古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:CIA

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 最近、『タイム』誌が統一教会についての長い記事を発表した。統一教会が日本政界、特に自民党に深く浸透していたことを紹介しているが、後半は、統一教会内部の分裂や、アメリカ政界への浸透を紹介する内容になっている。安倍晋三元首相殺害から、日本では統一教会の政治からの排除まで進んだ。日本での霊感商法や莫大な献金が統一教会の主要な資金源であったことから、日本での活動が縮小することは統一教会にとっては痛手となるだろう。しかし、自民党が本当に統一教会と決別するのか、日本政界が統一教会の新党を排除し、浄化されるのかは不明だ。それほどに根深い問題である。
 今回、タイムが掲載した記事は、統一教会がアメリカ政界に浸透しているという内容だ。そして、「指桑罵槐(しそうばかい)」(ある人物を非難しているようで、実際には遠回しに別の人物を非難する手法)で、ドナルド・トランプ前大統領を非難している内容だ。ドナルド・トランプと統一教会が深い関係にあることをところどころに書いている。

 今回の記事について足りないと感じているのは、日本政界への浸透ぶりと、岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三と続く血脈が、協力関係にあったアメリカのCIAと統一教会と深くかかわり、日本人と日本のお金をこれらに貢ぐことに貢献したということが書かれていないことだ。

 非常に長い論稿であるので、冒頭の紹介はこれくらいにして、中身を読んでいただきたい。この記事にもヴェクトルがかかっているので、トランプ批判のために書かれたということに注意しながらこのような統一教会と長年にわたりずぶずぶの協力関係にあった自民党は許しがたい存在であることだけはよく分かると思う。

(貼り付けはじめ)

統一教会は日本政府に浸透した。現在、その標的はアメリカに向けられている(The Unification Church Infiltrated Japan’s Government. Now Its Sights Are Set on the U.S.

チャーリー・キャンベル(東京発)筆

2024年4月4日

『タイム』誌

https://time.com/6961050/unification-church-ffwp-moonies-us-election/

20240404timeunificationchurch001
ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで演説する際に劇的な動きをする文鮮明(Sun Myung Moon)牧師。牧師の首席補佐役である朴普煕(Bo Hi Park)大佐(右)が韓国語から英語に翻訳している。

日本の西側にある奈良市の空は曇っていた。午前11時29分、安倍晋三首相にマイクが手渡された。紺のジャケットにパリッとした白いシャツを着た安倍元首相が、大和西大寺駅の小さな赤い台の上に立つと、集まった聴衆から割れんばかりの拍手が起こった。15メートルほど離れたところに山上徹也が立っていた。フェイスマスクを鼻の穴の下に下げ、両手を腰に当て、演説には全く無関心な様子だった。安倍元首相が地元選出の自民党議員を応援する演説を始めると、山上は演説場所から遠ざかり、数秒後に安倍の側近たちの真後ろに再び姿を現した。安倍がマイクを手にしてから2分25秒後、銃声が鳴り響き、現場は濃い白煙に包まれた。安倍は混乱した様子で、周囲を見回した。その3秒後、もう1発の銃声が安倍の首と胸を捉えた。安倍は倒れた。山上は警備員にタックルされ、逮捕された。路上から手製の銃器が回収された。

2022年7月8日の事件は、衝撃的であると同時に、間違いなく事実である。安倍はドクターヘリで奈良県立医科大学附属病院に搬送されたが、そこで死亡が確認された。山上被告(当時41歳)は殺人容疑で起訴され、今年末の裁判を控えている。山上は、安倍元首相が物議をかもしている統一教会(Unification Church)を支持していたことが殺害の動機だと主張している。統一教会は、山上の母親を説得して、1億円(67万ドル)以上を教団に献金させ、山上一家を破産と困窮に追い込んだ。釜山長神大学校教授で統一教会の専門家であるタルク・ジイルは、「ある意味、この青年は加害者ではなく被害者だ」と述べている。

安倍元首相が暗殺されてから数カ月後、内部調査によって自民党所属議員の約半数が統一教会と関係があることが明らかになり、日本政府の最高首脳部から辞任が続出した。しかし、「ムーニー(Moonies)」と呼ばれ、合同結婚式(mass weddings)や熱狂的な反共(anticommunist fervor)で知られる宗教的好奇心が、なぜこのような殺人的怒りを引き起こしたのだろうか? そして、当時世界第3位の経済大国であった日本の統治エリートたちに中に、粛清(purge)が必要なほど深く入り込んだのはなぜなのか?

20240404timeunificationchurch002
日本の奈良県で行っていた選挙運動の間に銃撃された後に地面に横たわる安倍元首相。2022年7月8日。

統一教会の真実は、1件の暗殺事件や日本よりもはるかに深い。統一教会はあらゆる大陸に広がる政財界の網の目のような存在であり、約200万人の会員(この数字には反対意見も多い)と10億ドル以上の資産を擁していると見られている。教団は、『ワシントン・タイムズ』紙、UPI通信、マンハッタンにあるニューヨーカー・ホテル、バレエ団、そしてアメリカの寿司業界に鮮魚を供給する最大手のトゥルー・ワールド・フーズ(True World Foods)を所有している。アメリカの諜報機関の報告によれば、第三世界のクーデターに資金援助をしている。共和党や民主党の有力者たちを招待して、保守的な大義を推進するイヴェントを開催している。リチャード・ニクソン、ロナルド・レーガン、ドナルド・トランプを含む歴代アメリカ大統領は、教団について熱心な支持を表明してきた。

統一教会は1954年に文鮮明牧師によって設立された。彼は、神の王国(God’s Kingdom)を地上に樹立し、世界平和をもたらすという任務を完遂するために、イエスから第二のメシア(second messiah)として託されたと主張した。文鮮明の神学(theology)は、エデンの園でアダムと寝る前にエヴァがサタンに誘惑されたという考え方に基づいている。信者は、文鮮明の選んだ配偶者と結婚し、塩をたっぷりまぶした部屋で文鮮明の肖像画の下で、あらかじめ決められたさまざまな体位でセックスするなどの一連の儀式を行うことで、この「原罪(original sin)」の血統を清めることができる。

このような特殊性は、神聖なふりをした、1人の指導者に焦点を当て、資金を積極的に収奪することに加えて、統一教会はカルトであるという非難を増大させてきた。文鮮明は自らを「完璧なアダム(perfect Adam)」、韓国を「アダム国家(Adam nation)」とし、「天使長(archangel)」国家アメリカの支援を得て、人類が発作前の純粋さを取り戻す手助けをするだろうと主唱した。一方、日本は、1910年から1945年の朝鮮半島植民地支配中に犯した罪の償いを求められる「イヴ国家(Eve nation)」に指定された。数多くの日本の元教会員の代理人を務める弁護士の山口隆は次のように述べている。「彼らは、日本人全ての資産は韓国に返還されるべきだと信じている。それが救いへ向かう道だ、と」。

20240404timeunificationchurch003

2022年8月10日、東京の首相公邸での写真撮影から退場する岸田文雄首相に頭を下げる閣僚たち。支持率の低迷を受け、岸田首相はこの日、政権から統一教会とのつながりを排除するために内閣を改造した。

しかし今日、統一教会は自らを苦境から救おうと奮闘している。 HBOのヒット作「サクセッション」の中に描かれたような、内紛(infighting)、悲劇(tragedy)、反社会的組織の陰謀が充満している。統一教会の資産が増加するにつれて、その資産をめぐる争いはより激しく、憎むべきものになった。文鮮明の末子ショーン(文亨進、SeanMoon Hyung-jin)は、タイム誌とのインタヴューで、安倍殺害の責任は、2012年の文鮮明の死後、統一教会の実権を奪った別居中の母親である韓鶴子(Hak Ja Han)にあると断言した。ショーンは、「これは、主である神と再来したイエスを裏切ってきた組織に対する裁きの鉄槌だ」と語っている。ショーンはペンシルヴァニア州の田舎に、分派の教会であるサンクチュアリ教会を設立した。ショーンは銃を携帯し、銃を前面に押し出している。1月6日には国会議事堂の外で親トランプ暴徒の中で催涙ガスを浴びた。ショーンは「盲目的なそして異端的な方向性がその組織(統一教会)に呪いをもたらした」と述べている。

確かに、安倍元首相の死は、統一教会にとって存在を揺るがす深刻な問題である。日本政府は10月13日、統一教会から宗教法人としての地位を剥奪するように裁判所に訴えた。宗教穂人の資格はく奪により、法人税と固定資産税が免除されなくなる。統一教会の世界的な資金源の70%は日本だと推定され、積極的な献金勧誘に加え、先祖の霊を「鎮める(appease)」とされる高値の「霊感(psychic)」人参茶や大理石の壺を販売している。全国霊感商法対策弁護団(Japan’s National Network of Lawyers Against Spiritual Sales)が実施した調査によると、1987年から2021年までに、全国の弁護士会や消費者センターに報告された統一教会の募金に関する被害件数は3万4537件に達し、被害総額は8億5000万ドルを超えている。カルト研究家のサラ・ハイタワーは「彼らは基本的に日本をATMとして利用している」と述べた。

その資金源が脅かされている今、統一教会は、積極的な資金調達戦術が憲法修正第1条によって守られている、アメリカに重点を移している。10月、ハク・ジャハンは4年ぶりにアメリカに戻り、ラスヴェガスで「真のお母様の心を理解する(understand True Mother's heart)」ための「特別ワークショップ(special workshop)」を開催した。17歳から40歳を対象としたこのイヴェントは、日本からの収入減を補うために寄付を増やす必要性に支配されていた。タイム誌が入手したリークされた電子メールには、「真のお母様に私たちがどれほど感謝しているかを伝えるために」、イリノイ州シャンバーグにある住所に100ドル札を送るようアメリカの信者たちに指示し、「文書に現金という文字を書かないように」と更に指示していた。

統一教会のアメリカ支部である世界平和統一家庭連合(Family Federation for World Peace and Unification InternationalFFWPUI)の会長、デミアン・ダンクリー牧師が主催した9月26日のZoom会議の映像がリークされた。この中では、同団体が直面している様々な危機について説明し、日本からの減少分を補うためにアメリカ人会員からの献金を3倍にするよう牧師たちに促した。「最も高い献金者から始め、徐々に下げていこう」とダンクリー牧師は述べた。今後の「主要な目的」は、「会員数の増加」と「財政的な成長」だと彼は言った。ダンクリー牧師は「もし、ネパールの食べるのに苦労している家族が、自分たちの子供たちを食べさせることができるかどうかも分からないのに、年に一度、真のお母様に真の愛の献金をすることができるのであれば、アメリカの家族にも同じことができるはずだ」と述べた。

20240404timeunificationchurch004

2020年2月7日、韓国・加平の清心平和国際センターで行われた世界平和統一家庭連合の祝福式で、新婚カップルたちの中に立つ統一教会創始者である故文鮮明の妻、韓鶴子。

会議の中でダンクリーは、「日本の人口の90%が統一教会解散に賛成している」ことを認め、友好的な「首相周辺の国会議員たち(parliamentarians around the prime minister)」(彼はこれを「私たちの仲間(our people)」と表現している)は、「おそらくこれを逃れる方法はないだろう」と述べていると語った。日本におけるこのような逆風を考慮すると、アメリカの牧師たちは「若者」の勧誘に力を入れるべきであり、また「お母様に会うように言われた億万長者や大富豪たち」を参加させれば、これらの問題を迅速に解決できるとダンクリーは指示した。

統一教会の中で育ち、現在は回復した元会員たちを助けるために「フォーリング・アウト」というポッドキャストを主催しているエルゲン・ストレイトにとって、このメッセージは非常に明確だ。そして、秋には接戦が予想される大統領選挙が近づいており、統一教会の政治的、財政的な力は、統一教会のアジェンダに最も適した人物たちに握られている。

統一教会は長い間、定義づけを拒んできた。統一教会は、1960年代から1970年代にかけて西側諸国を席巻したハレ・クリシュナ(Hare Krishna)や超越瞑想(Transcendental Meditation)などの新宗教運動の津波の一部ではあるが、その持続性と影響力の両方において際立っている。それでも今のところ、ISISやマンソン・ファミリー、ジム・ジョーンズの人民寺院(People’s Temple)のような殺人志向は見受けられない。統一教会の信者の多くは、何十年もの間、統一教会を出たり入ったりしている。統一教会が与えるいかなる害も、より陰にこもったものだ。

1920年、現在の北朝鮮北西部に生まれた文鮮明は、残忍な日本統治時代に藁葺き小屋で育った。10歳の時、彼の家族はキリスト教に改宗し、16歳の時、彼はイエス・キリストの訪問を受けたと主張した。1945年に連合軍が朝鮮半島を解放した後、彼はソ連が支配する平壌に移り住んだが、3年後に逮捕され、共産主義者が運営する収容所で5年間を過ごした。

朝鮮戦争勃発後、文鮮明は国境を越えて逃亡し、韓国の釜山に定住し、一間の掘っ立て小屋に住んでいた。彼は、キリスト教(Christianity)、儒教(Confucianism)、シャーマニズム(shamanism)、反共産主義の辛辣さ(anti-communist vitriol)を混ぜ合わせた神学的信条を土壁に走り書きし始めた。1950年代には、文鮮明の献身的な信奉者の一団が成長し、文鮮明が教会関連の財団や企業を多数設立するのを支援した。1960年、文鮮明は40歳のときに、当時まだ17歳だった2番目の妻、料理人の娘、韓鶴子と結婚した。文鮮明はまた、1963年に複合企業「統一グループ(Tongil Group)」を設立し(「統一(Tongli)」とは韓国語で「統一」を意味する)、武器、農業、高麗人参、造船、航空、観光、鉱物などの事業に進出し、急速に多角化(diversified)した。

元統一教会信者で文鮮明の非公式伝記を書いたマイク・ブリーンは、「間近で見る文鮮明は、とても謙虚な印象を受けた。とても、とても気配り上手で、向き合っているその瞬間、本当に相手に集中している人という感じがした」と述べた。

20240404timeunificationchurch005

2012年8月14日、ソウルで開催された日本の植民地支配からの解放記念行事に先立つ集会で、日本軍によって行われた戦争時の朝鮮人性奴隷に対する謝罪の行為として頭を下げる統一教会の日本人信者たち。

1973年までに、文鮮明は自分の使命をアメリカに持ち込み、ニューヨーク州タリータウンのイースト・ガーデンと呼ばれる18エーカーの森林地帯に居を構えた。そこでは、アルコールとドラッグが禁止され、結婚以外のセックスをすると罪人として燃えるような天罰を受けるという新しいコミュニティを設立した。1974年までに、アメリカの統一教会は年間800万ドルの収益を上げ、文鮮明はその2年後にニューヨーカー・ホテルと隣接するマンハッタン・センターを購入することができたと言われている。アールデコ調の建物は、統一教会のアメリカでの活動拠点となり、統一教会の信者たちの子供たちが共同保育される場所となった。前述のストレイトは3歳になるまでニューヨークで育ったが、両親が大学のキャンパスを探し回る勧誘員から「愛の爆撃(love bombed)」を受けた後だった。ストレイトは、「多くの家族があのホテルに住んでいた。そこから、人々が資金集めや布教活動に出かけた」と回想する。

統一教会は、若い男女を家族から引き離し、「洗脳(brainwashed)」されたとされる隔離されたキャンプに送り込むことで悪名高い存在となった(教会はこれを否定している)。しかし、改宗の熱意(zeal of conversions)は、心配した親族が「ディプログラミング(deprogramming)」と呼ばれる連れ出しを開始することを促し、双方に訴訟が相次いだ。文鮮明はまた、保守的な政治活動を支援し始めた。ウォーターゲート事件の最中には、全米の新聞にニクソン支持の全面広告を掲載し、連邦議事堂で「神はリチャード・ニクソンを愛している(God Loves Richard Nixon)」集会を開いた。文鮮明は魅力的な女性信者たちを派遣し、連邦上院議員たちを篭絡させ、情報を収集させた。そうした信者の1人は、カール・アルバート連邦下院議長の側近にまでなった。

20240404timeunificationchurch006
1974年、ホワイトハウスでリチャード・ニクソン米大統領と会談する文鮮明牧師。

20240404timeunificationchurch007

1981年10月22日、文鮮明牧師の巨大なポスターが経っている間にアメリカ国旗がいくつも立てられている。彼の信者たちが一団となってアメリカ連邦地方裁判所の外の公園でデモを行っ写真7た。

1976年、米連邦議会の調査により、文鮮明が、アメリカの対北朝鮮政策に揺さぶりをかけようとする韓国の諜報活動に関与していたことが明らかになった。1982年、文鮮明は脱税で有罪判決を受け、18カ月の禁固刑を言い渡された。文鮮明は自らを型破りな信仰のために迫害された殉教者に仕立て上げ、ジェリー・ファルウェルやティム・ラヘイなど、さまざまな市民的自由主義者や宗教保守派から支持を集めた。影響力を高めるため、文鮮明はワシントン・タイムズ紙を創刊し、その創刊号は文鮮明が有罪判決を受ける前日に発行され、ロナルド・レーガン大統領を含む保守派の間で必読の新聞となった。

文鮮明は信教の自由と反共の熱意を訴え、当時の冷戦の熱気の中で幅広い支持を得た。ラテンアメリカでは、米州社会統一連盟(Confederation of the Associations for the Unification of the Societies of the AmericasCAUSA)を設立した。アメリカ政府の情報筋によれば、CAUSAはコントラ反乱軍に現金と物資を送り、1980年に民主的に選出されたボリヴィア政府を転覆させた右派クーデターを画策した準軍事組織、コカインカルテル、逃亡中のナチス戦犯クラウス・バービー(「リヨンの虐殺者(Butcher of Lyon)」)といった多様な一団に資金を提供した。

冷戦が終結しても、文鮮明の並外れた政治的影響力を妨げることはなかった。1995年、ジョージ・HW・ブッシュ元大統領とバーバラ夫人は韓国の統一教会で、一連の有料講演を行い、その1年後、ブッシュはブエノスアイレスを訪れ、文鮮明が設立した新しい地域日刊紙『ティエンポス・デル・ムンド』の創刊式で演説した。その他の著名な仲間には、ジェラルド・R・フォード元大統領、共和党のジャック・ケンプ連邦上院議員、ミハイル・S・ゴルバチョフ、そして現在不祥事を起こしている芸能人のビル・コスビーなどがいる。2000年、文はパラグアイにデラウェア州とほぼ同じ広さの土地を購入した。地元の警察当局は、統一教会が武器や麻薬の密輸を容易にするためにこの土地を使用していると非難している。統一教会は、その土地での違法行為を認識していると述べているが、関与は否定しており、警察当局に協力していると主張している。

20240404timeunificationchurch008

2005年7月16日、パラグアイのタクアラで、プエルト・カサドの町のパラグアイ人たちが、文鮮明の統一教会が自分たちの地域で取得した土地の一部を、自給自足農業のために自分たちに引き渡すよう政府に圧力をかけるため、自宅から首都アスンシオンまで148km(91マイル)の行進に参加した。

統一教会の政治的結びつきが強まるにつれて、そのプロパガンダも直接的になっていった。2003年、ワシントン・タイムズ紙は見開き2ページで、亡くなった36人のアメリカ大統領全員が文鮮明の卓越性を認めていたと主張した。一方、トーマス・ジェファーソンは、墓の中から「全ての人々にとっての救世主である文鮮明師の教えに従え」という個人的な推薦文を書いた。翌年、ダークセン記念連邦上院議員会館で行われた華やかな式典には、少なくとも12人の米連邦議員が出席した。式典の中で、文鮮明は「戴冠式(crowned)」を行い、自らを「人類の救世主、救世主、帰天の主、真の親」と宣言した。また、数百名のゲストを前にして、イエス、仏陀、ヒトラー、スターリンは文鮮明の教えを通じて「生まれ変わり、新しい人間となった」と報告された。共和党のロスコー・バートレット議員は文鮮明と韓鶴子の前で一礼し、民主党のダニー・デイビス議員は文鮮明の頭に金の王冠を載せた枕を差し出した。2006年、ジョー・バイデン大統領の弟のジェームズは、甥にあたるジョー・バイデンの息子ハンターとともに、文鮮明の義理の息子であるジェームス・パークが設立したヘッジファンドを購入した。

しかし、舞台裏で全てが順調だった訳ではない。

1984年、文鮮明の次男文興進(Heung Jin Moon)が自動車事故による負傷がもとで亡くなった。17歳だった。1999年、もう一人の息子文榮進(Young Jin Moon)がリノの17階建てのホテルの部屋から飛び降り自殺した。一方、文鮮明の長男で後継者と目されていた文孝進(Hyo Jin Moon)は、飲酒、麻薬、無差別暴力を好む気まぐれな人物として知られていた。1995年、妻のナンスク・ホンさんは家族と決別し、文孝進をコカインとポルノ中毒の不倫女たらしで、妊娠7カ月の時も含め定期的に暴力を振るったとして非難する本を書いた。文孝進は2008年に心臓発作で亡くなった。45歳だった。両親が指導的立場の信者で、イースト・ガーデンの近くで育ち、現在は脱会した元信者であるテディ・ホースは、「成人した大人たちが、文鮮明の子供たちに頭を下げてかしずいてきたので、文鮮明の子供たちは、人々をおもちゃのように扱っていた。彼らはまさに反社会的家族だった」と述べている。

20240404timeunificationchurch009

1986年に撮影された文鮮明の家族写真。

文鮮明地位族の偶像崇拝(idolatry)は、一般信者の経験とは対照的である。攻撃的な資金集めは日本で最も深刻であるが、山上徹也の貧しい子供時代と似たような話は、統一教会の信者がいるところならどこでも見られる。ノルウェーのオスロでリリアン・ホルドフスが「本当に、本当に貧しく」育ったのは、母親が文鮮明に対して献身的に献金していたからだと彼女は言う。

文鮮明は、全ての先祖は地獄におり、信者たちは各世代の先祖を解放するために金を払わなければならないと教えていた。「天元(Cheon Won)」として知られる統一教会の韓国本部の公式ウェブサイトには、国に応じて価格が異なる「祖先解放」計算ツール(“ancestor liberation” calculator)さえある。先祖たちがいる世界は明らかにウェストファリア的な国家概念と現代のGDP指標に固執しているようだ。父系と母系の430世代の家族全員を解放するには、ノルウェーやアメリカでは1万2420ドルが必要だが、スーダンではわずか2280ドルで済む。ちなみに、日本では同じ偉業を達成するには652万円(約4万4800ドル)が必要だ。先祖を祝福したり、流産や中絶で失われた胎児の魂を解放したり、死ぬ前に自分の魂を事前に解放する機会には追加料金がかる。 ただし、先祖全員が既に救われている場合に限られる。

ホルドフスの母親は、先祖を救うことに執着し、リリアンが8歳から15歳までの間、毎晩学校が終わると子供たちを新聞配達に行かせ、家族のために現金を稼がせた。日曜日には、礼拝の前に新聞を配達するため、ホルドフスとその兄弟は朝4時にベッドから引きずり出された。そのお金は全て統一教会に献金された。リリアンは「学校では、教科書を読むのがとても遅かったことを覚えている。働いた後だったので、疲れて宿題をする気にもなれなかった」と述べている。

攻撃的な資金集め以外に、統一教会は手配された合同結婚式で最もよく知られている。1982年、マディソン・スクエア・ガーデンで2075組のカップルが文鮮明によって結婚式を挙げられ、花嫁はレースとサテンのガウンを、花婿は同じコバルト色のスーツを身にまとった。2012年、彼女がまだ17歳だったとき、リリアンの番が回ってきた。彼女は天元に送られ、文鮮明が生前に個人的に行った最後の集団「祝福」に参加することになった。文鮮明は彼女をドイツのニュルンベルクに住む20歳のイタリア人男性と引き合わせた。一目惚れという訳にはいかなかった。リリアンは「彼はすぐに私に悪い印象を与えた。『こんな人と結婚するなんてありえない』という感じだった」と語った。

20240404timeunificationchurch010

統一教会の指導者である文鮮明とその妻韓鶴子。1982年の元旦にマディソン・スクエア・ガーデンで2075組の信者の合同結婚式を挙行した。

しかし、リリアン・ホルドフスが結婚を取り止めようとしたとき、統一教会の関係者の一人が、リリアンがサインしたイヴェント参加の意思を示す契約書を見せた。リリアンは「彼女は私に腹を立て、私はとてもプレッシャーを感じた。だから、私は結婚の儀式に参加すると言わざるを得なかった」と述懐している。今日、リリアンは何が起こったかについてはっきりと語った。「私は人身売買された(trafficked)のです。私は成人として法的に自分のことを決めることができなかった。人身売買の疑惑について尋ねられたダンクリーは、強制的な行為の責任は参加者の親にあるとし、「大多数は信じられないよう茄子払い井経験をしている」と主張している。

リリアンは高校を卒業するためにオスロに戻ったが、卒業後、母親からドイツにいる新しい夫のもとに行くよう命じられた。リリアンは、「彼は精神的な虐待をする人で、私のことを馬鹿だ、ノロマだとの常に罵声を浴びせてきた。彼はまったく協力的でも共感的でもなかった」と述べている。

結婚後もリリアンの苦労は続いた。新しい夫に言われるまま、ホルドフスは8人のティーンエイジャーと一緒にヴァンに乗ってイタリア、スロヴェニア、ドイツを3ヵ月間にわたって回り、教会の資金を稼ぐために、グリーティングカードやろうそくなどの小物を一軒一軒売り歩いた。車内で寝ることもあれば、コミュニティセンターの床で寝ることもあり、まれにホステルの一室に詰め込まれることもあった。食料は、チームリーダーがスーパーマーケットで安いパン、ハム、チーズを買ってきて作ったサンドイッチだった。

リリアンは、「北イタリアの何もない小さな村で、文章が書かれた小さな紙切れ1枚ヲ渡されて、ヴァンから降ろされたことを覚えている。言葉も分からないし、本当にパニックになってしまった」と述べた。

毎朝、参加者全員がその日の自分の目標を述べさせられた。そして毎晩、リーダーたちに渡す前に、グループの前で自分の稼いだお金を数えなければならなかった。リリアンは次のように述べている。「私はたいてい1日に200ユーロ(230ドル)ほど稼いだ。私は稼ぎが良い方ではなかった。稼ぎが少ない人はティームの前で恥をかかされた。だから、もっともっと稼がなければならないというプレッシャーがあった」。資金集めに重点を置いたこの計画について尋ねられたダンクリーは、「実際はお金のためでもなく、むしろ、教育のためだ」と主張している。

20240404timeunificationchurch011

2022年7月29日、東京の日本外国特派員協会で行われた統一教会の活動に関する記者会見で、統一教会の歴史書と教団の聖典を提示する、全国霊感商法対策弁護団の山口広弁護士(左)と川井康雄弁護士(右)。

リリアンの経験は決して特別なものではない。ストレイトやホースを含め、アメリカの統一教会で育った子供たちは、高校卒業後1、2年の間、キーホルダーや風鈴のような意味のない小物を売る、当初は特別任務部隊(Special Task Force)と呼ばれた同様の計画に参加する。これは危険な仕事だ。2002年、18歳のジン・ジュ・バーンは、教会のためにコスチューム・ジュエリーを売っている最中に、シャーロットのアパートで性的暴行を受け殺害された。数年後、特別任務部隊はジェネレーション・ピース・アカデミー(Generation Peace Academy)に改名されたが、新型コロナウイルス感染拡大による封鎖中でさえ、毎年全米だけで約200人の若者を派遣し、高値のカレンダーや立体的な猫の写真を売り続けている。このアメリカのプログラムは、年間1000万ドル以上を売り上げていると推定されている。リリアン・ホルドフスは、「彼らはこのプログラムをとても美化している。私は、これが単なる労働者人身売買(labor trafficking)だと気づいた」と述べている。タイム誌の取材に対し、ダンクリーは再び人身売買の非難を否定し、集まった資金は「プログラムに投資されるか、地域社会に還元される」と述べた。

山口弁護士は、「統一教会がこうしたプログラムを行っているのは、若者はそれほどお金を持っていないので、代わりに自分の労働力を求めているからだ。害となるのは、若者たちが最も実り豊かな年月を無駄にさせられていることだ」と述べている。

不安障害や広場恐怖症などの精神的健康状態の悪化が5年続いた後、リリアンは夫に別れを告げてオスロに戻った。しかし、母親は大いに困惑した。リリアンは「母は私に『彼とよりを戻すべきだ』と言い続けた」と述べている。しかし、しばらくすると、母親は折れた。 「しかし、私が教会に行くたびに、母は私を単なる商品であるかのように、適当な年上の人と私を結び付けようとする」とリリアンは述べている。

リリアン・ホルドフスの精神状態は悪化し続けた。「彼らは、悪霊のようなおかしなものがあなたをコントロールしようとしていると信じている」とリリアンは述べている。「アルコールを一口飲むと、それはあなたの体への悪霊の侵入を招くことになると言ってくる。もう我慢できなかった」。結局、新型コロナウイルス感染拡大が彼女を助けてくれた。ロックダウンは物理的に教会の礼拝に出席しない口実を与え、オンラインで組織について調べ始める心の余裕を彼女に与えた。リリアンは、「統一教会は、なぜメンバーからそんなにお金が欲しいのか、疑問を持った。子どもの頃は『文鮮明一族の方々に私たちのお金が必要だ!』ということしか言われなかった」と述べている。

20240404timeunificationchurch012

1976年9月18日、韓国の伝道者である文鮮明牧師と統一教会が主催する「ゴッド・ブレス・アメリカ・フェスティバル」のためにワシントン記念塔の敷地に集まる群衆。

家族間の内紛で金庫の中の資金が目減りする中、統一教会は献金に重点を置いている。1998年、文鮮明は文顕進(プレストン、Hyun Jin Moon)に愛情を注いだ。プレストンは現在生き残っている彼の長男であり、元オリンピック馬術選手で、世界平和統一家庭連合(FFWPUI)の副会長である。2006年には、教会の資産を管理するためにワシントン D.C. に設立された非営利団体である国際統一教会 (Unification Church International UCI) の会長にも指名された。後継者としてのプレストンの将来は確実視されていた。

しかし、2008年、文顕進は両親に統一教会の方向性を批判する書簡を送った。これに応じて、文鮮明は文顕進(プレストン)に代わって、文亨進(ショーン・ムーン)をFFWPUIの副会長に任命した。同年、文鮮明の三女文仁進(タチアナ、In Jin Moon)がアメリカ統一教会総会長に任命された。文顕進は主流の組織から外れ、代わりに「平和構築への革新的で価値観に基づくアプローチ(an innovative, values-based approach to peacebuilding)」を促進するという明言された使命を掲げ、世俗的な非営利団体であるグローバル平和財団(Global Peace Foundation)を設立した。しかし、彼は個人的に厳選された理事会のおかげでUCI会長に留まり、2011年には関連のないスイスの財団に約5億ドルの資産を寄付したとして母親から訴訟を起こされた。この訴訟はアメリカの法廷で続けられており、9月26日にリークされたダンクレー牧師のズーム会議では、現在の「危機(crisis)」の1つとして挙げられていた。ダンクレーは、「これは家族の問題なので、私たちは時には態度を静観していたが、これ以上は沈黙を守っていられない」と述べた。

2012年の文鮮明の死後、権力闘争はエスカレートした。三女文仁進(タチアナ)は、不倫関係で子供を産んだことが明らかになり、母親韓鶴子から辞任を強要された(中傷者は韓鶴子がスキャンダルをリークしたと非難している)。翌年、韓鶴子はまた、ペンシルヴァニア州の田舎に世界平和統一サンクチュアリ教会[World Peace and Unification Sanctuary Church](ロッド・オブ・アイアン・ミニストリーズ[Rod of Iron Ministries]として知られる)を設立した文亨進(ショーン)の追放にも成功した。現在、サンクチュアリ教会で、文亨進(ショーン)は母親を「バビロンの売春婦(whore of Babylon)」と非難している。文顕進(プレストン)と韓鶴子は、タイム誌からの複数回のインタヴュー要請を断っている。しかし、文亨進(ショーン)は喜んでZoom通話に応じた。「父(文鮮明)は、後継者が誰であるかを明確にするためだけに、韓国で2回、アメリカで1回、計3回も私に王冠をかぶせた」と文亨進(ショーン)は憤慨する。

20240404timeunificationchurch013

2018年4月26日、ペンシルヴァニア州グリーリーのカー・アベニューにあるカー・アームズ社のトミー・ガン倉庫で撮影のためにポーズを取るカー・アームズ社のオーナー文國進(ジャスティン・ムーン、Justin Moon)。

20240404timeunificationchurch014

2018年4月26日、ペンシルヴァニア州マタモラスにある自宅で、金色のAR-15「鉄の棒」を持ってポーズを取る文亨進(ショーン)牧師。

韓鶴子の権力強化(consolidation of power)は友情、結婚、家族を引き裂く分裂を生み出した。信者のほとんどは、韓鶴子が率いる主流の統一教会に留まったが、文顕進(プレストンに従う者もいたし、文亨進(ショーン)の分派に加わった者もいた。文亨進(ショーン)はカール・アームズと呼ばれる小型武器会社の創始者であるもう一人の兄弟文國進(ジャスティン)と同盟を結んだ。2016年に開業したカール・アームズ社の、トミー・ガン倉庫ショールームでの開業式の主賓はエリック・トランプだった。文國進(ジャスティン)はこのイヴェントを利用して、出席者たちに「ヒラリー・クリントンは決して米大統領になるべきではないことに全員が同意できることを願っている」と語り、盛大な拍手を浴びた。

銃は、合衆国憲法修正第2条を神の祝福にまで高める、世界平和統一サンクチュアリ教会(ロッド・オブ・アイアン・ミニストリーズ)において決定的な役割を果たしている。老若男女の信者たちが礼拝中に銃器(通常はAR-15)を握りしめる一方、文亨進(ショーン)は弾丸の冠をかぶるようになった。彼は、父親(文鮮明)が1960年代から韓国の武器製造に投資していたと指摘する。それでも、子供たちに「同性愛の政治的課題(the homosexual political agenda)」を教え込む公立学校を非難する文亨進(ショーン)による、良く準備された派手な内容の説教は、南部貧困法律センターのヘイトウォッチから、ヘイトスピーチ指定を受けた。文亨進(ショーン)にとって、自由に対する最大の敵は国家であり、2020年の選挙はトランプから盗まれたものだと今でも堅く信じている。文亨進(ショーン)は、「歴史上、地球上で最大の虐殺を行った最も暴虐な勢力は、実際には中央集権的な全体主義政府である」と述べている。

現在、文亨進(ショーン)の分派は、政治的影響力においてその著名な前身団体に匹敵する存在となっている。定期的にフリーダム・フェスティヴァルを開催しており、保守的な共和党員からソーシャルメディア陰謀論者の著名人まで、右翼の講演者が多数集まる。極右過激派グループ「プラウド・ボーイズ(Proud Boys)」がブースを出展した10月7日と8日の最新イヴェントで、文亨進(ショーン)はステージ上で小児性愛者たち(pedophiles)を「木材破砕機(the wood chipper)」に入れることについて歌ったラップを披露した。このイヴェントでは、全性愛(pansexual)のプライド旗の焼却式と、元トランプ高官セブ・ゴルカのスピーチも行われた。これまでには、トランプ大統領顧問のスティーヴ・バノン、元NRA報道官のダナ・ロエシュ、ペンシルヴァニア州上院議員のダグ・マストリアーノが登場した。世界平和統一サンクチュアリ教会(ロッド・オブ・アイアン・ミニストリーズ)は最近、テキサス州ウェイコ近郊の30エーカーの土地と、テネシー州東部の山にある130エーカーの「トレーニングセンター」を購入したが、文亨進(ショーン)によると、そこが将来の本部となるということだ。1月26日、文亨進(ショーン)はトランプタワーのパーティーで、ドナルド・トランプ・ジュニアと元共和党大統領候補のヴィヴェク・ラマスワミと談笑する自分と文國進(ジャスティン)の動画をXに投稿した。

20240404timeunificationchurch015

2023年10月7日、ペンシルベヴァニア州ジーリーで毎年開催されるロッド・オブ・アイアン(鉄の棒)・フェスティバルの文國進(ジャスティン・左)と文亨進(ショーン・右)。このフェスティバルでは銃、トランプ前大統領、憲法修正第2条を祝う。

今日、統一教会の主流派とその分派は、アメリカの右派からの支持を競っている。リークされたダンクリーのズーム画像はまた、「ワシントン・タイムズの仕事を中心としたアメリカ における政治的影響力活動の活発化」を明らかにした。2022年8月12日、マイク・ポンペオ元CIA長官・元国務長官とニュート・ギングリッチ元連邦下院議長は、ソウルで開催された統一教会のフロント組織である万国平和連合(Universal Peace FederationUPF)のイヴェントで、文鮮明の没後10周年を記念して演説を行った。一方、トランプ元大統領はヴィデオメッセージを送り、文鮮明を「真のインスピレーション(true inspiration)」、韓鶴子を「驚くべき素晴らしい女性(amazing and wonderful woman)」と評した。財務記録によると、トランプは2021年から2022年にかけて、このヴィデオメッセージと他の2つのビデオ出演のために約250万ドルを受け取っており、マイク・ペンス前副大統領はUPFのイヴェントで講演するために55万ドルを受け取っていた。5月にも、トランプはUPFのイヴェントにヴィデオメッセージを送った。

ストレイトは、統一教会の指導者たちはこのようなお礼を払って受ける支持を「宣教の神性の証明(as proof of the divinity of mission)」と捻じ曲げて主張し、信者たちからより多くの献金を強要していると述べている。その効果は循環している。つまり、教会が寄付を募れば募るほど、知名度の高い後援者を集めるためにお金を費やすことができるという循環が出来上がっている。

これは日本から直接借用した戦略であり、犯罪も銃器もほとんどない日本で、統一教会のエスタブリッシュメントたちに守られた資金集めが安倍殺害に関与していると日本では言われている。現在、文鮮明一族は、世界で最も銃所有率が高く、一人当たり殺人率が日本の20倍を超えるアメリカで、同様の政治的隠れ蓑(political cover)、富、そして最も重要なことに人材の採用を進めている。ストレイトは次のように疑義を呈している。「力を行使できる人々が自分たちの人生をめちゃくちゃにしたことに子供たちが気づいたら、20年後には何が起こるだろうか? 更に大きな目標を狙った怒りの爆発が再び起こるだろうか?」

文鮮明一族の行く先々には悲劇がつきまとう。彼らの新しいアメリカでの冒険にも悲劇がつきまとうとしても、誰も驚かないだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。週刊ダイヤモンド2024年3月2日号にて、佐藤優先生にご紹介いただきました。是非手に取ってお読みください。

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 最近、名越健郎(なごしけんろう)著『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書、2019年)を読んだ。この本では、外国勢力、具体的には、アメリカ、中国、ソヴィエト連邦から、日本の各政党、自民党、民社党、社会党、共産党への資金提供があったことが書かれている。アメリカや旧ソ連などの公開資料を調べ、その中に出てくる日本の各政党への資金提供の文書を詳しく分析し、資金の流れを解明している。日本の政党が外国勢力から資金提供を受けることは法律で禁止されており、違法行為である。従って、外国勢力からの資金提供は非公式、秘密に行われた。

himitsushikinnosengoseitoushi001

秘密資金の戦後政党史

 自由民主党結党時(1955年)に、民主党系から出て、初代の幹事長となった(1956年末まで)のが岸信介だった。岸信介は、戦前に商工省に入省し、次官となった。国家総動員立案の中心的人物であった。満州国の産業政策を立案し、戦争開始時の東條内閣では商工大臣・無任所大臣兼軍需時間を務めた。敗戦後は、A級戦犯として逮捕されたが、後に釈放し、政界復帰を果たした。

岸信介は、1956年の石橋湛山との自民党初の党総裁選挙で敗れたが、1957年3月には石橋の病気退陣を受けて、自民党総裁、首相に就任した。1960年の日米安保条約改定で大規模な反対運動に遭い、安保改訂成立後に退陣したが、その後も日本政界で隠然たる力を保持した。80歳を超えた1979年まで代議士を務めた。戦前から戦後まで日本政界で影響力を保持し、「昭和の妖怪」と呼ばれた。

 戦後の岸信介につきまとったのは、CIAとの密接な関係、そして韓国発祥の統一教会、創始者である文鮮明との蜜月関係であった。外国勢力との関係が取り沙汰されてきた。『秘密資金の戦後政党史』によれば、岸信介と弟の佐藤栄作元首相といった人物たちが、自民党の資金不足を言い訳にして、アメリカ大使館の外交官やCIAの要員たちに資金提供を求めている。反共のためのアメリカの手先として利用されたのが岸信介だった。岸信介・娘婿の安倍晋太郎・孫の安倍晋三と続く、アメリカのCIAと統一教会との深いつながりは、下に掲載した東京新聞の記事の通りである。

 民社党はもともと社会党右派であったが、1959年末に参議院選挙敗北の責任をめぐって、社会党を脱党し、1960年に民社党が結成された。安保については条件付き賛成という立場を取った。民社党は、民間労組(同盟)を支持基盤として、中道路線を標榜したが、自民党よりも右寄りの姿勢を持つ野党であった。民社党にもCIAからの資金が入っていた。民社党首脳部は社会党在籍時からアメリカ大使館、CIAと特別な関係を結び、民社党結成後は、資金提供を受けた。現在の国民民主党は、20世紀の民社党のような存在だと考えるのが妥当である。民社党・同盟系の研修機関として設立された富士政治大学校にはCIAの資金が出ていたという説もある。富士政治大学校では、反共教育がなされていた。ここで教育を受けた民間労組の組合員たちが民社党の活動家にもなっていった。現在の連合の会長である芳野友子は、この富士政治大学校の強い影響を受けている。

また、ここで重要なのは、富士政治大学校を設置した、富士教育センター(民社党系)の理事長に、松下正寿という学者が就任していた事実である。松下正寿は政治学者であり、立教大学教授・立教大学総長を務め、民社党所属の参議院議員を務めた。松下は、統一教会の教祖である文鮮明に傾倒し、文鮮明を褒め上げる著書も書いている。富士政治大学校がどのような教育をしていたか、推して知るべし、である。民社党・同盟にはこのような統一教会との深い関係があった。それが現在も続いていると考えることが自然である。

 さて、ここからは私の考えたことである。日本が経済成長する前に、アメリカ(CIA)は日本に資金を提供し、「反共の防波堤」として成長させた。その後、経済成長を遂げた日本は、CIAに搾取される存在になった。CIAは、冷戦下、共産主義の拡大を阻止するために、反響を掲げる宗教団体である統一教会を利用した。統一教会の勢力を南米に拡大させ、共産主義勢力と競わせた。その際に、利用したのが、統一教会の日本人信者と資金である。以前放送された、TBSの「報道特集」で、統一教会の南米での拡大が取り上げられていた。日本人信者が大金を持って大挙して南米に向かったということが報告されている。これは、統一教会がCIAの意向を受けて動いていたことを示している。

 自民党と民社党という、日本の保守勢力にCIAと統一教会は深く浸透し、利用してきた。それは今も続いていると考えることが自然だ。その中心が、岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三の流れであり、安倍派(清和政策研究会)だった。日本の保守を標榜しながら、日本人と日本の資金を外国勢力に搾取されることを許してきたのがこの勢力だ。日本がアメリカの属国を止め、芯の独立を果たすためには、まずここを切開手術して明らかにして、切除しなければならない。

(貼り付けはじめ)

●「旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く」

2022817 0600分 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/196366

https://www.tokyo-np.co.jp/article/196366/2

 続々と明るみに出る国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。ただ、そもそもの話をお忘れではないか。安倍晋三元首相のケースだ。読み解くカギになるのが、いわゆる「スパイ防止法」。法制定を巡る経過をたどると、祖父の岸信介元首相、父の安倍晋太郎元外相、そして当人までの3代にわたり、教団系の政治団体「国際勝共連合」と共同歩調を取った過去が浮かんできた。政権中枢が絡んだ闇の深さこそ、目を向けるべきだ。(特別報道部・木原育子、中沢佳子)

◆岸信介氏「あるときは内密に…」

 「岸元首相は、本連合設立当初から勝共運動に理解を示し、陰に陽に支援、助言を行ってきた」

 勝共連合の機関紙「思想新聞」の1987816日付1面には、同月7日に亡くなった信介氏の評伝が掲載され、先の一文がつづられた。広辞苑によると、「陰に陽に」とは「あるときは内密に、あるときは公然と」の意。親密ぶりがうかがえる。評伝はこう続く。「スパイ防止法制定運動の先頭に立ってきた

 この法律は、防衛と外交の機密情報を外国勢力に漏らせば厳罰を下す内容だ。信介氏は並々ならぬ思いを持っていたようだ。

 57年に首相として訪米した際、米側から秘密保護に関する新法制定の要請を受けて「いずれ立法措置を」と応じていた。晩年の84年に「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」が発足すると、会長に就いた。

◆岸氏、勝共連合、そしてCIA

 勝共連合の「本気度」もすさまじかった。思想新聞によれば、78年には「3000万人署名」を行い、久保木修己会長は元検事総長や元最高裁判事、元韓国大使らとともに79年発足の「スパイ防止法制定促進国民会議」に参加。以後、勝共連合は全都道府県に下部組織をつくり、地方議会への請願運動を展開した。

 思想新聞も連日、「国会への圧力を強めていこう」などと喧伝けんでん。87年の元日紙面では漫画で同法を解説しており、左派と想定した人物を博士風の男性が論破する流れになっていた。

 日本のトップだった信介氏、韓国発祥の教団の流れをくむ勝共連合。スパイ防止法を求めたのはなぜか。

 「根本的にはCIA(米中央情報局)」と話し始めたのは、御年89歳の政治評論家、森田実さんだ。「アメリカの政策は今も昔も変わらない。反共で韓国と日本の手を結ばせ、アジアを分断しながら戦いを挑ませる手法だ」

 信介氏は「米共和党に最も近い人物」といい、旧ソ連と向き合う上で「日本の関連法制では整備が不十分という米側の意向をくもうとした」。勝共連合の方は「権力や金のために日本に食い込むには米側に取り入るのが一番早かった」。

◆晋太郎氏「自信たっぷりの笑顔で…」

 スパイ防止法を巡り、勝共連合と共同歩調を取ったのは晋太郎氏もだった。

 856月に自民党議員が法案を提出した時には外相で、このころの参院外務委員会では「審議について関心を持っている。そういう方向を打ち出すことも理解できる」と踏み込んだ。

 思想新聞を読むと、勝共連合関連の会合に党代表や来賓として再三参加しており、「自信たっぷりの笑顔で『スパイ防止法成立に積極的に取り組みたい』と述べました」と報じられた。

 その晋太郎氏は韓国と深い縁を持っていたようだ。

 「安倍三代」の著者でジャーナリストの青木理氏によると、晋太郎氏の地元、山口県下関市は古くから朝鮮半島との交流の要衝だった。釜山行きのフェリーが行き交い、今も韓国との玄関口。在日コリアンが多く暮らし、地元の有力な韓国系の実業家も晋太郎氏を支援してきた。

◆全ては朝鮮半島との関係の中に

 青木氏は「勝共連合の結び付きと土地柄は切り離して考えるべきだ」と念押ししつつ、「時代背景もあり、反共というイデオロギーを核に岸さんと旧統一教会が結び付き、晋太郎氏もそのまま引き継いだ事実は間違いない。戦前から戦中、戦後に続く朝鮮半島との関係の中に全てはある」と指摘する。

 晋太郎氏は1991年に亡くなった。信介氏の時と同じように、思想新聞は1面で評伝を掲載した。やはり、この言葉で悼んだ。

 「安倍氏はまた、故岸信介元首相や福田元首相と同様、陰に陽に本連合に対し支援、助言を行ってきた」

 85年提案のスパイ防止法案は野党の強い反発などもあり、このころに成立することはなかった。

 「世界情勢は成立へと推し進める流れになかった」。政治評論家の小林吉弥氏はそう話す。冷戦の終結や旧ソ連の崩壊があり「急いで成立させる必要性は薄れた」。信介氏が87年、晋太郎氏も91年と相次いで亡くなり、旗振り役が消えたのも一因という。

 晋太郎氏に関しては、力を振るいにくい状況もあった。「外相こそ務めたが、当時首相だった中曽根康弘氏とは党総裁選で競った間。田中派に担がれた中曽根政権で、福田派の晋太郎氏はさほど重きを置かれず、政権中枢と距離があった」(小林氏)

◆晋三氏の登場と「特定秘密保護法」

 晋太郎氏の死から15年たった2006年、晋三氏は首相に就いた。思想新聞はここぞとばかりに「スパイ防止法制定急げ」「法の再上程を」と必要性を訴える見出しを付けた。

 安倍晋三政権は07年、海上自衛隊の情報流出疑惑を機に、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を米国と結んだ。米国と協定を交わした国が秘密軍事情報を共有する際、米国と同レベルの秘密保護が求められる。

 短命の第1次政権後、晋三氏は12年末に返り咲いた。翌137月の参院選で衆参ねじれ国会が解消したのを受け、力に任せた政権運営を展開。衆参両院で採決を強行して成立させたのが「特定秘密保護法」だ。

 防衛や外交の機密情報の漏洩ろうえいを厳罰化する同法は当時、スパイ防止法との類似点が指摘された。知る権利を侵す危うさをはらむが、思想新聞は「安保体制が大きく前進した」と持ち上げた。その一方、諜報ちょうほう活動をより強く取り締まる内容を盛り込んだスパイ防止法を制定するよう促した。

◆「教団系は自民党のいたるところに」

 「晋三氏が秘密保護法を成立させたがったのは祖父、信介氏への思いの強さ、教団との関係性からかもしれない」

 旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏はそう推し量る。

 ただ、教団と必ずしも考えが完全一致していないとも。「秘密保護法は政府が探られたくないことを追及されないようにした。一方、教団がスパイ防止法で求めるのはより踏み込んだ内容。両者の関係はまだ分からないことが多い。さらなる解明が必要だ」と語る。

 名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)は、晋三氏が対米関係を考え、秘密保護法制定に動いたとみる。「スパイ防止法も秘密保護法も、政府による情報隠しを可能にし、戦争できる国づくりのための法。一気に進めると反発が大きいので、規制できる言動の範囲が限られる秘密保護法を足掛かりとしたのだろう」

 共同歩調が浮き彫りになった安倍家と教団系の過去。右派色の強い教団と一国の首相との関わりに、飯島氏は警鐘を鳴らす。

 「スパイ防止法が制定されれば、情報の入手はさらに制約される。基地監視はスパイ活動とされ、反基地運動が抑え込まれかねない。教団は自民党のいたるところに食い込んでいる。たださなければ、過去と似た動きが繰り返される」

◆デスクメモ

 陰に陽に勝共連合を支援したという晋太郎氏。死去から2年後、同じ山口県の選挙区から立候補したのが晋三氏だ。東京育ちで、選挙区との関わりは希薄。初当選を支えたのは父と縁深い面々だろう。では、勝共連合はどうか。恩返しのごとく、陰に陽に動いたのか。どうにも気になる。(榊)

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2024年のアメリカ大統領選挙の民主党予備選挙(民主党の候補者を決めるための選挙)に出馬表明したロバート・F・ケネディ・ジュニアについては、前回取り上げた。これからも少しずつ追いかけていきたいと思う。
robertfkennedyjr002

 ロバート・F・ケネディ・ジュニアはロバート・F・ケネディ元米司法長官・連邦所運議員の次男である。父のロバート・F・ケネディは兄であるジョン・F・ケネディを支え、ケネディ政権では司法長官(Attorney General)を務めた。兄ジョン・F・ケネディは1963年にテキサス州ダラスで暗殺された。その後は1965年からニューヨーク州選出の連邦上院議員となったが、1968年、大統領選挙運動中にロサンゼルスで暗殺された。兄弟そろっての暗殺、アメリカ政治の指導者層の暗殺ということで、今でも原因や実行の形態について、諸説が発表されている。
johnfkennedyrobertfkennedy001

ジョン・F・ケネディ(左)とロバート・F・ケネディ
 今回、アメリカ大統領選挙に出馬したロバート・F・ケネディ・ジュニアは、父と伯父の暗殺について、父ロバート・F・ケネディの暗殺については状況証拠の域を出ないとしながらも、伯父ジョン・F・ケネディについては証拠が山ほどにあり、それがCIAによる暗殺実行を示していると述べている。そして、伯父ジョンの暗殺の際の父ロバートが取った行動を明らかにしている。それによれば、ロバート・F・ケネディは兄ジョンの暗殺の一報を聞き、すぐにキューバ侵攻の際のリーダーとCIA長官に連絡を取り、「あなた方がやったのではないか」と質問したということだ。アメリカ政府が暗殺に関与もしくは実行したという直感をロバートは持ったということだ。そして、息子のロバート・F・ケネディ・ジュニアは、父の直感が正しかった、CIAが実行したのだということを主張している。
 ジョン・F・ケネディ、ロバート・F・ケネディの2人が暗殺された理由として、ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、「ヴェトナム戦争に反対したから」ということを挙げている。「軍産複合体に反対したので暗殺されたのだ」と述べている。ジョン・F・ケネディに関しては拙著『アメリカ政治の秘密』で、私はアメリカ介入主義を始めた人物だと分析している。ヴェトナム戦争に関しては、アメリカ軍の派遣を決定している(最初は軍事顧問団から)。しかし、その後の米軍の大量覇権と戦争の本格化、泥沼化を進めたのは、ケネディ暗殺後に副大統領から昇格したリンドン・B・ジョンソンだった。ジョンソンは軍産複合体の言うなりであったということは推察できる。こうして考えると、ケネディ・ジュニアの主張も一定の説得力を持つ。

 「(私の伯父ジョン・F・ケネディは)アメリカの大統領の仕事は、国民を戦争に巻き込まないようにすることだと言ったのだ」というケネディ・ジュニアの発言は明確に明快にアメリカ大統領の責任について述べている。この責任を果たしていない大統領が続いている。ケネディ・ジュニアがアメリカ軍の世界各地800の基地からの撤退を主張して大統領選挙に出馬した意義は大きい。

(貼り付けはじめ)

ロバート・ケネディ・ジュニアが彼の父親の「最初の直感」はCIAがジョン・F・ケネディ大統領を殺害したというものだったと発言(Robert Kennedy Jr. says father’s ‘first instinct’ was CIA killed JFK

ジュリア・シャペロ筆

2023年5月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/3995897-robert-kennedy-jr-says-fathers-first-instinct-was-cia-killed-jfk/

ロバート・ケネディ・ジュニアが、彼の父親(訳者註:ケネディ元大統領の弟のロバート・ケネディ)の「最初の直感」は、ジョン・F・ケネディ元大統領を殺害したのがCIAだというものだったと発言した。ロバート・ケネディ・ジュニアは大統領選挙民主党予備選挙に立候補したが当選の望みは薄い。

ケネディ・ジュニアは、彼の父親であるロバート・ケネディ元司法長官が、JFKが銃撃を受けたという情報を入手して最初に電話をしたのはCIAのある本部付の上級職員だったと述べた。

ケネディ・ジュニアは月曜日にフォックス・ニューズの番組「ハニティ」に主演した際に、「私の父(ロバート・ケネディ)はこの職員に向かって、『君たちがこれをやったのか?』と言った」と語った。

ケネディ・ジュニアは「父が次に電話したのは、エンリケ・ルイズ=ウィリアムズだった。彼はピッグズ湾事件の際のキューバン・ボーイズの一人だった。彼はうちの家族とそして父と非常に近しい関係にあった」と述べ、続けて「私の父は彼にも同じ質問した」と語った。

ケネディ・ジュニアは、彼の父親はそれから、当時のCIA長官ジョン・マコーンに電話をかけ、私邸に来るように依頼した。

ケネディ・ジュニアは「私がシドウェル・フレンズスクールから帰宅すると、父はジョン・マコーンと庭を歩いていて、父はジョンに同じ質問を投げかけていた。“私の兄をこんな目に合わせたのは、政府の人間たちなのか?”と。CIAが兄を殺したというのが、父の最初の直感だった」と語った。

民主党の大統領選挙予備選挙候補であるケネディ・ジュニアは最近、CIAがジョン・F・ケネディを殺したという権力者共同謀議説(conspiracy theory)への支持を表明したが、CIAはこの疑惑を繰り返し否定してきた。

日曜日、ケネディはラジオのトークショーのホストであるジョン・キャッテシマティディスとのインタヴューの中で、「JFK殺害にCIAが関与したことを示す証拠は多すぎるほどにある。現時点では、これは合理的な疑い(rational doubt有罪であることの判断が十分に確かかどうかを判断するときの考え方)を超えるものである」と述べた。

特に1979年の連邦下院委員会が、暗殺計画に関与した少なくとも2人の銃撃者と共謀者がいた可能性が高いと示唆した後、ケネディ暗殺はこの60年間、果てしない「陰謀論」を煽り続けてきた。

=====

ロバート・ケネディ・ジュニアがJFK暗殺にCIAが関与した「圧倒的な証拠」を見たと発言(Robert Kennedy Jr. sees ‘overwhelming evidence’ CIA involved in JFK assassination

スティーヴン・ニューカム筆

2023年5月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/3993563-robert-kennedy-jr-sees-overwhelming-evidence-cia-involved-in-jfk-assassination/

民主党の大統領選挙予備選挙の希望が薄い候補であるロバート・ケネディ・ジュニアは、叔父であるジョン・F・ケネディ元大統領の殺害にCIAが関与したという権力者共同謀議説(conspiracy theory)を支持し、その証拠は「圧倒的に(overwhelming)」あると主張した。

CIAが彼(JFK)の殺害に関与したという圧倒的な証拠がある」と、ケネディはニューヨークのラジオ局WABC770のジョン・カツィマティディスとの日曜日のインタヴューで語った。「現時点では合理的な疑い(reasonable doubt)を超えていると思う」と語った。

CIAは、1963年にダラスで行われたパレードでオープンカーに乗っている時に撃たれたケネディ元大統領の死に関与したという疑惑を繰り返し否定してきた。

この暗殺事件は、歴史上最も有名な「陰謀論」の根拠となった。

リー・ハーヴェイ・オズワルドがこの攻撃の狙撃手として公式に特定されたものの、暗殺の周辺では長年にわたって「陰謀論」が流布し、この攻撃に関連する追加の狙撃手や共謀者が存在したかどうかに疑念を投げかけている。

1979年、暗殺事件を調査するために開かれた連邦下院委員会は、科学的証拠を考慮すると、少なくとも2人の狙撃手が大統領を撃った可能性が高いと報告した。また、陰謀の結果として暗殺された可能性が高いと結論づけたが、2人目の狙撃手を特定することはできず、陰謀の範囲も特定できなかった。

ケネディ暗殺時のCIA長官ジョン・マコーンは連邦下院委員会で、オズワルドはCIAのエージェントではなく、CIAはオズワルドと連絡を取ったり、関係を持ったりしたことはないと証言している。委員会は、彼の証言はCIAのオズワルドに関するファイルによって裏付けられているとした。

ケネディ・ジュニアは日曜日のインタヴューで、1963年11月に伯父が殺されたのは、米軍をヴェトナムに投入するのを拒否したことと関係があることを示唆した。

「私の伯父が大統領だったとき、彼は軍産複合体(military-industrial complex)と情報機関(intelligence apparatus)に囲まれていて、彼らは常にラオスやヴェトナムなどで戦争するように仕向けていた。彼はそれを拒否した。アメリカの大統領の仕事は、国民を戦争に巻き込まないようにすることだと言ったのだ(the job of the American presidency is to keep the nation out of war)」。

インタヴューの中で、ケネディ・ジュニアは、1968年に大統領選のキャンペーン中にロサンゼルスで射殺された、彼の父親である元米司法長官ロバート・F・ケネディの殺害にCIAが関与しているのではないかという権力者共同謀議説も流した。

ロバート・ケネディ・ジュニアは、父の死にCIAが関与しているという証拠は「非常に説得力があるが、状況証拠から出ていない」と述べた。

「父の事件に関しては、私たちは、叔父の時のような本当に強力な文書証言の証拠を持っていない」とケネディは述べた。

ケネディは著名な反ワクチン運動活動家であり、先月、2024年の米大統領選挙で現職のバイデン大統領に対抗して民主党予備選挙に立候補すると表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカ政府はロシアによるウクライナ侵攻の可能性を掴んでいた。これまでアメリカが絡む大きな事件の場合、アメリカの情報・諜報機関は「事前にそうした大事件(テロ事件や戦争など)が起きるであろうことを事前に把握していたが、止められなかった」ということを繰り返している。2001年の同時多発テロ事件がまさにそうだった。今回の記事は、「アメリカの情報・諜報機関がロシアのウクライナ侵攻の意思を過小評価する一方で、軍事能力を過大に評価していた。一方で、ウクライナの抗戦意思については過小評価していた」という内容になっている。

 考えてみると、軍事能力についての評価は難しい。多くの場合、将兵の数、軍事予算、保有武器の種類と能力といった数字が軍事能力の判断基準となっている。そして、それは多くの場合、軍事能力を判断するのに妥当な基準である。しかし、やはり実践になってみないと分からないところがある。今回、ロシア軍がウクライナに侵攻し、キエフ近くまで侵攻しながら撤退を余儀なくされたが、それは欧米諸国からのウクライナに対する武器や物資の供与があったこともあるが、ウクライナ軍と国民の抗戦の凄まじさということもある。意思の部分については数字で判断することはできない。

 情報・諜報機関の情報収集・分析・判断は政策決定の大前提となる。今、アメリカの情報・諜報機関の最高責任者はアヴリル・ヘインズである。アメリカに複数ある情報機関や諜報機関を取りまとめる国家情報長官を務めている。ジョー・バイデン政権の政策の大前提となる分析と判断の最高責任者だ。バイデン政権はアフガニスタンからの撤退と今回のウクライナ戦争という2つの大きな外交政策において失敗している。アフガニスタンに大きな混乱を引き起こすということを過小評価していたし、今回のウクライナ戦争も早く片が付くとこちらも過小評価していた。それほどに政策策定と遂行は難しい。

 こうした失敗を基にして、組織や機構、教育などを見直し改善するということを、各国政府は繰り返している。「失敗から学ぶ」ということができるかどうか、これである。日本はどうであろうか。ノモンハン事件や日中戦争の泥沼化から何も学ぶことなく、失敗を隠蔽し、最高責任者を処分せず(中級クラスに苛烈な制裁を科す)、なあなあで済ます。これは日本の組織における宿痾ということになる。

 日本の組織における宿痾としては、情報・諜報を軽視するというものがある。これについては、この分野の名著である堀栄三著『情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記』を是非読んでもらいたい。堀元少佐は太平洋戦争中、大本営参謀部の情報将校として、アメリカ軍の情報収集と分析を行い、アメリカ軍の侵攻経路を割り出し、それがあまりにも的中するので「マッカーサー参謀」と呼ばれた人物である。彼の情報収集・分析の手法は興味深く、多くの方に参考になると思う。

 話はそれたが、情報・諜報の収集、分析、判断というのは非常に難しい作業であり、その多くは間違う。それについて改善の努力を不断に行っていくことが重要ということになる。

(貼り付けはじめ)

アメリカの複数のスパイ機関がウクライナとロシアについて何を間違ったについて見直し(U.S. spy agencies review what they got wrong on Ukraine and Russia

-アヴリル・ヘインズ国家情報長官が公聴会で証言

ノマーン・マーチャント、マシュー・リー筆

『ロサンゼルス・タイムズ』紙(AP通信)

2022年6月4日

https://www.latimes.com/world-nation/story/2022-06-04/american-spy-agencies-review-their-misses-on-ukraine-russia

ワシントン発。ロシアが2月末にウクライナ侵攻を開始する数週間前、アメリカの情報・諜報機関関係者に向けて行われた非公開のブリーフィングで、この質問が投げかけられた。「ウクライナの指導者ヴォロディミール・ゼレンスキーは、イギリスのウィンストン・チャーチルやアフガニスタンのアシュラフ・ガーニのような人物だろうか?」

言い換えるならば、「ゼレンスキーは歴史的なレジスタンスを率いるのか、それとも政権が崩壊して逃げるのか?」ということだ

究極的に言えば、アメリカの情報・諜報機関は、ウラジミール・プーティン大統領の侵攻を正確に予測しながらも、ゼレンスキーとウクライナを過小評価し、ロシアとプーティン大統領を過大評価したのである。

しかし、ウクライナの首都キエフは、アメリカが予想したように数日では陥落しなかった。そして、アメリカのスパイ機関はウクライナのレジスタンスを支援したと評価されているが、現在彼らは、特に昨年のアフガニスタンでの判断ミスの後、事前に何が間違っていたかを見直すよう党派を超えた圧力に晒されている。

情報当局関係者たちは、外国政府の戦意と能力をどのように判断しているかについての見直しを始めた。この見直しは、アメリカの情報・諜報機関がウクライナで重要な役割を果たし続け、ホワイトハウスがウクライナへの武器供給と支援を強化し、プーティンがエスカレートしていると見なし、ロシアとの直接戦争を回避しようとする中で行われている。

バイデン大統領が率いる政権は、ウクライナが長年望んでいた兵器であるハイテク中距離ロケットシステムを少量供与すると発表した。2月24日の開戦以来、ホワイトハウスはドローン、対戦車・対空システム、数百万発の弾薬の輸送を承認してきた。アメリカは情報共有に関する初期の制限を解除し、ウクライナがロシア海軍の旗艦を含む重要な標的を攻撃するために使用する情報を提供している。

民主、共和両党の連邦議員たちは、プーティンが侵攻する前にアメリカがもっと手を打てたのではないか、ホワイトハウスはウクライナの抵抗力を悲観的に評価し、支援を控えたのではないか、と疑問を呈している。メイン州選出無所属連邦上院議員アンガス・キングは、先月の連邦上院軍事委員会の公聴会で、「予測についてもっとよく把握し対応していれば、もっと早くウクライナ人を支援することができたはずだ」と発言している。

連邦下院情報委員会の共和党側トップであるオハイオ州選出のマイク・ターナー連邦下院議員は、ホワイトハウスと政権幹部たちが「不作為を助長するような形で、状況に独自の偏見を投じた」と考えているとあるインタヴューに答えた。

連邦上院情報委員会は先月、国家情報長官室に非公開書簡を送り、情報・諜報機関がウクライナとアフガニスタンの両方をどのように評価したかについて質問している。CNNがこの書簡について最初に報じた。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官は5月、連邦議員らに対し、国家情報会議が情報機関の「戦う意志」と「戦う能力」の両方をどう評価するかを見直すと述べた。この2つの問題は「効果的な分析を行うにはかなり困難であり、そのための様々な方法論を検討している」とヘインズは述べた。

委員会の書簡より前に始まったこの見直しのスケジュール表については発表されていないが、関係者たちは既にいくつかの誤りを確認している。戦前の評価に詳しい複数の関係者が、機密情報を話すために匿名を条件にAP通信の取材に応じた。

ロシアはその大きな優位性にもかかわらず、ウクライナに対する制空権を確立できず、戦場での通信手段の確保といった基本的な任務でも失敗した。アメリカの推計によると、ロシアは数千人の兵士と少なくとも8から10名の将官を失ったということだ。ロシア軍とウクライナ軍は現在、ウクライナ東部で激戦(fighting in fierce)を展開しており、アメリカや西側諸国が予想したロシアの迅速な勝利とは程遠い状況である。

ロシアは最近、いくつもの代理戦争に参加することはあったが、1980年代以降、大規模な陸上戦争を直接戦ったことはなかった。そのため、ロシアについて見積もられたそして、一般に発表された能力の多くが試されておらず、大規模な侵攻でロシア軍がどのように機能するかを評価するのは難しいと一部の関係者は述べている。ロシアの武器輸出産業は活発であるため、モスクワはもっと多くのミサイルシステムや飛行機を配備する準備ができているだろうと考える人もいた。

アメリカは公に警告したが、ロシアは今のところ化学兵器や生物兵器を使用していない。ある政府高官は、アメリカは化学兵器による攻撃について「非常に強い懸念」を持っているが、ロシアはそのような攻撃をすれば世界的な反発が大きくなりすぎると判断したのだろうと指摘した。ロシアがウクライナやアメリカの同盟諸国に対してサイバー攻撃の波紋を広げるのではないかという懸念は、今のところ現実にはなっていない。

その他にも、部隊将兵の士気の低さ、薬物やアルコールの乱用、部隊を監督し司令官からの指示を伝える下士官の不足など、ロシアの問題はよく知られていた。

国防総省に属するアメリカ国防情報局長官を務めたロバート・アシュレイ元陸軍中将は、「これらのことは全て分かっていた。しかし、最も単純な作戦を実行しようとした時、その全てが圧倒されるということが、連鎖的に起こってしまった」。

国家情報主席副長官を務めたスー・ゴードンは、アメリカのアナリストたちはロシアの軍事・サイバーに関する武器やツールの在庫を数えることに依存しすぎていた可能性があると指摘した。

ゴードンは、情報関係の出版社サイファー・ブリーフ社が主催した最近のイヴェントで、「結果を評価する際に、能力とその使用は同じではない、という考え方について少し学ぶことになるだろう」と述べた。

ゼレンスキーは、ロシアが彼を逮捕または殺害しようとするティームを送り込んできても逃げなかったことで、世界中から称賛を浴びている。しかし、戦争が始まる前、ワシントンとキエフの間には、侵略の可能性やウクライナの準備が整っているかどうかについて緊張関係があった。この論争に詳しい人物によれば、アメリカはウクライナがキエフ周辺の防衛を強化するために西側から軍を移動させることを望んでいたことが論争の火種となっていたということだ。

戦争勃発直前まで、ゼレンスキーとウクライナ政府高官たちは、パニックを鎮め、経済を守るためもあって、侵略の警告を公然と否定していた。あるアメリカ政府高官は、経験の浅いゼレンスキーが自国の直面しているレヴェルの危機に対処できるかどうか疑問だったと述べた。

アメリカ国防情報局長官のスコット・ベリエ陸軍中将は3月、「私の考えでは様々な要因から、ウクライナ人は私が考えるほど準備ができていなかった。だから、彼らの戦う意志を疑っていた。彼らは勇敢に、立派に戦い、正しいことを行っているのだから、私の評価は間違っていたということになる」と述べた。

ベリエは5月、自身の見解と情報・諜報機関全体の見解とに距離を置き、「ウクライナ人に戦意がないとする評価はなかった」と述べた。

ウクライナ戦争の前にウクライナの決意を示す十分な証拠があった。ロシアによる2014年のクリミア併合と、東部ドンバス地方での8年にわたる紛争は、モスクワに対するウクライナ国民の意識を硬化させた。ウクライナ軍は、アメリカから何年にもわたって訓練と武器の輸送を受けており、サイバー防衛の強化も支援されていた。

アメリカの情報・諜報機関は、ウクライナのレジスタンスに対する強い支持を示唆する民間の世論調査を見直した。国境近くのロシア語圏の都市ハリコフでは、市民が銃の撃ち方を学び、ゲリラ戦の訓練をしていた。

連邦下院情報委員会のメンバーであるブラッド・ウェンストラップ下院議員(オハイオ州選出、共和党)は、2021年12月のウクライナ訪問中にウクライナ人の決意を目の当たりにした。ドンバスの前線では、モスクワに支援された分離主義勢力が2014年からウクライナ政府軍と戦っており、参加者は前日に死亡したウクライナ人兵士の名前を読み上げた。

ウェンストラップは「それは、彼らが戦う意志を持っていることを私に示した。これは長い間、醸成されてきたものだ」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 バイデン政権の国家情報長官(Director of National IntelligenceDNI)にアヴリル・ヘインズが就任した。ヘインズについては、このブログでも再三取り上げている。
avrilhaines101
アヴリル・ヘインズ

ヘインズはオバマ政権第二期目の2013年から2015年まで、中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)の副長官(Deputy Director、長官はジョン・ブレナン)を務め、2015年から2017年までは国家安全保障問題担当次席大統領補佐官(Deputy National Security Advisor、補佐官はスーザン・ライス)を務めた。私の最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げている。

 ヘインズについては批判も多く出ている。オバマ政権のCIA副長官時代の2015年、連邦上院情報・諜報委員会のコンピューターにCIA職員がハッキングを行ったという事件が起きた。委員会ではCIAが行った拷問についての報告書を作成中だった。その内容を知ろうとしての犯行だった。この行為に対して、ヘインズは処分を行わなかった。また、ドローンを使ったテロ容疑者の殺害にもゴーサインを出したが、その法的根拠をめぐって批判を浴びた。ヘインズは違法行為をいとわない、肝の据わった人物だ。

 ヘインズが対中・対露諜報活動を牽引する役割を果たすことになるだろう。バイデン政権の強硬姿勢の前提となる、情報・諜報を提供する。

(貼り付けはじめ)

連邦議事堂襲撃事件がバイデン政権の「スパイの親玉」の公聴会の質疑の大部分を占めた(Capitol Assault Dominates Hearing for Biden’s Spy Chief

-アヴリル・ヘインズは情報・諜報の分野から政治を遠ざけると公約した。

エイミー・マキノン筆

2021年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2021/01/19/avril-haines-spy-chief-cia-hearing-capitol-assault/

アメリカ大統領選挙当選者ジョー・バイデンの大統領就任式の前に、ワシントンでは暴動や襲撃に備えて警備が厳重になっている。そうした中、バイデン政権の国家安全保障ティームの主要メンバーの人事承認のための公聴会が連邦議事堂で火曜日、開催された。

連邦上院情報・諜報特別委員会による公聴会の中で、連邦上院議員たちがアヴリル・ヘインズと質疑応答を行った。ヘインズはバイデンから国家情報長官(director of national intelligence)に指名された。ヘインズに対しては、中国からイランとの核開発をめぐる合意、ソーラーウインズ社が提供したソフトを利用した連邦政府の諸機関に対するハッキング事件などが質問された。ヘインズはまた水責めについて拷問だと主張した。

ヘインズはオバマ政権でCIA副長官を務めた。ヘインズは、「大統領に真実を告げる(speak truth to power)」こと、トランプ政権下で情報・諜報部門が政治の道具にされたがこれを終わらせることを約束した。ヘインズは「我が国の情報・諜報部門の誠実さを守るため、情報・諜報に関する限り、政治が介入する余地はどこにもない、全くないということを強く主張しなければなりません」と述べた。ヘインズの冒頭での発言ではまた、説明責任を果たすために、内部告発者と監察官の存在の重要性を強調した。

国家情報長官はこれまで外国の情報や諜報に集中してきた。しかし、1月6日の連邦議事堂での事件について、今回の公聴会では長い時間が割かれた。ヘインズは、国内で拡大した過激派諸グループの外国とのつながりを調査すること、海外での急進諸グループとの戦いで情報・諜報部門が得た教訓を共有することを約束した。ヘインズはまた、Qアノンの陰謀論による脅威について公的な評価を行うにあたり、FBIと国土安全保障省と協力することも約束した。

民主、共和両党の議員たちは、徐々に対決姿勢を示している中国による脅威、テロリズム、特に中東におけるテロリズムとの数十年の苦闘という脅威に対しての懸念を表明した。

情報・諜報に関しての質疑の中で、ヘインズは「中国は敵(adversary)だ」が、気候変動といった問題については協力する余地があるという発言がなされた。「私の人事が承認されたら、私はこの問題について人材や資源が適正に配分されるようにすることを第一にしていきたいと思います」とヘインズは述べた。

連邦上院議員たちは、ヘインズの「ウエストエグゼクト・アドヴァイザーズ」社の在職時の仕事について質問した。この会社は2017年にアントニー・ブリンケンとミッシェル・フロノイによって創設されたコンサルタント会社だ。ブリンケンはバイデンが国務長官に指名した人物だ。フロノイは国防長官の候補者として名前が挙がった人物だ。ヘインズや同社の役員を務めたが、議員たちの中には、同社が顧客リストの提出を拒絶したために、ヘインズの仕事についての関心が高まった。ヘインズはウエスト社在職中に、外国の企業や組織、政府に対してコンサルタント業務を行ったことはないと確言した。しかし、ウエスト社在職中ではない時期に、あるフランスの民間企業の顧問を務めたことは認めた。

ヘインズはまた、『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストだったジャマル・カショギの殺害事件に関する機密指定を受けていない報告書を公開すると約束した。トランプ政権は、2019年に連邦議会が可決した、殺害事件に関する報告書には国家情報長官の決定が必要とする法律を無視した。

ヘインズは公聴会で元国家情報長官ダン・コーツから紹介を受けた。コーツはドナルド・トランプ大統領と、ロシアと北朝鮮に関する情報・諜報に対する評価をめぐり衝突し、2019年に辞任した。コーツは共和党所属の連邦上院議員だった経歴を持つ。コーツはヘインズについて、「次期国家情報長官に必要な能力、適性、経験、リーダーシップの全てを持っている」と述べた。続いて、彼女が政府に入るまでのユニークな経歴について詳しく述べた。柔道を学ぶために日本で1年間過ごしたこと、シカゴ大学で理論物理学を学んだこと、配偶者とはニュージャージー州での飛行機操縦学校で出会ったとことなどが紹介された。その後、ヘインズは書店を開き、弁護士となり、国務省と連邦上院外交委員会の法務担当アドヴァイザーを務めた。その当時の外交委員長がジョー・バイデンだった。

ヘインズの起用は、トランプ政権での国家情報長官起用と対照的なものである。国家情報長官は2001年の911事件の後に、アメリカの18の情報、諜報機関全体を監督する目的で創設されたポストである。トランプは政界における忠実な人物であるリチャード・グレネルとジョン・ラトクリフを情報・諜報専門のトップの大統領補佐官に起用した。連邦上院が承認すれば、ヘインズは初の女性国家情報長官となる。ヘインズの最初の仕事は情報・諜報の各機関の士気を高めることだ。これらの機関はトランプやトランプの支持者たちによって弱体化され、攻撃された。

しかし、政権移行が円滑に進まなかったために、いくつかの問題で情報が与えられていない。ヘインズは、「ソーラーウインズ」社のハッキング被害事件に関して機密情報が与えられていないと述べた。この事件では多くのアメリカ政府機関が被害を受け、捜査当局はロシアが関与していると発表した。

ヘインズは連邦上院国防委員会委員長に内定している、情報・諜報委員会のメンバーであるジャック・リード連邦上院議員に、「このことについて私はもっと多くのことを知らねばなりません」と述べた。

(貼り付け終わり)
akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001
悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ