古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:J・D・ヴァンス

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。
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ダン・ドリスコル

 最新刊『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』(ビジネス社)でも取り上げ、このブログでも紹介したが、ダン・ドリスコル陸軍長官は第二次ドナルド・トランプ政権の「新・軍産複合体」寄りの人事の代表格だ。更に言えば、2028年の大統領選挙で、JD・ヴァンス副大統領が大統領になる場合には、重要なポストに就くことになるだろう。なぜなら、ヴァンスとドリスコルは非常に緊密な関係を持っているからだ。彼らは、イェール大学法科大学院の同級生であり、ドリスコルはヴァンスの連邦上院銀時代に補佐官を務めた。2人は地方の州立大学出身、軍務に就いた経験という共通点もある。アメリカ政治に興味関心がある人はドリスコルについてこれから記憶し、注目しておくのも良いだろう。

(貼り付けはじめ)

陸軍長官候補が承認公聴会でドローン、採用活動、そして合法的な命令について語った(Army secretary nominee talks drones, recruiting, and lawful orders at confirmation hearing

-ダン・ドリスコルは連邦上院軍事委員会から超党派の支持を得ている。

ミーガン・マイヤーズ筆

2025年1月30日

『ディフェンス・ワン』誌

https://www.defenseone.com/policy/2025/01/army-secretary-nominee-talks-drones-recruiting-and-lawful-orders-confirmation-hearing/402627/

ダン・ドリスコルは木曜日、ドナルド・トランプ大統領の陸軍長官候補として連邦上院軍事委員会に出席するまで、JD・ヴァンス副大統領の友人であり、法科大学院の同級生であるということ以外、公にはほとんど知られていなかった。それでも、陸軍中尉から実業家に転身したドリスコルは、承認公聴会を華々しく通過することができた。

民主、共和両党の連邦上院議員たちは、38歳のドリスコルが公聴会前に議員事務所で面会する時間を割いてくれたことに感謝の意を表した。

その1人であるリチャード・ブルーメンソール連邦上院議員(コネチカット州選出、民主党)は、息子がドリスコルと同じ時期にイェール大学法科大学院に通っていたことから、公聴会の冒頭で候補者への支持表明を読み上げた。

ブルーメンソールは、「弁護士として、私たちは事実と法律に従う。ダン・ドリスコルは陸軍長官としてまさにそれを実行するだろう」と述べた。

ブルーメンソールは、息子と、ジョー・バイデン大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、ドリスコル氏のイェール大学同級生でもあるジェイク・サリヴァンが、「ドリスコルは人々の声に耳を傾け、学び、超党派で協力し、兵士を第一に考える人物だと確信していた」と述べた。

質疑応答で、ドリスコルは陸軍の現行防空システム(the service’s current air defense systems)の費用対効果の悪さを指摘し、陸軍によるドローンの活用拡大への支持を表明した。

ドリスコルは、「400ドルのドローンを撃墜するために、400万ドルのミサイルを発射することはもはや不可能だ。そんな単純な計算は不可能だ。「指向性エネルギー(directed energy)であろうと何であろうと、費用対効果の高い方法で安全保障を提供できる解決策を見つけなければならない」。

ドリスコルはまた、陸軍に対し、採用ボーナスや復員兵給付金(GI法)といった福利厚生以外にも、軍隊が提供できるものについて、アメリカ国民への情報発信を強化するよう強く求めた。

ドリスコルは次のように述べた。「私は祖国に奉仕したいという思いから陸軍に入隊した」と彼は述べた。若い人たちは、私たちがこの物語を再び説得力のある形で伝えるのを心待ちにしていると思う。もし承認されれば、皆さんと共にこの物語を伝えていくことを楽しみにしている」。

公聴会のトーンと雰囲気は、2週間前のピート・ヘグゼス国防長官の証言とは大きく異なっていた。両候補者とも組織管理の経験は限られているが、ドリスコルは個人的または職務上の不正行為で公に告発されたことはない。

記録によると、彼は2007年から2011年まで、第10山岳師団の騎兵偵察小隊長として陸軍に勤務し、2009年にはイラクに派遣された。

その後、イェール大学ロースクールに進学し、その後投資銀行家として働いた。彼はまた、2020年の共和党連邦下院議員予備選に出馬し、トランプ大統領の大統領首席補佐官に就任したマーク・メドウズの後に空席なった議席を狙ったが落選した。

しかし、ヘグセスと同様に、ドリスコルも違法な命令を実行する意思があるかどうかについて疑問視された。

過去にトランプは、ワシントンDCでの平和的な抗議活動を鎮圧するために戒厳令を発令し、第82空挺師団を派遣することや、抗議活動参加者の膝を撃つことを示唆した。これは、マーク・エスパー元国防長官が2022年に出版した回顧録で詳述している。

ドリスコルは、タミー・ダックワース連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)に、「上院議員、彼が[違法な命令を]発令するだろうという質問の前提は否定するが、私は違法な命令に従わない。私は合法的な命令、それも憲法に則った命令のみに従う」と答えた。

連邦上院軍事委員会は、ドリスコルの指名を承認するかどうかの採決をいつ行うかまだ発表しておらず、その後、連邦上院本会議で採決が行われる予定だ。

(貼り付けはじめ)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 


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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『<a  href="https://amzn.to/49jHIUC ">シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体</a>』(ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

 新刊は「新・軍産複合体」がテーマとなる。新刊では、古くからある軍産複合体と出現しつつある新しい軍産複合体を対比させながら、話を進めている。軍産複合体(Military-Industrial Complex)という言葉が一般に使われ出したのは、1961年にドワイト・アイゼンハワー大統領の退任演説で使われてからだ。アメリカ政府(国防総省とアメリカ軍)と巨大軍需産業の強固な結びつきを示す言葉だ。ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)、

RTX社(旧レイセオン・テクノロジーズ社  Raytheon Technologies)、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)、ボーイング社(Boeing)、ゼネラル・ダイナミクス社(General Dynamics)の5社は、「元請契約業者(primes、プライムス)」と呼ばれている。これらの巨大企業は優遇され、アメリカ国民の血税を食い散らかしてきた。
 「軍産複合体」にとって戦争は「飯のタネ」であり、「外国の脅威」を煽り立てることが何よりも重要だった。しかし、第二次トランプ政権は人事面で古くからの軍産複合体ではなく、新・軍産複合体寄りの姿勢を見せている。陸軍長官のダン・ドリスコルはイェール大学法科大学院以来のJD・ヴァンス副大統領の盟友であり、反プライムの急先鋒だ。陸軍次官のマイケル・オバダルはアメリカ軍を退職した後は、アンドゥリル社に勤務していた。アメリカ軍の佐官クラスの退職たちの多くはシリコンヴァレーのテック産業で勤務している。新刊ではより詳しく説明している。是非お読みいただきたい。
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ダン・ドリスコル
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マイケル・オバダル
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ドナルド・トランプは軍産複合体を手懐けることができるか?(Will Donald Trump Tame the Military-Industrial Complex?

ウィリアム・ハータング筆

2024年9月13日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/williamhartung/2024/09/13/will-donald-trump-tame-the-military-industrial-complex/

トランプウォッチャーたちの多くを驚かせたのは、アメリカの元ナルシスト最高司令長官がウィスコンシン州で最近行われた集会で、軍産複合体(the military-industrial complex)への痛烈な批判を展開したことだ。

「私は戦争屋たち(warmongers)を追放する。常に戦争を望んでいる奴らがいる。奴らがなぜ戦争を望むか分かるか? ミサイルは1発200万ドルもする。だから戦争を望むのだ。彼らは至る所にミサイルを落とすのが大好きだ。私には戦争などなかった。・・・私は戦争屋を国家安全保障分野から追放し、必要な、軍産複合体の一掃を行う。戦争による利益追求を止め、常にアメリカ・ファーストを追求するためだ。私たちはアメリカ・ファーストを求める。これらの終わりのない戦争(these endless wars)に終止符を打つ。終わりのない戦争は、決して止められない(Endless wars, they never stop)」。

トランプの発言は、トランプを、我が国の外交政策を歪め、戦争の可能性を高めた特別利益団体(the special interests)に立ち向かう、信念を持った平和の十字軍(a principled crusader for peace)のように見せた。彼がその強硬な発言を実行に移す可能性は極めて低いが、兵器メーカーとその同盟者たちをこれほど厳しい言葉で批判したという事実は、彼の支持基盤の中にポピュリスト的で反介入主義的な勢力(a populist, anti-interventionist faction)が存在することを示唆している。

ウィスコンシン州における戦争屋や戦争利得者たち(war profiteers)へのトランプの対応が、将来の政策指針(a guide to future policy)というよりも、政治的な印象操作political spin)の問題に過ぎないとどうして言えるのだろうか?

2016年の大統領選挙運動と4年間の在任期間中の政策が、その真相を物語っている。トランプは、イラク戦争は大惨事だったという(正しい)見解を掲げて選挙活動を行い、選挙運動中は兵器企業による利己的なロビー活動や価格つり上げ(lobbying and price gouging)を批判した。

しかし、就任早々、大手兵器企業は彼の親友となった。当初、トランプは初の外遊先であるサウジアラビアで大規模な兵器売却パッケージを発表しようと考えていた際、ジャレッド・クシュナーにロッキード・マーティン社のトップに電話をかけさせ、サウジアラビアへの主要システムを割引価格で提供できないかと打診させました。そうすれば、トランプがサウジアラビア訪問中に発表しようとしていた巨大パッケージに、これらのシステムも含まれるからだ。その結果、150億ドル規模のミサイル防衛システムという提案が示された。

トランプの軍需企業への強固な支持は、サウジアラビアの反体制派ジャーナリストのジャマル・カショギの残忍な殺害を受けてもサウジアラビアへの武器販売を停止しないという決定においても、中心的な位置を占めていた。トランプの合理性は何か? それは、中国のようなアメリカの敵対諸国がその穴を埋めるとしても、我が国の素晴らしい防衛企業はビジネスを失い、アメリカの労働者は雇用を失うだろうというものだ。武器企業自身の先導に倣い、トランプはサウジアラビアへの販売に伴う雇用数を誇張した。

トランプはまた、サウジアラビアとの武器取引を、最大のPR効果を得るために利用した。ホワイトハウスでムハンマド・ビン・サルマン国王と会談した際に、サウジアラビア政権に売却または提供されたアメリカの武器の写真と、主要諸国に対する売却によって創出された雇用数の数字を添えて提示することで、その効果を最大化した。

2024年に話を進めると、トランプ・ヴァンスティームは、シリコンヴァレーのニューエイジ軍国主義者たち(the New Age militarists in Silicon Valley)と緊密な関係を築いている。パランティア・テクノロジーズ社のピーター・ティールは、共和党に定期的に寄付を行っている。アンドゥリル社のパルマー・ラッキーは、トランプのために資金調達パーティーを開催した。そして、今や世界中で知られているように、ヴァンスは、連邦上院議員選挙に出馬する(ティールからの多額の資金援助を受けて)前に、ピーター・ティールのもとでしばらく働いていた。これは、トランプ政権がこれらの企業に納税者の資金の活用について説明責任を求めるという構想にとって不吉な兆しであるだけでなく、出現しつつあるシリコンヴァレーの軍産複合体(the emerging Silicon Valley branch of the military-industrial complex)のリーダーたちが、紛争においてアメリカが「中国を打ち負かす」能力をどのように開発すべきかについて、非常に無謀な発言をしているという点でも問題である。彼らはまた、自らが開発している兵器が、アメリカの世界的な支配力を回復するための鍵であると主張している。こうした好戦的な軍事技術幻想家たち(hawkish military techno-fantasists)がトランプ政権に影響力を行使できる限り、中国やその他の指定敵国との戦争の可能性は高まるだろう。

したがって、ドナルド・トランプが、戦争屋や戦争利得者たちに立ち向かおうとしていると言うときは、その言葉を鵜呑みにしないほうがよいだろう。軍需産業を抑制し、より賢明で、より効果的で、より抑制的なアメリカの防衛政策を策定するには、政治的な印象操作や批判的なレトリック以上のものが必要になるだろう。言うまでもなく、ドナルド・トランプが、守れない、あるいは守るつもりもない約束をしたのは、今回が初めてのことではない。
=====
米陸軍長官が軍産複合体に宣戦布告(Army Secretary declares war on the military industrial complex

-その主要な敵は誰か? 連邦議会だ。

ベン・フリーマン筆

2025年6月9日

『レスポンシブル・ステイトクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/us-army/

「今後2年間で、プライム企業(primes)の1つが廃業すれば、私はそれを成功とみなす」。これは、「プライム」として知られる米国防総省の最大手請負企業(the largest Pentagon contractors)の1つを閉鎖するよう呼びかける軍産複合体に対する強硬な批判者(a hardened critic of the military industrial complex)の言葉ではない。そうではなく、発言者は米国防総省で最も権力を持つ高官の1人であるダン・ドリスコル米陸軍長官の言葉だ。

ドリスコル長官は先月のTBPNライヴポッドキャストに出演し次のように発言した。「私の推測では、彼らは今後数日、数週間、数ヶ月のうちに、適応し、変化しなければ死に至るということに気づき始めるだろう。私たちは国家として再び彼らを救済するつもりはない」。

ドリスコル長官の発言は、陸軍の業務運営方法を根本的に改革することを約束する新たな陸軍改革イニシアティヴ(Army Transformation InitiativeATI)に基づいている。このイニシアティヴは、将官職を削減し、陸軍本部の幕僚職を1000人削減することで、陸軍の指揮系統を合理化することを目指している。また、「無駄なプログラムと旧式プログラムの排除」も提案しており、これにはブラックホーク・ヘリコプター、ハマー、統合軽戦術車両(JLTV)、グレイ・イーグル・ドローンの廃止、そして請負業者に数十億ドルもの費用を支払う代わりに、陸軍が自ら装備を修理する権利の回復が含まれる。

先週、ドリスコル長官は陸軍参謀総長ランディ・ジョージ大将と共に、陸軍改革イニシアティヴの完全施行を阻む最大の障害の1つとなり得る連邦議会と対峙した。連邦議会の公聴会が始まる前の月曜日、ドリスコル長官はパンチボウル・ニューズに対し、既に与野党双方から反発を受けていると語った。これは、連邦議会が兵士を必要としないと主張する物品の購入を陸軍に強制してきたことを考えると、ドリストル長官が「正しい決断をした(made the right decision)」ことの証左と言える。

ドリスコル長官はパンチボウル・ニューズに対して次のように語った。「私たちは、兵士とアメリカの納税者に責任を負っている。そしてそれ以上に、我々は、これは真顔で言うが、特定の利害は一切考慮しない」。ドリスコル長官は特に、国防総省が必要としない兵器の購入を連邦議会に働きかける国防総省の請負業者を激しく非難した。ドリスコル長官は「もし彼らが国防総省に資金を投入し続けるなら、中期的には、彼らは事業を失うだろうが、そして倒産する可能性もある」と付け加えた。

公聴会でドリスコル長官は、軍産複合体のビジネス手法に対する批判を続けた。先週水曜日の連邦下院軍事委員会(the House Armed Service CommitteeHASC)での冒頭発言で、ドリスコル長官は「ロビイストと官僚が、兵士と戦闘を優先する陸軍の能力を奪ってしまった」と嘆き、さらに「兵士にとって正しいことをしよう。これらの資産を買う必要はなく、資源は限られている。もう止めよう」と付け加えた。

しかし、同じ日に行われた連邦下院軍事委員会と連邦上院軍事委員会(Senate Armed Services CommitteeSASC)の両方の公聴会では、国防総省が望まないプログラムを連邦議員に支持させる偏狭な利害関係が露呈した。例えば、マーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)は、地元アリゾナ州フォート・フアチューカの電子実験場における陸軍の兵力削減計画を激しく批判した。 連邦下院軍事委員会の公聴会で、ロブ・ウィットマン連邦下院議員(ヴァージニア州選出、共和党)は、自身の選挙区にある陸軍訓練教義司令部が、官僚機構の肥大化を解消するために陸軍将来司令部(Army Futures Command)と統合されることに懸念を表明した。モーガン・ラトレル連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は、自身の選挙区に駐留する大隊を廃止するという陸軍の新たな計画を激しく非難した。ラトレル議員は「この郡で生まれ育った私の家に押しかけ、何かを奪おうとしている。その理由を知りたい」と訴えた。

ドリスコル長官とジョージ陸軍参謀総長が陸軍改革イニシアティヴで試みているのは、間違いなくこれらの連邦議員の選挙区や州の一部で雇用を奪い、従来の請負業者に数百億ドルの損害をもたらす可能性があるため、反発はある程度理解できる。監視団体「常識のための納税者」は、米国防総省が要求していないプログラムに、連邦議会が数十億ドルを追加する「裏口予算(backdoor earmarks)」を追跡している。「常識のための納税者」によると、この予算は、2025年度だけで150億ドルに上る。この資金の大部分は、米国防総省が予算要求に含めなかったプロジェクトに充てられており、「常識のための納税者」はこれを「ゼロ・トゥ・ヒーロー(Zero to Hero)」増額と呼んでいる。

陸軍改革イニシアティヴが請負業者に課すもう1つの莫大なコストは、陸軍に「修理権(right to repair)」を返還するという目標である。陸軍は、請負業者たちの利益を膨らませる一方で、軍の即応態勢(military readiness)を低下させてきた。ドリスコル長官は、『ウォー・オン・ザ・・ロックス(War on the Rocks)』誌のインタヴューで、「私たちは時折、自らの装備を修理する権利を放棄してきた。つまり、兵士にとってこれは基本的に、2ドルから20ドルで部品を3Dプリントする方法が分かっているにもかかわらず、精巧な装備品が8カ月から12カ月もの間、放置されることになる。これは原罪(sin)であり、私たち自身がそれを招いた」と説明した。

この「原罪」は毎年数十億ドルもの損失をもたらしている。政府監視プロジェクト(Project On Government OversightPOV)の修理権に関するファクトシートが指摘しているように、「国防総省は軍用車両や装備の維持に年間数百億ドルを費やしている」ため、この作業は米国防総省の請負業者にとって、納税者から支払われるドル箱となっている。彼らはこの作業の独占権を維持している。だからこそ、請負業者のロビイストたちは連邦議会における修理権に関するこれまでの取り組みを全て潰してきた。例えば昨年、請負業者たちは修理権を認めるNDAA修正案に反対する書簡を書き、その後、国防政策法案から修正案が削除されたことを歓喜した。

この事件が示すように、ドリスコル長官とジョージ陸軍参謀総長が今、明確に異議を唱えている米国防総省の請負業者の政治的影響力は、いくら強調してもし過ぎることはないだろう。2024年、米国防総省の請負業者はロビー活動に約1億5000万ドル(約215億円)を費やし、950人のロビイストたちを雇用していた。「オープンシークレッツ(OpenSecrets)」によると、そのうち約3分の2は以前、連邦議会または行政府で勤務していた。これらのロビイストの多くは、ドリスコル長官とジョージ陸軍参謀総長が以前証言していた、まさにその連邦議員たちの下で働いていた経験があり、国防総省の請負業者は彼らの選挙運動への主要な献金者の一部でもあった。

こうしたことから、ドリスコル長官とジョージ陸軍参謀総長が陸軍における請負業者の権力に異議を唱えようとする試みは注目に値する。米国防総省の高官たちが米国防総省の請負業者に対して存亡の危機を脅かしたのは、30年以上前の「最後の晩餐(The Last Supper)」として知られるようになった会合以来のことだ。当時のウィリアム・ペリー国防長官は、米国防総省の主要請負業者の代表者たちを夕食会に招き、「防衛企業は倒産するだろう。ただ傍観するだけだ(We expect defense companies to go out of business. We’ll stand by and watch it happen)」と警告したと伝えられている。その後、防衛産業では合併と買収の波が押し寄せ、ロッキード・マーティン社、ボーイング社、ゼネラル・ダイナミクス者、RTX(旧レイセオン)社、ノースロップ・グラマン社といった主要企業が誕生し、以来、防衛産業の基盤を席巻してきた。

確かに、ドリスコル長官は陸軍だけでなく、ベンチャーキャピタル(the venture capitalVC)の世界でもヴェテランであり、陸軍の資金を優良企業からアンドゥリル社のようなVC支援の防衛技術企業へとシフトさせているだけだと主張する人もいるかもしれない。アンドゥリル社の上級部長であるマイケル・オバダルは、間もなく陸軍次官に就任する可能性がある。アンドゥリル社はすでに米国防総省から10億ドル以上の契約を獲得しており、大量のドローンや対ドローン技術の購入を含む、陸軍改革イニシアティヴの複数の取り組みが実現すれば、さらに数十億ドルの契約を獲得する見込みだ。少なくとも金融市場はこの可能性に大きな賭けをしている。つい先週、『フォーチュン』誌は「巨額の資金調達ラウンドと310億ドルの評価額により、アンドゥリル社は追い出したい防衛産業の巨人の規模に近づいている」と報じた。

残念ながら、陸軍は未だに来年度予算の詳細を議会に提出していないため、ドリスコル長官とジョージ陸軍参謀総長による刷新が、単に旧勢力から新興の防衛技術大手への資金移動に過ぎないのか、それとも実際に納税者の負担軽減につながるのかは、まだ不透明だ。しかし少なくとも、2人はこれまでほとんどの軍指導者が成し遂げていないことを行っている。それは、軍産複合体に戦いを挑んでいるということだ。兵士と納税者双方のためにも、彼らの成功を願うしかない。

※ベン・フリーマン:クインシー研究所民主化外交政策プログラム部長。フリーマンは政治における金、国防予算、アメリカにおける外国の影響を調査している。著書に『外交政策オークション(The Foreign Policy Auction)』がある。この著作は彼自身のデビュー作で、アメリカにおける外国からの影響を働きかける産業を体系的に分析している。

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トランプ大統領の下の米国防総省に新たに加わった兵器産業幹部(Another weapons industry exec brought into Trump's Pentagon

-マイケル・オバダルは大きな利益相反の恐れがある防衛関連テック産業の幹部の1人だ。

スタヴロウア・パブスト筆

2025年3月13日

『レスポンシブル・ステイトクラフト』誌

https://responsiblestatecraft.org/nato-summit/

ドナルド・トランプ大統領は、新政権において引き続き兵器産業の重鎮(weapons industry mainstays)を起用している。

最近では、アメリカ軍の退役軍人で、防衛技術のリーディングカンパニーであるアンドゥリル・インダストリーズ社のシニアディレクターであるマイケル・オバダルを陸軍次官に指名した。オバダルは陸軍における文民官僚ナンバー2だ。

承認されれば、オバダルは事実上陸軍の最高管理責任者として、1850億ドルの予算管理を担うことになる。陸軍と統合特殊作戦群の両方で部隊やタスクフォースを指揮してきたオバダルの長年の軍歴は、この新たな役割に大いに役立つだろう。しかしながら、アンドゥリル社が数多くの軍事契約を締結し、ワシントンでロビー活動を展開していることを考えると、オバダルが著名な兵器スタートアップ企業での仕事に就いていることは、直接的な利益相反を招きかねない。

オバダルは、ダニエル・ドリスコル陸軍長官の下で働くことになる。ドリスコル長官は、アメリカの敵対国との競争力を維持するためには、兵器産業と緊密に連携し、アメリカの防衛産業基盤を刷新する必要があると主張してきた。

ドリスコル長官は陸軍長官就任後に次のように書いている。「私たちは産業基盤を活性化し、調達プロセスを改革しなければならない。私たちはまだ同等の敵対国との大規模な紛争への準備はできていない。しかし、準備をしなければならない。私たちは共に防衛産業とのより強固なパートナーシップを築き、敵を圧倒するだけの戦力を確保していく」。

重要なのは、アンドゥリル社のクリスチャン・ブローズやパルマー・ラッキーといった防衛技術企業の最高幹部たちが、軍事契約獲得に向けて繰り返し同様の主張を展開していることである。

トランプ大統領は、政府の要職にニューテクノロジーを積極的に活用している。パランティアの元情報調査部長グレゴリー・バルバッチャを連邦政府の最高情報責任者(federal chief information officerCIO)に任命し、ペイパル・マフィアの一員であるデイヴィッド・サックスを「ホワイトハウスAI・暗号資産担当責任者(White House AI and crypto-czar)」に任命した。防衛産業との深い繋がりを持つ億万長者の投資家スティーブン・ファインバーグは国防副長官に指名された。

そして、著名な起業家であるイーロン・マスクは、政府効率化省(DOGE)の役割を通じて大統領の側近となり(以前はトランプの選挙運動に2億ドルを投じたこともあった)、自身もスペースXを通じて著名な兵器請負業者となっている。

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。

 アメリカでは来年の2026年に連邦上下両院の選挙が実施され(大統領選挙の間に行われるので中間選挙と呼ばれる)、2028年には大統領選挙が実施される。現職のドナルドトランプ大統領は任期制限で立候補できないので、新大統領が誕生する。

最新の世論調査の結果では、共和党側では、JD・ヴァンス副大統領が大きなリードを取ってトップになっている。民主党側では、このブログでも何度もご紹介してきたピート・ブティジェッジ前運輸長官が1位になっている。前回の大統領選挙で敗れたカマラ・ハリス前副大統領は、昨年の同様の世論調査の結果では、ハリスが大きくリードして1位だったことを考えると、ハリスの支持が下がっていると見るべきだ。これらのことは、拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)で書いている。
※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ
「2024年12月2日付 2028年米大統領選挙候補者は誰になるのかという話が早くも出ている:共和党はJD・ヴァンス次期副大統領が有力、民主党は多くの名前が出ている状況」
<a href=" https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html "> https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html </a>

 『トランプの電撃作戦』でも書いたが、カマラ・ハリスは2026年のカリフォルニア州知事選挙出馬を模索している。州知事選挙に関する世論調査の結果では、ハリスがトップになっている。2026年の州知事選挙に出馬して当選して州知事になれば、2028年の大統領選挙には出ることができない(1期目の途中での出馬は批判が多く出るだろうし、続けての選挙は物心両面で不可能だろう)。しかし、カリフォルニア州知事の2期目途中の2032年ならば可能性が出てくる。ハリスは2032年でもまだ60代なので、大統領選挙を狙える。
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 2028年の大統領選挙でハリスが出ないとなれば、民主党は有力者不在ということになる。今のところ、トップとなっているピート・ブティジェッジは弁舌爽やかでまだまだ若いが、同性愛者というところがどうしてもネックになる。3位につけたギャヴィン・ニューサムはカリフォルニア州では人気が高いが、ロサンゼルスでの山火事や暴動への対応などで印象が良くない。大統領選挙での激戦地域となる中西部の各州の知事であるジョシュ・シャピロ(ペンシルヴァニア州)とグレッチェン・ウィットマー(ミシガン州知事)はまだ知名度が上がっていない。こうなると、共和党側のJD・ヴァンス副大統領が大統領本選挙で勝利する可能性が今のところ高いということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:2028年大統領選挙において共和党の明確なトップランナーはヴァンスだ(Vance is clear front-runner for GOP nod in 2028: Poll

ジャレッド・ガンス筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372037-vance-is-clear-front-runner-for-gop-nod-in-2028-poll/

金曜日に発表された世論調査によると、2028年共和党大統領候補指名争いで、JD・ヴァンス副大統領が他の候補者を大きく引き離し、最有力候補となっている。

エマーソン大学世論調査によると、ヴァンス副大統領の支持率は46%で、これに次ぐのはマルコ・ルビオ国務長官の12%、フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)の9%だった。無所属のロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が5%で続き、クリスティ・ノーム国土安全保障長官とニッキー・ヘイリー元国連大使はそれぞれ2%だった。

他の6人の支持率は1%以下で、回答者の17%は態度未定、4%はリストにない人物を希望すると回答した。

これは、エマーソン大学が11月に実施した、2028年共和党予備選挙を想定した世論調査と比べて、ヴァンスの支持率が向上したことを示している。この調査では、ヴァンスの支持率は30%と、デサンティスが5%、2024年共和党大統領候補のヴィヴェック・ラマスワミの3%と比べてわずかにリードしていた。

回答者の半数は、当時、誰かを支持するかは未定だと回答していた。

エマーソン大学世論調査のエグゼクティブ・ディレクターであるスペンサー・キンボールは声明の中で、ヴァンスが最有力候補としての地位を「確固たるものにした」と述べ、共和党支持の男性有権者と60歳以上の有権者の52%から支持を得たと指摘した。

トランプ大統領は、2028年の共和党候補者として誰が後継者になるかについてある程度言及しているが、特定の候補者への支持を表明することは避けている。2月にフォックス・ニューズのインタヴューで、ヴァンスを後継者と宣言するのは「時期尚早」だとしながらも、自身と他の候補者は「非常に有能」だと述べた。

先月、NBCの「ミート・ザ・プレス」のインタヴューで、トランプ大統領はヴァンス副大統領とルビオ国務長官を、自身が率いる「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」運動の将来のリーダー候補として挙げた。

トランプは、「(ヴァンス氏は)素晴らしく、聡明な人物だと思う。マルコも素晴らしい。他にも素晴らしい人はたくさんいる」と語った。

今回の世論調査は6月24日から25日にかけて、共和党予備選挙の有権者416人を含む登録済み有権者1000人を対象に実施された。共和党支持者の回答の誤差は4.8ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスがカリフォルニア州知事選立候補者および候補予定者たちに2桁のリード(Harris holds double-digit lead over declared, potential California governor candidates: Poll
ジュリア・ミュラー筆

2025年7月2日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/campaign/5382192-kamala-harris-lead-california-governor-candidates-poll/

カリフォルニア州知事選挙への出馬を検討しているカマラ・ハリス副大統領は、2026年の知事選挙を想定すると、ハリス氏の支持率は2桁のリードを保っていることが、最新の世論調査で明らかになった。

カリフォルニア大学アーバイン校社会生態学部の最新データによると、ハリスは他の立候補を表明している候補者や噂されている候補者たちと比較した場合、24%の支持率を獲得した。

実業家から政治家に転身し、来年の知事選への出馬を検討していると報じられているリック・カルーソは9%の支持率で次点となった。

ハリスがリードしているにもかかわらず、カリフォルニア州民の40%が、任期制限(3期前)を迎えるギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の後任としてどの候補者を支持するかまだ決めていないと回答した。

しかし、ハリス前副大統領と一般的な共和党員のどちらを支持するかという質問では、ハリスの支持率はさらに高く、それぞれ41%と29%の支持率を獲得した。

今回の世論調査によると、ハリスはカリフォルニア州民の間で11%の好感度を獲得しており、これは調査対象となった候補者の中で最も高い数値である。

2024年の大統領選挙で敗北したハリスの今後の動向に政界は注目している。

ハリスは、カリフォルニア州知事選挙への出馬を真剣に検討していると報じられている。カリフォルニア州は、ハリスが以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた州だ。彼女は夏の終わりまでに出馬の是非を判断すると伝えられており、その間、知事選の候補者たちには幾分か冷ややかな反応が出ている。

カリフォルニア州副知事のエレニ・クナラキス氏(民主党)と州教育長のトニー・サーモンド氏(民主党)は、2023年から出馬している。民主党側では、ケイティ・ポーター元下院議員(カリフォルニア州)、元米国保健福祉長官のザビエル・ベセラ氏、元州議会議長のトニ・アトキンス氏、元州会計監査官のベティ・イー氏、元ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサ氏も出馬を表明している。

California Lt. Gov. Eleni Kounalakis (D) and state Superintendent of Public Instruction Tony Thurmond (D) have been running since 2023. Also in the ring on the Democratic side are former Rep. Katie Porter (Calif.), former U.S. Health and Human Services Secretary Xavier Becerra, former State Assembly Speaker Toni Atkins, former state Controller Betty Yee and former Los Angeles Mayor Antonio Villaraigosa.

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官(民主党)は2月、知事選挙への出馬を取り止める決断を下し、『ポリティコ』誌に対し、ハリスの立候補は「民主党の整理を行い、新規開拓になるだろう」と述べた。

ハリスは2028年大統領選挙の初期の世論調査でも、民主党の最有力候補として浮上している。しかし、エマーソン大学の最新データによると、ハリスの大統領選挙への再出馬への支持はここ数カ月で低下しており、2028年大統領選挙の有力候補の中では、ピート・ブティジェッジ元運輸長官に次ぐ2位となっている。

エマーソン大学はトゥルードット(Truedot)と提携し、州全体で2つの世論調査を実施した。1つ目はハリスへの好感度に関する質問を含み、5月27日から6月2日にかけてカリフォルニア州の成人2143人を対象に調査した。2つ目は知事選投票に関する質問を含み、5月29日から6月4日にかけてカリフォルニア州の成人2000人を対象に調査した。誤差は、1つ目の調査が2.9ポイント、2つ目の調査が3.6ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスは2028年の大統領選挙で支持率低下が予測されている(Kamala Harris sees support drop in potential 2028 horse race: Poll

ジュリア・ミュラー筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372074-support-for-harris-declines-new-poll/

2028年大統領選挙の理論上の候補者争いにおいて、カマラ・ハリス前副大統領への支持が低下していることが世論調査で明らかになった。ハリスは次の政治的行動を検討している。

エマーソン大学世論調査の最新調査によると、ハリスは2028年の大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中で2位につけており、民主党予備選の有権者の13%から支持を得ている。16%のピート・ブティジェッジ前運輸長官にわずかに及ばなかった。

民主党支持者たちのうち、まだ決めていないと回答した人が最も多く、23%だった。ハリスに僅差で次ぐのは、任期制限にかかるカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)で12%だった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)がそれぞれ7%の支持を得て上位5位に入った。

最新の数字は、回答者に2028年の候補者の支持を記入させたエマーソンの11月の調査とは大きく異なっている。2024年大統領選の数週間後に行われたこの調査では、ハリスの支持率は37%で、次いでニューサムが7%、ブティジェッジが4%、シャピロが3%だった。さらに35%は未定だった。

2024年の大統領選挙での敗北を受け、ハリスの今後の動向をめぐって憶測が飛び交っている。

ハリスは、以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた。ハリスは、カリフォルニア州知事選への出馬を真剣に検討していると報じられている。この不透明感は知事選挙の行方を左右する要因となっており、ハリスは出馬の是非を判断する期限を夏の終わりに設定していると言われている。

同時に、2028年初頭の世論調査では、ハリスが再び大統領選挙に立候補した場合、民主党の最有力候補となることが繰り返し示されている。カリフォルニア州知事公邸への出馬は2028年大統領選挙への出馬を阻む可能性があるが、ハリスはあらゆる選択肢を検討していると報じられている。

ハリスは今春、カリフォルニア州で開催された黒人女性のためのリーダーシップ・サミットで、「私はどこにも行かない(I’m not going anywhere)」と述べた。

一方、2028年大統領選挙の共和党候補者の中では、世論調査によると、ヴァンス副大統領が明確なリードを保っており、共和党予備選の有権者の46%の支持を得ている。未決定はわずか17%だった。

ヴァンスに続いたのは、マルコ・ルビオ国務長官(12%)、そして2024年予備選挙でトランプと戦ったフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)(9%)だった。

2028年大統領選挙の一般投票では、有権者は二大政党に分かれ、一般民主党候補と一般共和党候補をそれぞれ42%ずつ支持した。さらに16%は未決定だった。

無党派層では、一般民主党候補が37%、一般共和党候補が29%で、未決定は34%だった。

6月24日、25日に実施された今回の世論調査は、アメリカの登録済み有権者1000人を対象に実施され、誤差は3ポイントだった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)の第1章で、私は、ドナルド・トランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領と、シリコンヴァレーの大立者で大富豪のイーロン・マスク、そして、ピーター・ティールとの関係を分析し、イーロン・マスクとピーター・ティールがトランプとヴァンスの影響力を行使して、アメリカ政府との数兆円規模の巨額な契約を自分たちが所有するテック大企業(スペースXとパランティア・テクノロジーズ社)と結び、新たな軍産複合体づくりを行おうとしていると結論づけた。

 リバータリアニズム(Libertarianism)を信奉するのがリバータリアン(Libertarian)と呼ばれる人々である。リバータリアニズムは故人の自由を至上の価値として尊重し、政府についてはそれを邪魔する存在する存在として敵とみなす。反福祉、反中央政府でもある。シリコンヴァレーの大立者であるイーロン・マスクやピーター・ティールは「テクノリバータリアン」である。彼らからすれば、自分たちのヴィジョンに基づいて生み出す最先端の技術に規制をかけて邪魔をしたり、企業や大富豪に高い税金を掛けたりすることは、敵対行為ということになる。ところが、実際には、ピーター・ティールは第1次ドナルド・トランプ政権誕生の立役者になり、イーロン・マスクはトランプの最側近の立場に就いた。テクノリバータリアンたちは政府を忌避するはずだが、正否を利用しようという立場になっている。

 トランプを大統領にまで押し上げたのは、一般のアメリカ国民、有権者である。彼らは、既存の政治が自分たちの利益を反映していない、ワシントン政治は汚れているのでそれを掃除しなければならないということで、自分たちの代表として、ワシントン政治とは無縁のアウトサイダーだったトランプを送り込んだ。これはポピュリズムである。このポピュリズム政権であるトランプ政権に世界で最も富裕なイーロン・マスクが参加している訳であるが、トランプを支持する貧しい白人労働者と世界で最も金持ちのイーロン・マスクの共通点は、「(現在の)中央政府、政治エスタブリッシュメントを敵とみなす」ということだ。そして、「中央政府を自分たちの利益になるように作り替える」ということだ。

 第2次トランプ政権は大きな矛盾を抱えた政権である。中央政府を敵とみなすアメリカ人が作り上げた政権が中央政府を運営することになる。しかし、それはうまくいかないだろう。高関税の被害を受けるのはアメリカ国民である。アメリカはドル安に向かい、輸入が減り、物価は高くなる。アメリカ国内で輸入に代替して物品を製造しなければならなくなるが、アメリカの労働者たちの賃金の上昇は厳しいだろう。誰かが低賃金で安い物品を作らねばならない。イーロン・マスクやピーター・ティールたちは最先端の技術をアメリカの軍事に利用させようとして多額の契約を結ぶ。結果として、彼らは大儲けということになる。アメリカの未来については悲観的にならざるを得ないが、これは大きな流れであり、人為的に止めることや流れを逆転させることはできないだろう。大きな流れに乗ったアメリカの衰退の後始末をトランプが実行するということになる。トランプは歴史の悲劇と喜劇の上に、名を残す大統領となるだろう。

(貼り付けはじめ)

テクノリバータリアンたちはいかにして大きな政府に恋をしたのか(How techno-libertarians fell in love with big government

-国家が主要な顧客になるとすぐに彼らの原則的な反対は消え去る。

クイン・スロボディアン筆

2024年6月19日

プロジェクト・シンディケイト

『ジャパン・タイムズ』紙

https://www.japantimes.co.jp/commentary/2024/06/19/japan/techno-libertarians-big-government/

マサチューセッツ州ケンブリッジ発。億万長者のテック投資家バラジ・スリニヴァサンは、2013年にシリコンヴァレーの、アメリカからの「最終的な撤退(ultimate exit)」について講演し、反政府運動家として名を馳せた。彼はアメリカを「国家のマイクロソフト(Microsoft of nations)」と呼びました。

おそらく最も印象深いのは、スリニヴァサンがアメリカの「ペーパーベルト(Paper Belt)」、つまり、法律と規制のワシントン、高等教育のボストン、エンターテインメントのロサンゼルス、広告と出版のニューヨークを現代のラストベルトと表現したことだ。

彼の考えでは、シリコンヴァレーは、規制に先行し、学術的権威を軽蔑し、ストリーミングサーヴィスを導入し、消費者直販マーケティングを刷新することで、かつて戦後アメリカの権力の中心であった全4都市を奪いつつあると見られていた。その後数年間、スリニヴァサンはテクノリバータリアンのメッセージをさらに強めた。政府への軽蔑を長々と語る演説を行い、敵対者に対しては攻撃的な姿勢を見せ、「ネットワーク国家(network state)」、つまり所有(ownership)、同意(consent)、契約(contract)を通じて全ての決定が行われる新しいタイプの政治体制について熱弁をふるった。

そして、2017年初頭、スリニヴァサンはTwitterの履歴を削除した。彼はどこへ行ってしまったのだろうか? 連邦政府が彼の専門知識を求めて彼を訪れていたことが判明した。新しく大統領に選出されたドナルド・トランプは、スリニヴァサンの友人であり、同じくリバータリアンであるテック投資家のピーター・ティールを閣僚の編成に任命し、スリニヴァサンは食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)の長官候補に挙がっていた。スリニヴァサンが昔ながらの政治権力を握ろうとした瞬間、何年にもわたる激しい反政府声明は消え去った。

これは孤立した事件ではない。実際、このような偽善は新たな規範となっている。近年、テクノリバータリアンたちは、コバンザメのように(remora-like)アメリカ政府に取り入ろうとしている。何が起こっているのか? 単なる軽率な行動なのか、それとも何か深い理由があるのか。

シリコンヴァレーを代表するテクノリバータリアンたちは、自分たちが個人的に豊かにならない場合に限り、国家に反対している。政府が主要な顧客になるという見通しに直面すると、国家権力に対するかつての原則的な反対は消えてしまう。

この変化はティール自身にも見て取れる。2009年、ティールは「リバータリアンにとっての重大な課題は、全ての形態の政治から脱出することだ(the great task for libertarians is to find an escape from politics in all its forms)」と宣言した。しかし、2016年には共和党全国大会で演説し、党派政治(partisan politics)に完全に関与するようになった。それから数年の間に、彼が共同設立したデータ分析企業パランティアは巨大企業へと成長し、巨額の政府契約の恩恵を受けている。現在では、収益のほぼ半分を公的資金から得ている。

もう1つの具体例は、シリコンヴァレーを代表するベンチャーキャピタル企業アンドリーセン・ホロウィッツ(a16zとしても知られる)の創業者マーク・アンドリーセンだ。スリニヴァサンはa16zのパートナーを一時期務めていた。2023年10月、アンドリーセンは「テクノ・オプティミスト宣言(The Techno-Optimist Manifesto)」を執筆した。これは、自由市場と起業家精神を持つ技術者のプロメテウス的な力を称賛する、話題を呼んだ文書である。5000語のテキストには「政府(government)」という言葉は一度も登場せず、「国家(state)」という言葉が言及されたのはわずか2回で、国家を敵(the enemy)と位置づけていた。

しかし、国家はアンドリーセンにとって必要不可欠な生活手段だ。アンドリーセンは、彼が最初のインターネットブラウザの開発に携わった土地付与大学の資金を国家が拠出した。そしてブルームバーグの報道によると、a16zは近頃ワシントンではよく知られた存在となり、「アメリカン・ダイナミズム」構想(“American Dynamism” initiative)を推進するために、他のベンチャーファンドよりもはるかに多くのロビー活動費を投じている。この構想は、政府の防衛、エネルギー、物流契約の獲得を目指す企業を支援するものだ。

このシフトの内部論理は、今ではほとんど見られなくなったティールの公的な執筆活動の1つで説明することができる。2020年、彼はジェームズ・デール・デイヴィッドソンとウィリアム・リーズ=モッグの1999年の著書『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』の序文を新たに執筆した。この本では、サイバー通貨や従来の市民権の放棄など、国家からの脱却の可能性を描いている。ティールは、著者が説明できなかった2つの発展、すなわち中国の台頭(the rise of China)と人工知能の進歩(advances in artificial intelligence)を指摘した。

1990年代のシリコンヴァレーでは、大躍進の裏には政府からの資金援助があったという事実を隠蔽し、代わりに自作の天才(self-made genius)という神話を育てることが可能だった。しかし、2000年代からの中国の急速な台頭は、ハイテク覇権には別の要素が必要であることを示唆した。テスラCEOのイーロン・マスクは、ティールと同様、かつては大量監視(mass surveillance)に反対していたはずだが、最近、まさにその種のデータを確保するために中国を訪れたことから、その立場は逆転した。

テスラの株価は低迷しているが、マスクは現在、アメリカの人工衛星の主要な打ち上げ会社であるスペースXや、現在ウクライナの戦争努力を支えている衛星インターネット・サーヴィスであるスターリンクといった、彼のポートフォリオのより強固な要素に頼ることができる。しかし、これらのヴェンチャーは、『主権を持つ個人(The Sovereign Individual)』で想像されたような、才能ある認知エリートと国家の関係を根本的に見直すというよりは、伝統的な軍産複合体(the traditional military-industrial complex)の反映である。

シリコンヴァレーがアメリカから撤退するという話は、いつも別の名前でフリーライド(ただ乗り)してきたものだ。そして今、それは究極の、ありのままの姿に達し始めている。テクノリバータリアンたちには、華やかさはないにせよ、より正確なレッテルが必要なのかもしれない。結局のところ、彼らは遠い惑星はおろか、大陸の果てや世界の海で政治を超えた神秘的な世界を築いている訳でもなければ、必ずしもテクノ封建主義(techno-feudalism)への転落を加速させているわけでもない。実際、彼らはテクノ・コントラクター(techno-contractors)に過ぎず、次の請求書をペーパーベルトに提出しているに過ぎない。

クイン・スロボディアン:ボストン大学フレデリック・S・パーディー記念国際研究大学院国際史教授。最新刊に『資本主義の崩壊:市場急進派と民主政治体制なき世界の夢(Crack-Up Capitalism: Market Radicals and the Dream of a World Without Democracy)』(メトロポリタン・ブックス刊、2023年)がある。

(貼り付け終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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第2次ドナルド・トランプ政権発足から100日以上が過ぎて、大きな人事異動が発表された。マイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官が職を離れ、米国連大使に転身する予定であることが発表された。国家安全保障問題担当大統領補佐官の職は、マルコ・ルビオ国務長官が暫定的に兼務することになった。これは、ジェラルド・フォード大統領時代のヘンリー・キッシンジャー以来のことだ。
 そもそも、昨年の段階では、エリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)が米国連大使に指名されていたが、今年3月末に、連邦下院で過半数を握っているが、民主党との差が小さい共和党の議席数を守るために、ステファニックの指名をトランプ大統領が取り消し、ステファニックは連邦下院議員を続投することになり、連邦下院共和党の指導部に復帰した。後述する、ウォルツが引き起こしたシグナルゲート事件が3月中旬に起きたことを考えると、マイク・ウォルツの辞任(実質的な更迭)は3月下旬に決定されており、ステファニクの国連大使指名が撤回された可能性がある。

マイク・ウォルツは政権内で存在感を発揮することができず、また、トランプ大統領側近のスージー・ワイルズ大統領首席補佐官との関係が悪化したという話もある。首席補佐官は大統領執務室の隣にオフィスを持ち、大統領が誰と会うかをコントロールすることができる。国家安全保障問題担当大統領補佐官であるウォルツがトランプ大統領と会う必要がある時に、ワイルズ首席補佐官がそれを妨害したということは考えにくいが、このような話が出るほどに政権内部でひずみが出ているようだ。イーロン・マスクは特別公務員であるが、正式な閣僚ではないはずだが、閣議に出てくる。マスコミはマスクばかりを追いかける。他の閣僚や政権高官たちは面白くないということはあるだろう。そこに、シグナルゲート事件が起きた。ピート・ヘグセス国防長官も当事者であるが、今回はマイク・ウォルツだけが更迭されることになった。2人同時では政権に与えるダメージが大きい。ヘグセスもタイミングを見て、辞任(更迭)ということになるだろう。
 ルビオ国務長官が国家安全保障問題担当大統領補佐官を兼務することになり、これは、トランプ大統領のルビオに対する信頼感を示している。私は現在のところ、JD・ヴァンス副大統領がトランプ大統領の後継者になると考えているが、マルコ・ルビオも有力な後継者になり得ると考えられる。ヴァンスとルビオが両方ともカトリック教徒であることは興味深い。キリスト教福音派がトランプ派の強力な支持基盤であるが、これがどのように影響するか注目される。
(貼り付けはじめ)
ドナルド・トランプ大統領がマイク・ウォルツを国連大使に任命、マルコ・ルビオ国務長官を国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命(Trump taps Mike Waltz as UN ambassador, names Rubio as national security adviser

アレックス・ガンギターノ筆
2025年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5277929-mike-waltz-un-ambassador-rubio-nsc/

ドナルド・トランプ大統領は、グループ・テキストチャットをめぐる論争の最中に解任されたと報じられたマイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官を国連大使に指名した。

トランプ大統領はまた木曜日に、ウォルツの後任として、マルコ・ルビオ国務長官を暫定国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命すると発表した。

トランプ大統領はSNSのトゥルース・ソーシャルで「マイク・ウォルツを次期国連大使に指名することを嬉しく思う。ウォルツは、戦場での軍服時代、連邦議会での活動、そして国家安全保障問題担当大統領補佐官としての活動を通して、国益を最優先に力を尽くしてきた。新しい役割でも、同様に尽力してくれると確信している」と述べた。

トランプ大統領は続けて、「当面の間、マルコ・ルビオ国務長官は国家安全保障問題担当大統領補佐官を務め、国務省における強力なリーダーシップを継続する。私たちは共に、アメリカと世界を再び安全にするために、不断の努力を続けていく。この件にご関心をお寄せいただき、感謝申し上げる!」と述べた。

ウォルツが国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)の職を辞し、国連大使に就任することは、連邦上院の人事承認が必要となるが、トランプ政権における最初の大きな人事異動となる。

トランプ大統領が先月、エリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の指名を取り消したことで、国連大使のポストが空席となった。トランプ大統領はこの決定について、ステファニック議員を「連邦下院指導部への復帰(rejoin the House Leadership Team)」のためだと説明している。

一方、国務省のタミー・ブルース報道官は、ルビオの役割が拡大されることは国務省にとって「興奮する瞬間」であり、全く驚くべきことではないと付け加えた。

ブルース報道官は次のように述べた。「私が存じ上げているルビオ長官、就任初日から様々な役割を担ってきた人物だ。大統領もよく知っている人物だ。大統領は誰が自分の政策を実行するのかを完璧に判断している。今回のケースでは、ルビオ長官とウォルツ補佐官を、自らの政策を推し進めるために選んだ。全く驚くべきことではない」。

ウォルツの立場の変化は、国家安全保障・国防当局者がイエメンでの軍事攻撃に関する重要な詳細を共有していたシグナル・アプリ上のグループチャットをめぐる論争の中心人物だったことを受けて起きた。ウォルツは、『アトランティック』誌編集長のジェフリー・ゴールドバーグを誤ってチャットに招待した人物とされている。

ゴールドバーグは3月24日の報道で、自分がメッセージチェインに追加されたことを明らかにした。国家安全保障会議は、このメッセージチェインが本物であることを確認した。ピート・ヘグセス国防長官はシグナルでフーシ派反政府勢力への攻撃について概説したが、ホワイトハウスとヘグセス長官は、これらの詳細は機密扱いではないと主張している。

当時、この事態を受けてウォルツ、あるいはヘグセスが解任されるのではないかとの憶測が渦巻いていたが、トランプ大統領はフロリダ州選出の元連邦下院議員であるウォルツを擁護し、国家安全保障問題担当大統領補佐官を信頼していると述べた。

加えて、今月初め、極右陰謀論に関与する政治活動家ローラ・ルーマーがトランプ大統領と会談し、信頼できない国家安全保障担当官のリストを持参したと報じられたことを受け、国家安全保障会議の職員6人が解雇された。

解雇された職員には、情報担当上級ディレクターのブライアン・ウォルシュ、連邦下院議員時代にウォルツの補佐官も務めた立法担当上級ディレクターのトーマス・ブードリー、技術・国家安全保障担当上級ディレクターのデイヴィッド・フェイスなどが含まれている。

トランプ大統領は、ルーマーがこれらの解雇に関与しているという見方を否定し、「彼女は物事や人物について勧告を行っており、私はその勧告に耳を傾けることもある」と述べた。

フロリダ州上院議員のランディ・ファイン(共和党)は、今月初めにフロリダ州第6選挙区の特別選挙で勝利し、ウォルツの後任として連邦下院議員に選出された。ファインの勝利は、民主党のジョシュ・ワイルが資金調達や一部の世論調査でファインを上回ったことで、共和党は選挙戦への懸念を強めていたので、共和党にとっては朗報となった。

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ドナルド・トランプ大統領はシグナルゲート事件を受け内閣改造を発表(Trump Announces Cabinet Reshuffle in Signalgate Fallout

-マイク・ウォルツは国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任され、国連大使への就任をめぐる承認争いに直面している。

ジョン・ホルティワンガー筆

2025年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/01/mike-waltz-out-national-security-advisor-trump-resignation-signal/

ドナルド・トランプ大統領は木曜日、マイク・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官が退任すると発表した。これは第2次トランプ政権における初の大規模な内閣改造となる。ウォルツの次席大統領補佐官であるアレックス・ウォンも退任すると報じられている。

トランプ大統領はドゥルース・ソーシャルへの投稿で、マルコ・ルビオ国務長官が現在の職務に加え、暫定国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めると述べた。また、ウォルツを国連大使に指名すると発表した。国連大使は国家安全保障問題担当大統領補佐官とは異なり、連邦上院の人事承認が必要となる。

トランプ大統領は「ウォルツは、戦場での軍服時代から、連邦議会での活動、そして国家安全保障問題担当大統領補佐官として、国家の利益を最優先に力を尽くしてきました。新たな役割でも、彼が同様に尽力してくれると確信している」と述べた。

当初、国連大使にはニューヨーク州選出の共和党所属の連邦下院議員エリス・ステファニックが指名されていたが、共和党が連邦下院で僅差で多数派を占めていることを考慮し、僅差のための懸念もあり、トランプ大統領は彼女の指名を撤回した。

ウォルツが国家安全保障問題担当大統領補佐官を辞任したというニューズは、シグナルゲート事件でウォルツがその渦中に置かれてから1カ月余り後に報じられた。3月、ウォルツはシグナル・グループチャットで他の政府高官と誤ってジャーナリストを参加させ、イエメンへのアメリカ軍による攻撃に関する機密情報を話し合っていた。

ホワイトハウスは事件の重大性を軽視し、機密情報は共有されていないと主張していたにもかかわらず、シグナルゲート事件の結果、ウォルツの新政権における将来は直ちに疑問視された。国家安全保障分野のヴェテランたちは、この主張に強い懐疑心を抱いている。シグナルゲート事件は依然として政権にとって悩みの種であり、ピート・ヘグゼス国防長官も引き続き厳しい調査を受けている。このスキャンダルは、ウォルツの将来に関わる人事承認公聴会で必ず取り上げられる可能性が高い。

シグナルゲート事件の騒動当初、トランプ大統領はウォルツへの信頼を表明していたものの、その後、ホワイトハウスにおけるウォルツの影響力は急速に低下した。

国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任は、トランプ大統領が極右活動家で陰謀論者のローラ・ルーマーとの会談後、忠誠心欠如の疑いで国家安全保障会議の職員数名を解雇してからわずか数週間後のことだった。

ウォルツの解任が報じられた木曜日、ルーマーはウォルツとウォンの解任を祝福し、その功績を自分のものにしたように見えた。これはトランプ大統領が国連大使への指名を発表する前のことだった。ルーマーはXへの投稿で、「ウォルツが主宰する国家安全保障会議で解雇予定だったが昇進した残りの職員も辞任してくれることを願っている」と述べた。ルーマーはウォンの解任を公然と主張する一方で、ウォンと妻を中国系移民の子孫であることで攻撃している。木曜日、ルーマーはXに「戦利品(SCALP)」と投稿し、ウォンを批判した以前の投稿を再シェアした。

シグナルゲート事件の責任を問われているだけでなく、トランプ大統領の補佐官や側近たちは、大統領がロシア・ウクライナ戦争終結のための和平合意と、イランとの新たな核合意の締結を目指している時期に、ウォルツがロシアとイランに対して強硬すぎると見なしていたと報じられている。しかし、この問題の大きな原因は、ルーマーのトランプ大統領に対する影響力の拡大にあると広く疑われている。

元国務省報道官のネッド・プライスはウォルツの解任について『フォーリン・ポリシー』誌の取材に応じ、「残念なことだが、これはローラ・ルーマーと彼女の過激な陰謀論者たちの仕業だと思う」と述べ、トランプ政権において純粋にイデオロギーに関することは「ほぼない(very little)」と付け加えた。

プライスは続けて、「確かに、ウォルツはウクライナ、ロシア、イランといった重要課題で足並みを揃えていなかった。しかし、彼が今日解任されたのは、ルーマーとその同調者たちが彼の解任を望んだからだろう。ルーマーとその同調者がホワイトハウス、更には国家安全保障機関にまで大きな影響力を持っていることは、全てのアメリカ国民にとって大きな懸念事項だ」と述べた。

ルーマーはコメント要請にすぐに応じなかった。

国家安全保障問題担当大統領補佐官は通常、ホワイトハウスで最も影響力のある高官の1人である。例えば、ジョー・バイデン前大統領の下では、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はアメリカの外交政策に大きな影響力を持ち、政権内で常に最も注目を集める立場の高官の1人であった。

しかし、トランプ大統領の第2期では、国家安全保障問題担当大統領補佐官の役割はこれまでのところ低下している。国家安全保障会議を骨抜きにし、大統領職や、特に外交問題に関して型破りなアプローチを取っているからだ。スティーブ・ウィトコフのような経験の浅い忠実な部外者を、国家安全保障分野のヴェテランやキャリア官僚よりも重用している。

※ジョン・ホルトィワンガー:『フォーリン・ポリシー』誌記者。Xアカウント:@jchaltiwanger

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