control)」という目的もあってEU離脱に投票した国としては驚異的な数字だ。多くの有権者の目には、コスモポリタンのエリート層がこの問題への対応を誤ったように映った。この裏切り感は今も薄れていない。

加えて、ヨーロッパは長きにわたり緊縮財政に耽溺してきた。2008年の金融危機後、イギリスは他の多くのヨーロッパ諸国と同様に財政緊縮政策を採用した。歳出は圧縮され、公共投資は削減され、実質賃金は10年近く停滞した。一人当たりGDPは、不況期にはるかに大規模な景気刺激策を選択したアメリカを大きく下回った。その結果、じわじわと悪化する不況が続き、政治家への信頼は揺らいだ。

続いて、日本について見てみよう。高市首相は冷静に運営するのではなく、対立(confrontation)を前面に出して政権を運営した。高市首相は移民問題について、激しい口調で語った。日本の外国生まれの人口は3%程度で、イギリスのほんの一部に過ぎないにもかかわらずだ。彼女は文化の浸食と社会的な緊張(cultural erosion and social strain)を警告した。中国に対してはより強硬な姿勢を示した。数十年にわたる慎重な漸進主義(cautious incrementalism)に終止符を打ち、経済政策に変革をもたらすと約束した。

有権者たちは高市首相に、自民党史上最大の衆議院の過半数の議席という報酬を与えた。

その魅力の一部は象徴的なものだ。世界基準で見て、日本は依然として家父長制社会(a patriarchal society)である。女性が政権を握ること自体が、一つの断絶を意味する。たとえ党の基盤が健全であっても、そのイメージは変化を示唆する。目新しさを求める時代に、象徴性は力を持つ。

イギリスと日本の間には明確な違いがある。日本は、西側諸国の政治を不安定にさせたほどの大規模な移民流入を経験したことはない。また、ヨーロッパ式の緊縮財政も受け入れなかった。確かにここ数十年、経済停滞に苦しみ不安を招いたが、その原因と結果は、西側諸国の怒りを煽った緊縮財政に起因する停滞とは異なっていた。日本が継続してきた景気刺激策は、緊縮財政が生み出した怒りから日本を守ってきた。

こうした構造的な対比は重要である。しかし、今日では、それらの対比よりもむしろ、日本の雰囲気の方が重要かもしれない。

先進民主政治体制国家全体で、現職議員は2024年という世界選挙の節目に、異例の高率で苦戦を強いられた。有権者は落ち着きがなく、政策の詳細よりも感情的な承認を求めている。復興(回復)は理性に訴え、反乱は直感に訴える(Restoration speaks to the head; rebellion speaks to the gut)。現在は、直感が勝っている。

日本の首相は雰囲気を変えた。長年与党が優勢を占めてきたにもかかわらず、高市首相は行動力、破壊力、そして反抗心(motion, disruption and defiance)を体現している。一方、スターマーは安定と修復(steadiness and repair)を体現している。平穏な時代であれば、この対照的な姿勢はイギリスのアプローチに有利に働くかもしれない。しかし、今はそうではない。

政治には周期がある。破壊への欲求は、その代償が明らかになれば薄れるかもしれない。しかし今のところ、イギリスと日本という全く異なる国々において、そのムードは紛れもなく存在している。不安の時代(an age of anxiety)にあって、有権者は回復よりも反乱を好むのである。民主党は中間選挙を控えているが、このことを心に留めておくべきだ。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者。数多くの著作があり、最新作に『様々な革命の時代(Age of Revolutions)』がある。毎週『ワシントン・ポスト』にコラムを執筆し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載される。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 先日の総選挙での自民党の大勝を受けて、友人、知人から「選挙についてはどのように考えているか」という質問を受けた。これは私にはなかなか答えるのが難しい質問である。個人的には、選挙戦期間中に複数のメディアの選挙情勢分析で「自民党が300を超える議席獲得」という報道があり、ショックを受けつつ、「まさかそんな」と考えていただけに、自民党大勝という結果が突きつけられ、呆然としてしまった。しかし、いつまでも呆然としていられない。何か考えなければいけない。

 今回の総選挙の結果は小選挙区制の特徴である得票率と実際の議席占有率の乖離の大きさということが結果をセンセーショナルに見せている。2009年の総選挙でも同様のことが起きている。小選挙区制が良いのか、比例代表制が良いのか、もしくは別の選挙制度が良いのかということは結論が出ない議論である。それぞれに長所、短所がある。選挙については数千年の歴史があるが、選挙制度の精緻な研究は数十年の研究しかされていない。専門家たちの英知を集め、人々の議論の活発化が望まれる。

 私は、以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿を参考にして、今回の日本の総選挙の結果は、西側先進諸国に共通するある心性(mentality)がこのような結果を生み出したと考えている。それは、ウォルトが書いているように、「不確かな未来への恐怖(the fear of an uncertain future)」だ。西側先進諸国はどこも程度の差はあれ、少子高齢化が進み、経済成長も鈍化敷いている。最も厳しいのは日本であるが、他の先進諸国も同様である。そして、世界に目を転じてみれば、BRICSを中核とする「西側以外の国々」の活況や経済成長が目に入る。日本にも多くの外国人観光客が訪問し、「日本は安い」として食事や買い物を楽しんでいる。その様子を私たちは見ている。そして、「日本は安く買われる国だ」「日本は衰退しつつある」ということを肌で感じるようになっている。他の西側先進諸国もこの点で共通している。

こうした中で、強いリーダーの存在が求められるようになっている。強いリーダーは実際に強かったり、賢明であったり、頭脳明晰であったりする必要はない。嘘でも誇張でも何でも言い切り、その後に絶対に謝ったり、撤回したりしない。空とぼけるくらいの図太い人物で、強さを演出できる人物であれば良いのだ。日本はまさにそのような状況になっている。高市早苗首相は私が今書いた通りの人物であり、彼女の指導者としての正統性は、日本初の女性首相であるという目新しさと故安倍晋三元首相の正統な後継者であるという演出にある。そして、人々は強いリーダーを求め、そして、近代的な価値観を否定することが「改革」だと勘違いをする。

これらは全て、恐怖から発していることだ。未来が怖いのだ。そして、現状を正確に分析して受け入れることが怖いのだ。そして、強さを演出する指導者の語るお花畑の話を支持する。南鳥島近海で採掘されるレアアースが日本を豊かにするという夢物語を信じる。自民党が公約したのだから消費税減税がすぐに実行されるという与太話を信じる。信じたいのだ。そして、裏切られる。そして、また、新しく自分たちを騙してくれる指導者を探す。そのようにして国を滅ぼしていく。

(貼り付けはじめ)

恐怖がいかにしてリベラリズムを殺したか(How Fear Killed Liberalism

-政治における不安感が積み重なり人々の楽観主義の時代は終焉した。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年9月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/09/02/fear-populism-liberalism-trump-far-right/

学者、専門家、政治家たちは常に誤った予測をするが、その間違いの中には本当にとんでもないものもある。ちなみに、過去50年間で最悪の地政学的予測として私が挙げるのは、冷戦後の世界が平和でますます繁栄するリベラリズムの未来へと容赦なく押し流されていくという信念だ。フランシス・フクヤマの有名な「歴史の終わり(end of history)」という主張に表れているが、これは彼に限ったことではない。この見解は、民主政治体制が広がり続け、貿易と投資に対する障壁が全ての人々の利益のために減少し続け、ナショナリズムが衰退し、国境はますます重要ではなくなり、国際機関が最も困難な地球規模の問題に対処するために立ち上がり、戦争の危険は、指導者たちがそのメモを受け取っていない、弱くますます無関係になっている少数のならず者国家(rogue states)に限定されるだろうと想定していた。

それが全て実現していたらどんなに素晴らしいことだっただろう。1990年代に多くの賢明な人々がこの魅力的なヴィジョンに熱狂したのも無理もないことだ。ソヴィエト型の共産主義は崩壊し、アメリカ合衆国は力の頂点に君臨し、世界の多くの国々がリベラリズムの定式を受け入れているように見えた。民主政治体制は東ヨーロッパや中南米に広がり、グローバライゼーションは加速し、人権尊重は勢いを増し、専門家も政治家も、中国をはじめとする一党独裁国家(one-party states)が徐々に多党制民主政治体制(multiparty democracy)へと移行していくと予想していた。アメリカの政策決定層はリベラルな国際主義者(liberal internationalists)とネオコン(neoconservatives)が支配し、世界をアメリカのイメージに沿って再構築し、グローバルなリベラルな秩序を創造することに強く関与していた。

2025年まで早送りしよう。過去四半世紀を振り返ると、こうした楽観的な予測はほぼ完全に間違っていたことが明らかだ。中国はより権威主義的になり、ロシアは真の選挙民主政体を短期間試した後、独裁政治へと逆戻りした。実際、民主政体はここ20年近く、世界中で着実に衰退しており、アメリカ自身も例外ではない。中国、ロシア、そしてアメリカは収斂しつつあるが、アメリカはむしろこれらの腐敗した独裁政治体制(corrupt autocracies)に似てきている。トランプ政権はほとんど抑制なく行政力(executive order)を拡大し、法の支配(rule of law)は崩壊し、トランプは習近平が中国で行ったように、大学、法律事務所、民間企業から譲歩(concessions)を強要している。トランプ政権は、卑劣で抑制のきかないトランプ大統領の怒りを買った者に対して個人的な復讐を仕掛けている。そして今、連邦軍は首都ワシントンDCに展開し、主に一般市民を威嚇することを目的とした武力誇示を行っている。グローバライゼーションは保護主義の台頭に取って代わられた。現在、インド、ハンガリー、そしてアメリカ合衆国では非自由主義的な指導者が政権を握っている。そして、国連、世界貿易機関、世界保健機関、ヨーロッパ連合、核不拡散体制といった国際機関は、30年前よりも弱体化している。

要するに、アメリカ(そしてヨーロッパ)の外交政策を支えてきたリベラルな楽観主義は、全く的外れだったことが判明した。こうした展開の原因として、アメリカの傲慢さ(hubris)、「永遠の戦争(forever wats)」の悪影響、ソーシャルメディアの有害な影響、中国の経済発展、2008年の金融危機、エリート層の説明責任の欠如、格差の拡大など、様々な点を指摘するのは容易だ。そして、リベラルな世界秩序の拡大に向けた努力が失敗した理由を説明する書籍を執筆した人たちもいる。しかし、そこには、アメリカを含む多くの場所で政治が非リベラルな方向へ転じた理由を説明する、より深い力が働いていた。そして、それら全ての深層的な力に共通するのは、不確かな未来への恐怖(the fear of an uncertain future)だ。

今日、それほど裕福でも恵まれたわけでもない人々が、どれほど多くのことを心配しているかを考えてみよう。

第一に、経済の不確実性の高まりだ。これは、格差の拡大、腐敗と縁故資本主義(crony capitalism)の蔓延、人工知能(AI)とロボット工学の労働力への影響、多くの国における若者の失業率(一部のSTEM分野でさえも)、一部の経済大国における生産性の低迷、人口の高齢化、国際貿易やマクロ経済学を理解していない米大統領、またしても軽率な金融市場の規制緩和(一体何が問題になるというのか?)、そしてバブルの兆候を多く示す株式市場などが原因だ。もしあなたが既に超富裕層でなく、経済的な将来について少しでも不安を感じていないのであれば、あなたは注意を払っていないと言えるだろう。

第二のテーマは気候変動だ。その影響はますます顕著になり、ほぼ完全に有害で費用がかさみ、さらに悪化する可能性が高い。トランプとMAGAの世界は、この事実を否認し、問題をさらに悪化させるためにあらゆる手段を講じているかもしれない。しかし、物理法則や化学法則はソーシャルメディアの投稿を読んだり、フォックス・ニューズを見たりはしない。そして、ほとんどの一般人は、私たちがより暑く、より風が強く、より雨が多く、より危険な未来を迎えることを理解している。世界中の若者たちは、私たちが大きな問題を抱えていることを理解しており、彼らが子供を持つことに不安を抱く理由の一つでもある。

次に、大国間競争が再び到来する。一極化の時代は終わり、中国、ロシア、そしてアメリカ合衆国(そしてその他の国々)は対立し、新たな軍拡競争が始まり、直接衝突が起こり得る火種は数多く存在する。第三次世界大戦は避けられないものではないが、リスクは高まっている。より多くの国が核兵器の取得を試みる可能性が高く、長期的には安定化につながるかもしれないが、短期的には予防戦争(preventive war)への大きな動機付けとなり、私たちはさらに恐怖を抱く理由が増えることになる。

テロリズムについても忘れてはならない。確かに、ほとんどの人々がテロリズムに直面する実際の危険は常に誇張されてきた(あるいは、場合によっては政治的な目的で意図的に誇張されてきた)。しかし、テロリズムは依然として世界の一部の地域で深刻な問題であり、無差別的な政治的暴力行為への恐怖は、人々の認識に依然として大きな影を落としている。

さらに、移民や難民の問題もある。そして、様々な国が海外からの人々の流入に飲み込まれ、その結果、ある種の文化が消滅してしまうのではないかという恐怖がある。これは、白人至上主義運動(the white nationalist movement)の中心的な柱である「大人口置換理論(great replacement theory)」のような偏執的な幻想の背後にある恐怖だ。人口増加を切実に必要としている高齢化社会でさえ、この懸念に非常に敏感であり、アメリカ合衆国のような人種のるつぼ社会は、時計の針を戻そうと、障壁を築き、生産性の高い住民を追い出そうとしている。寛容なコスモポリタニズムの世界に溶け込む代わりに、「他者(other)」への恐怖は世界中で深刻な反発を引き起こしている。

しかし、待って欲しい。それだけではない! 専属の免疫学者を雇う余裕があったり、隠れ家としてプライヴェートアイランドを持っていたりしているのでなければ、おそらく次のパンデミックを心配していることだろう。私たちはここ数十年で、エイズ、SARS、エボラ、そしてもちろん新型コロナウイルスなど、すでにいくつかの大きな脅威を経験してきた。そして、またいずれ大きな脅威が起こるだろう(米保健長官ロバート・F・ケネディ・ジュニアの思い通りに事が運ぶなら、おそらくもっと早く起こるだろう)。

最後に、私たちが耳にする偽りの脅威を忘れてはならない。トランスジェンダーの人々、図書館の本、命を救うワクチン、ピザゲート事件、ワシントンDCをはじめとする民主党支持の都市での犯罪などだ。これらの脅威が全くの空想、あるいは極端に誇張されたものであっても、世界は民主政治体制では対処できない危険に満ちており、人々が本当に必要としているのは独裁者だ(the world is brimming with dangers that democratic systems cannot handle and that what people really need is a dictator)という、広く信じられている認識を助長することになる。もちろん、独裁者への依存は他の国々で非常にうまく機能したからだ。

不運なことに、人々は恐怖を感じると、何よりも保護を提供してくれる強力な権威を渇望する傾向がある。アルカイダによる911同時多発テロの後、アメリカ人は愛国者法の賢明さ、国内監視の拡大、そしてたとえテロとは全く関係のない外国の占領の妥当性について疑問を抱くことはなかった。人々は限界まで恐怖を感じると、事実が何であるかを理解し、どのように対応するかを慎重に検討するまで待つことはない。彼らは、誰かが指揮を執り、ただ危険に対処してくれることを望むようになる。

理想的には、有権者たちは、上記のような様々な困難な問題に効果的な対応策を講じるために24時間365日体制で働く、非常に有能な指導者を選ぶことになるだろう。しかし、恐怖心は、たとえそれが現実からどれほどかけ離れていても、強さと能力のイメージを巧みに演出する独裁者予備軍が売りつけるインチキ薬に、人々をいとも簡単に騙してしまう。野心的な独裁者は当然ながらこのことを知っているため、正当な懸念を誇張したり、架空の緊急事態をでっち上げたりすることで、権力の強化を正当化し、自らの行動の結果から人々の目を逸らそうとする。

フランクリン・ルーズベルト大統領は一期目の就任式で、「私たちが恐れるべき唯一のものは恐怖そのものである(The only thing we have to fear is fear itself)」という有名な言葉を残している。しかし、これは必ずしも正確ではない。遅滞なく対処する必要がある真の問題がいくつかあり、あなたがそれらを心配するのは当然だ。私たちが決して許されないのは、恐怖に麻痺したり、判断力を曇らせたりすることだ。私たちが直面する最大の危険は、将来への不安に駆られて、問題を悪化させる兆候を示し、個人的な力を得たいという欲によってより自由な世界というリベラルなヴィジョンを消えゆく記憶にしてしまう可能性のある指導者に頼ってしまうことだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2026年2月18日、特別国会が召集され、高市早苗議員が首相に指名された。第二次高市早苗内閣が発足し、第一次内閣の閣僚がそのまま留任した。第二次高市政権にとっては2026年度予算の成立が重要だ。国会の議席数で見れば成立は確実であるが、高市首相は、2025年度内(2026年3月31日まで)の成立を目指している。2月の総選挙、3月の訪米とありながら、3月末での成立にこだわっているようだ。そうなると必然的に審議時間は短くなる。野党に質問させない、自分にとって嫌なことを質問させないという態度が見え見えである。経団連からも審議時間の短さに対して懸念が表明されているが、そのようなことはお構いなしで突き進むのだろう。国会は国権の最高機関である。高市首相の国会軽視はやがてしっぺ返しを食らうだろう。高市首相の高い支持率が自民党の支持率とは連動していない。高市政権下で何か逆風が吹き、高市首相故人の人気が落ちてしまえば、逆回転も大きくなり、次の選挙では自民党の議員たちの大量落選が発生する。増上慢にならず、周りの浮ついた空気に流さされず、丁寧に謙虚に行動することが肝要になってくる。

 高市首相に対しては海外でも高い評価がある一方で、懸念の声も出ている。それらを以下に紹介している。様々な主張があるが、共通しているのは、日本の少子高齢社会と低成長を、日本の問題に挙げていることだ。海外メディアは高市首相がどのように対応するのかということを注目しているようだ。衆議院で多くの議席を有し、やりたいことはできるということで、大改革をするという見方もあるし、そううまくはいかずに厳しいという見方もある。

 私は、既に日本は衰退局面に入っており、厳しい撤退戦を戦う状況にあるという考えだ。少子高齢化とそれに伴う人口減少は止められないし(年間で約100万ずつ減っていく)、経済成長も見込めない(成長率3%などというのは厳しい)。それもこれも失われた30年で、就職氷河期世代を生み出し、しかも中途半端に人数が多いために、大きな負担になっており、これから負担が大きくなる一方になるということが原因だ。少なくともこれから30年は厳しい状況が続く。人口ピラミッドをみれば、逆三角形の肩幅の広いボディビルダーのような形の日本はこれから先進国の地位から滑り落ちて、また、世界の中でしょう石の地位に戻ることになる。

 そうした中で、高市首相にこうした状況を大逆転できる方策は残っていない。何とか厳しい撤退戦を戦うしかない。しかし、そんなものは国民にとって面白くもなく、負担ばかりが大きいだけのものだ。国民にアピールしない。不満ばかりが募る。それが石破茂政権時代だった。そして、お勇ましい、聞き心地の良い言葉を連発する高市首相を多くの国民は支持している。「高市さんは頑張っている、何かしてくれる」という心情は理解できる。しかし、実際には何もできない。そして、国民の不満を逸らすために、外に敵を作り、強大に見える、見掛け倒しのアメリカに莫大なお金を払って頼ろうとする。国民が「強い指導者」を高市首相に求めるように、高市首相は「強い指導者」をアメリカ、ドナルド・トランプ大統領に求めている。残念ながら、これらはすべて幻影、幻想である。結局のところ、何もうまくいかなくて、また、何か目新しいことを言う誰かを「強い指導者」として担ぎ出して捨てるということを繰り返す。このような悪循環、負のスパイラルを抜け出すことはほぼ不可能だ。なぜなら、そのためには日本国民が何かを諦め、現実を直視することが必要だからだが、それは不可能なことだ。こうして衰退に竿を指してスピードアップを続けていく。

(貼り付けはじめ)

中国は日本のダメージを与えられる部分を攻撃している。高市首相は屈するだろうか?(China is hitting Japan where it hurts. Will PM Takaichi give in?

テッサ・ワン筆

2026年2月16日

BBC

https://www.bbc.com/news/articles/c86y3ndqlxwo

写真

アナリストたちは高市首相の最近の選挙での圧倒的勝利は中国に対して断固たる姿勢を取るための政治的資本(political capital)を彼女に与えたと述べている。

先月、東京の上野動物園で、何千人もの日本のファンから涙の別れを受けたシャオシャオとレイレイは、中国行きの飛行機に乗せられた。これは、悪化する日中関係の新たな象徴だ。

2頭の中国のジャイアントパンダは、北京がパンダの引き取りを発表したことを受け、帰国を余儀なくされた。これにより、日本には数十年ぶりに中国のパンダがいなくなる事態となった。

高市早苗首相の発言により日中関係がここ数年で最低レヴェルに落ち込んで以来、北京は軍艦の派遣、レアアース輸出の抑制、中国からの観光客の制限、コンサートの中止、さらにはパンダの返還など、様々な方法で圧力を強めている。

高市首相が先日の総選挙で歴史的に強力な国民の支持を得て首相として新たな任期を迎える中、アナリストたちは日中両国にとって緊張緩和(de-escalate)は困難であり、日中関係がすぐに回復することはないだろうと警告を発している。

今回の論争は11月に始まった。高市首相が、台湾への攻撃があった場合、日本が自衛隊を出動させる可能性があると示唆した時からだ。

中国は、自治を行っている台湾を自国の一部だと主張しており、将来台湾と「再統一する(reunify)」ために武力行使する可能性も排除していない。台湾はアメリカを主要な同盟国と見なし、アメリカは台湾の自衛を支援することを約束している。

長年懸念されてきたのは、台湾へのいかなる攻撃も米中間の直接的な軍事紛争(a direct military conflict)につながり、ひいては日本やフィリピンといった地域における他のアメリカの同盟諸国を巻き込む可能性があるということだ。

台湾問題は中国にとって絶対的な譲れない一線(an absolute red line)であり、「外部からの干渉(outside interference)」とみなされるいかなる発言にも激怒し、これは主権の問題(a question of sovereignty)であり、中国のみが自ら決定できるものだと主張している。

高市首相の発言後、中国政府は即座に非難の嵐で応じ、発言の撤回を要求した。

専門家たちは、高市首相の発言は政府の立場や過去の日本の指導者の発言と一致すると指摘している。

しかし、相違点は、現職の日本の首相がこのような見解を表明したのは今回が初めてだったという点だ。

一方、高市首相は謝罪も発言の撤回も拒否した。アナリストたちは、高市首相が獲得した強力な支持によって、この姿勢は正当化される可能性が高いと指摘している。

しかし、高市首相は具体的な状況についてはより慎重にコメントすると述べ、日本政府は高官級の外交官を中国側と会談させた。

しかしながら、これは中国の怒りを和らげる効果はほとんどなかった。

●「グレイゾーン」の圧力('Greyzone' pressure

高市氏が譲歩を拒絶する姿勢を崩さない中、中国は一貫して圧力をかけ続けている。

アナリストたちは、日中両国の間ではここ数十年、歴史的な敵意を背景に対立が激化してきたが、今回は状況が異なっていると指摘する。

シンクタンク国際戦略研究所(IISS)日本部長ロバート・ワードは、中国はこれまでより「さらに幅広い分野(wider range of fronts)」で圧力を強めていると指摘する。

これは、台湾に対して行っている「グレイゾーン戦争(greyzone warfare)」に類似した、拡散的で低レヴェルの圧力であり、「実際には正常ではない状況を正常化させるために相手を疲弊させること」を目的としているとワードは述べた。

外交面では、中国は国連に苦情を申し立て、日本と韓国との三カ国首脳会談を延期した。

中国はまた、他の国々をこの争いに巻き込もうとしており、イギリスとフランスに自国への協力を呼びかけ、同盟国であるロシアと北朝鮮には日本を非難するよう促している。

週末、中国の王毅外相はミュンヘン安全保障会議で西側諸国の首脳たちを前に演説し、第二次世界大戦における日本の侵略の歴史に言及し、高市首相の発言を「非常に危険な展開(very dangerous development)」と呼んだ。

軍事面では、日本は中国がドローンを飛ばし、軍艦が日本の島々を航行し、戦闘機が日本の航空機を「レーダー照射(locked radars)」したと主張している。日中の海上保安庁の船舶は、係争中の尖閣諸島(釣魚島)付近で衝突し、先週は日本当局が中国漁船を拿捕した。

しかし、中国が日本の痛いところ、つまり経済にも打撃を与えようとしていることは明らかだ。

中国は、レアアース元素や重要鉱物などの軍民両用技術の対日輸出を制限しており、これは一種の経済的圧力と見られている。

中国政府はまた、中国国民に対し、留学や休暇で日本を訪れるのを避けるよう勧告し、日本行きの49路線の航空便を欠航とした。これにより、観光客の減少と一部株価の下落につながった。公式統計によると、日本を訪れる外国人観光客の4分の1は中国人である。

エンターテインメントや文化も例外(off the hook)ではない。

中国では日本の音楽イヴェントが中止され、中には歌手が演奏中にステージから降ろされるという出来事も起きた。また、映画配給会社は複数の日本映画の公開を延期した。

日本の代表的な文化輸出品の一つであるポケモンも、靖国神社で開催予定だったイヴェントをめぐり批判を浴びた。靖国神社は、中国が戦犯とみなす人々を含む日本の戦没者を祀っている。イヴェントは最終的に中止された。

また、ソーシャルメディアでは、中国のネット上の民族主義者が高市首相を攻撃し、人気キャラクターのウルトラマンやアニメキャラクターの名探偵コナンが首相と戦うAI生成動画をシェアするなどしている。

写真

上野動物園での最後の日に撮影されたシャオシャオは、妹のレイレイと共に中国に送還されました。

しかし、全体として、中国の行動は日本との過去の紛争に比べて挑発的ではないとシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のボニー・リンとクリスティ・ゴベラは指摘している。

リンとゴヴェラは「これまでのところ、中国の経済的・軍事的対応は過去に比べて比較的限定的だが、さらなるエスカレーションの余地は十分にある」と最近の分析で指摘している。

中国は現在、「第二次世界大戦後の秩序の守護者(the guardian of the post World War Two order)として積極的に位置づけ」ており、アメリカと比較して責任ある大国(a responsible power)として見られたいと考えているため、日本に対して強硬な姿勢を控えている可能性もあるとウォードは付け加えて述べている。

●「続くタンゴ」(A 'tango that will continue'

専門家たちは、緊張が緩和される場合、あるいは緩和された際には、以前よりも高い水準で落ち着く可能性が高いと一致して見ている。

リンとゴヴェラは分析の中で、日中両国が今回、緊張緩和に動く可能性は低いと指摘している。中国は現在、はるかに強力な大国であり、「台湾は中国の核心的利益の中核を成しており、北京は過去の出来事の時よりも強硬な姿勢を取る可能性が高い」と述べている。

リンとゴヴェラは、「北京は高市首相に深い疑念を抱いており、発言を明確に撤回することなく緊張緩和を試みる彼女の試みは、偽善的(hypocritical)、あるいはさらに悪いことに、戦略的に欺瞞的(deceptive)だと見なす可能性が高い」と述べている。

一方、日本は、特に高市首相が選挙で圧勝したことで、強硬な姿勢を貫く意欲が高まっており、「彼女はこれを対中姿勢の正当性(as vindication for her stance on China)を示すものと受け止めるだろう」とウォードは指摘した。

ゴヴェラはBBCに対し、高市首相は今回の勝利を「政治的資本(political capital)」として、日本の立場を強化する防衛・経済政策を推進する可能性が高いと語った。

高市首相は、日本の防衛関連支出を予定より2年前倒しでGDPの2%に引き上げ、今年末までに主要な安全保障戦略の見直しを完了し、経済刺激策を早期に開始すると約束している。

一方、中国は「高市首相は非常に強力な指導者であり、圧力をかけることは国内で彼女をさらに強くするだけだと考えているため、圧力をそれほど強めないかもしれない」と、スタンフォード大学ショーレンスタイン記念アジア太平洋研究センター所長で日本専門家の筒井清輝は述べている。

筒井は「そのため、この駆け引き(tango)はしばらく続くだろう」と述べている。

不確定要素となるのは、ドナルド・トランプ米大統領がこれまで高市首相への強力な支持を表明しており、総選挙を前に異例の支持表明を行っていることだ。

しかし、筒井は、トランプ大統領と習近平国家主席の間で、4月の大統領の北京国賓訪問を含む複数の会談が予定されていることから、米中関係は今年さらに改善すると多くの人が予想していると指摘した。

リンとゴヴェラは、過去の出来事と比較すると、今回のアメリカの日中対立に対する反応は「今のところ控えめで、それが中国を勇気づける可能性がある」と述べた。

ワードは「日本は習近平主席とトランプ大統領の間で何らかの大きな取引が行われることを恐れている」と述べた。

週末、ミュンヘン安全保障会議の傍ら、マルコ・ルビオ米国務長官と茂木敏充外相が会談し、日米間の緊密な関係を再確認した。

高市首相は、トランプ大統領の中国訪問に先立ち、3月にワシントンDCを訪問し、再びトランプ大統領と会談する予定である。

中国が圧力を強め続ける中、日本はアメリカと分かち合っている防衛負担を「倍増(double down)」させる可能性が高いとウォードは述べ、「アメリカがこの地域(アジア)から関心を失わないように、日本とより緊密に協力していく」と付け加えた。

=====

日本は高市首相に圧勝したが彼女は経済を立て直すことができるだろうか?(Japan has given Takaichi a landslide win - but can she bring back the economy?

スランジャナ・テワリ筆

2026年2月10日

BBC

https://www.bbc.com/news/articles/cddn7qed35eo

写真

日本の高市早苗首相は解散総選挙という賭けに出たがそれが成功した。

高市首相率いる自由民主党は465議席中316議席という圧倒的多数を獲得した。これは近年、ほとんどの指導者が達成していない圧倒的多数だ。むしろ、日本は首相が入れ替わり立ち替わりしてきた(a revolving door)と言える。

今、問われているのは、高市首相がそれをどう活用するかだ。彼女は、日本経済が何十年も達成できなかったもの、すなわちより速い成長(faster growth)を実現できるだろうか?

日本は、低調な成長(sluggish growth)、世界最大の公的債務(public debt that is the largest in the world)、そして高齢化と減少が進む労働人口(a working population that is both ageing and shrinking)など、多くの問題を抱えている。

専門家の中には、高市首相にはこの状況を打開し、世界第4位の経済大国である日本の経済運営のあり方、そして市場が日本をどのように見ているかを根本から変えるチャンスがあると考えている。

故安倍晋三首相の政策顧問とスピーチライターを務めた谷口智彦は高市首相が日本を正しい方向に導いてくれるだろうと述べている。

谷口は「もし成功すれば、世界中の高齢化社会にとって貴重なケーススタディとなるだろう」と述べている。

●資金はどこからやって来るのか?(Where will the money come from?

高市首相は、主要産業への投資を含む歳出拡大で経済成長を後押しすると公約していた。

これは前任者たちからの方針転換だった。彼女は減税によって国民の消費支出を増やすと誓い、貯蓄よりも経済成長が優先事項だ(growth rather than savings was the priority)と述べた。

しかし、市場は高市首相がこれらの計画をどのように財源確保するのかという疑念で動揺した。圧倒的多数の賛成を得たことで投資家は安心したようで、それは日曜夜の彼女の勝利に対する市場の好意的な反応に表れた。

投資家たちは「高市トレード(Takaichi trade)」と呼ばれる、日本株を買い、円と国債を売る取引を行っている。重要なのは、円高も進んでいることだ。投資家の一部にとって、通貨高は好ましい状況だ。

写真

市場は高市早苗首相の勝利を歓迎した。

しかし、事態はもっと複雑だ。

高市首相が2025年10月に首相に就任すると、国債利回り(実質的には日本が借金をするために支払う金利[effectively the interest Japan pays to borrow money])は急上昇した。

日本の公的債務が巨額であるため、これは投資家にとって大きな懸念事項となっている。高市首相が公約してきたより多い支出とより少ない税金(more spending and lower taxes)は、政府がより多くの借金をしなければならないことを意味する。

日本の債券市場は世界最大級の規模を誇り、東京での小さな変化でさえ世界市場に波及し、借入コスト、投資判断、そして通貨に影響を与える可能性がある。

投資家は金利にも注目している。なぜなら、日本銀行はインフレ抑制のための数十年にわたる超低金利からの脱却を目指しているからだ。

例えば、米の価格は2025年に倍増した。価格の安定、あるいは下落に慣れてしまった国にとって、価格上昇は大きな衝撃だ。

これが、高市首相の台頭を支えたメッセージの中心だった。有権者はより貧しく、物価はより高く感じる(voters feel poorer and prices feel higher)。結局のところ、これは彼女の前任者が失脚した原因の一つとなった。

高市首相が提案した減税は、短期的には家計の痛みを和らげるかもしれません。

しかし、慶応義塾大学の経済学教授である小林慶一郎は、これは危険な道だと警告している。「支出の増加はインフレを刺激し生活費を上昇させるだけだ」と述べている。

むしろ、政府はインフレ対策として日本銀行が引き続き金利を引き上げることを許可しつつ、政府支出を引き締めるべきだと小林教授は主張する。そうすれば投資家も満足するだろう。

金利が低く政府支出が多いと、日本は外国人投資家にとって魅力が低下するため、通貨需要が減少し、円安につながる。

円安は、特にエネルギーや食料品といった輸入コストを押し上げるが、より安価な中国製品との競争において輸出業者にとって有利となる。

高市首相が約束した成長を実現するためには、これは非常に繊細な綱渡り(balancing act)であり、高市首相はそこから逃れることはできない。

しかし、課題は市場だけのことではない。

円安は、日本人の日本での生活に対する意識も変化させる。不動産や海外製品の購入が難しくなる一方で、外国人観光客にとっては物価が安くなり、より魅力的な場所となる。

観光ブームは収益をもたらしたが、同時に過密状態(overcrowding)や、一部地域では外国人に対する反発も高まっている。

●パズルの中で欠けているピース(A missing piece of the puzzle

写真

日本は高齢化が進んでいるが外国人労働者の受け入れに抵抗している。

日本の人口、そしてその労働力は長年減少傾向にある。今や世界有数の高齢化社会となり、医療や社会福祉といった公共サーヴィスに大きな負担がかかっている。

日本は既に建設(construction)、介護(care work)、農業(agriculture)、そして接客業(hospitality)といった分野で深刻な労働力不足に直面している。労働者の減少は生産量の減少、ひいてはより弱い経済成長を意味する。

移民はこの負担を軽減できる可能性がある。公式データによると、政府は近年、一部の規制をひそかに緩和しており、外国人労働者の数は増加している。しかし、欧米諸国と比較すると、日本における外国人労働者の数は依然としてはるかに少ない。

高市首相は、移民問題は特に保守派支持層にとって非常にデリケートな問題であるため、この状況を変えるような大きな対策は講じないだろうと示唆している。

高市首相とその支持者たちは、生産性向上のためには(to lift productivity)、テクノロジー、自動化、そして女性や高齢者の参加率向上に頼るべきだと述べている。

エコノミストたちは、それだけでは不十分かもしれないと警告している。日本は依然として外国人労働者のさらなる増加を必要としている。他の先進国が長らく経済の維持のために外国人労働者に依存してきたのと同様だ。

専門家たちは、移民に対する抵抗は、過去に技術革新と改革の妨げとなってきた、より広範な変化への抵抗感の一環でもあると指摘している。

●中国はどうだろうか?(What about China?

しかし、日本は変化する必要がある。しかも迅速に変化しなければならない。なぜなら、中国は既に規模と工業生産力で日本を追い抜いており、ヴェトナムをはじめとするアジア諸国も追い上げているからだ。

中国は日本にとって最大の貿易相手国でもある。これは高市首相の計画にとって重要である。なぜなら、国内需要の回復には時間がかかるからだ。それまでは、日本は成長を促進するために貿易に頼らざるを得ない。

しかし、レアアース輸出をめぐる紛争を含む、中国との継続的な緊張は、戦略的サプライチェインにおける日本の脆弱性(vulnerability)を露呈させている。みずほ銀行の日本担当チーフエコノミスト服部直樹は、こうした緊張関係は電気自動車や防衛装備品の生産にも悪影響を及ぼす可能性があると指摘している。

一方、高市首相は、希少鉱物や医薬品といった重要分野における中国への依存度の低減を最優先事項としている。また、トランプ大統領に対して積極的に機嫌を取り(court)、日本の平和憲法の下では物議を醸すことになる防衛予算の増額に同意した。

高市首相はトランプ大統領の「温かい言葉(warm words)」に感謝し、今春ホワイトハウスを訪問することを楽しみにしていると述べ、「日米同盟の潜在力は無制限だ(the potential of our Alliance is LIMITLESS)」とも述べた。

高市首相は米中の「等距離(equidistance)」を否定し、ワシントンとの同盟こそが日本の安全保障と経済の強靭性の中核を成すと考えていると谷口は述べている。

しかし、日本はどちらか一方を選択する余裕はない。

小林教授は、特に中国の不動産危機と国内経済成長の鈍化が、この地域における中国の影響力を再編する可能性があることから、日中両国との関係強化は賢明だと述べている。

高市首相のアプローチは、彼女の師である故安倍晋三元首相の戦略を踏襲しているように見える。つまり、成長を刺激するための大規模な支出と投資を支える低金利だ。

安倍首相は物価下落、円高、そしてはるかに弱体化した中国という問題に対処していた。

高市首相が直面する課題はより深刻だ。日本は高齢化が進み、経済成長は依然として低迷しており、世界情勢は大きく変化している。

=====

世界で最も力を持つ女性(The world’s most powerful woman

-日本の首相は一世代に一度の国を立て直すチャンスを手にした。彼女はそれを掴むことができるだろうか?

2026年2月12日

『エコノミスト』誌

https://www.economist.com/leaders/2026/02/12/the-worlds-most-powerful-woman
自由民主党(LIBERAL DEMOCRATIC PARTYLDP)は1955年の結党以来、わずか二度の短い中断を挟みつつ、日本の政治を支配してきた。2月8日の衆議院総選挙で、これほど圧倒的な勝利を収めたことはかつてなかった。優越的な衆議院の議席の約70%を獲得した。勝利を収めた高市早苗首相は、今、国を変革する歴史的なチャンスを手にしている。この機会を決して逃してはならない。

選挙での賭けと大勝利によって生まれた期待に応えるために、高市首相はより大きく、より広い視野で考える必要がある。在任期間を、目先の救済策にばかり目を向け、現状の苦痛を和らげることに終始するのではなく、日本が直面する長期的な人口動態と経済の課題に真正面から向き合わなければならない。また、不安定な世界情勢において、安定をもたらす力として、日本が果たすべき重要な役割を認識すべきだ。そして、右派の支持者だけでなく、日本全体のリーダーでなければならない。つまり、彼女は再び賭けに出なければならない。

●日本の首相は新たな大きな責務をどう活かすのか(How Japan’s prime minister will use her massive new mandate

彼女には支持がある。高市首相への支持は全国から寄せられた。自民党は衆議院(定数465)で198議席から316議席を獲得し、3分の2の超多数(supermajority)を獲得した。これにより、自民党は掌握していない参議院の決定を覆すことが可能になる。高市首相は、日本の有権者が求める安全と変革の両方の欲求を捉えた。彼女は、厳しい時代にふさわしい、強硬な現実主義(realism)を提示した。また、彼女は旧態からの脱却を体現している。彼女は中流家庭の出身で、率直な物言いをする人物であり、多くの先人たちのように、堅苦しい政治王朝の御曹司ではない。そして、彼女は女性として、民主政治体制国家である日本を率いる最初の人物である。

高市首相がそれを大胆に捉えるならばの話だが、歴史的な選挙は、歴史的な機会を解き放つ。最も重要なのは、彼女が日本の防衛力改革を加速させる上で有利な立場にあることだ。2012年から2020年まで首相を務めた故安倍晋三元首相は、中国の強硬姿勢とアメリカの信頼性の低さに対抗するため、軍事力の強化に着手した。しかし、世界の変化は日本よりも速い。高市首相は既に、当初2027年度に予定されていた防衛費の対GDP比2%への増額を今年度に前倒ししたが、それでもまだ不十分だ。いずれにせよ、単に予算を増額するだけでは不十分だ。日本は新たな世界の混乱に真摯に向き合う必要がある。核兵器への言及を含め、タブーを破る首相の姿勢は健全である。防衛産業の束縛を解き放ち、防衛技術革新を促進し、国の情報収集能力を強化するという点において、彼女は正しい考えを持っている。

これには進取的な外交が必要となる。他の同盟国と同様に、日本もドナルド・トランプの大統領復帰に動揺している。しかし、NATO加盟諸国以上に、日本はアメリカを疎外することはできない。日本は中国、ロシア、北朝鮮という核兵器を保有する敵対国に囲まれており、当面はアメリカの核の傘(nuclear umbrella)に頼らざるを得ない。高市首相はトランプ大統領の機嫌を損ねることなく、称賛に値する仕事をしてきた(トランプ大統領は投票前に高市首相への支持を表明していた)。しかし、日本はアメリカと協力する一方で、アメリカを迂回する動きも躊躇すべきではない。これは、トランプ大統領が最初の任期中に放棄した環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)を安倍首相が救済した際に行った行動である。これは、安倍首相がトランプ大統領と良好な関係を築くことを妨げたわけではない。今回は、日本はCPTPPとヨーロッパ連合(EU)を連携させる取り組みを主導すべきである。これにより、世界の生産量の30%以上をカバーする貿易圏が誕生することになる。

日本は、国内資源が逼迫する今こそ、このグローバルな指導力を発揮する必要がある。減少が続き、高齢化が進む人口(shrinking, ageing population)は、日本の成長を阻む大きな要因となっている。多くの国が学んでいるように、容易な解決策はない。家族は簡単にスピードアップできる生産ラインではない。むしろ、気候変動と同様に、人口動態の変化は絶え間ない適応を必要とする。選挙での圧倒的勝利は、高市首相にこれまで他国が避けてきた難しい選択を迫る余裕を与えている。

高市首相は、日本が持つ人々の力を解き放ち、新規参入者をより歓迎する体制を構築することに注力すべきである。社会保障制度(social-security system)は緊急に改革する必要がある。企業は、硬直的で年功序列の終身雇用慣行(seniority-based lifetime employment practices)から、より柔軟な職務に基づく制度へと転換すべきである。結婚を阻害し、女性を低賃金労働に留める家父長制的な家族法と税制は廃止されなければならない。日本は移民を誘致すべきであり、彼らを悪者にするのではなく、受け入れるべきである。そして、防衛費と福祉支出への需要が高まる中、日本は必要なプログラムに資金を提供できることを市場に保証しなければならない。総負債(the gross debt)の削減に貢献するために、今は海外資産(overseas assets)から徐々に利益を得る好機かもしれない。

高市首相は果たしてその任務を果たせるだろうか? 2025年10月に首相に就任したばかりで、まだ試練を迎えていない。彼女は、幅広い支持を、自身の狭いイデオロギー的目標を追求する許可証と誤解する恐れがある。熱烈な国家主義者である彼女は、日本の戦没者、その中には戦犯も含まれている帝国の指導者たちを祀る靖国神社を参拝するかもしれない。これは中国との関係を悪化させ、中国の台頭に対抗するために不可欠な、日本と韓国の脆弱な関係を悪化させるだろう。また、社会的な保守主義者である彼女は、外国人排斥感情を煽り、人口減少を補うために日本が必要とする移民や、経済成長を牽引する観光客を遠ざける可能性がある。財政ハト派である高市首相は、インフレを煽り、国債保有者をパニックに陥れるような大規模な支出政策を推進する可能性がある。試金石となるのは、新たな国債を発行することなく、食​​料品への%の消費税を2年間停止するという、ポピュリスト的な選挙公約だろう。有権者はそのような魔法のような考えを信じていたかもしれないが、市場はより深く理解している。彼女は景品代を支払う方法を見つけるか、それを中止する必要があるだろう。

●実行の難しさ(The difficulty of doing

首相のメールボックスは気が遠くなるような量だ。国民が不安になるのも無理はない。高市首相は有権者たちに対し、この激動の時代を彼女に導いてほしいかと質した。その答えは圧倒的な「イエス」だった。しかし、もし彼女が象徴主義(symbolism)とポピュリズム(populism)に基づく信任を無駄にすれば、より有害な代替案が蔓延するだろう。そして日本はすぐには、次のリーダーにこれほど大きなチャンスを与えることはないだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 高市早苗総裁率いる自民党は国会で戦時中の大政翼賛会に迫る議席占有率を達成した。3分の2という議席数は非常に重たい。これで、「野党が邪魔をして、私たちがやりたいことが出来ないんです」という言い訳はできない。最近になって、「自民党内には右から左までいてそう簡単ではない」という主張も出てきているが、そんな泣き言はいらない。国民が高市首相に「国民生活を何とかしてくれ」ということで与えた議席である。是非、国民生活が豊かになるようにしてもらいたい。

 しかし、話はそう簡単ではない。高市政権は2年間の食料品にかかる消費税率をゼロ%にするという話を「検討する」ということにして、この国会では法案を出さない構えである。高市早苗政権がやりたいことは改憲と防衛予算対GDP比引き上げである。これは、宗主国アメリカからの厳命である。事実上の対日担当責任者であるエルブリッジ・コルビー国防次官は、自身の著作では防衛費の対GDP比3%を求めていたが、国防次官になってみると、第二次ドナルド・トランプ政権の意向は3.5%であり、最近では5%となっている。高市政権はこの5%を達成したい。日本のGDPは約600兆円なので、5%は30兆円となる。2025年度の予算約115兆円のうち、社会保障関係が約38兆3000億円で、約33.2%で、分野別としては最大だ。次は防衛関係で約8兆7000億円、約7.5%である。防衛予算が30兆円となれば、4倍弱、20兆円以上の増加となる。

 20兆円も増加するとなれば、他の分野を削ってもなかなか厳しい。現在でもかつかつでやっているのが現状だ。少子高齢社会(少子高齢「化」社会の段階はとうに過ぎている)で社会保障関係は増大していく。そうなれば、国債発行か増税ということになる。日本では、既に、税金と社会保障の負担率が5割に迫っている。その割にその恩恵を感じられていないことに国民間で潜在的な不満が高まっている。しかし、20兆円をどうやってねん出するかとなれば、国債発行か、増税しかない。高市政権を支持した国民にだけ20兆円を負担してもらうということもできない。やはり国民全体で負担を負うしかない。国債発行となれば、インフレや金利上昇のリスクは高まる。増税となれば、国民の不満は増加する。いくら「中国が気に入らない、やっつけろ」と言ってみても、税金でお金を吸い上げられ続けて、手許にお金が残らなければ生活もできない。

 改憲に関しては、ありがたいことに、衆参両院で3分の2以上の賛成で発議され、国民投票という手続きになっている。現在の参議院は、自民維新国民参政保守チーム未来保守などの改憲、憲法9条の条文変更を行うことに進みそうな勢力がギリギリで3分の2という状況だ。これだけのグループであれば意向の違いややる気に濃淡があるので、一気に憲法改正の発議まで進むのは難しいだろう。次の参議院議員選挙は2028年で、ここで憲法改正の発議を阻止できる、護憲勢力を3分の1以上にすることが重要だ。高市政権は20230年の衆議院議員の任期の最後まで総選挙はやらないと考えると、2028年の参議院選挙が重要だ。

 しかし、その前に高市政権が苦境に陥るということも可能性としてある。高市首相がやりたいことをやろうとすれば財政規模は拡大してしまう。何より防衛費が10兆円、20ちょうえんと倍々ゲームで増えていく。増税か、国債発行か、どちらにしても良い結果には結びつかない。円安やインフレが進行する。あれだけ「早苗ちゃん、頑張っている」「何か変えてくれる」と熱狂した国民は、高市早苗真理教の熱心な信者以外は離れていく。「生活が苦しいのは中国のせいだ」とばかりも言っていられなくなる。それで、皆で口を拭って、知らんぷりして「私は最初から高市という人を評価していなかった」と言い出す。高市首相の個人的な人気に支えられた自民党の議席は、決して盤石ではない。高市人気の終焉の時に、逆回転が起きる。そのことが分かっている自民党幹部たちほど、今回の大勝利に浮かれていない。しかし、何とかしようにもなかなか厳しい状況が続く。

(貼り付けはじめ)

高市早苗首相は日本を再び偉大な国にできるか?(Can Sanae Takaichi Make Japan Great Again?

-圧勝したにもかかわらず、高市首相の人気と財政計画には疑問が残る。

ウィリアム・スポサト筆

2026年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/09/japan-sanae-takaichi-election-economy/

高市早苗首相が政権発足直後に総選挙を実施するという賭けは見事に成功し、自民党は歴史的な圧勝を収めた。これにより、高市首相は中国への敵対、ドナルド・トランプ米大統領の要求をのむことで満足させての懐柔、そしてインフレ進行に苦しむ有権者への支援策といった面で、事実上、フリーハンドを手にした。

また、今回の総選挙は、長きにわたり政権を握ってきた自民党にとって新しい段階を与えた。自民党は2024年10月の参院選で連立政権を組む与党と共に衆議院(日本の国会でより強力な下院)の過半数の議席を失った惨敗の後、深刻な危機に瀕していた。右派寄りでテレビ映りの良い新政党の台頭により、過去70年間のうち6期を除く全期間にわたり日本を支配してきた自民党の統治はついに終焉を迎えるかもしれないという噂も広まっていた。

しかし、アメリカの共和党と同様に、新しい自民党は少なくとも今のところは事実上、一人党(a party of one,)だ。日曜日の選挙前、高市氏は57~68%の支持率を誇っていたが、党全体の支持率はわずか30%だった。

高市首相の人気により、自民党は衆議院465議席中316議席を獲得した。最も重要なのは、戦後初めて3分の2の超多数(supermajority)を獲得したことだ。この圧倒的な結果により、自民党は参議院の拒否権(vetoes)を覆すことができる。日本の参議院は独自の選挙日程を持ち、依然として野党が多数派を占めているため、高市首相にとって歯止めとなる可能性がある。

自民党は伝統的に集団指導体制(a system of collective leadership)を採用していて、党の実力者たちや派閥(factions)は権力争いを繰り広げながらも、公の場では統一された姿勢を見せてきた。今回の選挙結果は、高市首相にとって、党をワンマンショー(a one-woman show)へと転換させる稀有な機会となる。しかし、彼女のリーダーシップは不透明だ。高市首相の人気急上昇が持続するかどうか、そして日本の財政にさらなる負担をかけるような歳出拡大計画に金融市場がどのように反応するかについては、依然として疑問が残る。

また、この調査結果は、経済と政治の不確実性の中で、日本の若者たちがますます不安定になり、安易なスケープゴートを求める新政党のポピュリスト的極右路線(the populist, far-right takes of new parties)を支持していることも示している。極右路線が主張する敵役の中には外国人も含まれる。彼らは人口のわずか3%を占めるに過ぎず、日本の長期的な人口減少が続く中で、雇用者からは経済にとってより重要な構成要素とみなされているにもかかわらず、敵役となっている。この点を強調するため、ソーシャルメディアの投稿では、行儀の悪い外国人観光客、特に中国人観光客が取り上げられ、酔っ払った日本人サラリーマンに頻繁に見られる、より見苦しい行動は無視されている。

高市首相は、この支持基盤を自民党に引き戻そうと、「ジャパン・ファースト」アプローチを採用している。昨年秋、党首選、ひいては首相選に立候補した際、奈良公園周辺で外国人が鹿を蹴った事件に対し、憤りを表明した。事件が実際に起きたのか、あるいは数人の外国人観光客の行動が合理的な移民政策とどう関係するのかは不明だ。

高市首相はまた、国会で、中国が台湾に対して何らかの行動を起こす可能性、そしてそれが自衛隊による紛争介入を可能にする可能性について発言し、北京の怒りを買っている。これらの発言は安倍晋三首相や麻生太郎首相といった歴代首相の発言を反映したものではあったが、国会という形式的な場は中国にとって明らかに重大だった。また、これは中国にとって、日本が自国の経済利益を犠牲にしてどこまで踏み込む覚悟があるのか​​を探る機会にもなった。中国は日本にとって最大の輸出市場であり、トランプ大統領による数々の貿易上の脅威に直面して、さらに重要になる可能性がある。

しかし、高市首相の大胆な振る舞いは、長らく政治のブラックホールとなってきた、普段は無関心な若い有権者にとって、魅力の一部となっていることが証明された。これは日曜日の選挙において決定的な要因となり、投票直前の世論調査では、18歳から29歳、特に若い女性の間で高市首相の支持率は90%近くに達していた。

高市首相は反エスタブリッシュメントな姿勢を強調し、首相官邸に初めてスウェットスーツ姿で現れ、韓国の李在明大統領とK-POPのドラムデュエットを披露し、トランプ大統領の支持を獲得した。高市首相は米大統領の支持にきちんと感謝の意を表したが、トランプが、昨年、日本自動車メーカーの輸入を妨害しない見返りに、アメリカによる強制的な投資という形で日本から5500億ドルを搾取したと豪語した人物と同じ人物であるという事実は、都合よく伏せていた。

こうした強気な姿勢はソーシャルメディア上では好意的に受け止められ、主要野党グループとは対照的だった。中道改革連合(Centrist Reform AllianceCRA)という興味関心を引かない名前で急遽結成された合併政党は、名前と同じく興味関心を引かない政策を掲げ、国民が全く望んでいない政策を繰り返し公約していた。

中道改革連合は、26年間自民党と連携してきた公明党の参加から恩恵を受けることができなかった。公明党は高市首相との連携が困難だと判断して連立から離脱した。創価学会の800万人以上の会員を擁する公明党は、日本で最も信頼できる投票率向上団体だった。しかし、高市首相の前では、公明党と中道改革連合のもう一つの加盟政党である立憲民主党は、まるで過去の遺物のように映ってしまった。両党は議席の3分の2以上を失い、最終的に49議席にとどまった。

人口動態(demographics)が明らかに重要な役割を果たした。朝日新聞の出口調査によると、40歳以下の層では中道改革連合の得票率は10%以下となった。

しかし、高市首相への支持はより幅広く、自民党はあらゆる年齢層で、ソーシャルメディアをよく利用する層以外からも支持を得た。大手日本企業の幹部は次のように述べた。「この30年間、変化も進歩もなかった。高市首相は新しいことに挑戦する意欲があるように見える。もしうまくいかなければ、他の方法を試せばいい。しかし、私たちは新しいことに挑戦しなければならない」。

高市首相にとって最大のリスクは、彼女の経済政策だ。数々の素晴らしい成果を約束したことで、就任わずか45日で失脚した英国のリズ・トラス前首相との不名誉な比較が生まれている。トラス前首相は、史上最速の市場崩壊(market rubouts)の一つとなった。

問題は、賃金上昇率を上回る物価上昇(rising prices that are outpacing growth in wages)にどう対処するかだ。高市首相の解決策は、食料品に対する8%の消費税を2年間停止し、インフレ圧力を抑制するためのより痛みを伴う従来の対策ではなく、インフレの副作用の一部を緩和することだ。

財政刺激策は通常、経済を活性化させ、物価上昇のスパイラルを助長するため、これは従来の経済学に反する。多くの経済学者もそれに応じて反応している。

野村総合研究所のエコノミストで、元日本銀行理事の木内登英は、「インフレ対策としての消費税減税には多くの欠点がある。効果は限定的であり、財政健全性を悪化させ、円安と長期金利の上昇を助長する可能性がある。そして、消費税で賄われている社会保障制度への信頼を損ない、長期的な不安を増大させる」と述べている。

木内をはじめとするエコノミストたちが指摘するもう一つの差し迫った問題は、既に巨額となっている日本の対GDP比約240%の債務がさらに増加すれば、債券市場は更なる不安に陥り、円安が進行し、ひいてはインフレが加速するという点だ。日銀が円安を抑制し物価上昇を抑制するために利上げに踏み切れば、政府は自らの借入コストの壊滅的な上昇に直面することになる。市場の急落は、日本だけにとどまらず、はるかに広範な影響を及ぼすだろう。

こうした制約を踏まえ、高市首相は最近、財政健全性(fiscal soundness)への懸念が依然として残ると述べ、消費税減税による約320億ドルの歳入減は追加国債の発行なしに補填できると主張し、計画の規模を軽視している。しかし、その「方法」は完全には明確ではなく、市場を納得させるにはある程度の説得力が必要となるだろう。

ドイツ銀行日本担当チーフエコノミスト小山健太郎は顧客向けメモの中で、「重要なのは、投資家は目先の選挙結果よりも、その後の政治的駆け引きにもっと注目すべきだ。こうしたその後の展開こそが、日本の財政政策と金融政策の最終的な方向性を決定づけることになる」と述べた。

もう一つの大きな不確実性は、高市首相の支持基盤がどれほど持続するかだ。東京の慶応義塾大学経済研究所の政治問題専門家である茂垣正弘は「今回の結果の主な要因は、若い有権者からの強い支持にあるようだ。若者たちの支持は、実質的な政策分析よりも、メディアやソーシャルメディアを通じた印象によって動員されたようだ」と述べた。

しかしながら、現時点では高市首相が明らかに実権を握っており、しかもそれを楽しんでいるようだ。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリスト。2015年から『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿している。ロイター通信と『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で勤務し、20年以上にわたり日本の政治経済を取材してきた。また、2021年にはカルロス・ゴーン事件とその日本への影響に関する著書を共著で刊行している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ