古村治彦です。
2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体
最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。
J・D・ヴァンス副大統領は2028年の大統領選挙においては有力な候補者となる。民主党側では、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー、ペンシルヴァニア州知事のジョシュ・シャピロが候補者として名前が挙がっているが、全国的な知名度を考えるとまだまだである。主流派メディアで取り上げられる回数で言えば、現職副大統領であるヴァンスが圧倒的に有利である。
ヴァンスはドナルド・トランプ大統領の路線を引き継ぎながら、独自色を出していかねばならない。トランプにはない若さ(ビジネスや社会における経験はトランプには及ばないがこれは年連もあり仕方がない)、軍務経験(海兵隊に志願し厳しい訓練を乗り越え、イラク駐留も経験)、庶民性(自叙伝『ヒルビリー・エレジー』でも示したように、「自分と同じだ」と思ってもらえる)が武器となる。
下記に掲載した記事にある、キリスト教的な基盤に基づく保守(「徳」や「助け合い」)ということを強調している点は重要だ。もっとも、ヴァンスはプロテスタントからカトリックに改宗しており、この点をプロテスタントの人々がどのように判断するかということになるが、「社会的結束や共同体の再構築」は宗派を超えてアピールすることになるだろう。ピーター・ティールがヴァンスを見出して育てたことは、拙著『』で詳しく書いている。記事に出てくるシンクタンクのクレアモント研究所については興味深いので、これから深堀していきたい。今後のアメリカ研究の著作で触れることができるようにしたい。
ヴァンスはテレビに出演し、民主党左派、民主社会主義者グループのバーニー・サンダース上院議員、ロウ・カンナ下院議員、ゾーラン・マムダニ次期ニューヨーク市長を称賛した。この点は非常に興味深い。ヴァンスの柔軟性を示すものである。また、反エスタブリッシュメントという立場を堅持していることも示している。トランプがマムダニと友好的な会談を行ったこと、以前にバーニー・サンダースを評価する発言を行っていることを考えると、ヴァンスはポピュリストであり、同時にリアリストであることが分かる。この点は、大統領候補として重要だ。民主党で名前が挙がっている人物たちにこのようなことができるとは考えにくい。
ヴァンスについては、これから更に研究を進め、2028年の大統領選挙に備えたいと考えている。
(貼り付けはじめ)
ヴァンスが現在評価している進歩主義的な政治家3人を挙げた(Vance lists
the 3 progressive politicians he now appreciates)
ライアン・マンシーニ筆
2025年12月5日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/5636066-sanders-khanna-mamdani-vance/
J・D・ヴァンス副大統領は、木曜日に公開されたNBCニューズのインタヴューで、自身が高く評価するようになった3人の進歩主義的な政治家を挙げた。
結婚生活、2028年の大統領選挙への出馬の可能性、そしてアメリカにおける反ユダヤ主義など、多岐にわたる話題に触れたインタヴューの中で、ヴァンス副大統領は、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、ロウ・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、そしてニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニ(民主党)を高く評価するようになったと述べた。
インタヴューの中で、ヴァンス副大統領は、2028年の大統領選挙で有力候補として懸念を持つ民主党の政治家はいないと述べた。そして、サンダース、カンナ、そしてマムダニの名前を挙げた。
ヴァンスは次のように述べた。「私は常にバーニーに魅了されてきた。以前にバーニーが私に言ったことについて話した。私が上院議員になった2日目のことだった。今まで聞いた中で一番興味深い言葉の1つだったし、私の政治観をよく表している。でも、おそらく左派、そして右派を本当に傷つけるだろう。バーニーが私に言ったことを話したら、バーニーも傷つくだろう」。
ヴァンス副大統領は、ソーシャルメディアでカンナと議論を交わしたことがあると述べた。副大統領は、カンナについて「非常にうっとうしいと思うこともあるが・・・時折、興味深いことを言う。これはほとんどの政治家には言えないことだ」と付け加えた。
トランプ大統領に同調し、ヴァンス副大統領は、民主社会主義者であるマムダニは共産主義者だと考えていると述べた。しかし、マムダニが「世界でも最悪の住宅価格高騰危機の1つを抱えるニューヨーク市において、住宅価格高騰問題に非常に積極的に取り組んでいるのは賢明であり、少なくとも人々の声に耳を傾けている」と述べた。
ヴァンス副大統領はまた、先月トランプ大統領がマムダニと会談したことを例に挙げ、大統領がマムダニを称賛したことを明かした。会談後、ヴァンス副大統領はマムダニを「魅力的(fascinating)」と評した。
ヴァンスは続けて次のように語った。「ほとんどの政治家は、ハードルが非常に低いにもかかわらず、人々の声に耳を傾けない。マムダニ、バーニー、ロウ・カンナは、少なくとも時々はそうなる人たちの範疇に入るだろう」。
ヴァンスは、3人の政治家、特にマムダニが住宅価格の手頃さに焦点を当てていることを称賛しながらも、NBCニューズに対し、この問題への懸念は「虚偽の物語(fake narrative)」の一部だと述べた。トランプ大統領は住宅価格の手頃さに関して方針を転換した。共和党がこの問題にどう取り組んでいるかを称賛する代わりに、この問題を民主党がでっち上げた「でっち上げ(hoax)」であり「詐欺(con job)」だと非難した。
ヴァンスは次のように述べた。「大統領は価格が高騰しすぎたことは当然理解している。しかし、大統領が言っているのは、政権発足から11カ月が経った今、民主党が作り出した住宅価格の手頃さの問題をすべて解決できるという考えは。つまり、それはでっち上げだ。問題は民主党のせいではなく、私たちのせいだという考えこそがでっち上げだ。そして、それは全くのでたらめな物語だと思う」。
サンダースは2028年に再び大統領選に出馬する予定はなく、マムダニは市長職に就いて2年目となることから、3人の中ではカンナが2028年の大統領選の有力候補と目されている。
ヴァンスは、現在の問題に集中するため、「2028年の大統領選挙に関する議論から距離を置こうとした」ことを認めた。2026年の中間選挙の結果は、トランプ大統領の2期目の残りの任期だけでなく、副大統領退任後のヴァンス自身の将来をも決定づける可能性があるとヴァンスは述べた。
ヴァンス氏はNBCニューズに次のように述べた。「大統領には、自分に忠実で、メディアを利用して裏切ったり、2028年大統領選挙に向けて有利な立場を築こうとしたりしない副大統領が本当に必要だ。だから、この職務において私がアメリカ合衆国大統領を攻撃することは決してない」。
ヴァンス副大統領は次のように次のように語った。「もちろん、将来私が別の職に立候補することになったら、『あなたならこうするのか?
ああするのか?』と質問されるのは当然のことだ」と副大統領は付け加えた。その時が来たら、その話し合いをしよう。しかし、私はアメリカ合衆国大統領を攻撃することは決してない」。
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バンス氏に集う米次世代保守 伝統社会を重視、リベラル的政策も提案
トランプ政権
日本経済新聞 2025年12月3日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1500C0V11C25A1000000/
米シンクタンク、アメリカン・コンパスの創設記念式典で演説するバンス副大統領(6月)=ロイター
米共和党の次期大統領候補の有力者であるバンス副大統領の下に、次世代の保守勢力が結集している。トランプ大統領が率いる「MAGA(米国を再び偉大に)」運動を継承しつつ、リベラル的な政策も一部取り入れた新たな保守の姿を探る。
「バンス氏は『あの人なら私でもなれる』と思える人物だ。英雄のようなトランプ氏に対しては難しかった部分で共感してもらえる存在になれるかもしれない」
米シンクタンク・クレアモントのバイスプレジデント、アンドリュー・ベック氏はバンス氏のリーダー像について、こう話す。ベック氏はバンス政権が誕生したら、要職に就くとささやかれる。
クレアモントはトランプ政権にも人材を送り込み、ワシントンで急速に存在感を高める。米国は建国以来、キリスト教を基盤にした価値観によって隣人と助け合う「徳」や「誇り」を育んできたという論陣を張る。
この数十年の米連邦政府がリベラルな思想を重視しすぎて伝統的な道徳基盤を壊したと主張。過度な移民受け入れやリベラルな文化・教育政策の抜本的改革を考案する。
バンス氏は「社会的結束や共同体の再構築」を政治家としての軸に掲げる。この理念を支えるのがクレアモントだ。格差の固定化や薬物まん延などを背景に、米国社会は変革が必要だとみる。
バンス氏は2016年、白人貧困層の実相を自身の家族を通して描いた「ヒルビリー・エレジー」を出版し、一躍有名になった。22年上院選での当選を経て、40歳で副大統領に就任した。
バンス氏が高校卒業まで過ごし、著書の主な舞台となった中西部オハイオ州ミドルタウン。バンス氏が育った家の隣人のジェリー・ポピンズさんは取材に「彼はここに生まれたことを誇りに思っている」と明かした。
伝統的な製造業の衰退で失業者が町にあふれ、バンス氏の母は薬物中毒に陥った。厳しい境遇の中でも「懸命に働き、古き良き米国人の誇りを持つ祖母」に育てられて、家族や隣人との助け合いの精神を育んだという。
幼少期の体験は現在の一見、矛盾するかのような政治理念に影響を与えた可能性がある。
バンス氏は政治家になる2年前の20年、伝統的な左派・右派の双方に共鳴できないと言及した。左派は貧困層が不利な立場にあると決めつける傲慢さ、右派は個人の責任のみに焦点をあてる冷たさがあると批判した。
バンス氏の下に参集する、もう一つの新興シンクタンク、アメリカン・コンパスが練る政策はバンス氏のこうした二面性を色濃く映す。
保守的な文化・教育政策を大事にする一方、富裕層増税や大企業独占の規制強化、労働者の保護重視といった従来はリベラルとみられた政策が並ぶ。「改革保守」と呼ばれる共和党の新潮流だ。
世論調査ではバンス氏を次期大統領として支持する共和支持者が他を圧倒する。米政治サイトのポリティコは、有力なライバルのルビオ国務長官がバンス氏支援に回る可能性を内々に示したと報じた。ルビオ氏はキリスト教的な価値観や改革保守の経済政策で、バンス氏と足並みをそろえる。
イノベーションを重視する「テクノリバタリアン」と呼ばれる新興保守勢力もバンス氏を推す。同氏とかつて共にシリコンバレーで働いた投資家のピーター・ティール氏が中心的存在だ。自由な技術開発競争で世界を変えようとするテクノリバタリアンは、MAGAと対立の火種を抱える。
トランプ氏は憲法が禁じる大統領3期目に意欲をちらつかせる。MAGA系の思想家の一人は、残り1〜2年でMAGA運動がバンス氏の下で結束できると確信を持てるか否かが「3期目説」の浮沈を左右するとみる。
バンス氏は一部支持者から熱狂的な人気を誇るトランプ氏の「カリスマ色」を脱しながら、保守層をまとめられるかが課題だ。バンス氏の政治理念は保守色の強い内容を含むだけに、大統領選の勝敗を決する無党派層から広く共感を得るには高いハードルがある。
(ワシントン=飛田臨太郎)
(貼り付け終わり)
(終わり)
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』














