古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:CIA長官

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、トゥルシー・ギャバード元連邦下院議員(ハワイ州っ選出、民主党)を国家情報長官に指名し、第一次トランプ政権で国家情報長官を務めた(2020-2021年)ジョン・ラトクリフをCIA(中央情報局)長官に指名した。
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ドナルド・トランプとトゥルシー・ギャバード
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ドナルド・トランプとジョン・ラトクリフ

 ギャバードとラトクリフは共に連邦下院議員を務め(ギャバードは2013から2021年まで4期、ラトクリフは2015年から2020年まで3期)、所属政党は違ったが、同じ時期に同僚だった。国家情報長官はCIAを始めとする政府機関の情報・諜報分野の18の部局(司法省所属のFBI[連邦捜査局]や国防総省のDIA[国防情報局]など)を統括する役職である。CIAはアメリカ国内、そして国外の情報収集や分析、そして諜報活動を行う部局である。情報・諜報分野の統括とスパイマスターに、トランプ次期大統領は自身への忠誠心が高く、情報・諜報機関について全面的な支持を与えない人物たちを持ってきた。

 興味深いのは、ギャバードの指名とラトクリフの指名に関する別々の声明の中で、「強さによる平和(Peace through Strength)」という言葉をトランプが使ったことだ。「強さ」が「平和」をもたらすという考えを示しているが、情報・諜報分野に似つかわしくない言葉であるとも考えられる(国防分野ならば適当だ)。私はここで、トランプがギャバードとラトクリフに求めているのは、両者があらゆる方面からの様々な批判に負けずに、外国への介入、体制転換、戦争誘発などを行ってきたこうした、アメリカ政府の情報。諜報諸機関に大きな変革をもたらすことだと考えている。外国との関係で危機感を煽り、外国で戦争を誘発してきた諸機関は、「アメリカ・ファースト」に反する存在である。4年間という時間しかないが、情報・諜報機関を改革することで、「アメリカに平和をもたらす」というトランプ次期大統領の決意が見て取れる。

 ギャバードにしても、ラトクリフにしても、民主党側、特に民主党エスタブリッシュメントにとっては都合の悪い人物であり、早くも2人の起用に関しては批判が起きている。それはそれだけ、アメリカの情報・諜報機関を壟断してきた勢力にとって2人が都合の悪い人物であることを示している。ギャバードとラトクリフはウクライナ戦争停戦、イスラエルの戦争拡大阻止、そして、現状の核戦争までの深刻化阻止(核戦争阻止)を行うために良い人材ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

トゥルシー・ギャバ―ドについて知られていること:バーニー・サンダース支持者からトランプの国家情報長官指名へ(What to know about Tulsi Gabbard: From Bernie backer to Trump intel nominee

コリン・メイン、レベッカ・ベイッチ筆

2024年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/4990621-tulsi-gabbard-trump-nomination/

トゥルシー・ギャバードのドナルド・トランプ次期大統領からの国家情報長官への指名は、進歩主義的なバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)とともに歩んできた旋風的な国政キャリアの新たな章を開くものだ。

軍での輝かしいキャリアとハワイ州選出の連邦下院議員4期を経て、ギャバードは2020年に民主党の大統領候補指名を目指し、進歩主義的な綱領を掲げて、アメリカの対外戦争への関与に反対した。その2年後、ギャバードは民主党からの離党を表明し、今年8月にはトランプを大統領候補として支持した。

ギャバードは当時、トランプを「戦争は最後の手段と考え、平和の追求のために敵対国、独裁者、同盟国、パートナーとも会談する勇気を持つ(having the courage to meet with adversaries, dictators, allies and partners alike in the pursuit of peace, seeing war as a last resort)」と称賛し、バイデン政権がアメリカを「世界中の地域で複数の前線で複数の戦争に直面し、かつてないほど核戦争の瀬戸際に近づいている(facing multiple wars on multiple fronts in regions around the world and closer to the brink of nuclear war than we ever have been before)」と非難した。

トランプ次期大統領は水曜日の声明で、「トゥルシーは、その輝かしいキャリアを特徴づけてきた恐れを知らない精神(fearless spirit)を私たちの情報機関にもたらし、私たちの憲法上の権利を擁護し、“強さによる平和(Peace through Strength)”を確保してくれるだろう」と述べた。

国家情報長官オフィスを率いるギャバードは、18の情報・諜報機関全てからの情報にアクセスし、国家安全保障問題について大統領に助言することで貢献することになる。

リンクトインの個人ページによると、ギャバードはまだ陸軍予備役に在籍し、階級は中佐だという。ハワイ州兵に所属していた彼女は、2004年から2005年までイラクの医療部隊に勤務しており、その経験が干渉反対の姿勢(anti-intervention stance.)の指針となったと彼女はよく指摘している。

ギャバ―ドはジョー・バイデン政権のウクライナ支援を激しく批判しており、戦争に関するロシアのプロパガンダのオウム返しをしているだけだと非難されてきた。しかし、民主党所属の連邦下院議員時代にはトランプ大統領にも批判的で、CNNでアメリカがイランのカセム・ソレイマニ将軍を暗殺したことを「違法で違憲な戦争行為(illegal and unconstitutional act of war)」と呼んだ。

連邦上院で人事承認されれば、ギャバードは間もなくトランプ大統領の命令と政策課題の遂行を支援する任務に就くことになる。彼女の異例の政治キャリアについて知っておくべきことは以下の通りだ。

(1)政治的な大変化(Political transformation

ギャバードは2012年に連邦下院議員に初当選し、その4年後には、ヒラリー・クリントンに対抗して大統領選に出馬したバーニー・サンダースを支持する連邦下院議員として最も注目を集め、選挙における党の公的中立という方針を打ち破った。

彼女は当時、民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の副委員長でもあったが、サンダースを支持するためにそのポストを辞任した。

ギャバードは、サンダース支持と民主党全国委員会からの離脱について、「私たちに多大な犠牲を強いてきた介入主義的な体制転換政策(the interventionist, regime change policies)を終わらせなければならないという私の強い信念に関して、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース両候補の間には明確なコントラストがある。これは単なる “問題(issue)”ではない」と、書いている。

ギャバードは最終的に、2016年の大統領選挙ではトランプではなくクリントンに投票すると述べた。

2019年、ヒラリー・クリントンがポッドキャストで、ロシアがギャバードを有力な第三党候補として 「グルーミング(grooming)」していると示唆した後、サンダースはギャバードを擁護した。

当時、サンダースは「トゥルシー・ギャバードはこの国を守るために命を懸けてきた。諸問題については人々の意見が異なる可能性があるが、トゥルシーが外国にとって利用価値のある資産であると示唆するのは言語道断の行為だ」と述べた。

ギャバードは2年前の民主党離党について、対外戦争を挙げながらも、民主党が「反白人人種差別(anti-white racism)」と「卑劣な覚醒(cowardly wokeness)」を煽っていると非難した。

ギャバードは2022年10月のヴィデオ声明の中で、「あらゆる問題を人種差別の問題とすることで私たちを分断し、反白人人種主義を煽り、私たちの神から与えられた自由を弱体化させることに積極的に取り組む、臆病な覚醒(cowardly wokeness)に突き動かされた、好戦主義者のエリート集団(elitist cabal of warmongers)の完全な支配下にある今日の民主党に、私はもはやとどまることはできない」と述べた。 

ギャバードとロバート・F・ケネディ・ジュニアは、2024年選挙戦の最後の数ヶ月間、トランプとともにキャンペーンを展開した、最も目立つ元民主党員となった。

ギャバードは8月にウィスコンシン州ラクロスでトランプを招いてタウンホールミーティングを開き、選挙戦の最終盤にはマディソン・スクエア・ガーデンでの集会に登壇した。

(2)対ロシア姿勢(Russia stance

ギャバードには、民主、共和両党に警戒心を抱かせるような虚偽の主張やロシアの言説を持ち上げてきた経歴があり、彼女の人事承認手続き中にそのことがクローズアップされる可能性が高い。

2022年、ギャバードはウクライナにある「アメリカが資金を提供する複数のバイオラボ(U.S.-funded biolabs)」について「致命的な病原体(deadly pathogens)」を拡散させる恐れがあると警戒感を示した以前のヴィデオの内容を撤回し、その後、ウクライナで生物兵器が開発されているとは「確信を持っていない(not convinced)」と述べた。

当時の国務省は、クレムリンが「アメリカとウクライナが、ウクライナで化学兵器や生物兵器の活動を行なっているという全くの嘘(outright lies that the United States and Ukraine are conducting chemical and biological weapons activities in Ukraine)」を流していると指摘した。

そのため、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)とギャバードは対立し、ロムニー議員はギャバードを「ロシアのプロパガンダのオウム返し(parroting Russian propaganda)」だと非難し、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう(treasonous lies may well cost lives)」と述べた。

2022年、ギャバードはまた、ジョー・バイデン政権が、ロシアがウクライナに侵攻する際、ロシアの懸念に対処しなかったことを非難した。

「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。

2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。

(3)シリア訪問(Syria visit

ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問したが、これが報じられた際にも反発を引き起こした。

ギャバードは、ロシアの同盟国であるシリアのアサドとの会談を、この地域に平和をもたらすための努力であるとした。

ギャバードは当時、「シリアの人々を苦しめているこの戦争に終止符を打つことができる可能性があるのなら、私たちは誰とでも会談する用意があると考える」と語った。

この会談は、彼女の同僚議員たちの怒りを引き起こした。

「アメリカの代表である選挙で選ばれた公務員が、50万人近くの自国民を殺害した残忍な独裁者に会うために秘密の旅行に出た。これは非難すべきことであり、正当化することはできない」とアダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)(当時)は述べた。

2020年の大統領選に出馬する際、ギャバードはアサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。

「シリアはアメリカにとって直接的な脅威ではないので、アサドはアメリカの敵ではない」とギャバードは選挙戦で語った。

(4)スノーデンの擁護者(Snowden advocacy

ギャバードは2020年、トランプ次期大統領が司法長官に指名したマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)と組み、2013年に国家情報機関の機密資料を大量にリークし、過去10年間をロシアで過ごしたエドワード・スノーデンに対する告訴の取り下げを求める連邦下院決議案を提出した。

その1年前の大統領選出馬の際、ギャバードは、ジョー・ローガンのポッドキャストでのインタヴューでこの問題について語った。

ギャバードはローガンに対して、「スノーデンがいなければ、アメリカ国民はNSAが電話記録を収集し、アメリカ人をスパイしていることを知ることはなかっただろう。私は大統領として、私たちの自由と解放への脅威を暴露する内部告発者たちを保護する」と述べた。

トランプ大統領の1期目の終わりに、ギャバードは大統領に対してスノーデンの恩赦(pardon)を求めた。

「あなたが人々に恩赦を与えるのであれば、多大な個人的犠牲を払ってディープ・ステートのために働く人間たちの欺瞞と犯罪性を暴いた人々を恩赦することを考えていただきたい」と彼女はXの投稿で述べ、特にスノーデンに言及した別の投稿にコメントした。

トランプ大統領はこれまで、大統領就任前にスノーデンを「裏切り者(traitor)」「処刑されるべきスパイ(spy who should be executed)」と呼んでいたが、2020年10月には恩赦に前向きであることを示唆した。

トランプは当時の記者会見で、「多くの人々がいる。そして、それは判断が分かれるようだ。多くの人々が、彼はどうにかして別の扱いを受けるべきだと考えているし、他の人々は、彼は非常に悪いことをしたと考えている。私はスノーデンの恩赦についてよく検討するつもりだ」と述べた。

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ワッサーマン=シュルツがギャバードについて「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い」と発言Wasserman Schultz says Gabbard ‘likely a Russian asset’

by Juliann Ventura - 11/15/24 3:17 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/4993196-wasserman-schultz-says-gabbard-likely-a-russian-asset/

デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は、ドナルド・トランプ次期大統領が国家情報長官に指名したトゥルシー・ギャバード元連邦下院議員について「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い(likely a Russian asset)」と述べた。

ワッサーマン=シュルツは金曜日、MSNBCで、「彼女がロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い人物だと私が考えることに疑問の余地はない」と述べた。

本誌はギャバードの広報担当ティームに連絡を取り、コメントを求めた。

ワッサーマン=シュルツのコメントは、トランプ大統領が、ギャバードを国家情報長官に任命したことを含め、閣僚の人選をめぐって反発(pushback)に直面している中で飛び出した。

これまでロシアの話を広めたとして非難されてきた元民主党員にとって、国家情報長官という役割は大きな転換となる。ギャバードは、特にロシアとウクライナに関して、米諜報機関の結論に反対する信念を表明している。

ギャバードは、アメリカがウクライナの生物兵器開発に関与していたことを示唆する内容を共有している。ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)は当時、彼女は「ロシアのプロパガンダのオウム返し」であり、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう」と述べた。

2022年、ギャバードはまた、バイデン政権がウクライナ侵攻の際に、ロシアの懸念に対処してこなかったことを非難した。

「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。

2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。

ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問した。ギャバ―ドとアサドの会談は連邦議会の同僚議員たちの間で怒りを引き起こした。

2020年の大統領選民主党予備選挙に出馬する際、ギャバードは、アサドがアメリカの敵ではないと主張し、アサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。

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トランプのCIA長官指名を受けたジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe chosen as Trump’s pick to lead CIA

レベッカ・ベイッチ筆

2024年11月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4987119-john-ratcliffe-trump-cia/

ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、元国家情報長官であるジョン・ラトクリフをCIA長官に指名すると発表した。

ラトクリフはテキサス州選出の元連邦下院議員で、下院議員時代にはトランプへの捜査に批判的で、その後、民主党がトランプを大統領から追い出そうと最初に取り組んだ際には、トランプの弾劾ティームのメンバーを務めた。

トランプの声明は、ラトクリフが「偽物のロシアとの共謀がクリントン陣営の作戦であることを暴いた」こと、外国からの監視を容認する国家安全保障プログラムを批判したこと、ハンター・バイデンのノートPCの正当性に最初に疑問を呈した人々を批判したことを称賛している。

「ジョン・ラトクリフは常に、アメリカ国民に対する真実と誠実さ(Truth and Honesty)の戦士だった」とトランプは声明で述べた。

トランプは続けて「ジョンが我が国の最高情報・諜報機関(国家情報長官とCIA長官)の両方の地位に就く初めての人物となることを楽しみにしている。彼は最高レヴェルの国家安全保障と“強さによる平和(PEACE THROUGH STRENGTH)”を確保しながら、全てのアメリカ人の憲法上の権利を守る、恐れを知らない戦士となるだろう」と述べた。

ラトクリフは最終的にトランプ大統領の国家情報長官の1人を務めたが、就任までの道のりは厳しかった。

トランプは2019年、ラトクリフがアメリカの全情報機関を調整する国家情報長官オフィスを率いるに十分な安全保障上の経歴や関連する経験を持っていないとの懸念から反発を受け、指名を取り下げた。彼はまた、元検察官としてテロ事件を担当した経験を誇張していたのではないかという疑問にも直面した。

「我が国の偉大な共和党所属の連邦議員であるジョン・ラトクリフは、時代遅れで役立たずの主流派メディア(LameStream Media、レームストリーム・メディア)によって非常に不当に扱われている」とトランプは当時書いている。

トランプ大統領はそれからわずか数カ月後にラトクリフを再指名したが、民主党からの反発を招いた。

連邦上院多数党(民主党)院内総務のチャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はラトクリフを「極めて党派的な活動家(highly partisan operative)」と呼び、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は「陰謀論を容認できないほど受け入れている(has shown an unacceptable embrace of conspiracy theories)」と批判した。

ラトクリフの国家情報長官人事承認は最終的には49対44で承認された。

ラトクリフは情報・諜報分野に入る前は、FBIや司法省を常に批判してきた。

外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act)に規定される外国監視に関するラトクリフの立場にトランプが同意したのは、当時のラトクリフがカーター・ペイジの盗聴令状取得に向けたFBIのプロセスに欠陥があったことを含め、トランプに対するFBIのクロスファイア・ハリケーン捜査(Crossfire Hurricane investigation 訳者註:トランプに対する捜査作戦名)を声高に批判していたことを受けてのことだ。

火曜日、トランプはラトクリフを 「外国情報監視法(FISA)裁判所でFBIによる市民的自由の乱用を捕まえた」と評価した。

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トランプがCIA長官にジョン・ラトクリフを指名。彼について分かっていること(Trump picks John Ratcliffe for CIA director. Here’s what to know

2024年11月13日
PBS

https://www.pbs.org/newshour/politics/trump-picks-john-ratcliffe-for-cia-director-heres-what-to-know

ワシントン発(AP通信)。ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、新政権のCIA長官にジョン・ラトクリフを指名すると発表した。

これから、アメリカ政府の最重要のスパイ機関を率いることになる共和党員について分かっているポイントを挙げていく。

(1)トランプ政権での第二の任務(Stint No. 2 in the Trump administration

ラトクリフは、トランプ大統領の1期目の最後の数カ月間、国家情報長官を務め、新型コロナウイルスの大流行期間、また、2020年の大統領選挙を妨害しようとする外国の動きとアメリカ政府が戦う中、アメリカのスパイ機関を指揮した。

ラトクリフの情報・諜報部門での過去の経験は、連邦上院での人事承認が必要なCIA長官という役職にとって、トランプの支持者たちが推す忠実な人物と噂される何人かの人物よりも、より伝統に沿った人選となった。

ラトクリフは国家情報長官として、2020年大統領選挙を数週間後に控えた時期に、異例の夜間記者会見を開き、イランがアメリカ国内の有権者たちを脅迫するための電子メール送付の嵐に関与していると他の政府高官たちとともに非難した。

ラトクリフはまた、2016年の選挙以降の、民主党に打撃を与える情報とされる、ロシア諜報機関に関する機密(その機密内容について検証されていなかった)を解除したことでも、批判に直面した。民主党はこの動きを、諜報活動を政治化する党派的な行為だと非難した。

ラトクリフは数週間後、ハンター・バイデンがデラウェア州のコンピューター修理工場に預けたノートパソコンから電子メールがリークされたのはロシアの偽情報キャンペーンのせいだとする元情報当局者数十人の主張を否定し、再び注目を集めた。

ラトクリフは当時、「諜報分野の人々はそれを信じていない。それを裏付ける情報がないからだ」と述べた。

(2)議会において熱心にトランプへの忠誠心を見せる(A fierce loyalist in Congress

ラトクリフは2014年に下院議員に初当選したが、2019年、連邦下院のトランプに対する最初の弾劾訴追手続きの間、トランプの熱烈な擁護者として彼の知名度は上昇した。

彼はトランプ大統領の弾劾諮問ティームのメンバーであり、弾劾公聴会では証人に熱心に尋問した。

ラトクリフは、民主党が過半数を握る連邦下院が、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との電話をめぐってトランプ弾劾を採決した後、「これは、我が国がこれまで経験した中で最も薄く、最も早く、最も弱い弾劾だ」と述べた。

ロバート・ムラ―元特別検察官が連邦下院司法委員会に出席し、2016年の選挙へのロシア干渉に関する捜査について証言した際、ラトクリフは共和党の熱心な尋問者の1人となり、検察官に強硬に質問し、彼が作成した報告書を非難した。

(3)履歴書をめぐる過去の疑問(Past questions over his resume

ラトクリフは最終的にDNIの職を得たものの、それまでの過程は順風満帆ではなかった。

実際、ラトクリフは自身の経験と資質に対する疑問の高まりに直面したため、わずか5日後の2019年8月に人事承認過程から撤退した。

トランプ大統領は、退任したダン・コーツの後任としてラトクリフの名前を出した。しかし、民主党は公然とこの共和党員を不適格な党派性の強すぎる人物と見なし、共和党は適当に、暫定的な支持表明をしただけだった。複数のニューズがラトクリフの資質を疑問視し、彼が連邦下院議員になる前に務めていたテキサス州の連邦検察官としての経験を偽っていることを示唆した。

ラトクリフは当時の声明で、「情報機関が必要とし、またそれに値する客観性、公正さ、誠実さをもって(with the objectivity, fairness and integrity that our intelligence agencies need and deserve)」任務を遂行できると確信していると述べた。

ラトクリフは続けて、「しかし、私の人事承認をめぐる国家安全保障と情報・諜報に関する議論が、たとえ事実と異なっていたとしても、純粋に政治的で党派的な問題になることは望まない 」とも述べた。

翌年2月、彼は再び大統領に指名され、2020年5月、厳しく分断された連邦上院において人事承認された。

(4)対中タカ派(A China hawk

ラトクリフはこれまで繰り返し中国について警鐘を鳴らし、中国をアメリカの利益と自由世界にとっての脅威であると呼んできた。

この見解は、トランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイケル・ウォルツを含む、他のトランプ次期政権高官の多くと共有されている。ウォルツは、中国が新型コロナウイルスの起源に関与していることや、少数派のイスラム教徒であるウイグル人への虐待が続いていることを理由に、2022年に北京で開催された冬季オリンピックをアメリカがボイコットするよう求めた。

ラトクリフは『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2020年12月の論説で次のように書いている。「情報は明らかだ。中国は経済的、軍事的、技術的にアメリカと地球の残りの部分を支配するつもりだ。中国の主要な公共的取り組みや著名な企業の多くは、中国共産党の活動をカモフラージュするためだけにある」と書いた。

中国はトランプ政権との新たな緊張関係(そして関税戦争[tariff war])に備えている。一方、中国を追跡している国家安全保障や情報機関の関係者たちは、経済スパイ、サイバー攻撃、技術進歩、台湾をめぐる紛争など、関係をさらに揺るがしかねない要因に依然として懸念を抱いている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカの対外情報・諜報を担っているアヴリル・ヘインズ国家情報長官(Director of National Intelligence)とウィリアムズ・バーンズCIA長官(Director of  Central Intelligence Agency)がアメリカ連邦議会で証言を行った。彼らは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、状況分析について語った。プーティンは、ウクライナ国内の予想外の抵抗と西側諸国による経済制裁のレヴェルについて誤算してしまう、怒り狂っていると分析している。そして、事態をエスカレートさせる可能性が高いとも述べている。
avrilhaineswilliamburns511

バーンズCIA長官(左)とヘインズ国家情報長官
 アメリカの情報・諜報部門の最高責任者を務めているアヴリル・ヘインズ、海外情報・超部門を担うCIA(中央情報局)の責任者を務めるウィリアムズ・バーンズについては、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げている。ヘインズはアメリカの「スパイマスター(スパイの親玉)」と呼ばれている。バーンズは外交官として国務省勤務が長い人物だ。バーンズは駐露米国大使を務め、ロシア語が堪能だ。バーンズは対ロシア諜報・情報の最高責任者ということになる。

 アメリカの情報・諜報機関の総力を注いでも、プーティンの頭の中を知ることは至難の業のようだ。プーティンは単純な損得勘定で動く人物ではない。そのために、西洋的な価値観から見れば、非合理な行動を取っているということになる。だから、最終的には、「プーティンは錯乱している、狂っている」と結論づける。ここで重要なことは、合理的な分析だけではなく、文化や歴史、地理的な状況も含めた複合的な分析が必要となる。

(貼り付けはじめ)

怒りが募ったプーティンがウクライナで「倍返し」すると情報長官が議員に警告(Angry Putin set to 'double down' in Ukraine, intel chiefs warn lawmakers

レベッカ・ベイッチ、イネス・カグバレ筆

2022年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/597406-angry-putin-set-to-double-down-in-ukraine-intel-chiefs-tell-lawmakers

情報諜報部門の専門家たちは、ロシア経済への影響や長期的な成功の見込みがないにもかかわらず、ウクライナへの侵攻を「倍返し(double down)」しようとするウラジミール・プーティン大統領の決意がますます堅固になっているとの見方を示した。

ウィリアム・バーンズCIA長官は連邦下院情報諜報委員会で毎年実施される世界規模の脅威に関するコウ長官に出席し、「プーティンは今、怒りと不満(angry and frustrated)に満ちていると思う。プーティンは、民間人の犠牲を顧みず、ウクライナ軍を粉砕しようとする可能性が高い」と語った。

バーンズは次のように述べた。「しかし、プーティンが直面している課題、そしてこれは、彼の計画に関して、私たちが何カ月も分析にかかっている最大の疑問が存在する。プーティンは、ウクライナ人の激しい抵抗が続く中で、持続可能な政治的最終目標(sustainable political end game)を保持ししていない」。

この公聴会はアメリカが直面する膨大な数の脅威を検証するために毎年開催されている。今回の公聴会では、ロシアのウクライナへの介入が起きたことで、情報諜報機関に批判的な委員が多い委員会が一致して、出席した政府高官5名を賞賛する場となった。

エリック・スウォルウェル議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、「あなた方は国際社会において、NATOだけでなく他の重要な国々をまとめる接着剤となった」と述べ、ロシアを罰するために国々は結集することができたと述べた。

情報諜報当局は、ロシアがウクライナへの破壊的な攻撃を続ける中で、プーティンが犯した数々の誤算について証言した。

バーンズ長官は「プーティンは長年、不満と野心が混合してそれが煮詰まり爆発しやすくなっている。プーティンの側近たちが彼の判断に疑問や異議を唱えること(question or challenge his judgement)が出世につながらない(not proven career enhancing)システムを作り上げたために委縮している」と述べた。

バーンズは「つまり彼は、ロシアがこの冬にウクライナに対して武力を行使するのに有利な状況に直面していると信じるに足る、いくつかの仮定に基づいて、戦争に突入したのだと考えている」と語った。

バーンズ長官は「彼は全ての側面で間違っていることが証明されている」と述べた。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官(Director of National Intelligence)は、プーティンは制裁(sanctions)を予期していたが、アメリカや他の国、民間企業が「西側の行動を緩和するプーティンの能力を損なう」レヴェルについては予期していなかったと述べた。

ヘインズ長官は次のように述べた。「プーティンは欧米が自分に適切な敬意を払わないことに憤りを感じ、これを負けるわけにはいかない戦争と認識している。しかし、プーティンが負担している大きなコストを考えると、勝利として受け入れる可能性のあるものは時間の経過とともに変化するかもしれない、と評価している」。

ヘインズ長官は「とはいえ、プーィンはこのような挫折があっても止まることはなく、むしろエスカレートし、実質的に倍加する可能性があると私たちは分析している」と述べた。

アメリカ政府高官たちは、ロシアは戦争が始まって約2週間で、既に2000人から4000人の死傷者を出していると語った。

モスクワはまた、何十もの学校や病院を爆撃しており、ある当局者は戦争犯罪の基準に合致する可能性があると述べた。

スコット・ベリエ国防情報局長官は「ソーシャル・メディアで見たこと以外に、直接的な証拠があるかは分からない。確かに、ウクライナ軍とは関係のない学校や施設を空爆していること可能性もあるし、もしまだ攻撃していないのであれば、その線まで踏み込んでくるだろう」と述べた。

バーンズ長官は、ロシアに対するウクライナ全体の抵抗の強さの一因は、プーティン自身のウクライナにおける過去の攻撃的な行動にあると指摘した。

バーンズ長官は「多くの点で、2014年にまで遡るクリミアに対するプーティンの侵略によって、現在彼が直面しているウクライナの民族性と主権の強い感覚を作り出した」と述べた。

バーンズ長官は続けて「しかし、ロシア国営メディアによる報道と独立系情報源の検閲が進んでいることから、ロシア国民は侵略で生じた困難と甚大な損失について知らないままであろう」と述べた。

バーンズ長官は、ウクライナが化学兵器を使用したというロシアの虚偽の主張を挙げ、「彼らは情報操作を行い(spin)、誤った物語を作り出そうとし続けるだろう」と指摘した。

バーンズ長官は更に「特に、彼らがより必死になればなるほど、将来的に容易に捏造や虚構を作り出そうとする可能性があることを物語っている」と付け加えた。

バーンズ長官はまた、ロシアが国内で1万3000から1万4000名の反戦デモ参加者を逮捕したことにも触れ、「プーティンが個人的に行った選択の結果を人々が受け入れるには、時間がかかると思う」と述べた。

アメリカ政府の情報諜報当局者たちはまた、ロシアのサイバー攻撃の可能性に備えるアメリカの準備態勢についての質問にも直面した。

マークウェイン・マリン議員(オクラホマ州選出、共和党)は、クリストファー・レイFBI長官に、ロシアのサイバー攻撃への対策として、アメリカは「リスク回避(risk averse)」なのか「積極的(proactive)」なのかと質問した。

レイ長官は、FBIは両方のアプローチを取っていると答えたが、マリン議員はすぐに遮り、両方は無理だと述べた。

マリン議員は「リスク回避と積極性を同時に実現することは不可能だ。それは、リスク回避をすると、エスカレートするのを恐れて何もできなくなるからだ」と述べた。

マリン議員は次のように述べた。「脅威はすでに私たちに迫っているのだから、私たちは非常に積極的に、“いいか、我々にはツールがある、もし私たちを追ってきたら殴り返すぞ”というアプローチに変えるべきだろう。私たちはその領域にいるのではないか?」。

レイ長官は「FBIがサイバーなど様々な手段で敵対者を追い詰める努力をしてきた」と述べた。

連邦議員たちは、アメリカ国内に巨額の資産を持つロシアの富裕層をアメリカが追いかけることに焦りを感じているようだ。

ショーン・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は「ヨットは押収するのか? それはいいことだと思う。彼らの手から奪うものが他にも出てくるだろうか?」と質問した。

レイ長官は「合法的に押収できるものなら、何でもやるつもりだ」と答えた。

公聴会に合わせて発表された世界的な脅威に関する報告書では、気候変動、移民、世界的なテロなど、アメリカが直面する幅広い脅威に触れている。

また、中国、イラン、北朝鮮など、アメリカにとって脅威となる他の国々についてもより深く掘り下げている。

多くの人々がロシアのサイバー攻撃の可能性を懸念しているが、報告書は、石油・ガス産業などアメリカの重要なインフラを破壊する可能性のあるものも含め、中国が「米国政府および民間部門のネットワークに対して最も幅広く、最も活発で、持続的なサイバースパイ活動の脅威を与えている」と警告している。

=====

アメリカ政府情報諜報担当高官たち:ロシアは挫折しても攻撃をエスカレートさせる可能性が高い(Russia likely to escalate attacks despite setbacks: US intelligence officials

レベッカ・ベイッチ筆

2022年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/597314-russia-likely-to-escalate-attacks-despite-setbacks-us-intelligence

アメリカの情報諜報部門専門家たちは火曜日、ロシアはウクライナでの軍事行動をエスカレートさせる可能性が高いが、プーティン大統領が隣国ウクライナに対する長期的な影響力を維持できる可能性は依然として低いと語った。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官、世界の数多くの危機に関して毎年実施されている公聴会に出席し連邦下院議員たちに対して次のように述べた。「プーティンは、西側諸国が自分に適切な敬意を払わないことに憤りを感じ、今回の戦争を負ける訳にはいかない戦争だと受け止めている。しかし、彼が負担している大きなコストを考えると、勝利として受け入れることができるかもしれない内容は変化する可能性もある」。

今回の公聴会では、ロシア政府からの偽情報(disinformation)に対抗する方法として、プーティンのウクライナに対する考えについて集めた情報をオープンに共有するというアメリカ政府の慣行が継続された。

ヘインズ長官は次のように述べた。「プーティンはおそらく、侵攻のコストを考慮しながら、現在の制裁措置の多くを予期していたと思われるが、アメリカとその同盟諸国やパートナー諸国が、欧米の行動を緩和するために彼の能力を損なうような措置を取る程度も予想していなかったと判断している」。ヘインズ長官は更に、「アメリカとヨーロッパの民間部門からの強い反応も含めて、プーティンは、アメリカと同盟諸国やパートナー諸国がここまでの

ヘインズ長官は「それでも、私たちのアナリストたちは、プーティンがそのような挫折によって抑止される可能性は低く、代わりにエスカレートし、ウクライナに対する攻撃を倍増する可能性があると評価している」と述べた。

アメリカ政府関係者によると、ロシアは侵攻から2週間が経過した時点で、既に2000人から4000人の死傷者を出していると推定している。

ビル・バーンズCIA長官は公聴会で「プーティンは何年もの間、私的にも公的にもウクライナを本当の国だとは思っていないとコメントしている。それは大間違いだ。本物の国は反撃するものであり、この12日間、ウクライナ人は極めて英雄的に行動した」と語った。

バーンズ長官は続けて「プーティンは今、怒りと苛立ちを感じているだろう。彼は、民間人の犠牲を顧みず、ウクライナ軍を粉砕しようとする可能性がある」と語った。

バーンズ長官は「しかし、プーティンが直面している課題、これは彼の計画に関して私たちが数カ月も時間をかけている分析における最大の疑問だ。プーティンは、ウクライナ人の激しい抵抗が続く中で、持続可能な政治的最終目標を持っていないのだ」と発言した。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が復活祭の時期(4月第一日曜日)に北朝鮮を訪問し、北朝鮮の最高指導者金正恩朝鮮労働党委員長と面会したということを伝える記事をご紹介します。

 

 今年の3月にいろいろな事態が急速に動き始め、韓国大統領特使が北朝鮮を訪問し金委員長と会談、この特使がアメリカを訪問し、ドナルド・トランプ大統領に北朝鮮訪問について報告し、その際に金委員長からの米朝首脳会談の提案を受け入れました。3月末には、金委員長が指導者となって初めての外遊として中国・北京を訪問し、習近平国家主席と会談を持ちました。また、習近平国家主席が近々北朝鮮を訪問するという報道も出ました。

 

 こうした中、米朝首脳会談準備でアメリカ側の指揮を執るポンぺオCIA長官(次期国務長官)が4月上旬に北朝鮮を極秘に訪問し、金委員長と会談を持ったということが報じられました。北朝鮮側は米朝首脳会談に真剣に取り組んでいることが分かります。

 

 韓国は北朝鮮との戦争状態を終結し、平和条約を結ぶ方向で動いています。しかし、ここで重要なのは、中国とアメリカの意向です。朝鮮戦争では中国とアメリカがそれぞれ北朝鮮、韓国に味方をして多くの犠牲を払いました。ですから、朝鮮半島に関してはアメリカと中国の意向が重要となります。

 

 中国と韓国は直接交渉と平和条約締結の方向で動いています。北朝鮮もこの方向で進んでいます。一方、日本は「交渉のための交渉はしない」として、経済制裁など圧力を強化して北朝鮮の屈服を図るという主張です。交渉と圧力、2つの方向性があり、トランプ大統領はこの2つをうまく手綱を引いたり、緩めたりしながら、事態を進めているという感じです。

 

 日本は北朝鮮に対する吠え掛かり係をやらされ、嫌われている状況で、それにプラスして、アメリカ側は日本との二国間経済交渉で日本の対米黒字(アメリカの対日赤字)を削減しようとしてきています。日本はこれらを唯々諾々と呑むしかありません。主要なアクターになれないということを日本のメディアではあまり報じられていませんが、その現実をしっかりと見据えておかねば、上京を大きく誤って認識することになるでしょう。また、大いなる内弁慶として、外側から見れば滑稽な姿を晒すことになるでしょう。すでに十分に晒しているように思われますが。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオCIA長官と北朝鮮の最高指導者金正恩委員長と復活祭の週末に会談を持った(CIA Director Pompeo met with North Korean leader Kim Jong Un over Easter weekend

 

シェイン・ハリス、キャロル・D・レオニング、デイヴィッド・ナカムラ筆

2018年4月17日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/us-china-trade-dispute-looms-over-trump-summit-with-japans-abe/2018/04/17/2c94cb02-424f-11e8-bba2-0976a82b05a2_story.html?noredirect=on&utm_term=.ca9a46445049

 

マイク・ポンぺオCIA長官は4月上旬の復活祭(イースター)の週末にドナルド・トランプ大統領の特使として北朝鮮を極秘訪問し、北朝鮮の最高指導者金正恩委員長と会談を行った。本紙の取材に対して、ポンぺオ長官の訪問について直接の知識と情報を持つ2人の人物が答えた。

 

上記の2名の人物は米朝交渉の高度の秘密性を理由にして匿名を条件にして本紙の取材に応じた。2人は、「トランプ大統領の信頼厚い政権幹部とならず者国家の権威主義的な元首との間で、通常では考えられない会談が行われた。これは、北朝鮮の核兵器開発プログラムをテーマとするトランプ大統領と金委員長との直接対話に向けた地ならしの一環だ」と述べた。

 

この秘密の任務はこれまで報道されてこなかった。この任務はポンぺオが国務長官に指名された後すぐに実施された。

 

ポンぺオは先週行われた連邦上院外交委員会での証人の可否を決める公聴会で次のように発言した。「アメリカ政府が北朝鮮の核開発プログラムに関して条件を設定し、それによって直接対話を行うことが出来ると楽観的に考えている。この交渉によって、アメリカと世界が真剣に望んでいる外交的な目標が達成できる方向に進むことが出来る」。

 

 

火曜日、マー・ア・ラゴ・リゾートでトランプ大統領は記者団に対して発言を行った。その中で、アメリカ政府は北朝鮮政府との間で「きわめて高いレヴェルで」直接交渉を持ったと述べ、金委員長とポンぺオ長官との対面が会ったことを仄めかした。トランプ大統領は詳細を明らかにしなかった。

 

トランプ大統領は、遅くとも6月上旬までに金正恩と会談を持つ可能性が高いと述べた。

 

ポンぺオは北朝鮮との交渉を指揮している。ポンぺオと金委員長との会談は2000年以来の最高レヴェルの会談となった。2000年、当時の国務長官マデリーン・オルブライトが現在の金正恩委員長の父金正日が戦略的な諸問題について議論を行った。国家情報局長官ジェイムズ・R・クラッパー・ジュニアは2014年に北朝鮮を訪問し、北朝鮮に拘束されていた2名のアメリカ人の解放を実現した。またこの時に北朝鮮の中間クラスの情報担当者と会談を行った。

 

CIAはコメントを拒否した。ホワイトハウスもまたコメントを拒否し、CIA長官の外国訪問について話はしないと述べるにととどまった。北朝鮮政府もまたコメントを拒否した。

 

ポンぺオ長官の北朝鮮訪問から約1週間後、アメリカ政府高官たちは北朝鮮政府の高官たちが金委員長は非核化の可能性について交渉したいと望んでいると認めたと発言した。これはトランプ政権の関係者たちが明らかにしている。これは、米朝首脳会談を前にして米朝両政府の間で新たなコミュニケーションチャンネルが開かれたこと、トランプ政権は北朝鮮政府が首脳会談実現に向けて本気になっているという確信を持っているという兆候を示す発言だ。

 

火曜日、トランプ大統領は自身が所有するリゾートであるアー・ア・ラゴでの日本の首相安倍晋三との会談の途中、「私たちはきわめて高いレヴェルでの直接交渉を行っている、北朝鮮との間できわめて高いレヴェルでの交渉だ」と述べた。

 

トランプ大統領は詳細には言及しなかった。アメリカは北朝鮮との間に正式な外交関係を持っていない。しかし、アメリカの外交官はこれまでにも北朝鮮を訪問し、アメリカ政府は北朝鮮政府との間にある複数の秘密のチャンネルを使って連絡をしてきた。

 

トランプ大統領は次のように発言した。「北朝鮮は交渉を継続し、離脱していない。韓国は北朝鮮と交渉を行っており、戦争状態を終わらせるために首脳会談を行う計画を持っている。私はそれらがうまくいくように祈っている」。

 

トランプは朝鮮戦争を正式に終わらせるための南北首脳会談の計画について「祝福があるように」と述べた。これは核兵器を所有する北朝鮮をめぐる外交的な急速な進展が実現することを意味する。

 

安倍首相との2日間の首脳会談の始まりにあたり、トランプ大統領は北朝鮮関連での急速な事態の進展を肯定的に評価した。北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの実験に関して、トランプ政権はアメリカの国家安全保障に対する最大の脅威と考えてきた。

 

トランプ大統領は、「韓国政府の高官たちは、アメリカ政府の支持がなければ、特に私の支持がなければ、何も議論話されなかっただろうし、オリンピックも失敗に終わっただろうと述べ、とても感謝している」と述べた。韓国政府は今年2月に平昌で開催された冬季五輪を北朝鮮政府との外交交渉を再開するための道具として利用した。

 

北朝鮮は選手団と高い地位の人々による代表団を五輪に派遣した。これはアメリカの同盟国である韓国との関係の改善を示す大きなサインとなった。これは東アジアの外交、トランプ大統領が主導的な役割を果たしていた状態の急激な変化をもたらした。

 

トランプ大統領は次のように語った。「世界にとっての問題を解決するための大きな機会が存在する。これはアメリカにとっての問題ではない。日本やそのほかの国にとっての問題でもない。世界にとっての問題なのだ」。

 

アメリカも参戦した朝鮮戦争における戦闘は65年前に停止したが、平和条約はいまだに締結されていない。火曜日、ある韓国政府高官は、戦争状態の正式な終了は、来週南北の間にある非武装地帯で開催される金委員長と韓国の文在寅大統領との首脳会談の議題となると発言した。

 

トランプ大統領は「両者が戦争状態を終結させるために議論することは喜ばしい、うまくいくことを祈っている」と述べた。

 

しかし、平和条約締結は複雑な道筋をたどるであろうし、アメリカの参加と合意が必要となるだろう。アメリカは韓国に代わって休戦協定に署名しているので、いかなる種類の平和条約であってもアメリカと北朝鮮との間で結ばれる必要がある。

 

長年にわたり平和条約が締結されてこなかった理由は、北朝鮮が長年にわたり、平和条約が締結されたら、韓国駐留の米軍は必要ではなくなるので撤退させねばらないと主張し、アメリカはこの要求を拒絶してきたからだ。

 

トランプ大統領は北朝鮮の世襲の指導者を「小さなロケットマン」と揶揄した。その後、両者の間で侮辱と脅しの応酬が続いた。これは昨年のことだ。しかし、トランプ大統領は金委員長と会談を持つ計画を進めている。トランプ大統領は北朝鮮がアメリカや同盟諸国に脅威を与えるなら北朝鮮を「完全に破壊」すると述べ、金委員長はトランプ大統領を老いぼれと揶揄した。

 

火曜日、トランプ大統領は、すべてが順調に進めば、金委員長との首脳会談は6月上旬までに開催されるだろうと述べた。トランプ大統領は同時に警告も付け加えた。「物事がうまくいかないこともあるだろう。会談が実現しないこともあるだろう。それでも私たちはこれまで堅持してきた非核化に向けた強力な道筋を進み続けるだろう」。

 

トランプ大統領は首脳会談の場所は現在考慮中で、決定はもうすぐ行われるだろうと述べた。また、記者からの質問に対して、場所はアメリカ国内ではないと付け加えた。トランプ政権は朝鮮半島以外のアジア、東南アジア、ヨーロッパで場所を探していると述べた。

 

安倍首相は彼がトランプ大統領に協力して成し遂げた進歩について喜ばしいという態度を取った。安倍首相はトランプ大統領に対して、1970年代から80年代にかけて少なくとも13名の日本人が北朝鮮の機関によって拉致された未解決の問題について金委員長にその解決を求めるように依頼した。この問題は安倍首相にとって重要な国内問題である。

 

トランプ大統領は2017年11月の東京訪問の際に拉致被害者の家族と面会した。昨年の夏、アメリカ人大学生オットー・ワームビアが亡くなったことにトランプ大統領は激怒した。ワームビアは北朝鮮に17カ月拘束し、意識不明状態で解放された後すぐに死亡した。現在、3名のアメリカ人が北朝鮮に拘束されている。アメリカ政府高官は北朝鮮との交渉ではこの3名の解放を議題にしたいと述べている。

 

安倍首相は「トランプ大統領が拉致被害者家族に面会してくださったことは、日本政府が拉致問題に関してどのように対応してきたかを大統領が深く理解してくださっていることを示している。私は大統領の努力に感謝を申し上げる」と述べた。また、安倍首相はトランプ大統領に対して、北朝鮮政府に「最大限の圧力」を維持するように求めた。

 

トランプ大統領と安倍首相は両者の関係を修復するために首脳会談を行う。トランプ大統領が金委員長と会談するという決定を下したことで日本政府は衝撃を受けた。また、鉄鋼とアルミニウムに対する関税で日本を適用除外対象から外した。こうしたことでトランプ大統領と安倍首相の関係は傷ついた。

 

両者は初期のうまくいった関係を復活させようとしている。トランプ大統領は、水曜日には、様々な追加的な会談の前に2人でゴルフをプレーすると述べた。トランプ大統領は、以前にも述べたが、今回もマー・ア・ラゴは「冬の時期のホワイトハウス」だと述べた。

 

トランプの補佐官たちはアメリカが11か国から構成される環太平洋経済協定への参加の可能性があると述べたが、この動きはまだ機が熟している訳ではないとも強調した。

 

トランプ大統領の首席経済問題補佐官であるラリー・クドローは、貿易に関する日本との対立を過小評価している。クドローはトランプ政権の関税政策は中国を罰することを目的にしていると述べた。クドローは中国が「第三世界の国の経済規模しかないかのようにふるまっている」と批判した。クドローは国際的な連合がトランプ政権の戦略を支持していると明言した。

 

クドローは次のように述べた。「貿易に関して善意の諸国による協力について私はこれまで述べてきた。他国も中国のふるまいを批判している。中国は先進国の経済規模であるのに、第三世界の経済規模であるかのようにふるまっている。中国は技術やそのほかの問題に対して、ルールに従って行動しなければならない」。

 

クドローは中国の悪いふるまいに対処するためにアメリカがTPPに入る必要ではないと述べた。クドローは強いアメリカ経済こそが貿易に関するアメリカの考えを世界に広めるための強力な武器になると強調し、トランプの中国の貿易に対するより強力な姿勢は国際的な支援を得られるだろうとも述べた。

 

クドローは次のように語る。「世界は私たちの側に立っている。トランプ大統領は意識的に世界の支持を求めている訳ではないが、世界は支持してくれるだろう。これは良いことだ。中国はこの流れを注意深く読み、積極的に対応することを望む」。

 

火曜日、中国はアメリカ産のモロコシに対して一時的なダンピング防止策を実施すると発表した。これは、2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利したカンザス州やテキサス州のようなモロコシの生産高の高い州の農業従事者に打撃を与えることになる。

 

アメリカ産のモロコシの輸入抑制の動きは中国政府とアメリカ政府との間の貿易戦争の規模を拡大させている。月曜日、アメリカ政府はアメリカ企業が中国の携帯電話メーカーZTEに部品を売却することを7年間禁止する措置を取った。世界で1位と2位の経済大国が数十億ドル規模の関税を使って脅威の応酬を行っている。

 

しかし、トランプ大統領は、補佐官たちの中国政府に対する様々な批判のバランスを取ろうとした。トランプ大統領は中国の習近平国家主席を称賛した。トランプ大統領は習主席に対して北朝鮮への経済制裁を実行するように強く求めた。

 

トランプは次のように述べている。「習主席は非常に寛大な人物だ。彼は経済制裁を強化している。誰も期待していなかったレヴェルまで強化している。私は中国政府に対して経済制裁を強化して欲しいと望んでいる。習主席は誰も予想していないレヴェルまで強化している。北朝鮮へ流入する物資の量は確実に減少している」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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