古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:J・D・ヴァンス

 古村治彦です。

 アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して怒りを爆発させ、罵倒したという報道が出た。イスラエルがレバノンへの攻撃を激化させていることに対して、イラン側がそのようなことが続けば停戦交渉は続けられないとアメリカが側に伝えたことがきっかけで、トランプの怒りが爆発したということのようだ。ネタニヤフ首相に電話をかけて、「狂っている」「何をやってやがるんだ」ということをおよそ外国の指導者に対しては使わない、使ってはいけない「fuck」という言葉を交えて、激しく罵ったということだ。ネタニヤフ首相は「OKOK、全てをうまくやるから」と宥めたが、レバノンの首都ベイルートへの攻撃は中止せざるを得なかったようだ。
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トランプ(左)とネタニヤフ

 このブログでも、そして、『ザ・フナイ』2026年7月号の拙稿でも紹介したように、2026年2月28日からの、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃は、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に売り込んで実現したものだ。トランプは、ネタニヤフの巧言に乗せられて、重大な決断をしてしまった。政権の最高幹部たちはこぞって反対意見を述べ、止めようとしたが、トランプは突き進んだ。JD・ヴァンス副大統領は明確に反対意見を述べたが、その内容が現在そのまま起きている(ホルムズ海峡の封鎖や世界経済への影響、トランプ大統領の支持率低下など)。

 イラン戦争が思い通りの結果にならず、石油価格の上昇を招き、それがアメリカの一般国民の生活にも影響を与えている。トランプ大統領の支持率は40%を切り、不支持率は50%代後半まで上昇している。現状では2026年11月に実施される中間選挙で共和党は敗北を喫し、トランプは力を失うということになる。イランとの停戦合意は現状を打破し、状況を改善するための最善の方策である。再攻撃をちらつかせているが、再攻撃をすれば、停戦交渉はさらに困難になる。再攻撃をするならばイランを政権転覆・体制転換まで追い込むまでやる必要があるが、そんな力はアメリカ軍にはない。

従って、何としても停戦交渉をまとめたい。しかし、イスラエルが邪魔をしてくる。それを分かってイランが圧力をかけてくる。こうした思い通りにいかない状況でトランプが爆発してしまったということになる。政治の世界では「騙される方が悪い」ということになる。ネタニヤフの口車に乗ってイラン戦争を始めてしまったトランプが悪い。しかし、トランプとしては、「ネタニヤフの野郎が俺を騙して、嵌めて、こんな状況にしてしまった」「イランの言うことを聞かなくちゃならない屈辱、これは全てネタニヤフが悪い」ということになる。

 重要な点として、トランプは「イスラエルが国際的に孤立しつつある」ということをきちんと理解している点が挙げられる。イスラエルはガザ地区への過剰な報復攻撃から、イラン攻撃、レバノンへの過剰な攻撃を実施している。それも全て「自衛」を理由にし、批判を「反ユダヤ主義」というラベリング、レッテル貼りで封殺する。しかし、実態は狂信的極右による攻撃に過ぎない。これはイスラエルの安全を高めることにはならない。イスラエルは国際的孤立など望むところだというくらいになっている。トランプがネタニヤフに「狂っている(crazy)」という言葉を使ったが、この言葉は現在のイスラエルを形容する言葉ということになる。

(貼り付けはじめ)

「俺がいなければお前は刑務所に」 トランプ氏がネタニヤフ氏罵倒か

毎日新聞 2026/6/2 10:20(最終更新 6/2 10:49

https://mainichi.jp/articles/20260602/k00/00m/030/028000c

 トランプ米大統領は1日、イスラエルのネタニヤフ首相と、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの代表者それぞれと電話協議し、双方に交戦停止を求めたと明らかにした。これに先立ち、イランがレバノンでの戦闘激化を理由に米国との停戦交渉を中断すると表明しており、米政権がイラン側に配慮したとみられる。トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「イランとの協議は速いペースで続いている」と投稿した。

 イスラエルと親イランのヒズボラの戦闘を巡っては、4月中旬に発効した停戦合意が形骸化しており、米イランの停戦協議のネックとなっている。イスラエルは最近、レバノンへの攻勢を強めており、ネタニヤフ氏がベイルート南郊への攻撃計画を発表していた。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏は電話協議でネタニヤフ氏を「今や誰もがお前を嫌っている」「完全に狂っている」「俺がいなければお前は刑務所に入っていた」などと罵倒し、強い不満をあらわにしたという。トランプ氏とネタニヤフ氏はこれまでも度々電話協議をしているが、アクシオスは米政府高官の話として、今回はトランプ氏の2期目就任以降では最悪レベルのものだったと報じた。

 一方、ネタニヤフ氏はトランプ氏との協議後、X(ツイッター)に「イスラエル軍はレバノン南部での作戦を計画通り実施する」と投稿しており、レバノンでの緊張緩和につながるかは不透明だ。

 トランプ氏は1日、米ABCニュースの電話取材に応じ、停戦のためのイランとの「覚書」について、今後1週間程度でまとまるとの見通しを述べた。まだ交渉中の点があり、合意には至っていないとも説明した。【ワシントン平野光芳、エルサレム松岡大地】

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「あんたは全く持って狂っている」:トランプ大統領がネタニヤフ首相に電話会談を行いレバノンに関して激怒("You're fucking crazy": Trump fumes at Netanyahu in call on Lebanon

バラク・ラヴィド、マーク・キャプト筆

2026年6月1日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/01/trump-netanyahu-israel-lebanon-call

ドナルド・トランプ大統領は月曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会ダインを行い、レバノンにおけるイスラエルの軍事行動のエスカレーションについて、罵詈雑言を浴びせた。アメリカ政府当局者2人と、会談内容を知る別の情報筋が『アクシオス』誌に明らかにした。

●なぜこれが重要なのか:月曜日、イランはイスラエルのレバノンにおける行動を理由に、アメリカとの交渉を打ち切ると脅迫した。情報筋2人によると、トランプ大統領は電話会談でネタニヤフ首相を「狂っている(crazy)」と呼び、恩知らず(ingratitude)だと非難した。また、イスラエルによるベイルート攻撃計画を止めた(put the brake)。

●舞台裏:あるアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相に対し、レバノンの首都ベイルートへの爆撃を実行すれば、イスラエルは国際社会でさらに孤立するだろうと伝えた。

・情報筋2人によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相が投獄されないように尽力したと主張したと述べた。これは、ネタニヤフ首相の汚職裁判におけるトランプ大統領の支援を指している。

・トランプ大統領のネタニヤフ首相への発言を要約して、ある当局者は「あんたは全く持って狂っている。俺の助けがなかったらあんたは刑務所に入っていただろう(You'd be in prison if it weren't for me)。俺があんたを救ってやったんだぞ。今や誰もがあんたを憎んでいる。この(レバノン攻撃)せいで誰もがイスラエルを憎んでいる」と述べた。

・電話会談の内容を知る別の情報筋によると、トランプ大統領は「激怒(pissed)」しており、ある時点でネタニヤフ首相に「一体全体、あんた何をやっていやがるんだ?」と怒鳴ったという。

●ニューズの中心:アメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はヒズボラがイスラエルに向けて発砲していること、そしてイスラエルが自衛する必要があることを認識していたものの、ここ数日、ネタニヤフ首相の対応が不均衡にエスカレートしていると感じていたということだ。

・ベイルートへの脅威に加え、イスラエルはレバノン南部での地上作戦を拡大している。

・別のアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はイスラエルがレバノンで多数の民間人を殺害したことを懸念しており、ヒズボラの司令官1人を排除するためにイスラエルが建物を破壊したことに反対していたという。

●現状:あるイスラエル政府当局者は、ベイルートのヒズボラ標的への攻撃計画はもはやないとアクシオスに語った。

●文脈読解:トランプ大統領とネタニヤフ首相は過去に何度か緊迫した電話会談を行ってきたが、イラン問題や他の問題については緊密に連携してきた。あるアメリカ政府当局者は、今回の会談はトランプ大統領が政権復帰後、ネタニヤフ首相と行った電話会談の中で最も険悪なものの1つだったと述べた。

・トランプ大統領の怒りは、ネタニヤフ首相がレバノン情勢をエスカレートさせたことで、イランとの交渉が破綻する恐れがあったことに起因していると見られる。

・電話会談後、トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に、イランとの協議は「速いペースで進展している最中だ(continuing, at a rapid pace)」と投稿した。

●もう1つの側:ネタニヤフ首相は電話会談後、声明を発表し、ヒズボラがイスラエルへの攻撃を停止しなければイスラエルはベイルートの標的を攻撃するとトランプ大統領に伝え、その間もイスラエルはレバノン南部での作戦を継続すると述べた。

・「私たちの立場は変わらない」とネタニヤフ首相は声明の中で書いている。

・別のアメリカ政府当局者は、実際にはトランプ大統領が電話会談でネタニヤフ首相を「圧倒した(steamrolled)」と主張した。「ネタニヤフ首相は電話で、『OKOK、とにかく全てきちんと処理する』と述べた」とこの当局者は語った。

・ネタニヤフ首相官邸はコメントの要請に応じなかった。

●注目点:アメリカとイランが交渉中の覚書には、レバノンでの戦闘終結を求める内容が含まれていると情報筋はアクシオスに語った。これは、以前トランプ大統領とネタニヤフ首相の間で行われた緊迫した電話会談の原因となったものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権のトゥルシー・ギャバード国家情報長官が2026年6月30日付での辞任を発表した。その理由として、夫君エイブラハム・ウィリアムズが珍しい骨肉腫を発症し、闘病を支えるためとしている。このブログでは、トゥルシー・ギャバードについては長年にわたり、詳しく紹介してきた。以下のアドレスにギャバード関連記事が掲載されている。ご興味がある方は是非お読みください。

※トゥルシー・ギャバードに関する記事は以下のアドレスからお読みください↓

https://x.gd/85bqo

 ギャバードは、民主党所属の連邦下院議員(ハワイ州選出)時代の2016年、大統領選挙の民主党予備選挙で、当時の民主党全国委員会がヒラリー・クリントンを勝たせようとして不公正な選挙運営を行っていたことに抗議して、副委員長を辞任し、バーニー・サンダース連邦上院議員を応援したことで名前が知られるようになった。また、シリアやイランを訪問し、指導者たちと会談を持つなど独自の活動を展開した。連邦下院議員を4期務め、2021年に任期満了で退任してからはテレビでのコメンテイターを務めていた。そして、2022年には民主党を離党した。2024年の大統領選挙期間中、ドナルド・トランプの選挙集会に登場し、トランプ支持を表明し、更に共和党への入党を表明し、トランプを驚かせる一幕もあった。そして、第二次ドナルド・トランプ政権では国家情報長官に指名され、連邦上院での人事承認を受けて、就任した。国家情報長官になっても独自の活動は続いていて、昨年には広島を訪問し、核兵器廃絶を訴えた。

海外への介入に反対する姿勢を貫いてきたので、2026年1月のヴェネズエラ攻撃、2月末からのイラン戦争に対して反対とみられ、トランプ大統領とは意見が合わなくなっているという見方もされるようになっていた。そのために、トランプから更迭されるのではないかという観測もあったが、今回、私的な理由での辞任となった。クリスティ・ノーム前国土安全保障長官、ロリ・チャヴェス=デレマー前労働長官のようなスキャンダルによる更迭ではなかった。この点は非常に重要である。なぜなら、政治的に復活できる可能性があるからだ。2028年の大統領選挙には、JD・ヴァンス副大統領が出馬する可能性がある。副大統領候補になるかどうかは分からないが、当選後に政権入りすることは十分に考えられる。それまでに、夫君エイブラハム・ウィリアムズが快癒していることを祈るばかりだ。ちなみに、ヴァンスのウーシャ夫人はインド移民の娘ということで、トゥルシー・ギャバードと共通点がある。以下の写真は2026年2月28日のイラン戦争開戦時のもので、ヴァンス副大統領の隣にいるのがトゥルシー・ギャバードである。
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エイブラハム・ウィリアムズ、トゥルシーギャバード夫妻の闘病生活がうまくいくこと、エイブラハムの病気が快癒することを心から祈念する。

(貼り付けはじめ)
トゥルシー・ギャバードの夫とどんな人物か? 珍しいがんの診断を受けたエイブラハム・ウィリアムズについて知っておくべきこと(Who Is Tulsi Gabbard's Husband? What to Know About Abraham Williams amid Rare Cancer Diagnosis

-5月22日、トゥルシー・ギャバードは夫の「極めて珍しい骨肉腫」を理由に、ドナルド・トランプ大統領政権での役職を辞任した。

ジョーダナ・コミター筆

2026年5月22日

『ピープル』誌

https://people.com/who-is-abraham-williams-tulsi-gabbard-husband-11982549

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ロサンゼルスでのショーン・ペン・・コア・ガーラに出席のエイブラハム・ウィリアムズとトゥルシー・ギャバード(2019年1月5日)

●知っておくべきこと(NEED TO KNOW

・ドナルド・トランプ大統領の国家情報長官トゥルシー・ギャバ―ドは2015年4月にエイブラハム・ウィリアムズと結婚した。

・ウィリアムズはハワイ出身の撮影監督。

・5月22日、ギャバードは夫のがんの診断を受け、トランプ政権からの辞任を発表した。

トゥルシー・・ギャバードが、夫のエイブラハム・ウィリアムズを支えるため、ドナルド・トランプ大統領政権の役職辞任を発表した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、トランプ政権下で国家情報長官を務めたギャバードは2015年4月にウィリアムズと結婚した。

5月22日、ギャバードは国家情報長官辞任を申し出て、その理由として夫が「極めて珍しい骨肉腫」と診断されたことを挙げた。

ギャバードはトランプ大統領宛の辞任書簡の中で、「この度、夫の傍に寄り添い、この闘いを全面的に支えるため、公職を離れることを決意した」と述べ、辞任は6月30日付で発効するとした。

ギャバードは次のように書いている。「11年間の結婚生活において、エイブラハムは私の支えだった。彼の強さと愛は、あらゆる困難を乗り越える力となってきた。私がこの重責と時間のかかる職務を続けながら、彼に1人で闘病生活を送るよう求めることは、良心に照らしてできない」。

それでは、トゥルシー・ギャバードの夫エイブラハム・ウィリアムズとはどんな人物なのか? これからエイブラハム・ウィリアムズについて書いていく。

●エイブラハムはハワイで育った(He was raised in Hawaii

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トゥルシー・ギャバードとエイブラハム・ウィリアムズ

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ウィリアムズはハワイで母親のアニャ・アンソニーと継父のティモシー・S・アンソニーに育てられた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙が2015年に報じた当時、母親はホノルルにあるギャバード議員の選挙区事務所のマネージャーを務めており、継父はカラカウア中学校で社会科教師と英語学習者向けプログラムの運営を担当していた。

●エイブラハムは撮影監督(He is a cinematographer

ウィリアムズは、自身のウェブサイトによると、コマーシャル、長編映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、短編映画などを手掛けてきた撮影監督だ。

IMDbによると、2023年にはテレビシリーズ「私立探偵マグナム」シーズン5の1エピソードで撮影監督を務めた

●仕事を通じて2人は知り合った(They got to know each other through work

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ワシントンDCで国家情報長官の就任宣誓する前のトゥルシー・ギャバードと夫のアブラハム・ウィリアムズ(2025年2月12日)

ウィリアムズの仕事によって、ギャバードと知り合うことになった。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、2人は以前から知り合いだったが、2012年にウィリアムズがギャバードの選挙広告の撮影にヴォランティアとして参加したことがきっかけで親しくなったとギャバードは語っている(当時、彼女は連邦議会議員選挙に出馬していた)。

ギャバードはメールの中で、「それから約1年半後、共通の友人が私のために開いてくれた誕生日パーティーで、彼から初めてデートに誘われた。お互いのことを知るにつれて、共通点がたくさんあることに気づいた」と書いている。

ギャバードは、2人の友情と関係は「海とサーフィンへの共通の愛」を通して深まったと書いている。

●エイブラハムはサーフボードの上でギャバ―ドにプロポーズ(He proposed to Gabbard on a surfboard

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トゥルシー・ギャバードと夫のエイブラハム・ウィリアムズ

ギャバードは『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して、ウィリアムズはギャバ―ドにサーフボードの上で結婚の申し込みをしたと答えた。

ギャバードは次のように語った。「ワシントンDCから帰省していて、感謝祭の前日、彼が『夕方、サウスショアで夕日を見ながらサーフィンに行きたい』と言ってきた。その日は一日中会議で、出発する頃にはもう日が沈み始めていた。すごく長い赤信号で渋滞に巻き込まれて、エイブラハムはすごくイライラしていた。何がそんなに大騒ぎすることなのか、私には全然分からなかった」。

太陽が完全に沈む直前、2人は海に出た。その時、ウィリアムズは指輪を取り出し、彼女にプロポーズした。

●2人は10年以上の期間結婚を継続(They've been married for over a decade
『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ギャバードとウィリアムズは2015年4月にハワイでヒンズー教の古い儀式(Vedic ceremony)で結婚式を挙げた。

ギャバードは結婚式の翌朝、『ピープル』誌の取材に対して、次のように答えた。「エイブラハムと私にとって大きな意味のある、深くスピリチュアルで伝統的な儀式だった。これから共に人生を歩むための重要な要素となった」。
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共和党連邦上院議員がエリス・ステファニクをトゥルシー・ギャバードの後任として国家情報長官に推すという考えを示す(GOP senator floats Stefanik to replace Gabbard as DNI

ソフィー・ブラームス筆

2026年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5892105-gop-senator-floats-stefanik-to-replace-gabbard-as-dni/

ジム・バンクス連邦上院議員(インディアナ州選出、共和党)は金曜日、退任するトゥルシー・ギャバード国家情報長官(Director of National IntelligenceDNI)の後任候補として、エリス・ステファニク連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の名前を挙げ、ステファニク議員は承認手続きを難なく通過するだろうと述べた。

「ステファニクはトゥルシー(・ギャバ―ド)の後任として国家情報長官にふさわしい人物だ。承認通過も容易だろう」とバンクス議員はソーシャルメディアプラットフォームXに投稿した。

ギャバードは金曜日、夫が珍しい骨肉腫と診断されたことを理由に、6月30日付で辞任すると発表した。

『ザ・ヒル』誌が入手した辞任書簡の中で、ギャバ―ドは次のように記している。「夫は今後数週間、数ヶ月にわたり、大きな挑戦に直面するだろう。この時期、私は公職を離れ、夫の傍らに寄り添い、この闘いを全面的に支えなければならない」。

ギャバードは、トランプ政権2期目の閣僚として、この春に辞任した4人目の閣僚になる。これまでに辞任したのは、パム・ボンディ前司法長官、クリスティ・ノーム前国土安全保障長官、ロリ・チャヴェス=デレマー前労働長官だ。

トランプ大統領はギャバードの辞任発表まもなく、自身のソーシャルメディア「トゥルー。ソーシャル」で、ギャバードの辞任に伴い、アーロン・ルーカスが国家情報長官代行を務めると発表した。

しかし、彼女の後任として誰が指名されるのかという憶測がすぐに飛び交い始め、ソーシャルメディア上でステファニクの名前が挙がった。

現在の任期満了(2027年1月)で連邦議会を引退予定のニューヨーク州選出の共和党連邦下院議員であるステファニクは、トランプ大統領の最も熱烈な擁護者の一人であり、当初は2024年の大統領選挙後に国連大使に指名されていた。

しかし、ホワイトハウスはその後、ステファニクの国連大使指名を撤回した。連邦下院議員を辞任させることで、すでに僅差で過半数を維持している連邦下院での共和党の議席配分が複雑化するとの懸念からだった。

ステファニクは昨年3月、フォックスニューズの番組「ハニティ」のインタヴューで「これはティームとして力を合わせることであり、私はリーダーとして、この負託を確実に受け止め、歴史的な成果を上げるために尽力している」と、語った。

その後、一連の特別選挙での敗北、議員の死去や辞任により、共和党の議席はさらに縮小した。全議員が出席することを前提とすれば、党の方針に沿った投票で数人の離反者が出ることさえ許容できない状況だ。

ステファニクは、昨年4月に連邦議会に復帰した際、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)によって連邦下院共和党指導部議長に任命され、党内で要職を務めている。

ステファニクは、国連大使に指名された際に、連邦下院共和党指導部で4番目に高い地位である連邦下院共和党指導部議長の職を辞任した。

また、ステファニクは、情報特別委員会、連邦下院軍事委員会、連邦教育労​​働委員会の上級委員でもある。

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トゥルシー・ギャバードがドナルド・トランプ政権の情報・諜報役職を辞任(Tulsi Gabbard to resign from Trump Intel post

レベッカ・ベイッチ筆

2026年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5891647-intelligence-chief-gabbard-resigns/?tbref=hp

トゥルシー・ギャバード国家情報長官が金曜日、夫が珍しい骨肉腫の闘病中であることを理由に辞任を発表した。

ギャバ―ドは辞任書簡(『ザ・ヒル』誌が入手)の中で「夫のエイブラハムは先日、極めて珍しい骨肉腫と診断された。今後数週間、数カ月にわたり、彼は大きな挑戦に直面するだろう。この度、私は公職を離れ、夫の傍に寄り添い、この闘いを全面的に支える必要がある」と述べている。

彼女の勤務最終日は6月30日だ。

ドナルド・トランプ大統領は「残念ながら、素晴らしい仕事をしてくれたトゥルシー・ギャバードが政権を去ることになる」とトゥルース・ソーシャルに投稿し、ギャバードの夫の早期回復を祈るメッセージを送った。

トランプ大統領は「トゥルシーは素晴らしい仕事をしてくれた。私たちは寂しくなるだろう」と述べ、副長官アーロン・ルーカスが国家情報長官代行を務めると明らかにした。

ギャバードは、国家情報・諜報機関のトップを務めていた間、常に物議を醸す人物だった。

彼女は、この役職に選ばれた多くの人々が持つような伝統的な経歴を持っておらず、ロシアの主張をそのまま繰り返した発言や、大量の機密文書を漏洩したエドワード・スノーデンへの恩赦を求めたことなどで、厳しい批判を浴びた。

ギャバードはまた、バラク・オバマ政権時代の情報・諜報機関関係者を「反逆的な共謀(treasonous conspiracy)」で告発し、2016年の大統領選挙に関する情報操作を民主党の指導者たちが行ったと非難する報告書の中で、指導部を非難した。

ギャバードのメモと、その他114ページに及ぶ関連文書は、主にロシアが実際の投票結果を直接操作しようとした形跡はないという主張に基づいていた。

しかし、これは情報・諜報機関や連邦上院の報告書の結論と矛盾するものではない。これらの報告書は、「投票が改ざんされた、あるいは投票機が操作されたという証拠はない」と結論付けている。オバマ政権は、ハッカーが選挙結果を改ざんした証拠は確認されていないと述べている。

ギャバードはまた、FBIがジョージア州フルトン郡の選挙センターを捜索した際に現場に居合わせ、トランプに電話をかけ、後にスピーカーフォンにして現場の捜査官にトランプが感謝の意を伝えられるようしたことで批判を浴びた。

国家情報長官室(the Office of the Director of National IntelligenceODNI)は金曜日、ギャバードが「捏造されたロシア疑惑の真実と、オバマ政権当局者がトランプ大統領の2016年の勝利を阻害するために情報機関を武器化した方法」、そして「情報機関内部の勢力による組織的な取り組みが、2019年にトランプ大統領を弾劾する根拠として利用された陰謀を捏造した」ことを暴露したと評価した。

長官室はまた、ギャバードが兵器化作業部会を設置したこと、そして現職および元情報・諜報機関職員37人の機密情報取扱資格を取り消したことにも言及した。

リストに挙げられた職員の中には、民主党政権下で要職を務めた者も複数含まれており、彼女は証拠もなく、彼らを政治利用や情報漏洩の疑いで告発した。

「国家情報長官室(ODNI)では、前例のない透明性の向上と情報機関の信頼性回復という大きな進歩を遂げてきたが、まだやるべき重要な課題が残っていることを認識している」とギャバードは辞任書簡の中で述べている。

連邦上院情報委員会の民主党側筆頭委員であり、ギャバードを声高に批判してきたマーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、彼女と夫に同情の意を表したが、彼女の職務遂行については直接的なコメントは避けた。

しかし、ワーナー議員は、この役職はホワイトハウスから独立していなければならないという点を強調した。

「国家情報長官は、政府において最も重要な責任の一つを担っている。それは、政治的な思惑やホワイトハウスからの圧力に左右されることなく、政策立案者とアメリカ国民に対し、客観的で事実に基づいた情報を提供することだ。検証済みの情報と政治的に都合の良い主張との境界線が曖昧になりがちな現状、国家情報長官室が事実、独立性、そして法の支配に根ざした存在であり続けることが極めて重要だ」とワーナー議員は述べた。

ワーナー議員は「次期国家情報長官は、国家情報機関への信頼回復、情報活動の健全性の保護、そして国家情報専門家が恐れや干渉を受けることなく権力に対して真実を語れる環境の確保に尽力しなければならない」と続けた。

元連邦下院情報委員長のアダム・シフ連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、より厳しい反応を示した。

「彼女の辞任を巡る状況には同情の余地があるが、はっきりさせておきたいことがある。トゥルシー・ギャバードが国家安全保障にもたらした唯一の貢献は、彼女の辞任だけだ」とシフはXに投稿した。

「彼女は情報活動を政治化し、アメリカ国民の安全を守る重要な機関を解体し、根拠のない選挙不正疑惑を追及するために情報機関を武器化した。他にも多くの問題があった」と述べ、ギャバードの在任期間は「国家情報長官における恐ろしい例外(a terrible exception)であって、新たな常態(the new normal)であってはならない」と付け加えた。

ギャバードは辞任を発表後、共和党所属の連邦議員たちから称賛を受けた。

「彼女は、情報機関においてこれまで多くの人が拒否してきたことを率先して成し遂げた。国家情報長官在任中、ギャバード長官はトランプ大統領の優先事項の多くにおいて大きな進展を遂げ、情報機関の兵器化と政治化に対処するために必要な改革を実施するとともに、国民への透明性と情報機関内の説明責任を高めるための具体的な措置を講じた」と連邦下院情報・諜報委員会のリック・クロフォード委員長(アーカンソー州選出、共和党)は声明の中で述べた。

「ロシア共謀疑惑に関する2017年の多数派スタッフ報告書を機密解除し、国民の手に届けるために、連邦下院情報委員会が彼女の重要な支援を受けたことに感謝する。彼女は国家情報長官室に確固たる功績を残した」

ギャバードは、ここ数週間で辞任した複数の高官の一人である。

国土安全保障長官クリスティ・ノームと司法長官パム・ボンディは、今年初めにトランプ大統領によって解任された。

国家対テロセンター所長でギャバードの側近ジョー・ケントは、イラン戦争を巡り3月に辞任した。

国境警備隊の元「特命全権司令官(commander at large)」グレッグ・ボヴィーノと、米移民・関税執行局(ICE)のトッド・ライオンズ長官代行も最近辞任した。

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ギャバード米国家情報長官、6月末に辞任へ 夫のがんが判明と

BBC JAPAN 5/23() 14:08配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a78dd00c4b8d80196e3b7574d23840e452be220f

アメリカのタルシ・ギャバード国家情報長官が22日、辞任の意向を示した。夫が骨のがんと診断されたためとしている。

辞任を表明した書簡の中でギャバード氏は、「夫の強さと愛が、あらゆる困難の時に私を支えてきた」、「私がこの多忙で時間を要する仕事にとどまる一方で、彼にこの闘いに一人で挑むよう求めることは、良心に照らしてできない」と述べた。

ドナルド・トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、ギャバード氏は「驚くべき仕事をしてきた。我々は彼女を惜しむだろう」と述べた。

ギャバード氏は630日付で辞任する予定。トランプ氏は、アーロン・ルーカス主席副長官が長官代行として職務を引き継ぐと述べた。

ギャバード氏は、2024年の大統領選でトランプ氏を忠実に支持し、トランプ政権発足後、アメリカの情報収集体制において最も強力な人物の一人となった。しかし今年に入り、アメリカがイランに対して軍事行動を取り、キューバに圧力をかけ、さらにヴェネズエラの大統領を排除した中で、公の場にほとんど姿を見せていなかった。

今年に入ってトランプ政権を離れた閣僚は、クリスティ・ノーム氏(国土安全保障長官)、パム・ボンディ氏(司法長官)、ロリ・チャヴェス=デリーマー氏(労働長官)ギャバード氏は4人目となる。

■不介入主義の退役軍人、民主党からトランプ氏支持へ

ギャバード氏は政治キャリアを通じて、海外での戦争への介入に反対する立場を取ってきた。トランプ氏が今年2月にイランへの攻撃を決定したことで、同氏との間で緊張が生じた。

アメリカとイスラエルによる攻撃後、ギャバード氏はその決定への支持を避け、3月に行われた議会公聴会でも、この紛争がもたらし得る影響について政権が認識していたかどうかという質問を、慎重に回避した。

また、野党・民主党が、ホワイトハウスと情報機関がイランの核濃縮能力について主張した内容に不一致があると指摘した点についても、質疑の中で厳しく問われた。

ギャバード氏は昨年、議会でイランは核兵器開発を目指していないと証言したが、トランプ氏はこの発言を退ける姿勢を示していた。

「彼女が何を言ったかは気にしない」とトランプ氏は当時、記者団に述べ、「彼らは兵器を保有する寸前だったと思う」と主張した。トランプ氏は、アメリカがイランと戦争状態に入った理由として、イランの核能力を繰り返し挙げている。

2カ月前には、ギャバード氏の側近だったジョー・ケント氏が、イランへの攻撃に抗議して国家テロ対策センターの所長職を辞任。大統領に対して「方針転換」を求めた。

ケント氏の辞任後、ギャバード氏は公にトランプ氏のイランに関する決定を支持。大統領には、何が差し迫った脅威かを判断する責任があると述べていた。

ギャバード氏はイラクに医療部隊と共に従軍した退役軍人であり、その政治キャリアでいくつかの「初」を達成している。

2002年に21歳でハワイ州議員に初当選。これは同州史上、最年少の選出だった。1期務めた後、州兵部隊がイラクに派遣されたことを受けて議員職を離れた。

2013年には民主党から出馬し、初のヒンドゥー教徒の連邦下院議員となった。2020年には、反介入主義の外交政策を掲げて大統領選の予備選に出馬したが、途中で撤退した。

2022年に民主党を離党し、当初は無所属として登録した。その後、FOXニュースのコメンテーターとして活動する中で、ジェンダーや言論の自由といった問題について積極的に発言し、共和党に加わる前からトランプ氏の強い支持者となった。

2024年の大統領選でもトランプ氏を支持し、選挙戦を共に展開し、選挙後には政権移行チームの一員を務めた。

ギャバード氏が国家情報長官に就任して以降、アメリカの情報機関コミュニティーの規模は縮小した。昨年、職員をほぼ50%削減する計画を発表した際、同氏はこの機関が過去20年で「肥大化し非効率になっていた」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日のイラン攻撃に関して、このブログでは何度も文章を投稿してきた。その中で、攻撃開始決定において重要なポイントになったのは、2月11日のベンヤミン・ネタニヤフ首相のホワイトハウス訪問とプレゼンテーションであったことは既にご紹介した。このプレゼンテーションの場に、JD・ヴァンス副大統領はいなかった。いることができなかった。それは、アゼルバイジャンとアルメニアを訪問していたからだ。
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 日本にいると、これらの国々についてはなじみが薄い。地図でどこにあるかを指し示すことも難しい。しかし、地図を見ていただくと分かる、ロシア、イラン、トルコ、イスラエルなど、国際関係において非常に重要な国々に隣接、もしくは近隣に位置している。
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 アゼルバイジャンとアルメニアには民族紛争が存在し、アゼルバイジャン国内で、アルメニア系住民が多いナゴルノカラバフ自治州の独立をめぐり、緊張関係が続いていた。それでも、2025年に、ドナルド・トランプ大統領が両国の指導者を招いて、関係改善を促し、実現した。2026年2月のヴァンス副大統領の訪問は、この関係改善を確かなものとするためのものとなった。また、南コーカサス地方というロシアと中東を結ぶ「回廊(corridor)」と言うべき重要な地域におけるアメリカの存在感を増大させるということになる。
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 ここで私が疑問に思うのは、ネタニヤフ首相はヴァンスの「留守」中にプレゼンテーションを行ったのはどうしてかということだ。なぜなら、翌日2月12日にはヴァンスはアメリカに帰国していたからだ。ヴァンスにもプレゼンテーションを見てもらって、売り込めばよかったのだ。ここからは私の推測になるが、ヴァンスがイラン攻撃に反対するだろうということは容易に予測できる中で、プレゼンテーションの場所で、ヴァンスが強硬な反対論を唱えることで、トランプ大統領に影響を与える可能性があり、それを排除するためだったのではないか。そのために、「ヴァンスの居ぬ間に」プレゼンテーションをして、逃げ帰ったのだろうと思う。

 アゼルバイジャンとアルメニアの和平を確かなものとする裏で、イラン攻撃で地域と世界に不安定をもたらす試みをしていたベンヤミン・ネタニヤフ首相こそは世界にとって、退場してもらうべき存在ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

ヴァンス副大統領の時宜を得た南コーカサス訪問(VP Vance’s timely TRIPP to the South Caucasus

-今週のアルメニアとアゼルバイジャンでの会談は、2009年にバイデン副大統領がジョージアを訪問して以来、南コーカサス地域への最高レヴェルの訪問となった。

アルティン・デルシモニアン筆

2026年2月11日

『レスポンシブル・ステイとクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/trump-tripp/

今週、JD・ヴァンス副大統領がアルメニアとアゼルバイジャンを訪問した地域訪問ツアーは、2009年にジョー・バイデン副大統領(当時)がジョージアを訪問して以来、アメリカ政府高官による南コーカサス地域への最高レヴェルの訪問となった。これは、ワシントンがイェレヴァン(アルメニアの首都)とバクー(アゼルバイジャンの首都)を無視しているのではなく、両国の国交正常化プロセスに積極的に関与していることを示している。

ヴァンス副大統領のアルメニア訪問中、イェレヴァンが1100万ドル相当のアメリカ製防衛システムを調達したことが発表された。これはアメリカ初の事例であり、特にシールドAI社のISR(情報収集・監視・偵察)無人航空機システムであるV-BATが含まれる。また、アメリカを拠点とするAIクラウド・インフラ企業であるファイアバードが主導する画期的なAIスーパーコンピュータープロジェクトの第2段階が開始されることも発表された。これは、NVIDIA GB300グラフィックス処理ユニット4万1000個の販売・納入に関するアメリカでのライセンス契約が締結されたことを受けてのことである。

さらに、副大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相は、アメリカとパートナー国間の平和的な原子力協力のための法的拘束力のある枠組みを確立する「123協定」の交渉完了に関する共同声明に署名した。アメリカは、アルメニアの老朽化したソ連時代の原子力発電所を小型モジュール炉(small modular reactors)に置き換える有力候補として浮上しており、この協定はワシントンに有利な決定への道を開くものとなる。ヴァンス副大統領によると、潜在的な取引には、初期合意で「最大50億ドル」、さらに「燃料および保守契約を通じた長期支援として40億ドル」が含まれる可能性があるという。

アゼルバイジャン訪問中、ヴァンス副大統領はイルハム・アリエフ大統領と、地域連携、経済投資、安全保障および防衛問題を網羅するアメリカとアゼルバイジャンの戦略的パートナーシップ憲章(Strategic Partnership Charter)に署名した。ヴァンス副大統領は公式発言の中で、アメリカは領海保護を支援するため、「アゼルバイジャンに新型船舶を数隻送る」計画であると述べた。

ヴァンス副大統領の訪問は、ドナルド・トランプ大統領が昨年8月にホワイトハウスでパシニャン首相とアリエフ大統領を招き、歴史的な首脳会談を開催してから約6カ月後に実施された。この首脳会談の成果として、アメリカは訪問団それぞれと覚書(MOU)を締結し、アルメニアとアゼルバイジャンの外相は既に合意済みの和平・国交正常化協定の本文に署名した。

先月ワシントンでは、マルコ・ルビオ米国務長官とアルメニアのアララト・ミルゾヤン外相が、TRIPPTrump Route for International Peace and Prosperity、トランプ国際平和繁栄ルート)実施枠組みに関する共同声明を発表した。この枠組みは、アゼルバイジャンとトルコをアルメニア南部経由で結ぶ貿易回廊の技術的・規制的要素を概説するものである。

この枠組みでは、新たな回廊の輸送、貿易、エネルギー、通信インフラを建設する共同開発会社の初期契約期間を49年間と定めている。アメリカは74%の株式を保有し会社をコントロールし、アルメニアは残りの26%を保有する。在イェレヴァン米大使館によると、アメリカのエンジニアリングコンサルティング会社AECOMが最近アルメニアを訪問し、TRIPPプロジェクトの実現可能性調査を開始した。この調査は「アルメニアの長期的な経済成長、連結性、地域統合を支援する」ことを目的としている。

昨年8月の発表以来、このプロジェクトはワシントンとこの地域との関わりと関心を再び高めてきた。今週のヴァンス国務長官の地域訪問中も、こうした協議は継続された。

ワシントンの視点から見ると、TRIPPは、中央アジアとトルコ、そしてヨーロッパを結ぶアメリカ主導の戦略的動脈(an American sponsored strategic artery linking Central Asia to Turkey and Europe)として機能する、相互に連結された南コーカサスという、より広範な戦略的ヴィジョンに合致する。これは、ロシアとイランの領土を迂回しながら、ユーラシア大陸を横断する重要な貿易とエネルギーの流れにとって重要な回廊となる可能性が高い。

これらの合意は既に地域に一定の成果をもたらしている。昨年8月の会談でトランプ大統領が和平プロセスに個人的な影響力を及ぼして以来、アルメニアとアゼルバイジャンの間で戦争が再開される可能性、あるいは暴力的な衝突が起こる可能性は低下した。イェレヴァンとバクーはともに、TRIPPプロジェクトから自国が経済的、政治的に大きな利益を得られることを認識しており、ワシントンを怒らせることは戦略的に賢明ではないことも理解している。

最近、アゼルバイジャンからジョージア経由でアルメニアへの輸送が行われたが、これは主に象徴的な意味合いを持つものの、ささやかな突破口であり、互いのインフラネットワークへの直接的かつ相互的なアクセスが認められれば、将来的にさらに大きな利益につながる可能性がある。 1993年以来閉鎖されていたアルメニアとトルコの国境再開は、地域間の相互連結性を拡大する上で重要な一歩となるだろう。

南コーカサス地域は30年以上にわたり、地域といっても名ばかりになっており、繁栄を促進し、治安悪化を緩和するような統合が欠如していた。かつて南コーカサスにおけるアメリカの関与の旗手であったジョージアを、発展途上にある地域経済構造に再び組み込むことは、その長期的な成功にとって極めて重要である。最近のジョージア代表団のワシントン訪問は、トビリシとワシントンが実務的な協力関係を再構築する可能性を示唆する、心強い兆候である。昨年、ジョージアの首都トビリシで開催されたアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアの外務次官による三者会談は、前向きな進展であり、外務大臣レヴェルで継続されるべきものだ。

まとめると、2025年1月の政権復帰前に好ましい条件が整っていたとはいえ、トランプ政権は最終的に、過去の政権が成し遂げられなかったことを実現した。こうした過去の成功を、南コーカサスにおける長期的かつ安定したアメリカの政策へと転換させることは、同様に重要である。また、このデリケートな地域へのアメリカの関与が、さらなる不安定化を招かないようにすることも、極めて重要である。

その過程で、細心の注意を払って対処しなければならない多くの外部的な落とし穴が間違いなく存在するだろう。中でも、南コーカサスにおけるロシアとイランの利害関係、そして特にTRIPP協定に関する懸念は、極めて重要である。

ワシントンが旧ソ連全域にわたってロシアに勢力圏を「付与する(grant)」準備をしているという懸念とは対照的に、アメリカはむしろ、自国の経済的・政治的利益を放棄することなく、他の大国の安全保障上のレッドラインを尊重する姿勢を示しているように見える。実際、あるロシア人コラムニストはこう書いている。「モスクワでは失望、苛立ち、そして無力感が蔓延している。なぜなら、まさにこの地域において、近年ロシアの立場は著しく低下しているからだ」。

アメリカにとって、これはまさに綱渡りのような状況であり、その成否は、冷戦後の世代のアメリカの政治エリートにはほとんど馴染みのない、慎重な政治手腕にかかっている。ヴァンス副大統領のアルメニアとアゼルバイジャンへの訪問は、アメリカが南コーカサス地域とその周辺地域に新たな重要性を見出し、それが今後何年も続くであろうという強いメッセージを発信している。

※アルティン・デルシモニアン:クインシー責任ある国家運営研究所のユーラシア・プログラムのジュニア・リサーチ・フェロー。2022年にグラスゴー大学でロシア、東欧、ユーラシア研究の修士号を取得。修士論文では「1878年から1890年までの帝政末期ロシアにおける親ドイツ外交政策の衰退」をテーマとした。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 現在、アメリカ政治を語るキーワードとして、「福音派(Evangelicals)」という言葉が使われる。「福音派」は、アメリカのプロテスタントの一つの大きな勢力であり、アメリカの人口の20~25%を占めると言われている。中西部から南部にかけて居住し、アメリカの保守の地盤となっている。南部は「バイブル・ベルト(Bible Belt)」と呼ばれるように、熱心なキリスト教徒が多く住む。聖書を無誤謬の「神の言葉」と信じ、回心主義(Born Again、ボーン・アゲイン)を重視する。「回心」とはこれまでと生き方を捨て、神に帰依する生き方へと大きく変化させることで、「内面的な劇的変化」を指す。「改心(反省し、悔い改めること)」とは異なる。ジョージ・W・ブッシュ元大統領も若いときにはアルコールに依存していたが、そこから脱却するのに信仰の力があったというのは有名な話だ。回心してからはお酒を飲まず、早寝早起きの健康な生活になったという。形だけでの信仰ではなく、大きな変化を経ての敬虔な信仰を重視する。社会的な主張としては、妊娠中絶の制限、同性婚反対、従来の家族観の維持など保守的な主張をする。福音派は1980年の選挙で共和党のロナルド・レーガンを支援し、同じ福音派ではあるが穏健なリベラルの民主党現職のジミー・カーターを破ってから、政治的な影響力を強めてきた。

福音派の中には、聖書に書かれている「世界最終戦争(Armageddon、ハルマゲドン)」が起きて、キリストが再臨して信者は救われると強く確信している。そして、イスラエルが主要な役割を果たして、中東地域で起きる戦争がハルマゲドンとなると考える人たちもいる。彼らはイスラエルを強く支持する。これがハルマゲドン招来につながると考えるからだ。2026年2月28日に始まったイラン戦争も福音派の影響が強いという説も出ている。

 福音派は学校現場での宗教教育、特にキリスト教プロテスタント教育を実施するように求めている。アメリカはプロテスタントが建国した国であり、プロテスタントの教義が国是という時代もあったが、現在は宗教の面でも多様化が進んでおり、プロテスタントも多数派の地位を維持することが難しい状況になっている。そもそもが宗教自体の存在感も薄くなっているが。

 ここで重要なのは、アメリカの建国の父たち(Founding Fathers)がアメリカの政治システムに「政教分離(Separation of Church and State)」を組み込んでいたことだ。これは、「いかなる宗教も国教とはせず、いかなる宗教も国家が優遇しない」ということだ。それは、建国の父たちがヨーロッパの悲惨な宗教戦争から学んだ教訓である。宗教戦争は同じキリスト教徒たちがカトリックとプロテスタントに分かれて戦った。異教徒(paganheathen)に対してよりも、異端者(heretic)に対する方が敵意は高まる。アメリカの建国の父たちは、国家権力を使ってある宗教型の宗教を弾圧し、宗教戦争まで発展しないように設計したということになる。アメリカの教育現場に宗教教育を持ち込もうというのは、こうした建国の父たちの知恵を踏みにじる主張ということになる(私立学校で宗教教育を行うことはあてはまらないが)。しかし、アメリカ国内でそのような声が大きくなっているのも事実だ。アメリカは建国250周年を迎えるが、常に緊張をはらんで進んでいるように外側からは見える。

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キリスト教ナショナリズム対実際のキリスト教(Christian nationalism versus actual Christianity

ジョス・ジョセフ筆

2026年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5816789-christian-nationalism-fragile-unity/

オハイオ州立大学で学部生だった頃、ルームメイト数人が福音派キリスト教団体(the evangelical Christian group)「キャンパス・クルセード・フォ・クライスト」に所属していた。ある日、モルモン教の宣教師2人が私たちの家を訪問した。ルームメイトたちは彼らを歓迎し、聖書を取り出して、モルモン教が「間違っている」「真のキリスト教ではない」理由について1時間にも及ぶ議論を始めた。ルームメイトの1人が彼らを「異端者(heretics)」と呼んだ後、モルモン教徒たちは怒って出て行ってしまった。

政治的キリスト教(Political Christianity)はこの国において強力な勢力だ。その定義は驚くほど容易で、共和党は政治的キリスト教を巧みに利用してきた。私はキリスト教徒だ。彼もキリスト教徒だ。彼女もキリスト教徒だ。私たちはキリスト教徒だ。彼らはキリスト教徒ではない。私たちにはキリスト教的価値観があり、彼らにはない。私たちにはユダヤ・キリスト教的価値観があり、彼らにはない。キリスト教を「私たち対彼ら」の戦いと定義づけることで、キリスト教右派は選挙に勝利し、支持基盤を拡大し、勢力を拡大し続けている。

共和党は政治的キリスト教を受け入れた一方で、自分たちの約束には限界があることも認識していた。「クリスマス戦争(war on Christmas)」に勝利し、「学校での祈りを復活させ(bringing back prayer to school)」、「アメリカを再びキリスト教国にする(making America a Christian country again)」といった公約を掲げた。問題は、中絶規制から学校での祈りまで、宗教右派(the religious right)が実際にこれらの全てを望んでいたことだ。共和党が約束を果たさなかったため、彼らはそれを実現してくれるポピュリストたちに投票し始めた。

そこに、キリスト教ナショナリストたちが登場する。

私たちは、政教分離(the separation of church and state)は維持されるべきだと主張する。なぜなら、政府はユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教、無神論、あるいは悪魔崇拝(Satanism)といった宗教よりもキリスト教を優遇することはできないからだ。そして、彼らの主張は正しいと言えるだろう。

しかし、キリスト教ナショナリストに問うべきは、次の点だ。あなたはどのキリスト教を支持したいのか? どの聖書を教えるべきか? カトリック聖書か、それともプロテスタント聖書か? キリスト教とは、JD・ヴァンス副大統領が説く、聖母マリアに祈り、聖人を崇敬するカトリック信仰のことか? それとも、マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)が説く、神との個人的な関係こそが救いの全てだとするプロテスタント信仰のことか? 私たちは子供たちに宗派についてどのように教えるべきか? どれが正しく、なぜ他は間違っているのだろうか?

教師たちは生徒にキリスト教の信仰を伝えることを許されるべきだろうか? キリスト教ナショナリストは「イエス」と答えるかもしれない。しかし、もしその教師たちがモルモン教徒だったらどうだろうか? 自分の子供たちに、モルモン書が神の言葉だと教えたいと思うだろうか?

だからこそ、建国の父たちは私たちが思っている以上にずっと賢かった。彼らは政教分離(the separation of church and state)を確立したのは、キリスト教徒ではないアメリカ人を守るためだけではなかった。彼らはキリスト教徒同士の争いからキリスト教徒を守りたかったのだ。

彼らは宗教、歴史、哲学、政治を学んだ教養ある人々だった。啓蒙時代(the Age of Enlightenment)の申し子と言えるだろう。そして彼らは、建国間もないこの国(アメリカ)が、ヨーロッパ諸国の政府と同じ過ちを繰り返さないようにしたいと願っていた。私たちは、宗教紛争は常に中東地域に限られていたかのように振る舞い、ヨーロッパの宗教戦争のような出来事を無視しがちだ。

ヨーロッパでは、プロテスタントとカトリックの対立によって何百万人もの命が失われた。戦争が起こり、人々は故郷を追われ、現代ではジェノサイドと呼ばれるような虐殺が行われた。三十年戦争、清教徒革命、フランス宗教戦争について調べてみれば分かるだろう。ヨーロッパでは信教の自由があまりにも脆弱だったため、人々は船に乗って世界の反対側、つまりアメリカへと渡った。

建国の父たちはこれらの戦争から学び、「私たちは決してこのようなことをこの国では繰り返さない」と決意した。彼らが政教分離を確立したのは、国民全員がキリスト教徒である国でキリスト教を国教とすれば、誰もが自分なりのキリスト教を押し付けようとするため、宗教紛争が必ず発生することを知っていたからだ。そして、それは功を奏した。確かに、モルモン教徒の追放のような宗教的暴力事件はあったが、概してこの国では宗派間の暴力が蔓延することはなかった。ヨーロッパ諸国もこれに気づき、追随した。

キリスト教ナショナリズムの反対者たちは、「私たち対彼ら」という構図を利用して運動を抑え込もうと苦心してきた。しかし、彼らは政治家たちにキリスト教信仰の定義を問い、その信仰を法律に明文化する意思があるのか​​どうかを問うべきかもしれない。そして、キリスト教ナショナリズムの反対者たちは、キリスト教ナショナリストの結束がいかに脆いかを露呈させるために、あえて政治的に不適切な発言をする必要があるだろう。

トランプ大統領とその政権に対し、ポピュリズム的な発言を繰り返すのではなく、どのキリスト教宗派を支持すべきかを問うべきだ。

そうすれば、キリスト教ナショナリストは「私たち対彼ら」という構図の優位性を失うだろう。なぜなら、彼らはどちらが正しいかを巡って互いに争い始めるからだ。それは、建国の父たちが国を世俗国家に保ち、政教分離を確立しようとした理由を証明するだけだろう。

※ジョス・ジョセフ:「ベスト・コメンタリー・オピニオン」軍関係記者編集者賞受賞者。ハーヴァード大学とオハイオ州立大学の卒業生で、アメリカ海兵隊に所属し、イランに派遣された経験を持つ。現在はカリフォルニア州アナハイム在住。

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 古村治彦です。
 第二次ドナルド・トランプ政権内で影響力を増しているJD・ヴァンス副大統領はこれから慎重に、バランスを取りながら、トランプから嫌われないようにしながら、2028年に自身の大統領選挙での勝利に向けて決断と行動をしなければならないという難しい状況になる。そこで重要になってくるのはヴァンスの後ろ盾となっているピーター・ティールの存在だ。露骨に書けば、ヴァンスはティールの課したいくつかの課題をすべてクリアしたことで、現在の地位にある。それはつまり、ティールが「こいつを大統領にする」という試験に合格しているということである。第一次トランプ政権誕生においても重要役割を果たし、「影の大統領」と呼ばれたティールは、イーロン・マスクとも「ペイパル・マフィア」としてつながりを持ち、トランプとマスクを結び付ける役割を果たした。ティールが「次の大統領にはヴァンスを」ということになれば、マスクも進んで支援するだろう。これは、拙著『』(ビジネス社)で取り上げた、新・軍産複合体がヴァンスを大統領にするという動きでもある。

 ヴァンスを支える政治組織として、ロックブリッジ・ネットワークというものがあることは、先日、このブログでもご紹介した。その記事は以下の通りだ。

※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」:2026年5月7日付記事「JD・ヴァンス副大統領を支える「ロックブリッジ・ネットワーク」について紹介する」↓

https://suinikki.blog.jp/archives/90471185.html

 以下で、ロックブリッジ・ネットワークについての記事をご紹介している。私はロックブリッジ・ネットワークについて調べていく中で、ヴァンスとティールは、大統領の座を目指すために、この組織を作った、そして、ドナルド・トランプの後継者として2028年の大統領選挙での勝利を目指しているという感触を持った。それは、ロックブリッジ・ネットワークには資金源となる財界人も入っているが、トランプ政権にとって極めて重要な人物で、ホワイトハウスを取り仕切るスージー・ワイルズ大統領首席補佐官、そして、トランプの長男であり、トランプ一家にとって重要な存在であるドナルド・トランプ・ジュニアをネットワークに入れていることからも分かる。トランプ・ジュニアは、2028年大統領選挙の候補者としても名前が挙がっているが、ヴァンスが圧倒的な支持率を誇っている。重要なことは、トランプ・ジュニアがヴァンスを支持するとなれば、ライヴァルたちはもう追いつけないということになる。そのために、トランプ・ジュニアに、ネットワークに入れて、ある程度の金儲けをさせているということになる。ワイルズはトランプの信頼が厚い人物であり、ワイルズの口添えがあれば、ヴァンスの先行きは明るいということになる。ヴァンスとティールは少しずつ2028年に向けて根回しをしているだろう。これからさらに注目していかねばならない。
(貼り付けはじめ)
台頭するMAGA支持者たちの秘密会合の舞台裏(Behind the Scenes at a Secretive Gathering of Rising MAGA Donors

―ウィンクルヴォス双子兄弟、レベカ・マーサー、イーロン・マスクの盟友たち、ドナルド・トランプ・ジュニア、そしてトランプ陣営の幹部たちが最近、突如として権力を手にした右派系献金者たちの会合に参加した。

セオドア・シーファー筆

2024年11月20日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2024/11/20/us/politics/rockbridge-trump-vance-wiles.html

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ラスヴェガスで開催された今年のロックブリッジ・ネットワークの会合には、共和党の大口献金者であるレベカ・マーサー、ドナルド・J・トランプ次期大統領の大統領首席補佐官を務めるスージー・ワイルズ、そしてドナルド・トランプ・ジュニア(左から)が出席した

次期ホワイトハウス大統領首席補佐官に指名されてからわずか4日後、スージー・ワイルズはラスヴェガスの五つ星ホテルでエスプレッソを辛抱強く待っていた。

一夜にして、スージー・ワイルズはアメリカで最も影響力のある人物の一人となった。大統領移行期において、彼女の1分1秒の価値はかつてないほど高まっている。共和党の野心家たちは、彼女に魅力的なポストを要求し、一方、マール・ア・ラーゴでは、次期大統領ドナルド・J・トランプが人事を巡って物議を醸し続けている。

しかし、彼女は数千マイル離れた場所で、警備員一人を伴って、フォーシーズンズホテルのコーヒーショップに一人で並んでいた。彼女は、選挙対策本部長クリス・ラシヴィタ、世論調査担当トニー・ファブリツィオ、資金調達責任者メレディス・オロークといったトランプ陣営の幹部たちとの昼食を終えたばかりだった。「みんなただのんびりしているだけなんだ」と、ホテル内を歩いているところを近くにいた『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に目撃されたと知らされたトランプ一行の一人が驚いた様子で冗談めかして言った。

キャリアの中でも最も重要な時期に、トランプ陣営の面々が何日も滞在する必要があったのはなぜだろうか? それは、共和党の献金者層の中で急速に台頭してきた、裕福なテクノロジー企業の幹部とその支持者たちによる秘密結社ロックブリッジ・ネットワーク(the Rockbridge Network)の秋の会合のためだった。

JD・ヴァンスが5年前に共同設立したこの団体は、非公式な夕食会から発展し、共和党の有力献金者による強力な連合体へと成長した。この団体のある関係者によると、2019年以降、ロックブリッジのプロジェクトに1億ドル以上を寄付し、シリコンヴァレーの右傾化を牽引してきたという。ロックブリッジにとって、ヴァンスの副大統領選出はまさに快挙であり、新たな国家的影響力を行使する絶好の機会となった。

しかし、ロックブリッジ・ネットワークは、コーク・ネットワーク(Koch Network)のような富裕層の保守派団体が、リベラル派の批判者や共和党支持者から攻撃を受けていることを念頭に置き、活動を極秘裏に進めてきた。

先週、黒塗りのSUVの車列が億万長者たちをプライヴェートジェットからホテルへと送り届ける中、ロックブリッジ・ネットワークのメンバーがホテル周辺で目撃された。共和党有数の献金者一族の令嬢であるレベカ・マーサーは、ロビーで祝福に駆けつけた人々に挨拶をしていた。ホテルのバーでハッピーアワーを楽しんでいたのは、イーロン・マスクの親友であるケン・ハウリーとルーク・ノセックの2人。彼らはマスクと共にペイパル(PayPal)で働き、巨万の富を築いた。

そして、映画「ソーシャル・ネットワーク」で有名になった、身長196センチの仮想通貨投資家でハーヴァード大学ではボートクルーだったタイラーとキャメロンのウィンクルヴォス双子兄弟の姿も見逃すことはできなかった。

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2021年のタイラー・ウィンクルボスとキャメロン・ウィンクルボス。彼らは最近、他の裕福なテクノロジー企業の経営者やその仲間たちと共にロックブリッジで開催された会合に参加した

白と赤のギフトバッグとストラップを身につけた出席者たちは、ホテル関係者や、非公開のこの会合に招待されていない『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に話しかけられても、口を閉ざすよう心得ていた。しかし、出席者によると、議事録には、アンドゥリルの共同創業者であるパルマー・ラッキーやヴェンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンなど、複数のテクノロジー界の大富豪による講演が記載されていた。アンドリーセンは、テクノロジー規制緩和への支持や、トランプへの支持表明に対するシリコンヴァレーの賛否両論について語ったという。

テクノロジー業界の新進気鋭の人物もいた。ドナルド・トランプ・ジュニアは、歓迎夕食会でヴェンチャーキャピタル業界への参入を発表した。そして、次期大統領がロバート・F・ケネディ・ジュニアを保健福祉長官に指名する数日前、ケネディは自身の公衆衛生に関する取り組みについて詳しく語り、聴衆からスタンディングオヴェーションを受けた。ワイルズはまた、「2024年選挙分析(2024 Election Analysis)」と題したセッションを主導し、トランプの大統領就任後の最初の数日間を概観した。

「これはアメリカ国内版『砂漠のダヴォス会議(Davos in the desert)』だ」とロックブリッジ・ネットワークの支援者であり、ドナルド・トランプ・ジュニアの新たなビジネスパートナーでもあるオミード・マリクは、リヤドで開催される年次ビジネス会議に言及しながら語った。

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2023年にドナルド・トランプ・ジュニアと共にニューヨーク証券取引所に出席した金融家オミード・マリクはロックブリッジ・ネットワークの中核メンバーとなり、トランプ一家の友人となった

●小規模な夕食会からリッツ・カールトンへ(From small dinners to the Ritz-Carlton

ロックブリッジ・ネットワークは、より謙虚な形で始まった。2019年、当時『ヒルビリー・エレジー』の著者として知られていたヴァンスと、保守系メディア関係者のクリス・バスカークは、ヴァンスの政治キャリアの基盤を築き、最終的にはコーク・ネットワークに対抗するトランプ派の組織を構築することを目指し、非公式に小規模な夕食会を何度か開催し始めた。初期の会合の一つは、ヴァンスがオハイオ州ロックブリッジのリゾートで寄付者や活動家を集めて開催したもので、そこで「ロックブリッジ」という名前が誕生した。

このグループは、マーサーとヴェンチャーキャピタリストのピーター・ティールから最初の資金提供を受け、やがてドナルド・J・トランプの目に留まり、トランプはいくつかの会合で講演を行った。

秋と春にそれぞれ一度ずつ、ロックブリッジはフロリダ州パームビーチのフォーシーズンズやダラスのリッツ・カールトンといった場所で、3日間にわたる政治パネルディスカッションとビジネス交流会を開催するようになった。講演者には、タッカー・カールソン、ティールの弟子であるブレイク・マスターズ、カジノ王のスティーヴ・ウィン、投資家のデイヴィッド・サックス、そしてニューヨーク・ジェッツのオーナーである億万長者のウッディ・ジョンソンなどが名を連ねた。

参加者全員が政治に関心を持っている訳ではない。中には、ロックブリッジをエリート層向けのサンヴァレー会議の保守的なヴァージョンと捉え、ビジネスに強い関心を持つ人もいる。

かつて『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿していた論説委員で、2016年にトランプ支持の出版物「アメリカン・グレートネス(American Greatness)」を創刊したバスカークは、政治に直接携わった経験は限られていた。しかし、彼は「ニューライト(the New Right)」と呼ばれる運動、保守系ビジネス界、そしてトランプの周辺との人脈を活かし、共和党の献金者を組織し、ロックブリッジ・ネットワークを築き上げた。彼はこの記事へのコメントを拒否した。

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クリス・バスカークはJD・ヴァンスと共にロックブリッジ・ネットワークを設立し、政治に直接携わった経験は限られているものの、徐々に組織を拡大し、保守系のプロジェクトに資金を提供してきた

ロックブリッジ・ネットワークは、今年献金者に配布された資料によると、「永続的な政治基盤を構築(builds lasting political infrastructure)」し、「共和党の衰退の一因となっているシンクタンク、メディア組織、活動家グループといった現在の共和党のエコシステムに取って代わることを目指している」としている。その野心は明白だが、長年の参加者の中には、ロックブリッジがこれらの目標達成にどれほど近づいているのか疑問視する声もある。

ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利し、今年大統領選挙で副大統領候補に選出されたことは、ロックブリッジとバスカークにとって強力な正当性の証明となった。バスカークは現在もヴァンスの側近として活動している。バスカークはロックブリッジ社の資金を活用し、今回の選挙サイクルでトランプの草の根運動を強化するため、迅速にスーパーPACを立ち上げた。また、かつては共和党の資金調達において二流と見なされていたロックブリッジは、一部の主流派共和党員でさえラスヴェガスまで足を運ぶほどの影響力を持つようになった。

ロックブリッジが実際にどれだけの資金を運用しているのかについては、依然として懐疑的な見方がある。ロックブリッジ・ネットワークへの寄付者は若年層が多く、起業家出身者で、資産の流動性が低い傾向にある。フォーシーズンズホテルのロビーには、スタートアップ企業のTシャツを着た人々とMAGA帽やカウボーイブーツを履いた人々が混在し、シリコンヴァレー、オースティン、マイアミといったテクノロジーの中心地から人々が集まっていた。

●1億ドルを政治に静かに流し込む(Quietly funneling $100 million into politics

選挙直後にこの秋の会合を開催したことで、サミットがまるで葬儀のような雰囲気になってしまう危険性もあった。しかし、実際は正反対だった。

イヴェントが正式に始まる前から、ワイルズはラスヴェガスに滞在し、ロックブリッジの寄付者や友人約30人を招いて、ステーキハウスで土曜日の屋外ディナーを主催していた。賑やかなオープンバーや音楽が流れる宴会場で、参加者たちはトランプ政権でどのような役職に就けるかについて率直に意見を交わし、マスクが世界で最も影響力のある人物かどうかについて議論を交わしていた。

「ロックブリッジ・ネットワークの参加者は皆、技術者と政治家が再び直接協力し合い、互いに公然と敵対しなくなったことを非常に喜んでいた」と出席したソイレントの共同創業者ジョン・クーガンは語った。彼は続けて次のように述べた。「もはやテクノロジーが未来を牽引するかどうかではなく、その影響をいかに導くかが問われている。だからこそ、テクノロジー界の大富豪と政界のエリートたちが共にパーティーを開くのは当然のことなのだ」。

ヴァンスは出席しなかった。これは異例のことで、一部の支持者にとっては残念なことだった。しかし、ヴァンスの勝利によってロックブリッジ・ネットアークは一躍人気となり、直前になって参加申し込みが殺到した。以前は5000ドルで参加できたこともあったロックブリッジ・ネットワークは、最低参加費を2万5000ドルに引き上げた(ただし、一部の参加者はもっと安く参加できたと内緒話をしていた)。

ニューヨーク・タイムズ紙が入手した目論見書によると、ロックブリッジの会員資格の費用は、「リミテッド・パートナー」の10万ドルから、「プリンシパル・パートナー」の100万ドルまでとなっている。

この資金は、ロックブリッジが運営する8つの組織に充てられる。これには、4つの非公開資金を扱う501(c)()団体、2つのスーパーPAC、非営利活動のための寄付者指定型501(c)()基金、そしてロックブリッジ・ネットワークという傘下組織(有限責任会社)が含まれる。バスカーク氏が主宰するスーパーPAC「ターンアウト・フォー・アメリカ」は、今年少なくとも2500万ドルを調達している。

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次期副大統領のJD・ヴァンスはロックブリッジの共同創設者。ロックブリッジは、ヴァンスが2022年のオハイオ州選出連邦上院議員選挙で勝利した後、影響力を増し、現在、さらに大きな影響力を行使しようとしている

ロックブリッジ傘下の8つのグループは、主に投票促進活動を行っている。そのうちの1つ、「フェイスフル・イン・アクション(Faithful in Action)」は、16万人の会員を擁し、週2回、小規模教会にフィールドチームを組織している。このグループは、公的な活動は一切行っていない。

ロックブリッジ傘下のグループは、トランプに対する訴訟を追及する検察官を調査するドキュメンタリーも制作している。目論見書によると、ロックブリッジは2020年以降、「提携メディアに無料で提供される」世論調査に資金を提供してきた。また、提携メディアが掲載する「地方および全国規模の調査」にも資金援助を行っている。

●新たなタイプの共和党献金者(A new breed of Republican donors
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ヴァンスの新たな職務は、ロックブリッジとその150人の会員をトランプ政権の政策推進において影響力のある存在にする可能性が高い。

その理由の一つは、トランプがリバータリアン系のコーク・ネットワークや、よりタカ派的なアメリカン・オポチュニティ・アライアンス(American Opportunity Alliance)といった伝統的な共和党献金者グループと、時に冷え込んだ関係を築いてきたことにある。対照的に、ロックブリッジはトランプ時代に設立され、ライヴァル団体ほどの財力はないものの、トランプ氏と同様の過激な姿勢を共有している。

「保守系の大口献金者たちは、ここで決断を迫られている」とヴァンスの側近で、こうした大口献金者たちと親しい影響力のある保守派経済学者オレン・キャスは語る。「2024年の選挙までは、トランプが成功しないかもしれないという、少なくともそれなりの根拠があった」。

しかし、キャスによれば、もはやその根拠は存在しない。「古い船の貨物室に閉じ込められて沈没しようとしているのは誰なのか、そして保守主義の未来にとって真に重要な存在でありたいと願っているのは誰なのか?」と彼は問いかけた。

バスカークはラスヴェガスの献金者たちに対し、選挙期間中、ロックブリッジは約3000人を現場でトランプのために活動させていたと語った。そして、共和党の勝利後、ロックブリッジのプロジェクトはさらに規模を拡大する時が来たとバスカークは述べた。

セオドア・シュライファーは、選挙資金とアメリカ政治における億万長者の影響力を取材する『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者である。

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所属政党に不満を抱く裕福な共和党献金者たちが秘密の連合を形成する(Dissatisfied With Their Party, Wealthy Republican Donors Form Secret Coalitions

―いわゆる「闇資金グループ(dark money group)」における民主党の優位性を相殺しようと、ピーター・ティールのようなトランプ支持派の裕福な保守派は、従来の党組織の枠外でより大きな影響力を行使しようと画策している。

シェイン・ゴールドマチャー、ライアン・マック筆

2022年4月6日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2022/04/06/us/politics/republican-donors-rockbridge-network-trump.html

「共和党の政策を混乱させつつも推進する(disrupt but advance the Republican agenda)」ことを目指すと表明する、裕福な保守派支援者による新たな連合が今週、フロリダ州南部で非公開のサミットを開催した。文書や関係者へのインタヴューによると、このサミットではドナルド・J・トランプ前大統領と、トランプと連携する連邦上院議員候補が、トランプの所有するマール・ア・ラーゴ・クラブで非公開の演説を行った。

ロックブリッジ・ネットワークと呼ばれるこの連合には、ピーター・ティールやレベカ・マーサーなど、トランプの最大の献金者も含まれており、保守系メディア、法律、政策、有権者登録などのプロジェクトに3000万ドル以上を投じ、アメリカの右派勢力を再構築するという野心的な目標を掲げている。

これまでその存在が報じられていなかったロックブリッジの出現は、保守派の大口献金者たちが、党の正式な組織機構の外で、そして多くの場合ほとんど情報公開をせずに、2022年の中間選挙と共和党の将来を左右しようと、激しい駆け引きを繰り広げている中で起こった。

2月には、これまで報道されていなかった別の寄付者連合、トランプと親しいロビイスト、マット・シュラップが組織したチェスナット・ストリート・カウンシルが会合を開き、保守運動への新たな資金調達モデルについて説明を受けた。

こうした新興連合が勢いを増せば、トランプに懐疑的あるいは中立的な立場を取ってきた既存の寄付者ネットワークと、保守派の間で影響力を巡って競合することになるだろう。

億万長者の実業家チャールズ・G・コークとデイヴィッド・H・コークが設立したある連合は、2020年に2億5000万ドル以上を支出した。また、ニューヨークのヘッジファンドの億万長者ポール・シンガーが主導する別の連合は、2月に共和党の有力政治家を招いて会合を開いた。

秘密裏に行われる資金調達の急増はそれだけにとどまらない。トランプへの忠誠度の異なる複数の非営利団体も、右派への献金の主要な分配者となるべく競い合っている。

こうした駆け引きは、共和党を取り巻く政治構造、そして場合によっては党の政治家に対する右派の不満、さらにトランプが次期大統領選出馬を示唆する中での党の方向性に関する意見の相違を浮き彫りにしている。

共和党の最も裕福な活動家たちの資金力を活用しようとする動きは、今年の中間選挙、そして場合によっては2024年の大統領選に向けて、共和党にとって有利な選挙環境を活かすのに役立つ可能性がある。逆に、富裕層が競合する候補者、団体、戦術に資金を投入すれば、共和党の見通しは暗くなるだろう。

寄付者が自ら組織化しようとする姿勢は、寄付者の身元開示が義務付けられている各政党の公式機関から、開示義務がほとんどない外部団体へと権力と資金が流出していることを浮き彫りにしている。これはまた、各政党の候補者や政策を支援する非営利団体に関して、政治的右派が不利な立場に置かれているという、一部の有力共和党員の懸念を反映している。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の分析によると、民主党と概ね連携する政治活動が最も活発な非営利団体15団体は、2020年に寄付者の身元が非公開の資金で15億ドル以上を支出した。これに対し、共和党と連携する同規模の15団体が支出した、いわゆる「闇資金(dark money)」は約9億ドルにとどまっている。

この格差を縮め、右派の政治基盤を支える政治コンサルティングやテクノロジー分野で優位に立つための取り組みは、これらの連合体の間で主要な議論の的となっている。

ロックブリッジ・ネットワークのパンフレットには「将来の選挙で勝利する可能性を少しでも高めるためには、私たちの陣営が組織化されており、必要な組織的ノウハウと資金的支援を備えていることを示す必要がある」と記されている。

今年、共和党の資金関係者の間で出回ったパンフレットは、ロックブリッジを「一種の政治的ヴェンチャーキャピタル企業(a kind of political venture capital firm)」と称し、「(投資家の資金を適切な政治的専門知識で活用(leverage our investors’ capital with the right political expertise)」することで、「党の衰退の一因となっている現在の共和党のシンクタンク、メディア組織、活動家グループといったエコシステムを、より行動志向で、より効果的な、勝利に焦点を当てた人材と組織に置き換える(replace the current Republican ecosystem of think tanks, media organizations and activist groups that have contributed to the Party’s decline with better action-oriented, more effective people and institutions that are focused on winning)」としている。

ロックブリッジのパンフレットに記載されている取り組みの中には、広報、メッセージ発信、世論調査、「インフルエンサー・プログラム(influencer programs)」、調査報道など、メディア関連の機能が含まれており、総予算は800万ドルに上る。

375万ドルの費用が見込まれる「法廷闘争と戦略的訴訟(lawfare and strategic litigation)」は、裁判所を利用して「メディアを含む悪質な行為者に責任を負わせる(to hold bad actors, including the media, accountable)」ことを目的としている。300万ドルの費用が見込まれる「政権移行プロジェクト(transition project)」は、政策専門家を集め、「次期共和党政権のスタッフ(government-in-waiting to staff the next Republican administration)」を編成することを目的としている。

「レッドステート・プロジェクト(red state project)」とは、左派が先駆的に開発したモデルを模倣したもので、戦略家たちが様々な運動団体の活動を調整し、互いに補完し合い、重複を避けるという手法である。このプロジェクトは州ごとに600万ドルから800万ドルの費用がかかると見込まれており、当初は激戦州であるアリゾナ州、ネヴァダ州、ミシガン州に重点が置かれている。

ロックブリッジに詳しい関係者によると、これらのプロジェクトとその資金調達目標は野心的なもので、ロックブリッジ・ネットワークはこれまで新たな団体を設立するのではなく、既存の団体に寄付金を配分して目標を達成することに重点を置いてきたという。

関係者によると、この連合は昨年、有権者登録イニシアティヴを含むいくつかの計画をアリゾナ州で試験的に実施したという。アリゾナ州はパンフレットの中で事例研究として紹介されている。

アリゾナ州は、昨年開催されたロックブリッジ初のサミットの開催地だった。サミットでは、億万長者のテクノロジー投資家であるティールが講演を行った。ティールと、ヘッジファンドの大物ロバート・マーサーの娘であるレベカ・マーサーは、2016年のトランプへの最大の献金者の一人であり、トランプの政権移行チームで緊密に協力した。

それ以来、ティールは重要なキングメイカーとして台頭し、連邦上院議員と連邦下院議員の候補者16人を支援してきた。その中には、レベカ・マーサーも支援している候補者もいる。これらの候補者の多くは、トランプが2020年の大統領選に勝利したという虚偽の主張を鵜呑みにしている。

1つ目は、ティールの元従業員でアリゾナ州選出連邦上院議員選に出馬しているブレイク・マスターズだ。マスターズは火曜日夜、トランプに先立ち、マール・ア・ラーゴで開催されたロックブリッジの夕食会で講演を行い、ロックブリッジの活動から恩恵を受ける可能性が考えられる。

ティールは、マスターズとオハイオ州選出連邦上院議員候補のJD・ヴァンスを支援するスーパーPACにそれぞれ1000万ドルを寄付した。

ティールとレベカ・マーサーが今週のロックブリッジの会合に出席したかどうかは不明だ。この会合は、火曜日夜のマール・ア・ラーゴでの夕食会に加え、別のホテルでも会合が開かれた。マール・ア・ラーゴでの夕食会の直前には、トランプ支持者が集まる別のイヴェントが開催された。それは、フェイスブックの親会社であるメタ社のCEOマーク・ザッカーバーグが、パンデミックの中で選挙実施費用を賄うのに苦労している選挙管理委員会に2020年に助成金を提供したことを批判する映画のプレミア上映会だった。ティールはメタの取締役を務めていたが、中間選挙への影響力行使に専念するため、その職を辞任した。ロックブリッジへの関与は、ティールが非営利団体への秘密資金提供に手を広げようとしている可能性を示唆している。

ロックブリッジは、トランプ支持の雑誌「アメリカン・グレートネス」の編集長兼発行人であり、マスターズを支援するスーパーPACの顧問も務めるクリストファー・バスカークによって設立された。

ティールの広報担当者はコメントを拒否した。マーサーへ連絡する努力は成功しなかった。

15年以上前にコーク兄弟の政治活動の拡大を支援したシュラップは、2020年の選挙後、寄付者から「政治活動への資金調達の従来の方法に不満を抱いている」との声が寄せられたことが、チェスナット・ストリート・カウンシル設立のきっかけになったと述べた。

シュラップは、「こうした寄付者と協力して、より良い投資機会を見つけるのが賢明だと判断した」と述べた。

シュラップは、チェスナット・ストリート・カウンシルが投票規則をめぐる訴訟を支援する可能性を示唆した。

2月に開催されたチェスナット・ストリート・カウンシルの会合では、ヴェテラン共和党資金調達者のキャロライン・レンが寄付者に向けてプレゼンテーションを行った。

トランプの多くの政治活動、特に1月6日の連邦議事堂襲撃事件に先立つ集会の資金調達に尽力したレンは、右派は左派の献金者ネットワークや非営利団体の資金調達拠点といったシステムを模倣し、新たな団体を育成し、既存の団体間の連携を強化すべきだと述べたと、プレゼンテーションの内容を知る関係者が明らかにした。

近年、右派にも新たな資金調達拠点が出現しているものの、左派のそれほどの洗練された組織や資金規模には及ばない。

保守パートナーシップ研究所は、「保守運動のハブ(the hub of the conservative movement)」となることを目指している。保守パートナー研究所は2021年の年次報告書で、トランプの元補佐官スティーヴン・ミラーが率いるアメリカ・ファースト・リーガル、同じくトランプ政権出身のラス・ヴォートが率いるセンター・フォ・リニューイング・アメリカ、そして元住宅都市開発長官ベン・カーソンが率いるアメリカン・コーナーストーン研究所など、複数の新たな保守系非営利団体の設立に貢献したと主張している。

この団体には、選挙公正ネットワークも含まれており、そのリーダーは保守派弁護士クレタ・ミッチェルだ。ミッチェルは、当時大統領だったトランプがジョージア州当局者に対し、選挙結果を覆すのに十分な票を「見つける(find)」よう圧力をかけた1時間にわたる電話会議に同席していた。

保守パートナーシップ研究所は昨年夏、トランプの政治活動委員会(PAC)から100万ドルの資金提供を受け、昨年春にはトランプのプライヴェート・クラブであるマール・ア・ラーゴで寄付者向けの会合を開催した。

こうした団体は、選挙運動や政治活動委員会に比べて情報開示義務がはるかに少ないのが現状だ。保守パートナーシップ研究所や、司法活動家のレナード・A・レオが設立した別の非営利ネットワークのような資金提供拠点は、他の団体への助成金については開示義務があるが、資金提供者については開示義務がある。ロックブリッジ・ネットワークやチェスナット・ストリート・カウンシルのような寄付者連合も、おそらく開示義務はないだろう。

トランプをはじめとする政府関係者や大統領候補者たちが、こうした連合体との連携に積極的であることは、アメリカ政治におけるこれらの連合体の重要性が高まっていることの証左である。

シンガーの連合体であるアメリカン・オポチュニティ・アライアンスがコロラド州とフロリダ州パームビーチで最近開催した非公開会合には、マイク・ポンペオ元国務長官、フロリダ州知事ロン・デサンティス、マイク・ペンス元副大統領、ニッキー・ヘイリー元国連大使が出席した。

ミネソタ州選出のトム・エマー連邦下院議員(共和党連邦議員委員長)は、今週パームビーチで開催されるロックブリッジ・ネットワークの会合で講演する予定だった。

※シェイン・ゴールドマッハー:全国政治担当記者で、以前はメトロデスクの主任政治特派員を務めていた。『ニューヨーク・タイムズ』紙に入社する前は、『ポリティコ』誌で共和党の全国政治と2016年の大統領選挙を取材していた。

※ライアン・マック:世界のテクノロジー業界における企業の責任問題に焦点を当てたテクノロジー担当記者である。フェイスブックに関する報道で2020年にジョージ・ポーク賞を受賞した。ロサンゼルスを拠点としている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は膠着状態に陥っている。ホルムズ海峡の閉鎖が解かれなければ、世界経済の混迷は続く。石油価格の高騰や石油由来の物品の不足は続くことになる。現在、表ではパキスタン、裏では中国が米中間を取り持ち、和平の条件を整えている。アメリカとイラン両国はできるだけ自分に有利な条件でと考えているだろうが、落としどころを見つけて、一日も早く停戦合意、和平合意を達成してもらいたいところだ。アメリカはイランの核兵器開発能力の完全廃絶、イランは体制の保証、安全の保証を求めている。ここで問題になっているのは、「アメリカの信頼性の欠如」だ。より正確に言えば、「トランプのする約束の信頼性の欠如」だ。

 トランプは、前政権が行った約束を反故にするということをしてきた。たとえば、第一次政権時、バラク・オバマ政権がイランとの交渉の末締結した核開発に関する合意を放棄した。また、キューバとの間の国交正常化や経済関係正常化についても反故にする決定を行った。トランプはアメリカ政府の継続性を無視し、約束を反故にするということをしてきた。それがここにきて重荷になっている。「トランプが約束したとしてもそれが守られる保証はない」というのは非常に厳しい。しかしそれでもなお、和平交渉は再開され、和平合意は達成されなければならない。なぜなら、アメリカはこれ以上、大規模な攻撃はできないし、実行する意志もない。地上軍を派遣してイラン国内で大規模な戦闘を展開するということはもってのほかだ。

 イランはアメリカ側が音を上げるまで、嫌気がさして、「何でも言うことを聞く」というところを目指しているだろう。中国やパキスタンは「アメリカにも少しは花を持たせないと、現状が続くことはイランにとっても得策ではない」という説得を続けているだろう。そして、アメリカ側に対しては「トランプの信頼性のなさが問題だ」ということは伝えているだろう。そうなれば、「少なくとも外交に関してはJD・ヴァンス副大統領が主導権を握って進めてくれなければ困る」ということになるだろう。「いざとなれば、トランプを座敷牢に閉じ込めてでも」という決意をもって、責任をもって外交運営ができる人物はヴァンスであり、トランプ自身が後ろに引くことで、和平が進むということになる。トランプにとっては不満が募ることになるだろうが、和平がなければ中間選挙の結果もおぼつかず、そうなれば完全に無力化してしまうことになるとなれば、ここは妥協するしかないということになる。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプのレッドラインは今や何の意味も持たない(Trump’s Red Lines Mean Nothing Now

―イランは、虚勢(bluff)、場当たり的な対応(improvisation)、そして服従の儀式(submission rituals)の上に築かれた大統領制の限界を露呈させている。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/27/donald-trump-red-line-iran-war-barack-obama-syria-maga-foreign-policy-middle-east/

バラク・オバマ大統領の退任後、彼の外交政策における最大の誤りの一つは、シリアの「レッドライン(red line)」だったという見方が定説となった。オバマはシリアが化学兵器を使用すれば攻撃すると明言していたが、実際に化学兵器を使用した証拠が出てくると、介入(intervention)の是非を連邦議会に委ね、連邦議会は行動を起こさなかった。

当時、ドナルド・トランプはこれを「大惨事(a disaster)」と呼び、マルコ・ルビオ連邦上院議員(当時、フロリダ州選出、共和党)は「世代を超えて、そしてアメリカの評判を傷つける(generational and reputational damage)」出来事だと非難した。数年後、ピート・ヘグセスは、オバマの外交政策は「支離滅裂な迷路(an incoherent maze)」の一部だと批判した。リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、オバマが自ら引いたレッドラインを無視したことで、世界におけるアメリカの信頼性を失墜させる危険を冒したと説明した。

オバマのレッドラインの二転三転(flip flop)は、イラン・イラク戦争以降に見られる政策決定の模範例と言えるだろう。先週、トランプ大統領はソーシャルメディアに「イランが今この瞬間から48時間以内に、脅威を与えることなくホルムズ海峡を完全に開放しない場合、アメリカ合衆国はイランの様々な発電所を攻撃し、破壊するだろう。まずは最大の発電所から攻撃を開始する」と投稿した。

その後の展開は皆さんがご存じの通りだ。イランはこの脅威に屈することなく、攻撃と海峡封鎖を継続した。トランプ大統領の対応はどうだったか? 急遽方針を転換し、エネルギーインフラに関するあらゆる措置を5日間延期すると発表した。そして、突如として、一晩にして、イランとアメリカが「中東における敵対関係の完全かつ全面的な解決(complete and total resolution of our hostilities in the Middle East)」に向けた「生産的な協議(productive conversations)」を開始したと主張した。イラン側はこうした協議が行われていることを否定した。そして今、トランプ大統領は延期期間をさらに1週間半延長すると発表している。

トランプ大統領の評価が相対評価(on a curve)で行われていることは、もはや明らかだ。関税を130%に引き上げるとか、イラン最大のガス田を爆破するとか、「戦争はほぼ終結した(the war is very complete, pretty much)」などと言っても、これらの発言にはほとんど意味がない。これらは実際のアメリカの政策かもしれないし、そうでないかもしれない。あるいは、1日か1週間だけ政策として通用し、その後変更される可能性もある。戦争はほぼ終結したと発言した直後、トランプは同じ日に「私たちはまだ十分な勝利を収めていない(we haven’t won enough)」「敵が完全に、そして決定的に敗北するまで、私たちは決して諦めない(we’ll not relent until the enemy is totally and decisively defeated)」と断言した。イランの指導者たちと交渉することに同意したものの、彼らが次々と殺されるため交渉できなくなったと述べているが、実際に殺戮を行っているのは紛れもなくトランプ自身の軍隊(そしてイスラエル軍)である。これで全て理解できるだろうか?

トランプの支持者たちは、この矛盾こそが戦略的な天才の所業であり、人々を油断させているのだと主張する。しかし、その政策は様々な理由で変化しているようだ。例えば、株価が下落したり、標的国がトランプを称賛し、金塊を贈呈したりするかもしれない。トランプの最大の強みは、瞬時に方針転換できる柔軟性(he is flexible enough to turn on a dime)と、彼が提案するものなら何でも受け入れる支持基盤(a base that will accept anything he proposes)を持っていることだ。かつては中東戦争に断固反対していたトランプのMAGA支持者の多くは、今や改宗者のような熱狂ぶり(the zeal of converts)でこの中東戦争を信じている。トランプ大統領は敵対行為を終結させたいと明言しているものの、今回の問題は関税問題とは異なり、彼自身が始めたことを止めることができない点にある。イランには投票権があり、現在イランは戦闘継続に投票している。弱体化しているとはいえ、世界経済に打撃を与え、ひいてはアメリカに痛手を与えるだけの軍事力は依然として持っていると判断している。

世界にとって、もはやアメリカの信頼性などというものは存在せず、ただ主人公が危機を巧みに回避し、昨日の発言によって引き起こされた危機を今日の発言で解決できると期待する、奇妙なリアリティ番組のようなものになっている。イランの発電所を破壊すると脅迫する前日、トランプはアメリカがイランに対する軍事作戦を「縮小(winding down)」することを検討していると主張し、ホルムズ海峡の防衛は自分の問題ではなく、海峡を通過する輸入品を扱う他国が対処できると示唆した。また別の時には、他国の助けは必要ないと述べた。かつてビジネスマンたちは政策の不確実性を理由に前政権を非難していたが、今ではトランプの混乱の祭典がほぼ毎週市場を揺るがす中、彼らはこぞってトランプを称賛している。

トランプ大統領は、アメリカの強大な力を弄び、従わない者を罰し、従う者を褒賞することに慣れきっている。そうすることで、彼は数十年にわたって築き上げてきた信頼を、短期的な利益を得るために浪費している。時には、それは彼自身の家族のビジネス上の利益にもつながっている。しかし、イランにおいては、彼は自分のルールに従わない敵対者と対峙しているように見える。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 先日、第二次ドナルド・トランプ政権内部のネオコン派の動きや政権を実質的に取り仕切るスティーヴン・ミラーホワイトハウス大統領次席補佐官の動きについての記事を紹介した。ブログの記事は以下の通りだ。ぜひお読みいただきたい。

※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」:2026年4月29日付記事「アメリカに対するイスラエルからの働き掛けの受容体となった第二次ドナルド・トランプ政権内のネオコンたちと政権を動かすスティーヴン・ミラー」

https://suinikki.blog.jp/archives/90465309.html

 この記事の中で、聞き慣れない言葉「ロックブリッジ・ネットワーク(Rockbridge Network)」が出てくる。このロックブリッジ・ネットワークは政治活動組織であり、傘下にいくつもの組織を抱えている。2019年に、JD・ヴァンスとクリス・バスカークという人物によって創設された。「ロックブリッジ」はヴァンスの地元オハイオ州にあるリゾート地で、ここで会合が開かれたことから、その名前が使われることになった。2021年には、バスカークの地元アリゾナ州で大規模な会合が開かれ、マスコミの注目を浴びることになった。バスカークについては別の記事で詳しくご紹介したい。

 ロックブリッジ・ネットワークに資金的な援助を行っているのが、ヴァンスの師匠であるピーター・ティールとレベカ・マーサーである。ティールについてはここで詳しく説明しない。拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新軍産複合体の正体』(ビジネス社)をお読みいただきたい。レベカ・マーサーは保守系、共和党系の政治組織やシンクタンクへの大口献金者として知られる。父ロバート・マーサーはIBMの技術者出身で、初期の人工知能(AI)開発に携わった人物だ。のちにルネッサンス・テクノロジーズというヘッジファンドを設立し、ウォール街で大成功を収めた。ルネッサンス・テクノロジーズはすでに売却している。数兆円に及ぶ資産を財団に編成し、レベカはその理事となり、潤沢な資産を右派の政治団体に供給し、存在感を増している。2016年の大統領選挙ではドナルド・トランプを支援し、その影響力は大きい。

 共和党系の大口献金者としては、これまで、コーク・インダストリーズのコーク一族がよく知られている。彼らは政治団体やシンクタンク、大学などに多額の献金を行い、また、様々な組織を作り上げ、「コーク・ネットワーク(Koch Network)」と呼ばれる政治活動ネットワークを作り上げている。このことについては拙訳『』(講談社)をお読みいただきたい。「ロックブリッジ・ネットワーク」はこのコーク・ネットワークをしのぐ規模になることを目指している。そして、もちろん、ヴァンスの大統領就任も目標にしている。以下の記事が長いので、紹介はこのあたりにするが、ぜひこれからヴァンス副大統領の動き、ロックブリッジ・ネットワークの動き、アメリカ政治の動きについて注目を続けていただきたい。

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JD・ヴァンスと師匠に当たるピーター・ティール、あまり知られていないロックブリッジ・ネットワーク、そして2016年のキングメイカーであるレベカ・マーサーとの主要なつながりを示す図表と概要(Chart and overview of key links for J.D. Vance with mentor Peter Thiel, the little-known Rockbridge Network and 2016 kingmaker Rebekah Mercer

ウェンディ・シーグルマン筆

2024年7月29日

『ニューズトラックス』誌

https://newstracs.com/chart-and-overview-of-key-links-for-jd-vance-with-thiel-mercer-rockbridge/2024/07/29/

ドナルド・トランプがJD・ヴァンスを副大統領候補に指名して以来、ヴァンスが「子どものいない猫好き女性」を批判する女性蔑視的な発言や、子どものいないアメリカ人はより高い税率を支払うべきだといった物議を醸す見解を述べていることが報じられている。ソーシャルメディアはソファやヴァンスの奇妙さを揶揄するミームで溢れかえっている。さらに、ヴァンスと彼の師であるピーター・ティールが、2008年に「非生産的な人々はバイオディーゼル燃料に変換されるべきだ」と書いたカーティス・ヤーヴィンの思想に倣っているという、より悪質な報道もある。ヤーヴィンは後に冗談だったと釈明したが、その後、非生産的な人々を仮想現実世界に閉じ込めるという、映画「ソイレント・グリーン」や「マトリックス」を彷彿とさせる悪夢のようなシナリオを、大量虐殺の代替手段として提案した。

JD・ヴァンスがトランプ陣営に加わったことは、過激な極右のIT億万長者グループがどれほどの影響力を持っているか、そしてトランプが11月の選挙で勝利すれば、彼らの影響力がどれほど増大するかを示している。トランプが勝利しない場合、このグループがハリス政権を弱体化させるためにあらゆる手段を講じることは間違いないところだ。

JD・ヴァンスのネットワークにおける主要人物の図表Chart of some key people in J.D. Vance’s network
以下の図表と記事は、JD・ヴァンスとクリス・バスカークが共同設立したロックブリッジ・ネットワークを通じて、主要人物たちがどのように繋がっているかを示している。これはヴァンスと繋がるネットワークのごく一部だ。メディアはピーター・ティール、イーロン・マスク、その他のテクノロジー系億万長者に注目しているが、父親のロバートと共に2016年のトランプの勝利に多額の資金を提供したレベカ・マーサーを忘れてはいけない。レベカ・マーサーはこのネットワークに強い人脈を持ち、ピーター・ティールと共に再び政治的なキングメイカーとしての役割を果たそうとしている。

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●テクノロジー界の巨頭たちとレベカ・マーサー(The tech broligarchs and Rebekah Mercer

2018年、キャロル・キャドワラダーは、レベカ・マーサーとロバート・マーサーが出資するケンブリッジ・アナリティカが、数千万件ものフェイスブックのプロフィールを収集し、そのデータを利用してアメリカの有権者をターゲットにするツールを構築した経緯について、複数のスクープ記事を発表した。ケンブリッジ・アナリティカに関する報道は、極右の政治家や献金者がテクノロジーと個人データを駆使して選挙に影響を与えるリスクを浮き彫りにした。

私の最初の調査と報道は2017年に始まり、SCLグループとケンブリッジ・アナリティカの企業一覧表を作成した。以来、これらの企業について継続的に報道している。

最近、キャドワラダーは、トランプを支持するJD・ヴァンス、ピーター・ティール、イーロン・マスクといったテクノロジー界の「巨頭たち(broligarchs)」について記事を書いている。

2016年に見られた、億万長者の献金者、テクノロジー、データに関するいくつかのパターンは、2024年の選挙でも継続している。

新たな権力者として台頭する一部のテクノロジー界の巨頭たちは、メディアで大きく取り上げられている。レベカ・マーサーのような人物は、過去の経験を利用して右翼的な政策を推進しており、こうした人物もこの陰謀ネットワークに関する報道に含めるべきである。

●ピーター・ティールはいかにしてテクノロジー界の巨頭となったのか(How Peter Thiel became a tech broligarch

ピーター・ティールは、2024年の大統領選挙に向けて最も有力なキングメイカー志望者(the most prominent ‘would-be’ kingmaker)と言えるだろう。もっとも、最近トランプを支持したイーロン・マスクと、その座を争っているように見えることもある。ティールとマスクは共に、ペイパル(PayPal)の共同創業者として巨万の富を築き、テクノロジー界の巨頭となった。

1990年代後半、世界が2000年問題(Y2K)への対応に追われる中、ピーター・ティールはオンライン決済ソフトウェア会社コンフィニティ(Confinity)を設立した。コンフィニティは後にイーロン・マスクが設立したX.comと合併し、ペイパルへと社名を変更した。マスクはペイパルを短期間経営した後、2002年にeBayに売却し、その資金をスペースXSpaceX)の設立資金に充てた。

ピーター・ティールはその後、クラリウム・キャピタル(Clarium Capital)(現在は閉鎖)、ファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)、ティール・キャピタル(Thiel Capital)、ミスリル・キャピタル(Mithril Capital)、ヴァラー・ヴェンチャーズ(Valar Ventures)など、複数のヴェンチャーキャピタル会社を設立、あるいは共同設立した。彼はフェイスブックに50万ドルを投資し、約10%の株式を取得した最初の外部投資家だった。

ヴェンチャーキャピタルや投資会社に加え、ティールはソフトウェアおよびデータ分析会社であるパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)を設立した。パランティアは、トランプ政権以前、政権中、そして政権後も、国防総省、保健福祉省などから数億ドル規模の政府契約を獲得しており、膨大な量の政府データへのアクセス権を有している。

ピーター・ティールは巨万の富を築く過程で、多くの弟子たち(proteges)を育成してきた。その多くは、ティールの極右思想に共鳴する人々だ。弟子の一人であるJD・ヴァンスとブレイク・マスターズは、偶然にも(それぞれ別々に)ロースクール在学中にティールと出会った。ヴァンスはイェール大学ロースクール在学中にティールの講演を聴講し、もう一人の将来の有望株で弁護士のブレイク・マスターズはスタンフォード大学でティールが担当した「主権、テクノロジー、グローバライゼーション(Sovereignty, Technology, and Globalization)」という授業で出会った。

JD・ヴァンスとブレイク・マスターズは、ともにピーター・ティールが設立した企業で働いた。そして、2022年の中間選挙を前に、ティールは弟子2人を連邦上院議員に当選させるために数千万ドルを投じた。

ティールは、2022年にオハイオ州で連邦上院議員選挙に出馬し当選したヴァンスを支援する政治活動委員会(PAC)に1500万ドルを寄付した。

ティールは、アリゾナ州で連邦上院議員選挙に出馬したブレイク・マスターズを支援するPACにも1350万ドルを寄付した。マスターズは、現在カマラ・ハリスの副大統領候補として検討されているマーク・ケリーに敗れた。マスターズは現在、連邦議会議員選挙に出馬しており、最近トランプ大統領の支持を得た。

JD・ヴァンスのキャリアにおける重要な節目とピーター・ティールの支援(J.D. Vance’s career milestones with support from Peter Thiel

ヴァンスと彼の師であるティールとの関係は、他のメディアでも広く取り上げられており、最近の『ワシントン・ポスト』紙の記事では、ヴァンスの経歴とティールをはじめとする複数の大手テクノロジー系寄付者からの支援について優れた概説が掲載されている。

(引用はじめ)

ティールはヴァンスを富裕層に引き上げ、MAGA支持者の間で人気を博した企業へ彼が投資できるようにした。また、ティールはヴァンスの政界進出を後押しし、他のシリコンヴァレーの寄付者とともに、2022年の連邦上院議員選挙でのヴァンスの当選を資金面で支援した。

(引用終わり)

以下は、JD・ヴァンスのキャリアと人生におけるいくつかの重要な節目となる出来事だ。

・2011年、イェール大学ロースクール在学中にピーター・ティールと出会った。

・卒業後、ヴァンスは短期間法律関係の仕事に就いた後、ティールの推薦により、サーキット・セラピューティクスのCEOであるフレデリック・モルによって同社に採用された。

2016年、ヴァンスはイェール大学ロースクールで出会ったウシャ・チルクリ・ヴァンスと結婚した。

・ヴァンスは長年にわたり、名前を何度も変えている(両親の離婚後、祖母の旧姓であるヴァンスを名乗るなど)。ジェームズ・ドナルド・ボウマン、ジェームズ・デイヴィッド・ハメル、JD・ハメル、JD・ヴァンスなど、様々な名前を使用していた。

・2016年、ヴァンスは回顧録『ヒルビリー・エレジー』を出版し、ベストセラーとなり、後に映画化された。

2016年、ヴァンスはティールが共同設立したヴェンチャーキャピタルであるミスリル・キャピタルで短期間勤務した。

・2017年、ヴァンスはアメリカ・オンライン共同創業者スティーヴ・ケースが設立したヴェンチャーキャピタル企業レヴォリューションのパートナーに就任した。

・2019年、ヴァンスはカトリックに改宗した。以前は無神論者を自称していたにもかかわらず、ティールが「キリスト教への道を歩む上での原点となるインスピレーションを与えてくれた(was an original inspiration for his path to Christianity despite previously calling himself an atheist)」と記した。

・2020年、ヴァンスはコリン・グリーンスポンと共にヴェンチャーキャピタル企業ナリヤ・キャピタルを共同設立した。グリーンスポンは以前ティールのミスリル・キャピタルに勤務しており、ヴァンスをそこで採用した人物でもある。ナリヤはピーター・ティール、元グーグルCEOのエリック・シュミット、そして億万長者のテクノロジー起業家兼投資家マーク・アンドリーセンからの資金提供を受けて設立された。(興味深いことに、ティールの企業であるヴァラー、ミスリル、パランティア、そしてヴァンスのナリヤの社名の多くは、ティールとヴァンスのお気に入りのJRR・トールキンの『指輪物語』に由来している)。

・2022年、ヴァンスはピーター・ティールからの1500万ドルの支援を受けてオハイオ州選出の連邦上院議員に当選した。

・2024年、ヴァンスはトランプによって共和党の副大統領候補に指名された。

ピーター・ティールの弟子であるJD・ヴァンスが副大統領候補に浮上した今、彼らを繋ぐネットワーク、特にあまり知られていないロックブリッジ・ネットワークについて理解しておくことは有益である。

●ロックブリッジ・ネットワークは、クリス・バスカークとJD・ヴァンスが共同設立し、ピーター・ティール、レベカ・マーサーなどから資金提供を受けている(The Rockbridge Network was co-founded by Chris Buskirk and J.D. Vance with funding from Peter Thiel, Rebekah Mercer and others

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2022年、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、コーク兄弟(2020年に2億5000万ドル以上を支出)をはじめとする共和党の富裕層献金者によって結成された秘密連合、そして、コーク兄弟のネットワークとは別のピーター・ティールとレベカ・マーサーが出資するロックブリッジ・ネットワークに関する記事を掲載した。

チャールズ・コークとデイヴィッド・コークについては、特にジェイン・メイヤーの2016年の著書『ダークマネー』で、彼らの石油による莫大な富が、右翼イデオロギーや政策、そして彼らの巨額の富を守り、さらに増やすのに役立つ候補者を支援するために、非営利団体、シンクタンク、学術機関、政治機関からなる広範なネットワークに資金提供されていたことが明らかになって以来、大きく報道されてきた。

一方、コーク・ネットワークに対抗する、より若い世代のテクノロジー系組織として設立されたロックブリッジ・ネットワークについては、報道がはるかに少ないのが現状だ。

(引用はじめ)

ロックブリッジ・ネットワークには、ピーター・ティールやレベカ・マーサーなど、トランプの最大の献金者が名を連ねており、保守系メディア、法律、政策、有権者登録プロジェクトなどに3000万ドル以上を投じ、アメリカの右派勢力を再構築するという野心的な目標を掲げている。

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2023年の『パック』誌の記事によると、ロックブリッジ・ネットワークは2019年にティールの側近2人によって共同設立された。1人は当時ベストセラー回顧録『ヒルビリー・エレジー』の著者であり、新進気鋭のヴェンチャーキャピタリストだったJD・ヴァンス、もう1人は保守系雑誌『アメリカン・グレートネス』の編集者兼発行人であるクリス・バスカークだ。

●ロックブリッジ・ネットワークの会合では、ピーター・ティール、ドナルド・トランプ、ドナルド・トランプ・ジュニア、タッカー・カールソン、デイヴィッド・サックスなどが講演を行った(Rockbridge Network meetings included speeches by Peter Thiel, Donald Trump, Donald Trump Jr., Tucker Carlson and David Sacks

JD・ヴァンスとクリス・バスカークは、シリコンヴァレーにおける若手たちの政治的な拠点としてロックブリッジ・ネットワークを設立した。年2回開催されるイヴェントでは、タッカー・カールソン、カジノ王スティーヴ・ウィン、ピーター・ティール、デイヴィッド・サックスといった著名人が講演を行った。

昨年、ロックブリッジは、ネットワークが推奨するプログラムに年間10万ドルを支出することを約束した会員が約125名いると発表した。

ロックブリッジは2021年にアリゾナ州で初のサミットを開催し、テクノロジー界の大富豪ピーター・ティールが講演を行った。

2022年、ロックブリッジ・ネットワークは「一種の政治的ヴェンチャーキャピタル」と自称するパンフレットを配布し、マール・ア・ラーゴでドナルド・トランプの講演を招いた非公開会議を開催した。

2024年にマール・ア・ラーゴで開催されたロックブリッジの会合には、口止め料裁判のためニューヨークに滞在していたドナルド・トランプが電話で参加し、息子のドン・ジュニアが講演を行った。その他の出席者には、トランプの共同選挙対策責任者であるスージー・ワイルズとクリス・ラシヴィタ、共和党の献金者であるレベカ・マーサー(以前に取り上げた)、億万長者のウッディ・ジョンソン、トランプの「法廷の口達者」レナード・レオ(以前に取り上げた)、仮想通貨起業家のエリック・ヴォーヒーズ、元ウーバー幹部のエミル・マイケルなどがいた。

●ヴァンスはシリコンヴァレーの資金調達パーティーで副大統領候補に推薦された(Vance was recommended for VP at a Silicon Valley fundraiser

2024年7月の『ニューヨーク・タイムズ』紙は記事「いかにしてテクノロジー界の億万長者ネットワークがJD・ヴァンスの権力掌握を支援したか」を掲載した。6月には、南アフリカ系アメリカ人のテクノロジー起業家兼投資家であるデイヴィッド・サックスの自宅で資金調達パーティーが開催された。

2007年、『フォーチュン』誌は「ペイパル・マフィア(The Paypal Mafia)」と題した記事を掲載し、ピーター・ティールやデイヴィッド・サックスを含むペイパルの創業者たちを紹介した。この記事で「ペイパル・マフィア」という言葉が生まれ、その後、新興テクノロジー界の有力者たちを指す言葉として頻繁に使われるようになった。

7月のイヴェントは、サックスがポッドキャスター仲間のチャマス・パリハピティヤと共同開催した。資金調達パーティー後に開かれた、テクノロジー業界や仮想通貨業界の幹部や投資家約20名が出席した非公開の夕食会で、トランプは副大統領候補について非公式な投票を行った。サックス、パリハピティヤたちは全員、JD・ヴァンス氏を選んだ。

7月の資金調達イヴェントはロックブリッジ・ネットワークとは関係がなかったが、JD・ヴァンスはピーター・ティールを通じてデイヴィッド・サックスと知り合い、シリコンヴァレーでの影響力拡大を目指したロックブリッジ・ネットワークの運営におけるヴァンスの活動が、シリコンヴァレーでの資金調達イvヴェントでヴァンスが圧倒的な支持を得た大きな理由の一つだったと考えられる。

●クリス・バスカーク、レベカ・マーサー、オミード・マリクが共同設立した1789キャピタルは2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェント後に設立された(1789 Capital co-founded by Chris Buskirk, Rebekah Mercer and Omeed Malik was formed after a Rockbridge event in 2022

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NBCニューズの記事では、2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェントで、1789キャピタルという新しいファンドの構想がどのように生まれたかが報じられている。

マリクのような人々にとって、このネットワークはアイデアの交換と創出の場としても機能している。マリクのファンドである1789キャピタルの構想が生まれたのも、2022年のロックブリッジ・ネットワークのイヴェントだった。現在、このファンドはタッカー・カールソンの新たなメディア事業を支援しており、元FOXニューズ司会者の最新事業の資金調達を主導している。

1789キャピタルは、共和党の献金者であり、ケンブリッジ・アナリティカの資金提供者でもあるレベカ・マーサー、ロックブリッジの共同創設者であるクリス・バスカーク、そして「反ウォーク(anti woke)」を掲げる実業家オミード・マリクによって共同設立された。

私は以前、オミード・マリクと、彼がレベカ・マーサー、クリス・バスカークと共に1789キャピタルで行っている活動について詳しく記事を書いた。その際、アドヴァイザーとして名を連ねる著名な人物の一人に、ピーター・ティールの弟子であるブレイク・マスターズがいることを指摘した。

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、1789キャピタルがタッカー・カールソンとニール・パテルが率いるニューメディアヴェンチャーへの1500万ドルの創業資金提供を主導したと報じた。次の投資先は、ミサイル用の3Dプリント可能なロケット燃料を製造するスタートアップ企業ファイアホークだ。ファイアホークは、従来の方法よりも安全で安価だと主張している。数カ月前、ファイアホークは1789キャピタルが参加した新たな資金調達ラウンドを発表した。レベカ・マーサーに関する最近の記事では、1789キャピタルがここ数カ月で1200万ドル以上を調達したことを示す複数のSEC提出書類について詳しく解説した。

●レべカ・マーサー、JD・ヴァンスとヘリテージ財団(Rebekah Mercer, J.D. Vance and the Heritage Foundation

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ヘリテージ財団は最近、大統領移行計画「プロジェクト2025」の立案者として大きく報道されている。この計画は、トランプ支持者を政府要員に据え、保護規制緩和を大幅に進め、教育省や環境保護庁(EPA)などの機関を縮小または解体することを目的としている。

トランプは、ヘリテージ財団の過激な極右的大統領移行計画「プロジェクト2025」から距離を置こうとしてきた。

しかし、JD・ヴァンスは、プロジェクト2025の主要スポンサーであるヘリテージ財団理事長ケヴィン・ロバーツの近刊書籍に序文を寄稿しており、ヴァンスがヘリテージ財団の指導部や目標といかに密接に連携しているかが明らかになっている。

私は、ヘリテージ財団の18人の理事の一人であるレベカ・マーサーについてこの記事を書いた。マーサー・ファミリー財団は過去にヘリテージ財団に寄付を行っている。さらに、マーサーは、ヘリテージ財団傘下の非営利団体であるヘリテージ・アクション・フォー・アメリカのわずか5人の理事の一人でもある。これは、彼女がヘリテージ財団に深く関わっていることを示しており、彼女はヘリテージ財団の理事を務めると同時に、関連する2つの非営利団体の役員も務めている。

ヴァンスとマーサーがヘリテージ財団と共同で活動していたという証拠はないが、両者ともヘリテージ財団とそれぞれ強い繋がりを持っている。

●レベカ・マーサー、スティーヴン・バノン、クリス・バスカークは2017年に連合を結成した(Rebekah Mercer, Stephen Bannon and Chris Buskirk formed an alliance in 2017

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レベカ・マーサーとクリス・バスカークの関係は、バスカークがヴァンスと共にロックブリッジ・ネットワークを共同設立する数年前にまで遡る。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、スティーヴン・バノンとレベカ・マーサーが2017年に、アラバマ州連邦上院議員選挙で落選したロイ・ムーアなどの候補者を支援する政治連合を結成したと報じた。ピーター・ティールはバノンとマーサー夫妻に近い人物とされ、この連合で重要な役割を果たすと予想されていた。オンラインジャーナル「アメリカン・グレートネス」の発行人であるクリス・バスカークは、連合の政策方針を広める役割を担うために招集された。

注目すべきは、バスカークとヴァンスがマーサーとティールと共に連合を立ち上げる数年前に、マーサー、ティール、バスカークがこのロックブリッジ・ネットワークに関わっていたことである。 2017年の連合は、ロックブリッジの初期形態だった可能性が高い。

●マーサー家が資金提供するケンブリッジ・アナリティカと、ティール氏のデータ企業パランティア(Mercer’s Cambridge Analytica and Thiel’s data company Palantir

2018年、ケンブリッジ・アナリティカの内部告発者であるクリストファー・ワイリーは、イギリス議会で、マーサーが出資するケンブリッジ・アナリティカが、ピーター・ティールのデータ企業パランティアのスタッフと非公式に協力していたと証言した。

「パランティアとケンブリッジ・アナリティカの間には正式な契約はなかったが、パランティアのスタッフがオフィスに出入りし、そのデータを使って作業していた」とワイリーは議員たちを前にして語った。さらに、パランティアのスタッフは「私たちが取り組んでいたモデルの構築を支援してくれた」と付け加えた。

パランティアの広報担当者はこの主張を否定し、パランティアはケンブリッジ・アナリティカとは一切関係がなく、ケンブリッジ・アナリティカのデータを使ったこともないと述べた。

●ティール、ヴァンス、マーサー、そしてソーシャルメディアプラットフォームのパーラーとランブル(Thiel, Vance, Mercer and social media platforms Parler and Rumble

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JD・ヴァンスは、自身のヴェンチャーキャピタルであるナリヤ・キャピタルを経営していた当時、ソーシャルネットワーク「パーラー(Parler)」に対する投資に関してレベカ・マーサーに助言を与え、その後、保守系プラットフォーム「ランブル(Rumble)」にも投資した。

この時期、ヴァンスは、パーラーをはじめとする保守派に支持されるテクノロジー・プラットフォームへの投資に関心を持つようになった。関係者2人によると、ヴァンスはパーラーの支配株主であり、共和党の大口献金者でもあるレベカ・マーサーに助言を与え、パーラーへの投資を検討していたとのことだ。ナリヤ・キャピタルは最終的にパーラーへの投資は行わなかったが、2021年に保守派に支持されるユーチューブ(YouTube)の競合サーヴィスであるランブルにティールと共に投資した。また、ケンタッキー州に拠点を置く屋内農業企業アプハーヴェスト(AppHarvest)にも投資しており、アプハーヴェストは2020年末に上場した。アプハーヴェストは昨年破産申請を行った。

私はランブルと、トランプのトゥルース・ソーシャル(Truth Social)の親会社であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology GroupTMTG)との密接な関係について、この記事を書いた。トランプのTMTGの最高情報責任者(CIO)は、マケドニアにオフィスを構えるランブルの主要パートナー企業であるコスミック・ディヴェロップメント(Cosmic Development)の最高技術責任者(CTO)も兼任している。

ランブルの主要投資家には、JD・ヴァンス、ピーター・ティール、ダレン・ブラントンなどが名を連ねている。ブラントンはマイク・フリンの仲間と共同で企業に投資し、スティーヴ・バノンのパートナーである郭文貴が経営するGTVメディアの取締役を務めていた。

2023年6月、ペイパルの共同創業者であり、トランプのシリコンヴァレーでの資金調達イヴェントを主催したデイヴィッド・サックスは、ランブルが彼のポッドキャストおよびライヴストリーミングプラットフォームであるカリン(Callin)を買収した後、ランブルの取締役に就任した。

●オミード・マリクは、ティールの弟子であるブレイク・マスターズのビジネス上の同僚(Omeed Malik is a business colleague of Thiel protege Blake Masters

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私がマリクについて書いたこの記事では、彼がマーサーとバスカークと共に1789キャピタルを共同設立した経緯、そしてマリクが既存の事業との統合を目的とした特別目的買収会社(special purpose acquisition companiesSPAC)を2社設立したことについて述べています。

マリクが設立した最初のSPACであるコロンビエ・アクイジション・コープ(Colombier Acquisition Corp.)は、アマゾンと競合する愛国的な企業や消費者向けの大手マーケットプレイスであるPSQホールディングス(PSQ Holdings)(別名パブリックスクエア[PublicSquare])と合併した。

マリクは、ヴェンチャーキャピタリストでピーター・ティールの弟子であるブレイク・マスターズ(前述の通り1789キャピタルの顧問も務めている)と共にPSQホールディングスの取締役に就任した。

マリクと共にPSQの取締役を務めるのは、マイク・ペンス副大統領の元首席補佐官ニック・エアーズ、ジョージア州選出の元連邦上院議員でトランプの主要献金者であるケリー・ロフラーなどだ。

●ロックブリッジ・ネットワークは有権者登録に注力(The Rockbridge Network is focused on voter registration

このNBCニューズの記事によると、ロックブリッジの2024年の主要プロジェクトの一つは有権者登録だ。

先週の会合に出席し、ロックブリッジの活動に詳しい情報筋によると、ロックブリッジ・ネットワークは2023年に12万5000人の有権者を登録し、2024年にはその倍増を目指しているとのことだ。ロックブリッジ・ネットワークは、新規登録者を対象とするプログラムに資金を提供しており、彼らが重視する問題に基づいてアプローチするとともに、「アンバサダー(ambassador)」と呼ばれるアウトリーチ体制を構築している。この体制では、10人の新規有権者それぞれに1人のオーガナイザーが割り当てられ、オーガナイザーが彼らと親交を深める。

最近、新たに設立されたスーパーPAC「アメリカPAC」が話題になった。『ウォールストリート・ジャーナル』紙が、イーロン・マスクがトランプ支援のためにアメリカPACに毎月4500万ドルを寄付すると報じたことが発端だ。マスクは後にこの報道を否定した。

アメリカPACについては、初期寄付者リストの詳細と、PACが出資する主要ヴェンダー2社の概要をこちらで解説した。初期寄付者は主にテクノロジー系起業家や投資家で、ピーター・ティールやイーロン・マスクと密接な関係にある人物が多く含まれている。アメリカPACの活動は、共和党支持層に期日前投票や不在者投票を促すことに重点を置いており、ヴェンダーであるラコンター・メディア(Raconteur Media)とイン・フィールド・ストラティジーズ(In Field Strategies)は、戸別訪問、現場活動、デジタルサーヴィス、テキストメッセージ、電話サービスなどを専門としている。

ロックブリッジ・ネットワークとアメリカPACの間には直接的な繋がりは報告されていないが、両者とも有権者登録やシリコンヴァレーおよびヴェンチャーキャピタルからの資金提供といった点で共通点があることから、何らかの繋がりがある可能性は否定できない。

●共和党全国委員会が公開したシリコンヴァレーの投資家たちの写真(RNC photo of various Silicon Valley investors

この記事を執筆中、リサーチャーのスリックロックウェブが、先に述べた人物を含む興味深い人脈を示す写真を提供してくれた。以下でさらに詳しく述べる人物たちは、現在トランプとヴァンスを支援しているテクノロジー系億万長者ネットワークに関係する人物の一部について、より詳細な情報を提供してくれる。

テディ・シュライファーがツイッター(X)で共有したこの写真には、左前から時計回りに右奥に向かって、ケン・ハウリー、シャーヴィン・ピシェヴァー、シェイン・コプラン、ドナルド・トランプ・ジュニア、オミード・マリク、デイヴィッド・サックスが写っている。

オミード・マリクとデイヴィッド・サックス、そしてドナルド・トランプ・ジュニアについて、JD・ヴァンス、ピーター・ティール、レベカ・マーサーとの繋がりについて書いた。

以下では、この写真に写っている他の3人、ケン・ハウリー、シャーヴィン・ピシェヴァー、シェイン・コプランについて、ティール、イーロン・マスク、そして右派テクノロジー界の頭目たちとの繋がりについて、より詳しく解説する。

ケン・ハウリーは、ピーター・ティールと共にペイパルとファウンダーズ・ファンドを共同設立した。ドナルド・トランプ大統領政権下の2019年から2021年まで駐スウェーデン米大使を務めた。私は以前、アメリカPACの初期資金提供者リストについて記事を書いたが、ケン・ハウリーは25万ドルずつ4回、合計100万ドルを寄付した寄付者の1人だ。

シャーヴィン・ピシェヴァーはヴェンチャーキャピタリストで、ウーバー(Uber)とハイパーループ(Hyperloop)の投資家だった。2013年にはイーロン・マスクと共にキューバを訪問している。ピシェヴァーは2014年にハイパーループを共同設立し、イーロン・マスクが開発した技術の商業化に取り組んだ。2016年の『モスクワ・タイムズ』紙の記事によると、ピシェヴァーはロシアを訪問し、複数のロシア政府系ファンドの責任者と会談し、ウラジーミル・プーティン大統領とも直接会談したとのことだ。彼はその後、ハイパーループがロシア直接投資基金(RDIF)から2件の投資を受けていたことが問題視され、2016年にハイパーループを去った。2017年、『ブルームバーグ』誌はピシェヴァーが複数の女性から性的不正行為で告発されたと報じた。

シェイン・コプランは、スポーツ、ポップカルチャー、そして2024年のアメリカ大統領選挙への賭けを提供することで急速に成長しているベッティングプラットフォームであるポリマーケット(Polymarket)(別名ブロックラタイズ[Blockratize])の創設者だ。ポリマーケットは2回の資金調達ラウンドで7000万ドルを調達しており、その中にはピーター・ティール率いるファウンダーズ・ファンドが主導した4500万ドルや、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリンからの出資が含まれている。2022年、ポリマーケットは米商品先物取引委員会(CFTC)から、イヴェントベースのバイナリーオプションオンライン取引契約(いわゆる「イヴェントマーケット」)のための違法な未登録・未指定施設を運営していたとして、140万ドルの和解金を支払うよう命じられた。現在、ポリマーケットはアメリカ人によるプラットフォーム上での取引を禁止している。それにもかかわらず、このサイトは成長を続けており、7月の取引額は2億7500万ドルを超えた。ポリマーケットは最近、世論調査専門家のネイト・シルヴァーをアドヴァイザーとして迎え入れた。ウォールストリート・ジャーナルの記事では、この仮想通貨賭博プラットフォームの成長とリスクについて、「批判者たちは、選挙賭博が有権者の動機を歪め、選挙操作を助長するのではないかと懸念している」と述べている。

11月の大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプとJD・ヴァンスを支援するネットワークを暴露し続けることが不可欠だ。11月の選挙で誰が勝つかにかかわらず、このネットワークは組織化、資金調達を続け、過激な極右アジェンダの実現に向けて突き進むだろう。そして、トランプが勝利しない場合、特に民主党が連邦上院の過半数を維持できず、連邦下院でも過半数を獲得できない場合、バラク・オバマ政権時代のティーパーティー運動に似たものがハリス大統領に対して立ち上がる可能性が高いだろう。しかし今回は、右翼のテクノロジー系仮想通貨億万長者による運動、つまりJD・ヴァンスをトランプ陣営に送り込んだネットワークが率いるテクノファシスト政党(a techno-fascist party)になるかもしれない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領は132年ぶりの返り咲き(カムバック)で第二次政権をスタートさせた。第二次トランプ政権は変質した。「アメリカ・ファースト(America First)」は、国内問題解決優先、海外での戦争はしないということが本質である。ドナルド・トランプはアメリカ・ファーストを裏切った。この状況を何とかしようとしているのが、JD・ヴァンス副大統領である。

 それでも、ドナルド・トランプは第45代、第47代大統領として、アメリカ誌に名前を刻むことになる。それでは、ドナルド・トランプはどのような形で、名前を刻み、人々に記憶され、人口に膾炙することになるのだろうか。

 下記論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは、トランプについて「政策遂行」ではなく「常識破壊」の卓越した政治力の大統領として記憶されるだろうと述べている。以下に引用する。

(貼り付けはじめ)

大統領としてのトランプの最大の功績は、アメリカの民主政治体制秩序を形作ってきた多くの規範を打ち破り、多くの常識に挑戦したことだ。支持者たちにとっては、それはトランプの天才性(his genius)であり、批判者にとっては、それは彼の危険さの理由(why he’s so dangerous)だ。残念ながら、彼は効果的な改革を実行するために必要な細部を把握する能力も意欲も欠けており、経験豊富で強硬な外国の敵対勢力を出し抜く交渉力も持ち合わせていない。しかし、現実がどうであれ、自分が素晴らしいことを成し遂げていると人々に信じ込ませる能力がある限り、こうした欠点は問題にならないかもしれない(But these failings may not matter, given his ability to convince people that he’s doing great things no matter what the reality may be

(貼り付け終わり)

 決して褒めている訳ではないが、人々を惹きつける力があり、カリスマ的な能力を持つ人物であるということを述べている。そのような力がなければ、アメリカ大統領にはなれないだろう。ドナルド・トランプはこれまでも、そして、これからも人々の関心を引き、研究者たちによって研究されていく大統領であろう。

(貼り付けはじめ)

トランプはどのように記憶されるのか(How Trump Will Be Remembered

-これほどまでに在任期間を自分自身と自身の功績のためだけにあからさまに利用した大統領は他にいない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年6月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/30/trump-president-us-history/

アメリカ大統領は皆、強い自我・自尊心(egos)を持っていたし、持っている。そうでなければ、大統領執務室(the Oval Office)にたどり着くことすら難しいだろう。そして、彼らは死後、良い形で記憶されたいと願っている(they want to be remembered favorably after they are gone)。ジョージ・ワシントン、エイブラハム・リンカーン、フランクリン・D・ルーズヴェルトといった少数の大統領は、卓越した資質に加え、並外れたリーダーシップを必要とする困難な状況を克服したことで、崇高な地位を築いている。平穏な時代に政権を担った大統領、あるいは在任中の行動が明らかな失敗によって評判が傷ついた大統領は、歴代大統領をランキング形式で評価するようなリストで、最下位に沈まないことを祈るしかない。

他の多くの事柄と同様に、ドナルド・トランプの歴史における自身の地位への執着(obsession)は異例の程度である。これほどまでに露骨に自己中心的であり、アメリカ史上最も偉大な大統領の1人として記憶されたいと願う姿勢を、これほどまでに明白に示した大統領は他にいない。実際、彼はすでにその栄誉にふさわしいと信じているようだ。

トランプの個人的な栄光への熱望は、至るところに見られる。一期目の政権時、トランプは記者団に対し、重要なポストの補充が遅れていることは問題ではない、なぜなら重要なのは自分だけだからだと語った。彼はノーベル平和賞への希望を繰り返し表明しており、その一因は前任者のバラク・オバマが受賞したことだ。2024年の大統領選キャンペーン中、彼は自分がリンカーンやワシントンよりも優れた、史上最高の大統領であると明言した。トランプは自身の知性を自慢し、閣僚やその他の高官には公の場で媚びへつらうような儀式的な行為を行うことを期待している。カルト的なMAGA共和党員たちはすでにトランプを崇拝する活動を始めており、彼の顔をラシュモア山に加えることを提案する連邦議会法案まで提出されている。

しかしながら、トランプの問題は、在任中の実績が良くて平凡、最悪の場合は大失敗だったということだ。1期目には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応を誤り、アメリカの債務を8兆ドル以上増加させ、アメリカの貿易赤字を悪化させ、アフガニスタン戦争を終結させることに失敗し、北朝鮮に核兵器削減を説得できず、長年の同盟諸国との関係を何の利益も生み出すことなく、逆に混乱させた。こうした実績だったので、有権者たちは当然ながらトランプを退任させた。2期目の政権を獲得できたのは、ジョー・バイデンがもっと早く選挙戦から撤退しなかったことが大きな理由であり、現在トランプはアメリカの国内政策と外交政策の根本的な変革を試みているが、これは景気後退への正当な懸念を引き起こし、アメリカが世界をリードする科学技術力と学術力を破壊する恐れがあり、支持率が過去80年間でどのアメリカ大統領よりも急速に低下する原因となっている。時代遅れと言われるかもしれないが、私にはラシュモア山に刻まれるような人物には見えない。

しかし、トランプをまだ見限ってはいけない。政治家になる前も後も、彼のキャリアは、事実がそうでない場合でも、あたかも成功しているかのような錯覚を作り出す驚くべき能力に基づいていたからだ。トランプは莫大な財産を相続してビジネスキャリアをスタートさせたが、その後、度重なる破産や事業の失敗、そして数々の詐欺行為に見舞われた。こうした平凡な実績にもかかわらず、執拗な自己宣伝(relentless self-promotion)、巧妙かつ恥知らずな嘘(adroit and shameless lying)、そしてリアリティ番組スターとしての幸運な仕事(a fortuitous gig as a reality TV star)が相まって、何百万人もの人々が彼をビジネスの天才(a business genius)であり、交渉の達人(a master dealmaker.)だと信じ込むようになった。

大統領としてのトランプの最大の功績は、アメリカの民主政治体制秩序を形作ってきた多くの規範を打ち破り、多くの常識に挑戦したことだ。支持者たちにとっては、それはトランプの天才性(his genius)であり、批判者にとっては、それは彼の危険さの理由(why he’s so dangerous)だ。残念ながら、彼は効果的な改革を実行するために必要な細部を把握する能力も意欲も欠けており、経験豊富で強硬な外国の敵対勢力を出し抜く交渉力も持ち合わせていない。しかし、現実がどうであれ、自分が素晴らしいことを成し遂げていると人々に信じ込ませる能力がある限り、こうした欠点は問題にならないかもしれない(But these failings may not matter, given his ability to convince people that he’s doing great things no matter what the reality may be)。

しかし、大統領が歴史に名を残そうと努力することに、何か問題があるのだろうか? 大統領には野心を持って欲しいものであり、単に現状を維持したり、細かい手直しをするだけで満足したりしてはいけないのではないだろうか? 答えは「イエス」だ。ただし、(1)国益(単に自身や最大の支援者を豊かにすることではなく)に資する、よく練られた構想を持っていること、そして、(2)それらの計画を効果的に実行する方法を知っていることが条件となる。野心(ambition)は、公共の利益を促進し、精力的かつ効果的に追求されるのであれば歓迎されるが、たまたまホワイトハウスに居座っている個人を称賛することだけが目的である場合は別だ。

指導者たちが公共の利益への真摯な貢献ではなく、個人的な栄光への欲求に突き動かされている場合、彼らはほとんど利益をもたらさない無意味な「実績(achievements)」(例えば、メキシコ湾の名称変更)を追求し、何百万人もの人々を助けるようなより困難な問題(インフラ整備や経済格差の是正など)を無視する可能性が高くなる。彼らは大きなリスクを冒し、極端な措置を正当化するために架空の緊急事態をでっち上げ、一般市民が最終的に負担することになる、壮大だが杜撰な計画を推し進める傾向がある。そして、見かけだけが全てだとすれば、野心的な指導者たちは、実際に統治するよりも、個人崇拝を築き上げ、批判を抑圧することに多くの時間を費やすだろう(And if appearances are all that matter, an ambitious leader will spend more time building up cults of personality and suppressing criticism than on actually governing)。以前にも聞いたことがあるような話ではないか?

トランプが繰り返し表明してきたグリーンランド併合の願望は、こうした傾向を如実に示している。グリーンランドを併合する説得力のある安全保障上の理由は存在しない。なぜなら、アメリカは既にグリーンランドの正当な主権者であるデンマークと条約を結んでおり、状況に応じてアメリカ軍の駐留を増強することを認めているからだ。また、グリーンランドの鉱物資源開発は商業的に採算が取れるとは限らず、アメリカ企業は望むなら自由にこれらの機会を追求できるため、グリーンランドを併合する説得力のある経済的理由もない。さらに厄介なことに、グリーンランドの住民はアメリカの一部になることを望んでいない。

グリーンランドを併合すれば、比較的穏健な大国としてのアメリカのイメージは損なわれ、かつて世界で最も親米的な国の1つであったデンマークとの関係も悪化し、領土拡大に反対する長年の規範もさらに揺らぐことになるだろう。簡潔に述べれば、愚かな考えだ。しかしトランプの考えでは、グリーンランドを奪取すること(あるいはカナダを51番目の州にすること)は、アメリカをより大きく、ひいては「より偉大(greater)」にすることになる。どんな結果や副次的被害があろうとも、そのような劇的な「医業」(a dramatic “achievement”)を成し遂げれば、歴史に名を刻むことができると確信している。

実際、歴史は、個人的な栄光に固執する指導者たちは、往々にして自国に甚大な損害を与えると警告を発している。ナポレオン・ボナパルトは疑問の余地なく傑物であり、世界史に名を残す偉人であったが、個人的な栄光への執着は、数百万人のヨーロッパ人(おそらく100万人のフランス国民を含む)の命を奪い、最終的にはセントヘレナ島で孤独な死を遂げた。アドルフ・ヒトラーは「千年帝国」(a “1,000-year Reich”)の建設を夢見た誇大妄想狂(a megalomaniac)だったが、彼の最大の「実績(achievement)」は数千万人のヨーロッパ人の死と、40年以上にも及ぶドイツの分裂だった。イランのシャー、フィデル・カストロ、ウゴ・チャベス、サダム・フセイン、毛沢東、ガマル・アブデル・ナセル、ヨシフ・スターリンなど、自らの歴史的使命を確信した野心的な指導者たちは、確かにいくつかの偉業を成し遂げたかもしれないが、最終的にはいずれも自国に利益よりも害をもたらした。

アメリカ建国の父たちは、過剰な個人的野心がもたらす害を理解していた。だからこそ彼らは君主制を否定し、憲法を制定し、アメリカ合衆国は法治国家(a nation ruled by laws)であるべきだと主張し、「野心は野心によって抑制されなければならない([a]mbition must be made to counteract ambition)」という統治体制を構築したのだ。ジェイムズ・マディソンが『フェデラリスト・ペーパーズ』第51篇の中で、「共和制政府においては、立法権が必然的に優位に立つ(republican government, the legislative authority necessarily predominates)」と述べたことは、大統領が権力を持ちすぎたり、国の利益よりも自身の名声や称賛を求めることに熱心になったりする場合に生じる危険性をマディソンが鋭く認識していたことを示している。

真実がますます希少資源となり、謙虚さが時代遅れとなり、露骨な自己宣伝が常態化している現代社会において、トランプはMAGA支持者たちに自分が真に偉大な大統領だと信じ込ませることに成功するかもしれない。しかし、最終的に彼の歴史的な評価は結果(results)によって決まるだろう。これまでの実績に基づけば、彼は非常に重要な大統領として評価される可能性が高い。なぜなら、彼が規範を打ち破り、その他の過激な行動を取ってきたことで、退任する頃には計り知れない影響を与えているはずだからだ。

しかし、アメリカ国民が、自国がより弱くなり、より病み、より貧しくなり、より知性が低下し、より借金が膨らみ、より尊敬されなくなり、より分断が深まり、ひいてはもはや真の民主主政治体制国家でさえなくなっても、それでもなお幸せだと決断しない限り、真の偉大さという栄光は、彼の手に永遠に届かないだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt
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 古村治彦です。

 ピート・ヘグセス国防長官が陸軍人事に介入し、アメリカ陸軍制服組トップのランディ・ジョージ陸軍参謀総長を更迭した。へぐセス国防長官はこれ以外にも、陸軍の文民(civilian)トップダン・ドリスコル陸軍長官と何度か衝突を繰り返している。そうした中で、ドリスコルと親しいジョージが辞任と現役からの退役を求められたという報道がデイル。ドナルド・トランプ大統領とホワイトハウスは現状について静観する構えを見せている。

 ダン・ドリスコルについては拙著『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社、2025年11月)で詳しく紹介した。ドリスコルは、JD・ヴァンス副大統領とはイェール大学法科大学院以来の友人であり、お互いに軍務経験を持ち、地方の州立大学出身という共通点を持つ。ヴァンスが連邦上院議員当選後は、ドリスコルが補佐官を務めた間柄でもある。ヴァンスと親しいということは、当然のことながら、ピーター・ティールとも親しいということになる。

ドリスコルは、陸軍長官就任に際しての、連邦議会での公聴会で、「これまでの軍産複合体を構成する巨大企業(primeと呼ばれる)の1つを倒産させることが私の責務だ」という過激な発言を行ったが、将兵の数でいえばアメリカ5軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊)でも最大規模であり、武器や装備に関しても大規模である陸軍のトップとして、これまでの軍産複合体に喧嘩を売った。これはつまり、ヴァンスを通じて関係の深い、ピーター・ティールやイーロン・マスクが形成しようとしている、新・軍産複合体を使うという宣言である。実際に、ドリスコルは、ドローンの積極活用を進め、トランプ大統領から賞賛の言葉をかけられている。

 このように見ていくと、アメリカ政府内の小さな事件が大きな構造の中での動きを示していることが分かる。ドリスコルは、トランプの後継者となるヴァンスの側近として、これからさらに重要な役割を果たすようになっていくだろう。

(貼り付けはじめ)

ピート・ヘグセス国防長官と対立したダン・ドリスコル陸軍長官が「辞任や退任」の計画はないと述べる(Army secretary who clashed with Hegseth says he has no plans to ‘depart or resign’

フィリップ・ティモティジャ筆

2026年4月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/5821970-driscoll-army-secretary-future/

ダン・ドリスコル陸軍長官は、昨年からピート・ヘグセス国防長官との間で度々緊張関係が続いているものの、陸軍長官を辞任するつもりはないと述べた。

ドリスコル長官は、『ザ・ヒル』誌への声明の中で、「ドナルド・トランプ大統領の下で働くことは生涯最高の栄誉であり、私はアメリカに世界最強の地上戦闘部隊を提供することに引き続き全力を注いでいる。陸軍長官を辞任するつもりはない」と述べた。

ドリスコル長官の発言は、2025年2月から務めているドリスコルの陸軍長官としての将来について、ホワイトハウス関係者の間で議論が交わされていたと報じられている中でなされた。これは、ヘグセス国防長官が、ドリスコル長官と親しいヴェテラン軍人であるランディ・ジョージ陸軍参謀総長を解任した後のことだ。

ドリスコルはイラクに派遣された経験を持つ元陸軍将校であり、ヴァンス副大統領の親しい友人である。

ドリスコルの立場について問われたホワイトハウスは、ヘグセス、ドリスコル両政治任用者を称賛した。

ホワイトハウス報道官のアンナ・ケリーは水曜日、『ザ・ヒル』誌に対する声明の中で、「トランプ大統領は、ヘグセス長官やドリスコル長官のような指導者の尽力により、アメリカ軍全体の即応性と戦闘能力の向上に効果的に注力する姿勢を取り戻した」と述べた。

ケリー報道官は「壮大な怒り作戦(Operation Epic Fury)』を通じて、アメリカ陸軍と国防総省全体の並外れた能力が存分に発揮され、全ての軍事目標が達成され、イランの軍事力は低下した」と、ペンタゴンを指す政権の常用名称を用いて述べた。

ドリスコル長官の発言は、『ワシントン・ポスト』紙が最初に報じた。

ヘグセスとドリスコルは、軍将校の昇進問題を含め、複数の面で対立してきた。国防長官はまた、テネシー州にあるキッド・ロックの邸宅付近で軍用ヘリコプター2機を操縦した陸軍の乗組員に対する停職処分を解除し、軍による当該隊員への調査を中止させた。

トランプ大統領は、過去にアメリカのドローン能力強化におけるドリスコルの功績を称賛していたが、イランとの戦争の最中、ヘグセスにも賛辞を送った。

トランプ大統領は月曜日、国防長官について「私が言えるのは、彼は非常に不当な扱いを受けたということだ。そして今、彼を不当に扱い、彼に反対していた同じ人々が私に電話をかけてきて、彼がいかに素晴らしい人選だったかを語っている」と語った。

トランプ大統領は「彼に反対していた人たち―連邦上院議員や私の友人たち―が、『大統領、あなたは正しいことをしていると考えませんでした』と言って私に電話をかけてくるなんて、なんて人選だったことだろう」とホワイトハウスで記者団に語った。

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 古村治彦です。

 イラン戦争の仲介役はパキスタンのシャバズ・シャリフ首相であり、パキスタン陸軍参謀長のアシム・ムニール元帥である。ムニール元帥はパキスタン軍情報・諜報機関ISI長官を長年務め、イランやイスラエルの各国の情報・諜報機関との太いパイプを持ち、また、アメリカのドナルド・トランプ大統領とも昵懇の仲である。表に出ている仲介役はパキスタンであるが、実質的にイランに働きかけを行っているのは中国である。そのことは、トランプ大統領もシャリフ首相も認めている。中国側は正式には働きかけを認めて、発表していないが、中国は積極的にイランに働きかけを行ったことは事実である。

 イランから輸出される石油の80%以上が中国向けである。イスラム革命防衛隊によるホルムズ海峡封鎖が実施された3月初旬以降も、イランは石油輸出を実施しており、そのことはアメリカも認めていた(原油価格安定のため)。イラン側は人民元による決済を条件として民間タンカーの航行を認めていた。

 2026年4月11日にパキスタンのイスラマバードで、アメリカとイランによる和平交渉が行われたが、21時間に及ぶ交渉も合意には至らなかった。その後、トランプ大統領はアメリカ海軍によるホルムズ海峡封鎖の実施を発表した。現在、イラン戦争は停戦状態にあるが、ホルムズ海峡をお互いが封鎖するという状態になっている。これによって、中国向けのイランからの石油輸出もできないということになる。トランプ大統領によるホルムズ海峡封鎖発表は中国に対して、イランへの働きかけを強めるように求める措置だ。

 2026年5月14日にアメリカのドナルド・トランプ大統領は中国を公式訪問する。この時までに、トランプ大統領は和平合意を達成することで、意気揚々と訪中したいところだろう。中国もトランプを中国に招いて、トランプを称揚しながら、同時に、台湾統一について、踏み込んだ発言、「台湾問題は中国の内政問題である」をさせて、アメリカが台湾に関して関与しないということを明らかにさせたいだろう。

 イラン側としては、和平合意の条件として、体制と安全の保証をアメリカと中国に求めるだろう。アメリカがイランの体制と安全の保証を行っても、それを信用することはできないというところが最大の問題点となる。中国による保証ということも求めることになるだろうが、中国としては、アメリカと直接対峙する最悪の事態ということにもなりかねず、ここをどう解決するかということになる。問題の根本は、アメリカの信頼性が欠如しているという点だ。そこをこれから中国がどのようにして埋めていくかということになる。世界政治における中国の役割はより大きくなっていく。このことをイラン戦争の現状は示している。

(貼り付けはじめ)

中国、アメリカのイラン港湾封鎖は「無責任で危険」と非難

赤い船体に黄色いクレーンのついた貨物船が洋上にある画像提供,Reuters

BBC NEWS JAPAN2026415

ジェイムズ・グレゴリー

https://www.bbc.com/japanese/articles/c15dd704jpno

中国政府は14日、アメリカによるイラン港湾の海上封鎖を「無責任で危険だ」と非難した。中国外務省は、この動きが「ただでさえもろい状態にある停戦合意を損なう」と主張。アメリカとイスラエルの攻撃に対抗してイランが事実上封鎖した重要航路のホルムズ海峡で、通過する船舶の安全をさらに危険にさらすとした。

中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で、「海峡の状況緩和の条件を根本的に整えるには、包括的な停戦を実現し、戦争を終らせる以外に方法はないと、中国は考えている」と述べた。

「中国は全当事者に対し、停戦の取り決めを順守し、対話と和平交渉という全般的な方向性に専念し、地域情勢の緩和促進のため実務的に行動し、海峡の通常の航行をできるだけ早く回復させるよう求める」とも、報道官は述べた。

郭報道官はこのほか、中国がイランに新しい防空システムを供与する準備を進めているとの報道について、「完全な作り事だ」と一蹴した。

ドナルド・トランプ米大統領は、中国がイランに軍事支援を提供した場合、中国製品に50%の関税を課すと警告している。

郭報道官は、「アメリカがこれを口実に中国に対する追加関税を課すことに固執するならば、中国は必ず断固とした対抗措置を取る」と述べた。

アメリカによる封鎖は13日に発効した。この前日には、パキスタンが仲介したアメリカとイランの協議が決裂している。

封鎖措置について、トランプ氏は、イランに核開発の野心を放棄させるためのものだと主張している。専門家の中には、イラン産原油を最も購入している中国に圧力をかけ、イラン政府に海峡の開放を促す狙いがあるとする人もいる。

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イランの国連大使はアメリカによる封鎖を、イランの主権に対する「重大な侵害」だと非難している。

これまでのところ中国の船舶は、海峡を通過できている数少ない船の一部だった。海峡通過のために、イランに通行料を支払っていたかどうかは明らかになっていない。

アメリカによる封鎖は、中国への石油供給を断ち切り、中国経済に広範な影響を及ぼす可能性がある。

中国の主張に先立ち、JD・ヴァンス米副大統領はホルムズ海峡をめぐるイランの封鎖について「経済的テロ」だと非難していた。イランは先月以降、通過する船舶を実際に攻撃し、さらに攻撃すると脅してきた。

ヴァンス氏は米FOXニュースに対し、「合衆国大統領が示したように、こちらも同じように対抗できる」と述べた。「イランが経済的テロを実施しようとするなら、こちらはイランの船舶は1隻も外へは出さないという、単純な原則を順守する」。

アメリカは、イラン以外の港との往来のために海峡を利用する船舶を軍が妨害することはないとしている。イラン沿岸近くで米海軍艦船を危険にさらすよりも、オマーン湾やインド洋で海軍を展開し、イランの湾岸港湾を封鎖しようとしている。

しかし、BBCヴェリファイ(検証チーム)が分析した航行データによると、14日には少なくとも4隻のイラン関連船が海峡を通過した。

一方、原油価格は14日に1バレルあたり100ドルを下回った。

アメリカとイランの間の不安定な停戦は、48日に発効して以来、維持されている。ホルムズ海峡の地位や、停戦にレバノンが合意に含まれているかどうかが、両国の間で争点となっている。

イスラエルは、停戦が適用されるのはイランのみだと主張。イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派武装勢力ヒズボラに対する激しい攻撃を継続しており、レバノンではこれまでに何百人も殺害している。

こうした中、レバノンとイスラエルの当局者による直接協議が14日、米ワシントンで行われた。両国が直接的に対話したのは1993年以来初めて。

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中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由

4/11() 8:05配信 ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/03f78918876e11a6c23c47a354a3d4c2f6f8d6b0

https://news.yahoo.co.jp/articles/03f78918876e11a6c23c47a354a3d4c2f6f8d6b0?page=2

今週成立した停戦について、アメリカとイランはいずれも自らが勝者だと主張している。しかし、水面下で最大の勝者となったのは中国である可能性がある。

417日、ドナルド・トランプ米大統領は、中国指導部がイランとの2週間の停戦実現に貢献したと考えていると公に述べた(この停戦が維持されるかどうかは別問題だが)。

この発言は、5月中旬に予定されているトランプの中国公式訪問に向けて前向きな材料となる。

中国政府も、戦闘の一時停止を歓迎すると表明した。

「戦闘開始以来、中国は紛争終結に向け積極的に取り組んできた」と、在米中国大使館の報道官、劉鵬宇(リュー・ペンユー)は本誌に語った。「王毅(ワン・イー)外相は関係各国の外相と26回協議を行った。その中にはイラン外相との2回の協議も含まれる」

中国は中東に特使を派遣したほか、3月下旬にはパキスタンとともに5項目からなる和平案を発表した。

48日、イラン政府は地域の平和維持を支援する安全保障の後ろ盾として中国を招いた。アフリカの角に近いジブチに海外軍事基地を持つ中国は、この提案を受け入れていないが、今回の成果はすでに中国にとって大きな実績となっている。

劉は「関係各国がこの平和の機会を捉え、対話によって相違を埋め、できるだけ早く敵対行為を終わらせることを望む」と述べた。「責任ある大国として、中国は今後も建設的な役割を果たし、湾岸および中東地域の平和と安定の回復に積極的に貢献していく」

●理想的な仲介者

イラン戦争で中国が調停役を引き受けることは、ある意味で予想外ではなかった。

中国とイランの関係は、イランの石油輸出の90%以上を中国が購入していることにとどまらない。両国は長年にわたり外交および防衛面でも結びつきを持っている(イランが導入した中国製の防空システムを含む軍事装備は、アメリカとイスラエルによる激しい爆撃を防ぐには至らなかったが)。

46日、ニューヨークで開催された国連安全保障理事会では、バーレーンが提出したホルムズ海峡の安全保障に関する決議案が、中国とロシアの拒否権により採択されなかった。

中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使は、この決議案は「紛争の根本原因と全体像を捉えていない」と指摘したうえで、「アメリカは文明の存続そのものを公然と脅かしている」とアメリカ批判を展開した。

ニューヨーク・タイムズ紙は、イラン最大の貿易相手国である中国が停戦成立に重要な介入を行ったと報じている。この実績により、中国の紛争調停の能力に対する評価が高まる可能性がある。

ただし、停戦実現に向けた具体的な働きかけや、テヘランに対してどのような圧力をかけたのかについては明らかにされていない。

中東諸国は、これまでアメリカが打開できなかった外交的行き詰まりに対し、中国が関与することを歓迎したとみられる。

その背景には、中国がペルシャ湾地域から石油の約半分、天然ガスの約3分の1を輸入しているという事情がある。

●ウクライナ戦争への介入の可能性は?

一方、イランの新指導部には選択肢がほとんど残されていなかったようだ。ドローンやミサイル攻撃によりカタールやオマーンの重要なエネルギーインフラを攻撃し、従来の交渉相手との関係をほぼ断絶していたためである。

米ワシントンD.C.のシンクタンク、ジャーマン・マーシャル基金のインド太平洋プログラム責任者であるボニー・グレイザーは、「中国が世界中で仲裁者としての役割を積極的に求めているとは思わない。中国の利益が重大に脅かされ、かつ強い影響力を持つ場合に限り積極的に関与する傾向がある」と分析している。

「中国は紛争の激化や長期化が自国の利益を損なうことを防ぐため、イランに圧力をかけた可能性が高い。中国はイラン(の現政権)が存続し、安価な石油を(中国に)供給し続けることを望んでいる」

また、中国によるウクライナ戦争への可能性については、「ウクライナ戦争は中国の利益に直接的脅威を与えていない。さらに、習近平はイランに対するほどロシアに圧力をかける意欲は低いと考えられる。特にプーチンは停戦や仲介による解決に関心を示していない点でイランと異なる」と否定的な考えを示した。

●戦後はどうなる?

アメリカとイランの協議が長期的な和平合意に向かう中、中国は戦後復興に関与する最初の国の1つとなるという形で利益を得る可能性がある。

中国はすでにイランにとって重要な経済パートナーであり、2016年には習近平主席の「一帯一路」構想にイランを参加させている。中国はインフラ整備だけでなく、最新技術をイランの都市に導入する上でも有利な立場にある。

パキスタンのシェバズ・シャリフ首相は48日、中国を含む各国が停戦実現に向けて「極めて重要かつ全面的な支援」を行ったとXに投稿した。同国政府は411日にイスラマバードで和平協議を主催する予定だ。

ホルムズ海峡におけるイランの「通行料」構想が今後どうなるかは依然として不透明であり、今後の協議の争点となる可能性がある。トランプはすでに、共同事業によって海峡の通行を維持できる可能性に言及しているが、イラン革命防衛隊は、最終的な決定権を自分たちが握っておきたいと考えているようだ。

また、フィナンシャル・タイムズ紙は48日、イランが海峡を通過する石油1バレル当たり1ドルを暗号通貨で支払うことを要求していると報じた。

さらに、イランの核開発問題のような難題に入る以前から、停戦そのものについて意見の相違が存在している。

特に、イスラエルがイランの代理勢力であるヒズボラに対して行っている攻撃が、停戦の対象に含まれるかどうかが争点となっている。アメリカとイスラエルは、これらは停戦の対象外としている。

中国はイランの戦争に積極的に介入しているわけではない。しかし、大国となった中国の動きは、中国から離れた場所での戦争においても無視できないだろう。

ジョン・フェン

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トランプ「中国がイランを停戦交渉の場に引き込んだ」 習近平の思惑は?

遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士)

4/9() 12:49

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c11d00fa28cc17dd6c6430a51f7c345447b29beb

 パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は48日、パキスタンの仲介によって、米国、イラン、そして両国の同盟国がレバノンを含む「あらゆる場所」での停戦に合意したと発表した。トランプ大統領がイランを壊滅させる期限としていた日本時間8日午前9時のわずか1時間前のことである。

 いったい何が起こって、いきなり「2週間の即時停戦」が実現したのか?

 その陰には中国の動きがあったことをトランプは認めている。

 中国自身はそれに関して沈黙しているが、習近平にはどのような思惑があるのだろうか?

◆(ペルシャ)文明を消滅させるとまで豪語したトランプ

 トランプの口汚さは限界を超えていた。ここでは書けないような言葉を吐き続けた。

 イランは紀元前500年とも300年とも言われる歴史を持ったペルシャ帝国の文明を引き継いでいる国だ。その文明を破壊しつくし、この世から消滅させてやるとトランプはわめいた。一般庶民が生きていくことができなくなる橋や発電所も全て爆撃して破壊するとわめき続け、遂には「イラン人は動物なので殺しても戦争犯罪にはならない」とまで言ってのけたのである。

 このような人が「世界最大の民主主義国家のリーダー」であっていいのか?

 民主主義でなくとも、少なくとも人類が築き上げている一国家のリーダーであり続けていいのか?

 一部のアメリカ人と少なからぬイスラエル人以外は、誰一人トランプの狂気じみた罵詈(ばり)雑言(ぞうごん)に賛同する人はいないだろう。

 なぜここまで品性のない言葉を吐き続けるかといえば、おそらくトランプには、イラン攻撃から抜け出したいと思ってももう退路がなく、絶望的な悪口(あっこう)雑言を吐く以外に道が無くなったからではないだろうか。

 筆者には、トランプが「誰か助けてくれー!俺をこの泥沼から掬(すく)い出してくれ―!」と、助けを求めているようにしか聞こえない。

 彼はイラン攻撃から抜けだしたいのだ。イランは思ったより強かった。

 この底なしの攻撃を続ければ、石油価格は高騰し米国民の生活は苦しくなり、中間選挙で必ず敗北することは分かっている。

 しかし「名誉ある撤退」ができない。

 習近平は、そこに目を付けたのではないかと思う。

 ――あなたを救い出してあげる方法が一つだけあります。それはイランにホルムズ海峡を開かせることです。そしてイランの方が停戦交渉に積極的に応じることです。そうすれば、あなたは自分で勝手に「これは米国の勝利だぁ!」と叫ぶことができます。せめて2週間でもいい。休戦していれば、あなたはもう二度と、あの抜け出せない泥沼に戻りたいとは思わないようになるでしょう。

 習近平は、こう考えたのではないかと「推測」するのである。

 もちろん習近平の頭には、ある「狙い」があることは容易に想像できる。その具体的内容は後述するとして、まずはトランプが「中国がイランに即時停戦を促してくれた」と本音を吐いたファクトを確認したい。

◆トランプが「イランを停戦交渉に引きずり込んだのは中国だ」と言った!

 なんと、トランプは8日、AFPの電話取材を受けて、以下のように答えている。

 ●これは完全に米国の勝利だ!

 ●中国がイランを交渉のテーブルに着かせ、2週間の停戦合意に導いたと信じている。

 ●私は5月に北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談する予定だ。

 ●(主要同盟国であるイランを停戦交渉に導く上で中国が関与していたのか、という質問に対して)「そうだと聞いている」答えた。

                     (AFPの取材に対する回答の概要は以上)

 習近平が考えているだろうと予測した通りの展開だ。

 同日、CNN(日本語)も<トランプ氏、イランが停戦交渉に応じるよう中国が後押ししたとの考え>という見出しで同様の報道をしている。トランプのこの発言に関してコメントを求められた在ワシントン中国大使館の報道官はCNNに対し、「紛争が始まって以降、中国は停戦を実現し、紛争を終結させるために働きかけてきた」としか述べなかったという。中国が手を貸したのだということを中国側は明かそうとしない。

 CNN48日の中国外交部定例記者会見でも「中国が手を差し伸べたのではないか」という質問を外交部報道官に向けたようだが、報道官は在ワシントン中国大使館と同様の回答しかしなかった。

 習近平は、「いまこそイランを説得しろ!」と王毅外相に命じて激しく動いたにもかかわらず、それを誇示しないというか、隠そうとさえしている。そこにはトランプに花を持たせて、やがて北京で開かれる米中首脳会談のときに習近平に圧倒的に有利なディールを持ちかける材料にしたいという思惑が見え隠れする。

NYtimesAPが「中国が最後に介入し、停戦を促進した」と報道

 48日 午後420(東部標準時)、ニューヨークタイムズは<米国、イラン、イスラエルが停戦に合意>というタイトルで、以下のように報道している。

 ――イラン当局者3人によると、パキスタンの必死の外交努力と、イランの主要同盟国である中国による土壇場での介入(イランに対し柔軟な姿勢を示し緊張緩和を求めた)を受け、イランはパキスタンの2週間の停戦提案を受け入れた。これは、重要インフラへの被害による経済的打撃への懸念が高まっていることが背景にある。当局者らは、停戦は新最高指導者モジュタバ・ハメネイ師によって承認されたと述べた。

                    (ニューヨークタイムズからの引用は以上)

 同じ48日のAP通信は<中国当局はイランに対し、米国との停戦の道を模索するよう促した>と、もっとストレートに報道している。そこには以下のように書いてある。

 ――中国当局はイランに対し、米国との停戦に向けた道筋を見出すよう促した。イラン最大の貿易相手国である中国は、イラン側と協議し、停戦合意への道筋を見出すよう働きかけた。匿名を条件に取材に応じた2人の当局者が明らかにした。当局者らによると、交渉が進展するにつれ、中国当局者はイラン当局者と連絡を取り合い、停戦合意への道筋を見出すようイランに促した。外交問題について公に発言する権限を持たない当局者の1人は、中国は影響力を行使しようと、主にパキスタン、トルコ、エジプトなどの仲介者と連携してきたと述べた。中国外務省はコメント要請にすぐには応じなかった。

 火曜日、中国外務省の毛寧報道官は、「すべての当事者は誠意を示し、そもそも起きるべきではなかったこの戦争を速やかに終結させる必要がある」と述べた。彼女は、中国は今回の紛争が世界経済とエネルギー安全保障に与える影響について「深く懸念している」と述べた。 (AP通信からの引用は以上)

 このように複数の米メディアが、イラン側からの証言として「中国が動いたために即時停戦への急転した」ことを報道しているのである。

 中国自身といえば、327日の王毅外相とパキスタンの外相との電話会談や、331日に王毅外相がパキスタンの副首相と会談して「即時停戦」など5項目の提案をしたことしか報道していない。

 トランプとのディールに使うため、あたかも「これはトランプの功績だ」と言えるようなプレゼントをしているとしか思えないのである。

◆中国にはなぜイランを説得する力があるのか

 ならば、なぜ中国にはそこまでイランを説得する力を持っているのだろうか?

 それはイランの経済収入の柱である石油の約100%に近い量を中国が購入してくれているからである。

 イランの2025GDP3565.1億ドル(IMFデータ)で、中央政府の歳入はGDP9.5%なので、約339億ドルになる。

 一方、米エネルギー情報局(EIA)が推測したイランの原油収入は2023420億ドル、2024430億ドルとなる。

 また、米中経済安全保障調査委員会のファクトシートでは、以下のように述べている。

 ――中国はイラン最大の貿易相手国であり、イラン産原油の主要な購入国である。中国による購入はイランの原油輸出量の約9割を占め、イラン政府の予算や軍事活動を支える年間数百億ドルの収入をもたらしている。(以上)

 そこで筆者独自に「イラン原油輸出における中国の比率の推移」を、米国に拠点を置く超党派の非営利団体United Against Nuclear IranIran Tanker Trackingにあるデータに基づいて図表化することを試みた。Iran Tanker Trackingでは、1回アクセスして1ヵ月のデータを1個取得する方法しかない。そこで根気よく毎月のデータを入手すべく、毎回アクセスして1データずつ入手して作成したのが図表1である。

図表1:イラン原油輸出における中国の比率推移

iranoilexporttochinapercentage001

United Against Nuclear IranIran Tanker Trackingに基づいてグラフは筆者作成

 2024年のイランの原油収入は430億ドルで、原油輸出における中国の比率は89.9%なので、2024年中国に原油を販売して得る収入は386億ドルとなり、イラン政府の歳入(2025年は339億ドル)の規模を上回っている。ただし、EIAの原油収入推計は国際の原油価格に基づいているのに対して、中国はイランから割引価格で購入しているため、実際の収入はもう少し少ない可能性がある。それでもなお、中国への原油輸出によって得られる収入は、イランの国家歳入値にほぼ相当する。

 これをもう少し長期的スパンで見ると、中国のイラン原油の輸入量は図表2のような推移を辿(たど)っている。

図表2:中国がイランから輸入した原油の推移(トランプ1.0の対イラン制裁以降)

chinaimportoilfromiran20172026001

公開されている各種情報から引用したケプラーデータ(実線)に基づき、20263月は中旬までのケプラー推測データ(点線)に基づき、グラフは筆者作成

 引用した報道には以下の記事がある。

 https://ifpnews.com/irans-crude-oil-shipments-china-tripled-2020/

 https://iranprimer.usip.org/blog/2019/sep/11/irans-increasing-reliance-china

 https://www.reuters.com/world/china-trade-spat-undermines-trumps-max-pressure-iran-campaign-bousso-2025-04-10/

 https://www.reuters.com/business/energy/chinas-heavy-reliance-iranian-oil-imports-2026-03-21/

 https://www.kpler.com/blog/strait-of-hormuz-watch-amid-iran-conflict-risk-tracking-crude-flows-interference-and-diversions-in-kpler

 https://www.kpler.com/blog/explainer-why-kharg-island-is-the-backbone-of-irans-oil-economy---and-its-greatest-vulnerability

 なお、20263月のデータは、ケプラーの316日の記事に基づくので、3月全体のデータではない。

 このように、イラン経済は中国によって支えられており、人民元で決済している。米国の制裁によりイランはドルを使えないからだ。36日のコラム<イラン「ホルムズ海峡通行、中露には許可」>で書いたように、だからこそイランはホルムズ海峡において中国の船舶の通航を許可し、さらに人民元で決済する船舶の通航を追加許可したのである。

 その意味でイランの戦費は「中国からの石油購入による収入がなければ成立しない」と言っても過言ではない。

 すなわち、イランは中国に「今はホルムズ海峡を開放して、戦争を一時停止しろ」と言われたら、「中国のアドバイス(指示?)に従う」という関係にあるのである。

 だからこそ、今回は「中国の指示によって即時停戦が実現した」ということになる。

 NHKをはじめ日本のメディアは、イランとアメリカの間の紛争なので、アメリカやイラン問題に詳しい専門家の話だけを聞いていればいいと思っているようだが、どの専門家も「真の理由」を知らないで「不可解ですね・・・」とか「予測がはずれました・・・」をくり返している。

 真相を知るには、もっと大局的な視点を持たなければならない。

 今回の盲点は、中国の動きを見ていなかったところにある。

◆習近平の思惑

 では最後に、習近平の思惑は何処にあるのかに触れたい。

 習近平の政治生命を懸けた最大の目標は台湾統一である。

 ここまでの蛮行をくり返すトランプのやり方は、習近平にとっては大きなプレゼントでもあり、唯一のチャンスでもある。じっと動かず観察していた習近平は、ここで意を決して動いたものと考えられる。しかもそれをトランプの手柄にするという手腕は、さすが中国数千年の戦乱の歴史が残した賜物だろう。

 晴れて北京で米中首脳会談が行われた時には、心理的に習近平に有利の立場から「台湾統一」を持ち出す。「中華民族の統一なので、口出しをしないように」と言える力関係に持っていった。

 これが習近平の唯一にして最大の目的だ。

 もちろん中東におけるイランの存在も、習近平にとっては無視できない。

 202557日のコラム<膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている>に書いたように、中東諸国のほとんどの国には米軍基地があり、イランが米軍に押さえられてしまったら、中東地域が全て米国追随国になってしまう。それでは困るのである。一帯一路の理念も貫徹できなくなるしグローバルサウスを束ねようとする習近平の夢も潰える。

 2023312日のコラム<中国、イラン・サウジ関係修復を仲介 その先には台湾平和統一と石油人民元>に書いたように、中国はイランとサウジアラビアを和解させて中東諸国に和解雪崩現象をもたらした。イランを上海協力機構やBRICSにも加盟させて国際舞台に上らせ、国際秩序の中に組み込もうとした。

 そうしないと経済貿易で世界をつなごうとしている習近平の狙いが果たせないからだ。経済貿易で世界覇権を握ることによって、台湾統一の阻害要因を取り除こうとしているのである。

 奇しくもいま、台湾の国民党主席・鄭麗文が訪中しており、習近平とは10日に10年ぶりに国共党首会談を行う。習近平の思惑が凝縮されているような一日となろう。

 その思惑が米イスラエルのイラン攻撃の期限付き即時停戦をもたらしたことから、日本人は目を逸らしてはならない。

 その視線で、高市総理が何をやっているのかを見ると、世界が見えてくるだろうと願う。

 但し残念ながら、結局イスラエルはレバノンを攻撃し続けており、イランは停戦合意違反と反発してホルムズ海峡を再封鎖しようとしている。果たしてこの停戦合意がどこまで続くかは定かでない要素があることを最後に付け加えておきたい。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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