古村治彦です。
ドナルド・トランプ次期大統領は、トゥルシー・ギャバード元連邦下院議員(ハワイ州っ選出、民主党)を国家情報長官に指名し、第一次トランプ政権で国家情報長官を務めた(2020-2021年)ジョン・ラトクリフをCIA(中央情報局)長官に指名した。
ドナルド・トランプとトゥルシー・ギャバード
ドナルド・トランプとジョン・ラトクリフ
ギャバードとラトクリフは共に連邦下院議員を務め(ギャバードは2013から2021年まで4期、ラトクリフは2015年から2020年まで3期)、所属政党は違ったが、同じ時期に同僚だった。国家情報長官はCIAを始めとする政府機関の情報・諜報分野の18の部局(司法省所属のFBI[連邦捜査局]や国防総省のDIA[国防情報局]など)を統括する役職である。CIAはアメリカ国内、そして国外の情報収集や分析、そして諜報活動を行う部局である。情報・諜報分野の統括とスパイマスターに、トランプ次期大統領は自身への忠誠心が高く、情報・諜報機関について全面的な支持を与えない人物たちを持ってきた。
興味深いのは、ギャバードの指名とラトクリフの指名に関する別々の声明の中で、「強さによる平和(Peace through Strength)」という言葉をトランプが使ったことだ。「強さ」が「平和」をもたらすという考えを示しているが、情報・諜報分野に似つかわしくない言葉であるとも考えられる(国防分野ならば適当だ)。私はここで、トランプがギャバードとラトクリフに求めているのは、両者があらゆる方面からの様々な批判に負けずに、外国への介入、体制転換、戦争誘発などを行ってきたこうした、アメリカ政府の情報。諜報諸機関に大きな変革をもたらすことだと考えている。外国との関係で危機感を煽り、外国で戦争を誘発してきた諸機関は、「アメリカ・ファースト」に反する存在である。4年間という時間しかないが、情報・諜報機関を改革することで、「アメリカに平和をもたらす」というトランプ次期大統領の決意が見て取れる。
ギャバードにしても、ラトクリフにしても、民主党側、特に民主党エスタブリッシュメントにとっては都合の悪い人物であり、早くも2人の起用に関しては批判が起きている。それはそれだけ、アメリカの情報・諜報機関を壟断してきた勢力にとって2人が都合の悪い人物であることを示している。ギャバードとラトクリフはウクライナ戦争停戦、イスラエルの戦争拡大阻止、そして、現状の核戦争までの深刻化阻止(核戦争阻止)を行うために良い人材ということになるだろう。
(貼り付けはじめ)
トゥルシー・ギャバ―ドについて知られていること:バーニー・サンダース支持者からトランプの国家情報長官指名へ(What to know about Tulsi Gabbard: From Bernie backer to Trump intel
nominee)
コリン・メイン、レベッカ・ベイッチ筆
2024年11月14日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/national-security/4990621-tulsi-gabbard-trump-nomination/
トゥルシー・ギャバードのドナルド・トランプ次期大統領からの国家情報長官への指名は、進歩主義的なバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)とともに歩んできた旋風的な国政キャリアの新たな章を開くものだ。
軍での輝かしいキャリアとハワイ州選出の連邦下院議員4期を経て、ギャバードは2020年に民主党の大統領候補指名を目指し、進歩主義的な綱領を掲げて、アメリカの対外戦争への関与に反対した。その2年後、ギャバードは民主党からの離党を表明し、今年8月にはトランプを大統領候補として支持した。
ギャバードは当時、トランプを「戦争は最後の手段と考え、平和の追求のために敵対国、独裁者、同盟国、パートナーとも会談する勇気を持つ(having the courage to meet with adversaries, dictators, allies and
partners alike in the pursuit of peace, seeing war as a last resort)」と称賛し、バイデン政権がアメリカを「世界中の地域で複数の前線で複数の戦争に直面し、かつてないほど核戦争の瀬戸際に近づいている(facing multiple wars on multiple fronts in regions around the world
and closer to the brink of nuclear war than we ever have been before)」と非難した。
トランプ次期大統領は水曜日の声明で、「トゥルシーは、その輝かしいキャリアを特徴づけてきた恐れを知らない精神(fearless spirit)を私たちの情報機関にもたらし、私たちの憲法上の権利を擁護し、“強さによる平和(Peace through Strength)”を確保してくれるだろう」と述べた。
国家情報長官オフィスを率いるギャバードは、18の情報・諜報機関全てからの情報にアクセスし、国家安全保障問題について大統領に助言することで貢献することになる。
リンクトインの個人ページによると、ギャバードはまだ陸軍予備役に在籍し、階級は中佐だという。ハワイ州兵に所属していた彼女は、2004年から2005年までイラクの医療部隊に勤務しており、その経験が干渉反対の姿勢(anti-intervention stance.)の指針となったと彼女はよく指摘している。
ギャバ―ドはジョー・バイデン政権のウクライナ支援を激しく批判しており、戦争に関するロシアのプロパガンダのオウム返しをしているだけだと非難されてきた。しかし、民主党所属の連邦下院議員時代にはトランプ大統領にも批判的で、CNNでアメリカがイランのカセム・ソレイマニ将軍を暗殺したことを「違法で違憲な戦争行為(illegal
and unconstitutional act of war)」と呼んだ。
連邦上院で人事承認されれば、ギャバードは間もなくトランプ大統領の命令と政策課題の遂行を支援する任務に就くことになる。彼女の異例の政治キャリアについて知っておくべきことは以下の通りだ。
(1)政治的な大変化(Political transformation)
ギャバードは2012年に連邦下院議員に初当選し、その4年後には、ヒラリー・クリントンに対抗して大統領選に出馬したバーニー・サンダースを支持する連邦下院議員として最も注目を集め、選挙における党の公的中立という方針を打ち破った。
彼女は当時、民主党全国委員会(Democratic National
Committee、DNC)の副委員長でもあったが、サンダースを支持するためにそのポストを辞任した。
ギャバードは、サンダース支持と民主党全国委員会からの離脱について、「私たちに多大な犠牲を強いてきた介入主義的な体制転換政策(the interventionist, regime change policies)を終わらせなければならないという私の強い信念に関して、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース両候補の間には明確なコントラストがある。これは単なる
“問題(issue)”ではない」と、書いている。
ギャバードは最終的に、2016年の大統領選挙ではトランプではなくクリントンに投票すると述べた。
2019年、ヒラリー・クリントンがポッドキャストで、ロシアがギャバードを有力な第三党候補として 「グルーミング(grooming)」していると示唆した後、サンダースはギャバードを擁護した。
当時、サンダースは「トゥルシー・ギャバードはこの国を守るために命を懸けてきた。諸問題については人々の意見が異なる可能性があるが、トゥルシーが外国にとって利用価値のある資産であると示唆するのは言語道断の行為だ」と述べた。
ギャバードは2年前の民主党離党について、対外戦争を挙げながらも、民主党が「反白人人種差別(anti-white racism)」と「卑劣な覚醒(cowardly wokeness)」を煽っていると非難した。
ギャバードは2022年10月のヴィデオ声明の中で、「あらゆる問題を人種差別の問題とすることで私たちを分断し、反白人人種主義を煽り、私たちの神から与えられた自由を弱体化させることに積極的に取り組む、臆病な覚醒(cowardly wokeness)に突き動かされた、好戦主義者のエリート集団(elitist
cabal of warmongers)の完全な支配下にある今日の民主党に、私はもはやとどまることはできない」と述べた。
ギャバードとロバート・F・ケネディ・ジュニアは、2024年選挙戦の最後の数ヶ月間、トランプとともにキャンペーンを展開した、最も目立つ元民主党員となった。
ギャバードは8月にウィスコンシン州ラクロスでトランプを招いてタウンホールミーティングを開き、選挙戦の最終盤にはマディソン・スクエア・ガーデンでの集会に登壇した。
(2)対ロシア姿勢(Russia stance)
ギャバードには、民主、共和両党に警戒心を抱かせるような虚偽の主張やロシアの言説を持ち上げてきた経歴があり、彼女の人事承認手続き中にそのことがクローズアップされる可能性が高い。
2022年、ギャバードはウクライナにある「アメリカが資金を提供する複数のバイオラボ(U.S.-funded
biolabs)」について「致命的な病原体(deadly pathogens)」を拡散させる恐れがあると警戒感を示した以前のヴィデオの内容を撤回し、その後、ウクライナで生物兵器が開発されているとは「確信を持っていない(not convinced)」と述べた。
当時の国務省は、クレムリンが「アメリカとウクライナが、ウクライナで化学兵器や生物兵器の活動を行なっているという全くの嘘(outright lies that the United States and Ukraine are conducting
chemical and biological weapons activities in Ukraine)」を流していると指摘した。
そのため、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)とギャバードは対立し、ロムニー議員はギャバードを「ロシアのプロパガンダのオウム返し(parroting Russian propaganda)」だと非難し、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう(treasonous lies may well cost lives)」と述べた。
2022年、ギャバードはまた、ジョー・バイデン政権が、ロシアがウクライナに侵攻する際、ロシアの懸念に対処しなかったことを非難した。
「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。
2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。
(3)シリア訪問(Syria visit)
ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問したが、これが報じられた際にも反発を引き起こした。
ギャバードは、ロシアの同盟国であるシリアのアサドとの会談を、この地域に平和をもたらすための努力であるとした。
ギャバードは当時、「シリアの人々を苦しめているこの戦争に終止符を打つことができる可能性があるのなら、私たちは誰とでも会談する用意があると考える」と語った。
この会談は、彼女の同僚議員たちの怒りを引き起こした。
「アメリカの代表である選挙で選ばれた公務員が、50万人近くの自国民を殺害した残忍な独裁者に会うために秘密の旅行に出た。これは非難すべきことであり、正当化することはできない」とアダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)(当時)は述べた。
2020年の大統領選に出馬する際、ギャバードはアサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。
「シリアはアメリカにとって直接的な脅威ではないので、アサドはアメリカの敵ではない」とギャバードは選挙戦で語った。
(4)スノーデンの擁護者(Snowden advocacy)
ギャバードは2020年、トランプ次期大統領が司法長官に指名したマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)と組み、2013年に国家情報機関の機密資料を大量にリークし、過去10年間をロシアで過ごしたエドワード・スノーデンに対する告訴の取り下げを求める連邦下院決議案を提出した。
その1年前の大統領選出馬の際、ギャバードは、ジョー・ローガンのポッドキャストでのインタヴューでこの問題について語った。
ギャバードはローガンに対して、「スノーデンがいなければ、アメリカ国民はNSAが電話記録を収集し、アメリカ人をスパイしていることを知ることはなかっただろう。私は大統領として、私たちの自由と解放への脅威を暴露する内部告発者たちを保護する」と述べた。
トランプ大統領の1期目の終わりに、ギャバードは大統領に対してスノーデンの恩赦(pardon)を求めた。
「あなたが人々に恩赦を与えるのであれば、多大な個人的犠牲を払ってディープ・ステートのために働く人間たちの欺瞞と犯罪性を暴いた人々を恩赦することを考えていただきたい」と彼女はXの投稿で述べ、特にスノーデンに言及した別の投稿にコメントした。
トランプ大統領はこれまで、大統領就任前にスノーデンを「裏切り者(traitor)」「処刑されるべきスパイ(spy who should be executed)」と呼んでいたが、2020年10月には恩赦に前向きであることを示唆した。
トランプは当時の記者会見で、「多くの人々がいる。そして、それは判断が分かれるようだ。多くの人々が、彼はどうにかして別の扱いを受けるべきだと考えているし、他の人々は、彼は非常に悪いことをしたと考えている。私はスノーデンの恩赦についてよく検討するつもりだ」と述べた。
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ワッサーマン=シュルツがギャバードについて「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い」と発言Wasserman
Schultz says Gabbard ‘likely a Russian asset’
by Juliann Ventura - 11/15/24 3:17 PM ET
https://thehill.com/homenews/campaign/4993196-wasserman-schultz-says-gabbard-likely-a-russian-asset/
デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は、ドナルド・トランプ次期大統領が国家情報長官に指名したトゥルシー・ギャバード元連邦下院議員について「ロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い(likely a Russian asset)」と述べた。
ワッサーマン=シュルツは金曜日、MSNBCで、「彼女がロシアにとって利用価値のある財産である可能性が高い人物だと私が考えることに疑問の余地はない」と述べた。
本誌はギャバードの広報担当ティームに連絡を取り、コメントを求めた。
ワッサーマン=シュルツのコメントは、トランプ大統領が、ギャバードを国家情報長官に任命したことを含め、閣僚の人選をめぐって反発(pushback)に直面している中で飛び出した。
これまでロシアの話を広めたとして非難されてきた元民主党員にとって、国家情報長官という役割は大きな転換となる。ギャバードは、特にロシアとウクライナに関して、米諜報機関の結論に反対する信念を表明している。
ギャバードは、アメリカがウクライナの生物兵器開発に関与していたことを示唆する内容を共有している。ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)は当時、彼女は「ロシアのプロパガンダのオウム返し」であり、彼女の「反逆的な嘘は人命を犠牲にするだろう」と述べた。
2022年、ギャバードはまた、バイデン政権がウクライナ侵攻の際に、ロシアの懸念に対処してこなかったことを非難した。
「バイデン政権とNATOが、ウクライナのNATO加盟に関するロシアの正当な安全保障上の懸念を単純に認めていたら、この戦争と苦しみは簡単に避けられたはずだ。つまり、ロシアの懸念とは米アメリカ・NATO軍がロシア国境に迫っていることを指す」と彼女は当時、ソーシャルプラットフォームXで書いた。
2019年のインタヴューで、ヒラリー・クリントンはギャバードに対するロシアメディアの支持を強調し、彼女を「ロシア人のお気に入り(favorite of the Russians)」と呼んだ。
ギャバードはまた、内戦中に自国民に化学兵器を使用したとして非難されたシリア指導者バシャール・アル・アサド大統領と会談を持つために、2017年にシリアを訪問した。ギャバ―ドとアサドの会談は連邦議会の同僚議員たちの間で怒りを引き起こした。
2020年の大統領選民主党予備選挙に出馬する際、ギャバードは、アサドがアメリカの敵ではないと主張し、アサドに対して戦争犯罪人のレッテルを貼ることを拒否した。
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トランプのCIA長官指名を受けたジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe chosen as Trump’s pick to lead CIA)
レベッカ・ベイッチ筆
2024年11月12日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/4987119-john-ratcliffe-trump-cia/
ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、元国家情報長官であるジョン・ラトクリフをCIA長官に指名すると発表した。
ラトクリフはテキサス州選出の元連邦下院議員で、下院議員時代にはトランプへの捜査に批判的で、その後、民主党がトランプを大統領から追い出そうと最初に取り組んだ際には、トランプの弾劾ティームのメンバーを務めた。
トランプの声明は、ラトクリフが「偽物のロシアとの共謀がクリントン陣営の作戦であることを暴いた」こと、外国からの監視を容認する国家安全保障プログラムを批判したこと、ハンター・バイデンのノートPCの正当性に最初に疑問を呈した人々を批判したことを称賛している。
「ジョン・ラトクリフは常に、アメリカ国民に対する真実と誠実さ(Truth and
Honesty)の戦士だった」とトランプは声明で述べた。
トランプは続けて「ジョンが我が国の最高情報・諜報機関(国家情報長官とCIA長官)の両方の地位に就く初めての人物となることを楽しみにしている。彼は最高レヴェルの国家安全保障と“強さによる平和(PEACE THROUGH STRENGTH)”を確保しながら、全てのアメリカ人の憲法上の権利を守る、恐れを知らない戦士となるだろう」と述べた。
ラトクリフは最終的にトランプ大統領の国家情報長官の1人を務めたが、就任までの道のりは厳しかった。
トランプは2019年、ラトクリフがアメリカの全情報機関を調整する国家情報長官オフィスを率いるに十分な安全保障上の経歴や関連する経験を持っていないとの懸念から反発を受け、指名を取り下げた。彼はまた、元検察官としてテロ事件を担当した経験を誇張していたのではないかという疑問にも直面した。
「我が国の偉大な共和党所属の連邦議員であるジョン・ラトクリフは、時代遅れで役立たずの主流派メディア(LameStream Media、レームストリーム・メディア)によって非常に不当に扱われている」とトランプは当時書いている。
トランプ大統領はそれからわずか数カ月後にラトクリフを再指名したが、民主党からの反発を招いた。
連邦上院多数党(民主党)院内総務のチャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はラトクリフを「極めて党派的な活動家(highly partisan operative)」と呼び、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は「陰謀論を容認できないほど受け入れている(has shown an unacceptable embrace of conspiracy theories)」と批判した。
ラトクリフの国家情報長官人事承認は最終的には49対44で承認された。
ラトクリフは情報・諜報分野に入る前は、FBIや司法省を常に批判してきた。
外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance
Act)に規定される外国監視に関するラトクリフの立場にトランプが同意したのは、当時のラトクリフがカーター・ペイジの盗聴令状取得に向けたFBIのプロセスに欠陥があったことを含め、トランプに対するFBIのクロスファイア・ハリケーン捜査(Crossfire Hurricane investigation 訳者註:トランプに対する捜査作戦名)を声高に批判していたことを受けてのことだ。
火曜日、トランプはラトクリフを 「外国情報監視法(FISA)裁判所でFBIによる市民的自由の乱用を捕まえた」と評価した。
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トランプがCIA長官にジョン・ラトクリフを指名。彼について分かっていること(Trump picks John Ratcliffe for CIA director. Here’s what to know)
2024年11月13日
PBS
https://www.pbs.org/newshour/politics/trump-picks-john-ratcliffe-for-cia-director-heres-what-to-know
ワシントン発(AP通信)。ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、新政権のCIA長官にジョン・ラトクリフを指名すると発表した。
これから、アメリカ政府の最重要のスパイ機関を率いることになる共和党員について分かっているポイントを挙げていく。
(1)トランプ政権での第二の任務(Stint No. 2 in the Trump
administration)
ラトクリフは、トランプ大統領の1期目の最後の数カ月間、国家情報長官を務め、新型コロナウイルスの大流行期間、また、2020年の大統領選挙を妨害しようとする外国の動きとアメリカ政府が戦う中、アメリカのスパイ機関を指揮した。
ラトクリフの情報・諜報部門での過去の経験は、連邦上院での人事承認が必要なCIA長官という役職にとって、トランプの支持者たちが推す忠実な人物と噂される何人かの人物よりも、より伝統に沿った人選となった。
ラトクリフは国家情報長官として、2020年大統領選挙を数週間後に控えた時期に、異例の夜間記者会見を開き、イランがアメリカ国内の有権者たちを脅迫するための電子メール送付の嵐に関与していると他の政府高官たちとともに非難した。
ラトクリフはまた、2016年の選挙以降の、民主党に打撃を与える情報とされる、ロシア諜報機関に関する機密(その機密内容について検証されていなかった)を解除したことでも、批判に直面した。民主党はこの動きを、諜報活動を政治化する党派的な行為だと非難した。
ラトクリフは数週間後、ハンター・バイデンがデラウェア州のコンピューター修理工場に預けたノートパソコンから電子メールがリークされたのはロシアの偽情報キャンペーンのせいだとする元情報当局者数十人の主張を否定し、再び注目を集めた。
ラトクリフは当時、「諜報分野の人々はそれを信じていない。それを裏付ける情報がないからだ」と述べた。
(2)議会において熱心にトランプへの忠誠心を見せる(A fierce loyalist
in Congress)
ラトクリフは2014年に下院議員に初当選したが、2019年、連邦下院のトランプに対する最初の弾劾訴追手続きの間、トランプの熱烈な擁護者として彼の知名度は上昇した。
彼はトランプ大統領の弾劾諮問ティームのメンバーであり、弾劾公聴会では証人に熱心に尋問した。
ラトクリフは、民主党が過半数を握る連邦下院が、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との電話をめぐってトランプ弾劾を採決した後、「これは、我が国がこれまで経験した中で最も薄く、最も早く、最も弱い弾劾だ」と述べた。
ロバート・ムラ―元特別検察官が連邦下院司法委員会に出席し、2016年の選挙へのロシア干渉に関する捜査について証言した際、ラトクリフは共和党の熱心な尋問者の1人となり、検察官に強硬に質問し、彼が作成した報告書を非難した。
(3)履歴書をめぐる過去の疑問(Past questions over his
resume)
ラトクリフは最終的にDNIの職を得たものの、それまでの過程は順風満帆ではなかった。
実際、ラトクリフは自身の経験と資質に対する疑問の高まりに直面したため、わずか5日後の2019年8月に人事承認過程から撤退した。
トランプ大統領は、退任したダン・コーツの後任としてラトクリフの名前を出した。しかし、民主党は公然とこの共和党員を不適格な党派性の強すぎる人物と見なし、共和党は適当に、暫定的な支持表明をしただけだった。複数のニューズがラトクリフの資質を疑問視し、彼が連邦下院議員になる前に務めていたテキサス州の連邦検察官としての経験を偽っていることを示唆した。
ラトクリフは当時の声明で、「情報機関が必要とし、またそれに値する客観性、公正さ、誠実さをもって(with the objectivity, fairness and integrity that our intelligence
agencies need and deserve)」任務を遂行できると確信していると述べた。
ラトクリフは続けて、「しかし、私の人事承認をめぐる国家安全保障と情報・諜報に関する議論が、たとえ事実と異なっていたとしても、純粋に政治的で党派的な問題になることは望まない
」とも述べた。
翌年2月、彼は再び大統領に指名され、2020年5月、厳しく分断された連邦上院において人事承認された。
(4)対中タカ派(A China hawk)
ラトクリフはこれまで繰り返し中国について警鐘を鳴らし、中国をアメリカの利益と自由世界にとっての脅威であると呼んできた。
この見解は、トランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイケル・ウォルツを含む、他のトランプ次期政権高官の多くと共有されている。ウォルツは、中国が新型コロナウイルスの起源に関与していることや、少数派のイスラム教徒であるウイグル人への虐待が続いていることを理由に、2022年に北京で開催された冬季オリンピックをアメリカがボイコットするよう求めた。
ラトクリフは『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の2020年12月の論説で次のように書いている。「情報は明らかだ。中国は経済的、軍事的、技術的にアメリカと地球の残りの部分を支配するつもりだ。中国の主要な公共的取り組みや著名な企業の多くは、中国共産党の活動をカモフラージュするためだけにある」と書いた。
中国はトランプ政権との新たな緊張関係(そして関税戦争[tariff war])に備えている。一方、中国を追跡している国家安全保障や情報機関の関係者たちは、経済スパイ、サイバー攻撃、技術進歩、台湾をめぐる紛争など、関係をさらに揺るがしかねない要因に依然として懸念を抱いている。
(貼り付け終わり)
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